ユーリ阿久井政悟vsタナンチャイ・チャルンパック、寺地拳四朗vsクリストファー・ロサレス。タナンチャイはいい選手だった。拳四朗はよく戻したね。でも、相手の攻撃が届くようになった?【結果・感想】

ユーリ阿久井政悟vsタナンチャイ・チャルンパック、寺地拳四朗vsクリストファー・ロサレス。タナンチャイはいい選手だった。拳四朗はよく戻したね。でも、相手の攻撃が届くようになった?【結果・感想】

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2024年10月13日に東京・有明アリーナで開催された「Prime Video Boxing 10」1日目。
メインイベントの井上拓真vs堤聖也戦(WBA世界バンタム級タイトルマッチ)の感想を下記で申し上げているわけだが。
 
堤聖也が井上拓真に勝利!! 「足を入れ替えるだけがスイッチじゃない」みたいなファイト。あの位置、タイミングで飛んでくるの? ってパンチが山ほどあった
 
今回はそれ以外の試合。未視聴だったものを観たのでその感想を言っていく。
 
具体的には
・ユーリ阿久井政悟vsタナンチャイ・チャルンパック
・寺地拳四朗vsクリストファー・ロサレス
の2試合。
 
全編視聴は下記↓

 
なお岩田翔吉vsハイロ・ノリエガ戦(WBO世界L・フライ級王座決定戦)はまったく食指が動かず未視聴のままでございます。
 
ティム・チューvsムルタザリエフ、カシメロvsサンチェス、小國以載vsンギーチュンバ。またロシアのヤバいヤツが出てきた。カシメロは実質ラストチャンスを逃した? “キレイなジャイアン”伊藤雅雪も大変だよな笑
 

○ユーリ阿久井政悟vsタナンチャイ・チャルンパック×(判定2-1 ※115-113、113-115、117-111)

まずはWBA世界フライ級王者ユーリ阿久井政悟の2度目の防衛戦。タイのタナンチャイ・チャルンパックに2-1の判定で勝利した一戦である。
 
挑戦者タナンチャイ・チャルンパックは下記の通り個人的に楽しみにしていた選手。
 
タナンチャイ・チャルンパックが嫌いじゃないのとオラスクアガvsジョナサン・ゴンサレスが楽しみ。ユーリ阿久井、拳四朗、中谷潤人、田中恒成Amazon中継
 
下馬評では安パイ扱いだったが、試合映像を観る限り全然悪くない
 
身長168cmと比較的長身で打ち下ろし気味のカウンターを得意とする。
また懐が深くヌルヌルと芯を外すのがうまい。そのため対戦相手は手ごたえがないままずーっとモヤモヤさせられる。
前回の畑中建人もこの選手の同時打ちのカウンターと掴みどころのないディフェンスでうまくいなされてしまった。
 
そんな感じで今回はあえてタナンチャイを応援することに笑
 

やっぱりいい選手だったタナンチャイ。“タフ”というよりディフェンスのよさによるものじゃない?

実際の試合だが、思った通りタナンチャイはいい選手だった。
 
同時打ちのタイミングでのカウンター、よく動く足、近場の連打でユーリの出足を挫きまくる。
さらに試合後半にはボディを効かせるなど「これはもしかしたら」と思わせるパフォーマンスを見せた。
 
僕の事前予想はユーリの10RKOだったが、タナンチャイが倒される気配はまったくなく。
 
試合後に「タナンチャイがタフだった」という感想をいくつも見かけたが、むしろディフェンスのよさ、勘のよさが大きいと思うのだが、どうだろうか。
 
まだ24歳と若い上に世界王者に肉薄する実力もある。
今後も日本で観たいと思わせる選手である。
 
田中恒成vsプメレレ・カフ、中谷潤人vsペッチ・ソー・チットパッタナ。カフはこの日のMVP。ペッチもよかったけど…。中谷はバンタム級卒業でもよくない?
 

まったく思い通りにいかなかったユーリ。採点の難しいラウンドだらけで危なかったよね

一方のユーリだが、こちらはまったく思い通りにならなかった。
 
ガードを上げてプレッシャーをかけるまではいいのだが、初弾にことごとくカウンターを合わせられるために後が続かない。
 
本来はあそこから勢いづくのが持ち味のはずが、得意パターンに入る前にカウンター、足でいなされてしまう。
前回の桑原拓戦では序盤にあっさり捕まえる→早い段階で自分のペースに引き込めたのだが……。
 
ユーリ阿久井政悟vs桑原拓、井上拓真vs石田匠。石田は残念だった。ユーリは勝ってよかった。メインと同じくらいのインパクト
 
攻撃のバリエーションの乏しさ、動きの単調さもあったと思うが、それ以上にタナンチャイのうまさが目についた。
 
 
スコアカードを見るとジャッジ3者が揃ったのは1、6、11、12の計4ラウンド(いずれもユーリ支持)。
僕はスコアを確認しながら試合を観ていたのだが、マジでどちらが有利かわからないラウンドばかりだった笑
 
それこそラスト2Rをタナンチャイが取っていれば逆の結果になっていたわけで。
ボディを効かせた10Rに力を使いすぎたせいで出力が上がらなかった印象である。
 
 
うん、わかる。わかるぞユーリ。


「ゴミみたいな試合」という表現はどうかと思うが、マジでうまくいかなかったことが伝わってくる笑
 

○寺地拳四朗vsクリストファー・ロサレス×(11R6秒TKO)

続いて寺地拳四朗vsクリストファー・ロサレス戦について。
表題の通り拳四朗がロサレスに11R(負傷)TKO勝利し見事2階級制覇に成功している。
 
 
この試合の(僕の)見どころは拳四朗がどんなパフォーマンスを見せるか
 
L・フライ級終盤の拳四朗は激闘型への傾倒が顕著で、直近のカルロス・カニサレス戦は中盤にダウンを喫するなど苦戦を強いられている。
 
前のめり過ぎる拳四朗。粘りと誤魔化しのカニサレス。長谷川穂積っぽさがさらに増した気が…。京口戦が一番バランスがよかった
 
またこの選手は身長164cmとL・フライ級としては長身の部類。いわゆる“デカくて動ける”ことがアドバンテージになっていた。
 
そのアドバンテージが階級アップによってどうなるか。
ジャブを当てる→相手の攻撃を距離で回避→カウンターを当てるパターンがそのまま通用するのかどうか。
 
しかもクリストファー・ロサレスは身長168cmと拳四朗よりも長身である。
L・フライ級ではまず出会うことがないタイプで、それを含めて未知数な部分が多い試合だった。
 

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今回の拳四朗はよかった。身体も軽そうだったし3Rの右カウンターはさすがだよね

結論を申し上げると、今回の拳四朗はよかった(と思う)。
 
過去数戦で見られた無茶な激闘もなく、危険地帯に立ち入るのはジャブを狙うときのみ。
左右への動きと前後の距離で回避する従来の拳四朗が戻ってきたのではないか。
 
しかも減量が楽になったせいか足取りも軽い。
1歩1歩がしっかりして全体の力感も増していた(と思う)。
 
3Rのカウンターなどはさすがとしか言いいようがない。
強引に倒しにいかなくても普通にやっていればああいうチャンスは来るし、あの右カウンターは京口紘人を倒した1発を彷彿とさせた。
 
寺地拳四朗vs京口紘人戦再視聴。京口が思った以上にがんばってた。でも、改めて拳四朗の強さがドン引きするレベル。「そこからまだ上があるのかよ」って思ったよね笑
 
拳四朗に対して「ボクシングが崩れてきた」「キャリア後半の長谷川穂積っぽい」と散々言い続けてきたが、とりあえずは踏みとどまったと言ってよさそうである。
 

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被弾は増えたかな。回避したはずの攻撃が当たる。長身のロサレスが相手だったのもあると思うけど

ただ、L・フライ級で無双していた時期に比べて被弾は増えた印象。
 
いつも通り距離で回避→カウンターを狙うのだが、相手のパンチが届く
これまではギリギリかわしていたはずのパンチがそのつど顔面を揺らす
 
相手が長身のロサレスだったのもあると思うが、それ以上に。
階級アップによって相手の馬力、射程が一段上がった影響は少なからずありそう。
 
またロサレスが勝負をかけた7Rにタジタジになったのを見ると、長身+圧力のあるタイプに強引にこられた場合にどうなるか? というのにも興味がある。
 
たとえば井岡一翔や中谷潤人と対戦したフランシスコ・ロドリゲスJr.ならいい勝負ができるかもしれない。
 
中谷潤人がやヴァイ。サンティアゴを6RKOで3階級制覇。バンタム級初戦の井上尚弥と同等の凄み。入場の時点で絶好調だった
 
あとはアレだ。
ロサレスは左構えのままやり続けてもよかった気がする。
左構えになった途端に拳四朗はガクッとジャブが減ったし、明らかに攻めにくそうにしていた。
 
まあ、ロサレスの攻撃パターンも目減りしていたので何とも言えないが笑
 
 
とにかく拳四朗はナイスファイト。
あのまま激闘型に変貌→どこかでぶっ倒されるかも? と心配していたのでその点は一安心である笑
 
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