ダニエル・ローマン陥落。アフマダリエフの馬力と足がコンビネーションを機能させず。うん、コイツ相当すごいな【結果・感想】

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フロリダ州イメージ
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2020年1月30日(日本時間31日)、米・フロリダ州で行われたIBF/WBAスーパー世界S・バンタム級タイトルマッチ。同級王者ダニエル・ローマンにWBA1位ムロジョン・アフマダリエフが挑んだ一戦は、2-1(115-113、115-113、113-115)の判定でアフマダリエフが勝利。見事8戦目での世界王座獲得に成功した。
 
 
いつも通り上体を振って近づく王者ローマンに対し、挑戦者アフマダリエフは鋭い右リードとよく動く足で受けて立つ。常に正面を外しながら強打を打ち込むアフマダリエフにローマンはなかなか得意の連打が出ない。
 
中盤、ボディを中心にややペースを取り戻したものの、要所での連打で動きを止めるアフマダリエフを攻略しきれず。最後まで試合の主導権を握ることができず、12R終了のゴングを聞く。
 
結果は2-1のスプリットデシジョンでアフマダリエフが勝利。惜しくも敗れたローマンは2013年10月以来、約6年ぶりの敗戦となった。
 
「井上尚弥vsカシメロ予想。遠い位置からすっ飛んでくる右フックが井上に通用するかかな。井上を下がらせることができれば…」
 

アフマダリエフ勝利!! アフマダリエフのスケールがローマンの勤勉さ、根気よさを飲み込んだ

ダニエル・ローマンvsムロジョン・アフマダリエフ。
この試合は本来2019年9月に予定されていたが、ローマンの負傷によって中止となり今回ようやく実現した。
 
挑戦者アフマダリエフはリオデジャネイロ五輪の銅メダリストで現在7戦全勝のサウスポー。6年間無敗のローマンと言えどもちょっと厳しいのでは? と言われていた挑戦者である。
 
僕も当初からこの試合は楽しみにしていて、両者の過去の試合を観てあれこれと考えたりもしたのだが……。直前でのローマンの離脱により一気にテンションが下がってしまった。
正直、今回の日程も当日まで忘れていたくらいで、どんな予想をしたかすらもよく覚えていない()
 
「ダニエル・ローマンvsアフマダリエフは下がったら負ける? ローマンのセミファイナリスト感。テビン・ヘイニーのアンダーだって」
 
読み直してみたけど、ダニエル・ローマン勝利を予想していたんですね。
 
ローマンの左がアフマダリエフの右を上回るのではないか。
恐らく前手の差し合い勝負になると思うが、ローマンの多彩な左が機能してペースを握る。
もしかしたら後半KOもあるんじゃないの?
 
ほほう、なるほど。
確かに前手の勝負にはなったが、実際に上回ったのはアフマダリエフの方。過去の試合を観る限り、どちらかと言えば単発気味の選手に思えたが、それなりに回転力と威力を両立していた。
 
何となくだが、アフマダリエフのスケールがダニエル・ローマンの根気よさを飲み込んだイメージ。
 

連打型の相手にはやはり強振と連打。同時打ちでカウンターを被せ、コンビネーションの発動を抑え込む

そして、今回は「連打型の相手を攻略するには同時打ちのタイミングでの強振が有効」というのを改めて感じた試合だった。
 
ローマンの踏み込みに合わせて強い右を被せるアフマダリエフ。
 
ダニエル・ローマンの持ち味は何と言ってもコンビネーション。
戴冠を果たした2017年9月の久保隼戦以降、モイセス・フローレスや松本亮、ギャビン・マクドネルといった長身選手を次々と攻略してきたわけだが、絶え間ない連打と根気よく前に出る勤勉さがこの選手の一番の武器と言える。
 
左を起点に距離を詰めて連打を発動し、とにかく手を止めずにパンチを出し続ける。相手の攻撃をガードしながら上下に打ち分け、反撃の余裕を与えずロープに追い詰める。
 
スペック的に突出したものはないが、ペースを変えずに12R打ち続けるスタミナとメンタルは本当にすごい。
 
「僕のアーノルド・ケガイががが。フルトンのジャブで止められ大差判定負け。ブロック前提の選手がこれをやられるとキツい」
 
だが今回のアフマダリエフは初弾の左に右リードを合わせ、ローマンのコンビネーションを押さえ込んでみせた。
1発目の左に強めの右を合わせて動きを止め、ローマンよりもワンテンポ早く追撃を出す。さらにローマンが怯んだところですぐさま連打を浴びせて下がらせる。
 
1発1発のパンチは強く。
常に相手よりも先に手を出す。
 
逆にカウンターの1発で止まらない場合はすぐさまバックステップで距離をリセット。極力正対せず、ローマンの得意な間合いを作らせない。
 
ローマンも中盤から後半にかけて何度もペースアップを図っていたが、そのつど出足を挫かれついに最後までペースを取り戻すことはできず。
 
 
2016年9月のロマゴンvsクアドラス戦、2018年9月のゴロフキンvsカネロ第2戦など。
どちらの試合も強めのカウンターと連打、ひたすら正面を外し続けるフットワークで連打型の相手を攻略したわけだが、今回の試合も同じ。
どうしても体力勝負のしんどい試合になるが、アフマダリエフの馬力と12R動き続けるスタミナがそれを可能にした。
 
2019年大晦日の井岡一翔vsジェイビエール・シントロン戦を観て「アフマダリエフは強化版シントロンかなぁ」などと思っていたが、やはりアフマダリエフはシントロンよりも一段上だった。


「井岡vsシントロン感想。たくましさ、荒々しさの増した井岡が長身サウスポーに完勝。僕はこっちの井岡の方が好きかな」
 

アマチュア上がりのハイテクタイプが増えた? 短いラウンドを走り抜けるには効率がいいんだろうな

なお以前にもちょろっと言った記憶があるが、これ系のアマチュア上がりの選手が本当に増えたなぁと。
 
ワシル・ロマチェンコやオレクサンドル・ウシク、オレクサンドル・グウォジク、アルテム・ダラキアンを筆頭に、ジョシュ・テイラーやアレクサンデル・ベスプーチン、ジェイビーエル・シントロン。そして今回のムロジョン・アフマダリエフ。
などなど。
 
僕が知らないだけで実際にはもっといるのかもしれないが、いわゆる“ハイテク”と呼ばれるスタイルの選手がプロで頭角を表すケースは非常に多い(気がする)。
 
もちろんロマチェンコにインスパイアされたのもあるとは思うが、それ以上にラウンドの少ないアマチュアで勝利するのに有効というのもあるのかもしれない。
 
プロと違ってアマチュアは3R。様子見などをしていたらあっという間に終わってしまう。その上毎日のように試合があるため、なるべく体力を温存したまま勝ち上がる必要がある。
そう考えると、相手が攻撃してくる前に自らサイドに回り込み、ガードの間から連打を浴びせる“ハイテク”はめちゃくちゃ効率的。
 
基本的に“相手に打たせず自分だけが打ち続ける”スタイルなので、ダメージも溜まりにくく燃費もいい。
ある程度足があって連打が出るタイプ(サウスポーならなお可)であれば、“ハイテク”を採用しない手はないのかもしれない。
 
「キャンベルがロマチェンコに肉薄。長身サウスポーと多彩な右リードが機能。お互いがリスクを負った好試合に感動」
 
さらに2016年のリオ五輪以降ヘッドギアが廃止され、より“打たせずに打つ”重要性は増した。
顔面むき出しの状態で過酷なトーナメントを勝ち抜くには村田諒太のようなブロック中心のディフェンスはリスクが高い。もしかしたら、今後は小型版ロマチェンコのようなアマチュア上がりの“ハイテク”がどんどん増えるのかもしれない。
 
常々「ルールの変更は競技に与える影響がめちゃくちゃ大きい」と申し上げているが、ボクシングでもヘッドギアの廃止によって流れが変わるのかな? と思ったり。
 
まあ、普段アマチュアボクシングをまったく観ないので何とも言えませんが。
 
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