ブラッドリーがブランドン・リオスにTKO勝ち!! スピードと手数でリオスを圧倒!! インファイターのリオスに何もさせず【WBOウェルター級タイトルマッチ結果】

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2015年11月7日(日本時間8日)、アメリカ・ラスベガスのトーマス・アンド・マックセンターで、WBO世界ウェルター級タイトルマッチが行われた。

チャンピオンのティモシー・ブラッドリーが同級3位の挑戦者ブランドン・リオスを9R2分49秒TKOで下し、防衛に成功した。

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絶好調のブラッドリーがリオスをスピードで圧倒

結論から申し上げると、ブラッドリーの予想以上の圧勝だった。
もう少しリオスのボクシングがブラッドリーを慌てさせる場面があるかと思っていたが、まさかここまでリオスがブラッドリーのスピードについていけないとは。
恐らく、今日のブラッドリーはかなり調子がよかったのだと思う。スピード差のあるリオスが相手というのもあるが、あれだけキレのある動きはここ数試合では見られなかったものである。

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開始早々いきなりブラッドリーがサークルしながらの連打でリオスの顔面を捉える。
距離をとってリオスの周りを回り、近づいて連打。そのうちの何発かがリオスのガードの間からクリーンヒットする。

ああ、スピードが全然違う。
これはこのままいけるんじゃないか。
ブラッドリーがムキになって打ち合わなければ。
そう思わせる立ち上がりだ。

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と、思ったら、リオスがブラッドリーの腕に自分の腕を絡ませラフなパンチを数発。これにムカッときたのだろう。ブラッドリーがさっそく距離をつめて打ち合い始める。
おいおい、いきなり暗雲立ちこめたぞ。

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ただ、ブラッドリーがすぐに冷静さを取り戻す。
距離をとった状態からの飛び込んでの左。
この打ち終わりに左をかぶせるリオス。

パンチが当たったのはブラッドリー。
両者のスピードに相当の差があるので、リオスのパンチは当たらない。

このままムキになりさえしなければ、無難にブラッドリーが勝てるんじゃないだろうか。そう思わせる序盤の攻防である。

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左回りで距離をとるブラッドリー。
追うリオス。
リオスがブラッドリーの正面に立ち、激しく打ち込む。
ブラッドリーが腕をリオスの抱えてリオスの突進を封じる。身体を密着させ、打たれる箇所を隠すように頭を擦りつける。うまい。これでリオスは至近距離でも手が出せなくなる。

2R中盤。リオスの大振りの右がブラッドリーの頬をかすめる。この離れ際のパンチにさえ気をつければ、ブラッドリーはそこまで危険な状況には陥らないだろう。

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打っては左へステップして距離をとる。そして打っては近づき、リオスの腕を抱え込む。
ブラッドリーの手数とステップワークは相変わらずすごい。命中率はよくはないが、“デザートストーム”の異名どおりの息つく間のない攻撃。確実にポイントを自分の方に引き寄せるボクシングである。

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対するリオスはいつも通りガードを高く上げてどっしりとした構え。そして愚直に前に出るいつものスタイルである。ガードを上げて距離を詰め、ロープ際で左右ボディの連打につなげる攻撃は迫力満点だ。

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ただパッキャオ戦のときもそうだったが、このボクシングはどうしてもスピード差のある相手には分が悪い。
防御も基本的に高く上げたガードのみで、身体を振るわけでもなくスウェーがあるわけでもない。少しくらいならもらっても構わないという自分の頑丈さに頼った防御なので、スピーディな相手の連打を防ぎきることができないのだ。というより、ハナから防ぐ気もないのだろう。

至近距離での打ち合いでもリオスはブラッドリーに歯が立たない

序盤4Rまで、ブラッドリーがスピードで圧倒する展開が続く。

ワンツーを打って左にステップ。
ワンツーを打って身体を密着させる。
ブラッドリーはとことんこのパターンである。

だが離れ際の右など、ところどころに危なっかしい場面も散見される。リオスの危険なフックがブラッドリーの鼻先を通過するシーン。まあ、これもいつものブラッドリーといえばそうなのだが。

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対するリオス。
ブラッドリーの打ち終わりにカウンターでの一発を狙う。
恐らくこの一発に賭けているのだろう。劣勢は予定通り。どうせブラッドリーのスピードにはついていけない。それなら試合のどこかで一発当てられればいい。
一発クリーンヒットできれば勝てる。当たらなかったらごめんなさい。まさにそういう考えなのだろう。

ただ、今日のブラッドリーは絶好調だ。前回のチャベス戦よりも間違いなく調子がいい。ヒット・アンド・アウェイでリオスに反撃する間を一切与えない。

「江藤、クアドラスの牙城を崩せず大差判定負け!!」

6R。
ラウンドの序盤は距離をとり、リオスの周りを左回りに回るブラッドリー。
飛び込み際の左で距離を詰め、至近距離での打ち合いに持ち込む。左をトリプルで放ち、リオスの顔面を跳ね上げる。
たまらず腕を抱え込むようにしてクリンチするリオス。腕を無理矢理引き抜き、さらにパンチを集めるブラッドリー。

う〜ん、この距離でもブラッドリーのハンドスピードがはるかにリオスを上回っている。この局面ですら優位に立てないリオスはかなり厳しい。

ブラッドリーが至近距離でショートフックの右を当てたところで6R終了。このラウンドも完全にブラッドリーペースである。

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反撃する隙を与えないほどの連打で相手のパンチを封じるブラッドリー。
毎回思うのだが、あの作戦は相当勇気のいる方法なのではないだろうか。相手のカウンターを受ける危険も高いし、インファイター相手に至近距離で打ち合うというのは、周囲が考えるよりもはるかに強靭な精神力が必要な作業だと思うのだ。命中率の悪さを指摘されることが多いブラッドリーだが、個人的にあの攻撃ができることはすばらしいと思っている。

さすがのステップワークと手数を見せつけるブラッドリー。9Rにリオスをストップ!!

7Rに入ると、リオスがプレッシャーを強める。恐らくセコンドからの指示が出たのだろう。このあたりで勝負を賭けないと勝ち目がなくなるとでもハッパをかけられたのではないか。
だが、リズムを掴んだブラッドリーには通用しない。連打とフットワークで応戦され、手数と攻勢で圧倒される。懸命に前に出ているのだが、効果的なパンチを当てることができない。このラウンドも手数と攻勢でブラッドリー。

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今日のブラッドリーのステップワークはさすがのひと言だ。
至近距離で左右へめまぐるしく動いてアングルを変え、打ち返す隙を与えないほどのパンチをあらゆる方向から打ち込む。
確かに当て勘はよくない。
だが、この手数とステップは対戦相手にとっては脅威以外のなにものでもない。どこから飛んでくるかわからない無数のパンチ。いつ果てるともない連打。これを受け続けるのは精神的にもかなりキツいのではないだろうか。

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特にリオスのような攻防分離型のボクサーがこの攻撃をやられると絶望的にどうしようもなくなる。打ち終わりを狙いたいのは山々なのだが、いかんせん打ち終わらないのである。

9R。
至近距離でブラッドリーのアッパー気味の左がリオスを捉える。そこから右にステップして返しの右。
ひざまずくようにダウンするリオス!!

一度は立ち上がったが、再びコーナーに詰められボディ。これで2度目のダウン!!
たまらずレフェリーが試合を止める。
ブラッドリーの9R2分49秒TKO勝ち!!

うおおおお!!
倒した!!
ブラッドリーが倒して勝った!!
しかもタフなリオスを倒すとは!!

このまま判定までいくと思っていたが、まさか倒しきるとは。
いや、珍しいこともあるもんだ。

リオスのスタイルには限界が見えた? オーバーウェイト不摂生マンの行く末は……?

しかし今日のブラッドリーは強かった。
あのステップと手数。今日のブラッドリーは間違いなくスペシャルだった。

「クリチコに勝ったタイソン・フューリーがおもろすぎる件ww」

ここ最近、精彩を欠いた試合が目立つブラッドリーだったが、今日は完全に全盛期が戻ったようなキレのある動きを見せていた。
さすがにリオス相手に負けるわけにはいかないという思いもあったのだろう。相当準備してこの試合に臨んだのではないかと思われる。
まあ、このタイプに捕まえられるようではそろそろ限界も近いと言わざるを得ないが。

完勝のブラッドリー。今後はどのようなキャリアを歩むのだろうか。キース・サーマンやショーン・ポーターとの絡みはあるのだろうか。個人的にはケル・ブルックと統一戦をしてもらいたいような気がするが、実現する可能性は低そうだ。それならクリス・アルジェリやサダム・アリとのタイトルマッチも観てみたい。
ちなみにビッグネームばかり追いかけてフラれまくっているアミール・カーンはもういいです。

対するリオス。我慢に我慢を重ねた上で、蓄積したダメージが9Rに噴き出したといったところだろう。
調子自体が悪かったのかもしれないが、全体的にもう少しラフなパンチを振り回して強引にでも前に出るべきだった。

打たれはしていたが、リオスのタフさなら判定までいくと思っていた。だが見ての通りのTKO負け。ブラッドリーの攻撃は予想以上に効いていたということか。もしくは長年の打ち合いによる勤続疲労か、それとも減量苦か。

とにかく今回の試合で、リオスの限界が改めて見えたのではないかと思う。
アルバラードのように噛み合う相手であれば名勝負製造機になれるが、パッキャオや今回のブラッドリーのようにスピード差があると手も足も出なくなる。ガードがいいわけでもなく追い足があるわけでもない。近づいて打ち合わなければどうしようもなくなる欠陥だらけのスタイル。しかも今回のKO負けによって、最大の持ち味であるタフネスにも陰りが見えてしまった。

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今後どうするかはわからないが、この階級でのビッグマッチが巡ってくることは恐らくないのではないか。
かといって、階級を下げるにしてもオーバーウェイトをやらかす不摂生マンである。悪いボクサーではないのだが、行く末はあまり明るくはないように思える。

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