アルキメデス・カミネロとかいうギリシャ神話に出てきそうな神々しい名前のノーコンは巨人で活躍できるのか?【2017年成績予想】

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シアトル街並みイメージ
アルキメデス・エウクレイデス・カミネロ(29)
右投げ右打ち、193cm/115kg

2016年シーズン、MLBシアトル・マリナーズで57試合に登板して防御率3.56を記録。現在、読売巨人ジャイアンツが獲得を目指して交渉中の選手である。

史上最多となる3人のFA選手を獲得するなど、2017年シーズンに向けて積極的な補強を敢行する巨人が食指を伸ばしたメジャーリーガー、カミネロ。

今回はこの選手がどんなピッチャーなのか。そして、日本でどの程度やれるのかを過去の数字を参考に考えてみたいと思う。

先日のロマン・メンデスの記事同様、かなり個人的な見解が含まれるが、どうか大目に見ていただければ幸いである。

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劇場型速球派のカミネロ。いくら観ても活躍できるかどうかがわからない

まず、このピッチャーの映像をざっと観た感想だが、正直に申し上げて「よくわからない」

とりあえず言えるのは、アルキメデス・カミネロは典型的な速球派タイプだということ。

ストレートが全投球の54.2%を占め、2016年の平均球速が97.8マイル(157.4km)を記録する。
57試合に登板した今シーズンの試合をいくつか観たが、投げている球は間違いなくすごい

その他、2シームの平均球速が98.2マイル(158km)、スライダー(カッター)が91.7マイル(147.6km)、スプリットが90.3マイル(145.3km)となっており、数字だけを見れば「こんなの誰が打てるんだ」状態のスペックである。巨人が澤村に代わる抑え候補としてリストアップするだけのことはある。

ただ、投球の軸となるストレートの被打率が.351と異様に高く、実際の映像を観てもスピードの割に打者に楽々と弾き返されている印象が強い。空振率は8.9%とそれなりに高いのだが、平均158kmのスピードボールにしては打者があまり苦にしていない感じである。 
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さらにコントロールにもやや難があるようで、四死球率を表すBB/9%は4.90とかなり高い。投球全体の被打率も.277と悪く、要はヒットとフォアボールでランナーを背負いながらも何とか抑えるタイプなのだろう。

球はすごいのだが、投げてみるまで表か裏かわからない。
劇場型クローザーと言えばアレだが、毎回ハラハラするようなピッチングが観られそうな匂いがプンプンする。

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このピッチャーに近いのはマーク・クルーンかな? イメージで言うと、腕の位置が低いクルーン

このカミネロが誰に似ているかと考えていたのだが、もっともイメージが近いのがマーク・クルーンだろうか。横浜、巨人でクローザーとして活躍し、6年間で通算177Sを挙げた速球派である。

あのピッチャーも球は速いが投げてみなければわからないタイプで、特に巨人最終年はその傾向が顕著だった。1球投げただけで調子の良しあしがわかるほど安定感に欠け、典型的な劇場型クローザーだった記憶がある。

「胃に穴が開く」「安心して観ていられない」と散々批判されたクルーンだが、実を言うと僕はこの選手のことを非常にいいピッチャーだと思っていた

そもそも6年間で177Sを挙げるクローザーなど、めったにいない。
現在ソフトバンクでクローザーを務めるデニス・サファテが6年間で挙げたセーブ数が175。あれだけ圧倒的なピッチングを見せつける投手と同じくらいの成績をクルーンは残しているのである。
個人的にこのマーク・クルーンは、山口俊、澤村拓一とともに三大過小評価されているピッチャーだと思う。

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なお、高めのストレートと低めのフォークというコンビネーションで空振りを奪うクルーンと違い、カミネロはどちらかというとグランドボーラー寄りのピッチャーである。

ストレートのノビを示すVMov (in.)は7.63とあまり高くなく、Spin Rate(スピン量)も1872と低い。
藤川球児のストレートのように打者の手元でホップする球とは逆で、いわゆるまっ垂れ型の沈むストレートというヤツだろう。
GB%(ゴロ率)も41.1%とそれなりに高く、投球全体のGB%も43.4%。タイプとしては、グランドボーラー寄りの平均型に分類されるピッチャーと言えそうである。

「藤川球児は死なず。聖地に神が舞い降りた夜。雷鳴のような猛虎の叫びを火の玉ストレートが切り裂く!!」

何でこんなに被打率が悪いのかがわからない。カウントを悪くしたところで球種を読まれてるのか?

平均球速157kmで沈むストレート。
異様に高い被打率(.351)と四死球率(BB/9%:4.90)。

このピッチャーの登板試合をいくつか観たが、申し上げたようになぜあんなにストレートを打たれるのかがわからない
投げている球は間違いなくすごいし、加えて高速スライダーとスプリットもある。四死球率の悪さは気になるところだが、どう考えても30歳前後で日本にくるようなスペックには思えない。

あえて欠点を挙げるとすればアクセントのなさだろうか。
このピッチャーの球種の割合を見ると、54.2%がストレート(4シーム)、13.9%が2シームとなっている。つまり、投球全体の70%近くをストレート系が占めていることになる。

そして、この2つの球種を比べると、

4シーム
平均球速:98.2マイル(157.4km)
縦の変化量(Vertical):6.75
横の変化量(Horizntal)-5.24

2シーム
平均球速:98.2マイル(158km)
縦の変化量(Vertical):5.04
横の変化量(Horizntal)-6.70

ご覧のように、変化の仕方が非常に似通っていることがわかる。

もしかしたら、ストレート系の被打率の高さ(4シーム被打率:.351、2シーム被打率:.265)の原因はこのあたりにあるのかもしれない。

全投球の7割を4シームと2シームが占め、なおかつ両球種の変化量にそれほど大きな違いがない。
極端な話、打者はストレートにヤマを張っていればほぼほぼOK。
コントロールも悪く、ボールが先行すればさらにストレートの確率が上がる。早打ちだけに気をつけながらとことんストレートにタイミングを合わせていれば、打つのはそこまで難しくない。そういうことなのではないだろうか。

カウント別の被打率を見ると、
1-0で.280
2-0で.333
3-0で.500
となっている。

さらに、カウント別で4シームor2シームの割合を見ていくと、
1-0では4シームが54.84%、2シームが13.71%(計65.55%)
2-0では4シームが68.09%、2シームが19.15%(計87.24%)
3-0では4シームが92.86%、2シームが7.14%(計100%)
である。

要するに、カウントが悪くなればなるほどストレートを投げる確率が上がり、打者もタイミングを合わせやすくなる。
あらかじめ球種がわかっていればいくら速くても打ち返すのがプロ。元々のコントロールの悪さも相まって、結果的に被打率が悪化するという悪循環が起きているのだ。

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カミネロが活躍できるかは「ストライク先行」で、自分主導のピッチングができるかどうか

巨人が獲得交渉中というアルキメデス・カミネロ。このギリシャ神話の神様のような名前のピッチャーが、日本で成功できるかは本当に不明である。

メジャーでの直近の数字やピッチングの映像を観ると、カギとなるのはやはりファーストストライク。いかにストライク先行のピッチングをできるかの一点ではないだろうか。

早めに有利なカウントを作り、高速スライダーや鬼スプリットを投げやすい状況にどれだけ持ち込めるか。
何度も言うように投げている球自体はいい。後は自分主導のピッチングができるか。本当にそれだけである。

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勝手にカウントを悪くして自滅するようならハズレ確定。
ど真ん中でもいいから、初球からストライクゾーンにストレートを投げ込むことができれば無双。
どちらにしろ、両極端の可能性を持った選手と言えると思う。

なお、ランナーを背負った際にクイックを意識し過ぎて球威が落ちるというパターンも十分考えられるので、この点にも注意が必要である。

漠然とだが、
うまくハマれば登板57試合、投球回58.1回 防御率2.10〜2.50前後、
ダメダメな場合は登板34試合、投球回30.1回 防御率3.20〜3.50前後
くらいになるのではと思っている。

まあ、2017年シーズンの巨人には助っ人はたくさんいる。
たとえカミネロが外れても澤村がクローザーに戻るだけだろうし、外国人枠を余らせることもない。
セットアッパーとして計算が立てば嬉しいが、そのポジションにはマシソンもいる。カミネロの優先順位自体はそこまで高くはなく、ぶっちゃけハズレだったとしても大きな問題はない

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なので、この投手に関しては「速球派のロマン枠の行く末を楽しむ」スタンスで観ていけば十分だろう。

ん?
年俸?

知らんよそんなの。
俺の金じゃないし。

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