「僕だけがいない街」感想。こんなマンガがあったことにビックリした。読み終わった瞬間、もう一度最初から読み直したのは初めての経験

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北海道小樽イメージ
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マンガ「僕だけがいない街」を読んだ。
 
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「僕だけがいない街」(ヤングエース 2012年7月号~2016年4月号連載)
 
売れないマンガ家藤沼悟はすでに29歳。
デビュー作以降なかなか芽が出ず、ピザ屋のバイトで生計を立てる毎日を送っていた。
 
消極的な性格が災いして、周囲の関係は希薄。小学校時代の殺人事件が原因で、どうしても他人と深くかかわることを躊躇してしまう。
 
 
また、悟には「直後に起こる事件・事故を察知し直前に何度もタイムリープする」不思議な能力があり、自身はそれを「リバイバル」と呼び疎ましく感じていた。
 
 
そして、上京した母佐知子がアパートに転がり込み、しばらく悟と母子2人の生活を送ることになる。
 
 
そんなある日、悟が家に帰宅すると、部屋には包丁で刺されて殺された佐知子の姿が。
 
気が動転し、怒りに震える悟。
ふと外を見ると、庭に隠れていた犯人が視界に入る。
 
悟は大急ぎで部屋を飛び出し犯人を追いかけるが、あっさりと逃げられてしまう。
しかもその姿を大家に目撃されたことで、まんまと自分が殺人犯に仕立て上げられたことに気づく。
 
八方ふさがりの悟は、母親の殺害を防ぐためにリバイバルを発動させようと強く念じる。
一度は失敗するも、さらに強く願うことでリバイバルが発生、過去へのタイムリープに成功する。
 
 
これで母親を救えると安堵する悟だが、どこか様子がおかしい。
 
タイムリープした先は、何と1988年の北海道。
悟は自身の小学生時代まで遡っていたのである……。
 
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「僕だけがいない街」がすごかった。こんな作品を今まで知らなかったことを後悔するくらいには。読み終わった瞬間にもう一度読んじゃった

マンガ「僕だけがいない街」。
 
三部けい原作で、2014年に「マンガ大賞 2014」第2位に選出される。2016年にはアニメ化、映画化もなされたマンガ作品である。
 
と言っても、つい先日まで僕はこの作品の存在すら知らず。
 
「僕だけがいない街」というタイトルを聞いて、「何か、藤原竜也が主演しそうなタイトルの映画やな(どっかで聞いたことあったっけ?)」と思っていたらマジでそうだったという。
 
予備知識もない、ほぼまっさらな状態で読んだことを報告する。
 
「42 世界を変えた男感想。困難に立ち向かう俺は1人じゃない。自分が変われば周りが変わる。大谷翔平の二刀流とそっくり」
 
すごかった。
ホントにすごかった。
 
表題の通りなのだが、読み終わった瞬間、すぐに初めから読み直したのは人生で初かもしれない。
それくらいこの作品には度肝を抜かれたし、これまで知らなかったことを激しく後悔した。
 
 
まあ、何だかんだでタイムリープものは鉄板ですよね。
「時をかける少女」「君の名は。」のようなアニメ映画はもちろん、パッと思いつくところでは「LOOPER/ルーパー 」「バタフライ・エフェクト」とか?
 
あと、個人的に好きなのは「ラン・ローラ・ラン」かな。

あのイキり倒したサブカル満載の疾走感。
悪くなかったですね。
 

タイムリープと謎解きの融合。矛盾点や違和感のないストーリー構成はお見事でしたね

繰り返しになるが、「僕だけがいない街」はホントにすごい。
圧倒的語彙力不足が我ながら情けないのだが、実際にすごいのだから仕方ない。
 
「「リクドウ」が井上尚弥vsパヤノ戦にそっくりだったと聞いて。マジか。はじめの一歩だけじゃなく、ここにもアカンことが…」
 
まず、これだけ壮大なタイムリープと謎解きを矛盾なく融合させたのはお見事だと思う。
 
通常タイムリープを題材にすると、無理な設定や強引な解釈など、どうしてもツッコミどころが発生しやすい。
 
2016年の大ヒット作「君の名は。」でも、あれだけ大きな災害を主人公が忘れているのはおかしいという指摘が各所でなされていた。
 
また、時間との関係が密接な推理ものとしては「デスノート」が思いつくのだが、あの作品も同様。「そこはスルーしようぜ夜神月……」と言いたくなるような描写がいくつも散見される。

 
僕自身、そういった違和感や矛盾点を作品のパワーや説得力で覆い隠すのがタイムリープものを楽しむ際の“約束事”だと思っている。
 
だが、この「僕だけがいない街」にはそういう部分が見当たらない。
もしかしたら見落としているのかもしれないが、少なくとも僕が読んだ限りでは見つけることはできなかった。
 
18年前に助けられなかった同級生を救い、喜んだのもつかの間。突然現れた真犯人に水没させられてしまう悟。
そこから植物状態のまま15年間が過ぎ、ようやく起きたときには記憶喪失に。
リハビリを重ねるうちに徐々に記憶を取り戻し、ついに真犯人を思い出す。
 
そして、橋の上での犯人との直接対決へと進む。
 
犯人「僕には15分のアドバンテージがあったはず」
悟「僕は18年分のアドバンテージでやっと五分」
 
マジな話、ここのやり取りには心底痺れた。
 
作者がどの時点で最終着地点を考えたのかは不明だが、「僕だけがいない街」は犯人と悟にこの対話をさせるための作品だったと言っても過言ではない(過言である)。
 
いや~……。
ゾクゾクするよなww
 
あれだけの洞察力と先読み能力を持った犯人とまともに対峙するには、最低でも人生を2回やり直す必要があるという事実。
 
これぞタイムリープものの醍醐味だよね。
 
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この作品のよさは登場人物の魅力。主人公藤沼悟を筆頭に、人物描写が秀逸過ぎる

そして、もっとすごいのが人物描写
「僕だけがいない街」のストーリー構成は確かにお見事なのだが、実はそこは最重要箇所ではない。
 
この作品を稀代の名作(僕が決めた)に昇華させた一番の要因は、魅力的な登場人物の描写にある。
 
まず主人公の藤沼悟については申し上げた通り。
過去の殺人事件のトラウマによって消極的な性格が形成され、周囲とうまく人間関係を築けないまま年齢を重ねてしまう。
 
だが、小学生時代に戻るという大掛かりなタイムリープによって、過去の自分を顧みるチャンスを得る。
同級生を救うために無理やり積極性を引っ張り出し、相手の閉ざした心に無遠慮に切り込んでいく。
 
その結果、親友に「悟は俺のヒーローだ」と言わしめるまでの成長を遂げる。
 
この作品のミソは、言うまでもなく天才殺人犯との時空を超えた頭脳戦にある。
と同時に、主人公の成長を感じる物語とも言えるのではないか。
 

藤沼佐知子は僕の一番のお気に入り。このキャラが喜ぶことが最高に嬉しいわけですよww


続いて、悟の母親藤沼佐知子について。
 
ひと言で言って、このキャラはたまらない。
魅力的な登場人物が盛りだくさんの今作の中でも、ダントツに僕好みのキャラである。
 
 
この藤沼佐知子、個人的には今作における最重要人物だと思っている。
 
1988年に起きた殺人事件の詳細を知る大人として、1歩引いた場所から悟を俯瞰する佐知子。いわゆる物語の語り部としての役割。
 
また、同級生を救うために奔走する悟を陰で見守り、ときには手を差し伸べる。愛情溢れる母親としての役割。
そして、植物状態となった悟を身体を張って守り続けるガーディアンとしての役割。
 
数多くの重責を担いつつ、ふとしたときに見せる弱さや本音にグッときてしまう。
 
15年ぶりに目覚めた悟に対し、涙を浮かべながら「おはよう」と囁いたシーンはマジで聖母マリア。
冗談でも何でもなく、問答無用で聖母マリア。
 
 
悟の幸せこそが佐知子の喜び。
この作品のハッピーエンドによって、佐知子のささやかな願いが叶ったことが僕としてはめちゃくちゃ嬉しかった。
 

幸薄キュートな同級生、雛月加代。押し殺した感情が漏れ出る様子が中二病を刺激する

そして、悟の小学生時代の同級生である雛月加代について。
 
母親とその愛人から虐待され、貧乏ゆえにクラスメートからも偏見を持たれる女の子。
普段は心を閉ざして無関心を装っているが、作文などで小さなSOSを発することしかできない不器用な性格でもある。
 
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このキャラはアレだ。
 
すっげえかわいい。
もう、めちゃくちゃかわいいww
 
散々虐待を受けた上に殺害されてしまうという幸薄っぷりなのだが、それを踏まえた上でかわいい。
 
 
悟の積極的なアプローチに驚きつつも、少しずつ興味を示す雛月。
そっけない態度をとりながら、悟の中に自分との共通項を見つけることで徐々に心を開いていく。
 
無遠慮に踏み込む悟の言葉に顔を赤らめたり、言葉を詰まらせたり。
悟とのデートを親に禁止された際に、「あんたも行きたいの?」と恫喝されて「コクッ」とうなずいたり。
 
そして、悟と再会したときの第一声「バカなの?」
このひと言には、今までの雛月とは180度違う悟への一途な愛情を感じさせた。
 
押し殺した中に垣間見える感情の揺れ動き。
すべての表情、しぐさ、言葉がとんでもなくかわいいキャラだったw
 
 
しかし、ホントによかったよな雛月。心から笑えるようになって(中二病)。
あ、「加代」って呼んでいいのは悟だけだから(超中二病)。
 

片桐愛梨は悟の救世主。まっすぐな彼女の姿が悟に勇気と成長のきっかけを与えた

最後は片桐愛梨について。
 
悟のアルバイト先であるピザ屋で働く高校生で、将来は写真家になる夢を持つ。
トラック事故や廃ビルでの事故を未然に察知した悟に興味を持ち、母佐知子とも仲良くなる女の子。
 
殺人容疑をかけられた悟に対し、「悟がそんなことをするわけがない」と最後まで信じる芯の強さも併せ持つ。
 
このキャラは、要するに「救い」ですよね。
 
母親を失い殺人容疑をかけられ、八方ふさがりな悟。
テレビで実名を報道されて逃げ場も失い、助けを求めた店長にも裏切られる。
 
犯人を追う手立てを見つけようにも、身動きすらとれない状況で、「アイリ」だけが悟を信じて手を差し伸べてくれるという。
 
正直、あの絶望の中での救いはエグい。
 
2度目のリバイバルの寸前、悟が「アイリ」にかけた「君が信じてくれたから俺はまだ頑張れる」という言葉。
間違いなくあそこは前半のハイライトだった。
 
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もしかしたら、彼女が悟の内面にズンズン踏み込んだおかげで、1988年にタイムリープした悟は半ば強引にでも雛月との関わりを持てたのかもしれない。
 
もっと言うと、それ以前。
起伏の少ない人生そのものを、悟はアイリの存在に救われたと感じていたのかも。
 

「僕だけがいない街」オススメだから読んでみて。散々ハードル上げたけど

何度も言うように「僕だけがいない街」はホントにすごいマンガだった。
ひょっとすると、自分の中でのベスト3にランクインしたかもしれないと思えるほどに。
 
主要人物にスポットを当てた番外編もよかったし、悟とアイリが遭遇するラストも秀逸。
 
まだ未読の方がいれば、ぜひとも一度手に取っていただければと思う。
 
ここまで散々ハードルを上げてきたが、全然大丈夫。ニワカwwな僕がそれだけ自信を持ってオススメできる作品なので。
 
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