和氣慎吾がワルド・サブを5回KOで世界前哨戦勝利!! 後楽園ホールに行ってきたぞ【2016年2月17日】
2016年2月17日、IBF世界S・バンタム級1位の和氣慎吾が東京の後楽園ホールでインドネシア王者のワルド・サブと10回戦で対戦。5R1分25秒KOで下し、世界前哨戦と銘打たれた試合をクリアした。
これで和氣の戦績は20勝4敗2分(12KO)。
2016年2月27日(日本時間28日)にマンチェスターで行われるスコット・クイッグvsカール・フランプトンの統一戦の結果を受けて、初の世界タイトルマッチに照準を合わせることになる。
「フランプトンvsクイッグ予想!! 英国人スター頂上決戦の行方は?」
久しぶりの後楽園ホール。何年ぶりかに現地観戦です
久しぶりの後楽園ホールでのボクシング観戦である。
当日は2月にしてはそれほど寒くもなく、そこそこ快適な気分で水道橋駅に降り立つことができた。
以前「格闘技は生で観戦してはいけません」などと言っておきながら、舌の根も乾かぬうちに現地に足を運ぶこの自己矛盾。
まあ、いつでも変更できるのが自分ルールのいいところなので、その辺はあまり気にしないことにする。
試合内容はめちゃ微妙……。和氣のできが悪すぎた
試合については正直どうということはない。あえてここで振り返るほどの内容ではなかった。
対戦相手のワルド・サブは問答無用のかませ犬。まごうことなきかませ犬。これでもかというくらいのかませ犬。和氣にとっては「世界前哨戦」などと大げさなフレーズを使う必要性すら感じないほどのボーナスステージである。
「試合の中身が知りたければ報道されている記事を読んでください。それで十分です」
こう言ってしまっても問題ない程度の内容である。会場で盛り上がっていた方には非常に申し訳ないのだが。
以前にこの試合の予想記事を書いたので、もしよければ読んでいただければと思う。だいたいその通りのことが起きているので。
予想外だったのはKOラウンドくらいである。
あの程度の相手であれば3RまでにはKOできると思っていたが、まさかの5Rまで粘られるという体たらく。予想以上にこの日の和氣はイケてなかった。
「ベストコンディション」だの「絶好調」だの「最初から全開でいく」だの吠えていたアレは何だったのだろうか。
「木村悠vsガニガン・ロペス予想!! 悲願の王座を獲得した商社マンボクサーの初防衛戦!!」
報道にもあるように、試合後のインタビューで「これでは世界王者にはなれない」と言っていたが、冗談抜きでその通りだと思う。
かませ犬中のかませ犬相手に、しかもホームである後楽園ホールであんな試合をしているようでは、タイトルマッチに勝つのは厳しい。
同じかませ犬相手でも先日の村田諒太はきっちりと2Rで仕留めている。しかも上海で初めて開催されたボクシング興行という環境の中、かませ犬ハンターとして最高の答えを出してみせた。
「村田壮絶KOで快勝!! ガストン・アレハンドロ・ベガを右ストレートで一蹴!!」
そういう意味でも、今回の和氣慎吾は本当に残念だった。
和氣慎吾があまり好きではない。その理由がわかりました
現地観戦しておいてアレなのだが、実を言うと僕は以前からこの和氣慎吾という選手があまり好きではなかった。何となくだが、漠然と「好きじゃないなぁ」と思っていたのである。
その理由がこの日の試合ではっきりとわかった気がする。
何というか、カッコつけ過ぎだ。
どうもこの選手のボクシングからは「俺の超絶技巧を見せつけて圧倒的な差で勝ってやんよ」という気持ちが透けて見える。ええかっこしいというか自意識過剰というか、自分の理想に本来の実力がついてきていないとでも言えばいいのか。
「いやお前、実はそこまですごい選手でもないぞ」と言いたくなってくるのである。
先日の予想記事でも申し上げたが、スピード系のアウトボクサーとしては全体的にバネが足りない。
今回のワルド・サブは一か八かで右を大振りしてくるのだが、このパンチをかわされると大きく身体が流れて隙だらけになる。対戦相手としてはこの右をバックステップでかわした後に、もう一度踏み込んでカウンターを打てばタイミング的に絶対に当たるようにできている。
だが、残念ながら和氣にはバックステップから方向転換できるだけのバネがないのである。
その割には相手の打ち終わりを狙い過ぎたり、カウンターで華麗に倒そうとし過ぎて試合が無駄に長引いてしまう。これがどうもイライラするのである。
「いや、そんなのいいから。さっさと前に出て攻めろよ」と思ってしまうのだ。
もしかしたらメイウェザーの人間離れした動きをさんざん見せられたせいで目が贅沢になっているのかもしれないが。
あと、会場にいるとわかるのだが「リングサイドや観客席からの余計なお世話アドバイス」も微妙に影響しているように思う。
「丁寧に丁寧に!!」
「下から攻めろ下から!!」
「距離とれ距離距離距離!!」
「コンパクトにコンパクトに!!」
「小さく小さく!!」
「足使え足!!」
「打ち終わり気をつけて打ち終わり!!」
いやもう、そんなの必要ないっすわ。
僕に言わせれば、あの程度の相手に距離とって丁寧にもクソもない。
強引に前に出てフィジカルでゴリ押しすりゃあいい。利き腕を思いっきり振り回してさっさと倒しちまえという話である。
そもそもあのレベルの相手を華麗なカウンターで倒しても、タイトルマッチの予行演習にもなりゃしない。それならゴリゴリ前に出て捻り潰せよと思ってしまうのだが、違うのか。
こんなに体格差があるのに↓
【BOX】和気、前日計量一発クリア「前半には倒す」
いつも思うのだが、利き腕を振り回してそれが当たるのであれば別に「小さく丁寧に」打つ必要などない。
足を使って小さく丁寧にというのはあくまで最後にドカンと一発当てるための過程であって、省いても問題ないのであればそれにこしたことはないのだ。
そして、今回の相手はまさしくその過程を省いても許されるレベルだったのだ。
「やっとか! 和氣慎吾。ジョナサン・グスマンとの世界王座決定戦を予想する」
いや、和氣慎吾がすごいってことくらいわかってるんですよ
こういう批判をすると、必ず「和氣慎吾のすごさをわかっていないヤツが偉そうに批判するな」「普段会場に足を運んでないくせに選手のすごさなんかわかるわけないだろ」と怒る方がいるのだが、マジで勘弁してほしい。
「クイッグがフランプトンに敗れる!! 英国スター対決は凡戦の末にフランプトンに軍配」
お断りしておくが、僕は和氣慎吾や村田諒太は化け物的にすごい選手であると思っている。
オリンピックで金メダルを獲得したり、世界タイトルマッチを狙える位置にいるということ自体が考えられないくらいの偉業だ。それはすべての話をする上での大前提である。
超人的な才能を持ち、なおかつ僕のような平民には想像もつかない努力と苦労を重ねた上でたどり着いたのがあのリングの上であること。そのくらいはわかっているのだ。
ただ単に、自分のできないことをやってくれている超人に、あーでもないこーでもないと夢を託している。それだけの話なのだ。
「顔面崩壊で完敗和氣。ダメだ、全然感動しなかった…。グスマン4度のダウンを奪い世界タイトル獲得」
「会場に足を運んでない云々」もそうだ。
以前に「プロ野球の二軍戦を現地観戦している人の言うことは信用するな」という話を聞いたことがある。
二軍戦を頻繁に現地で観戦していると、選手に対する思い入れが強くなりすぎて選手を色眼鏡で見るようになるのだそうだ。応援する気持ちが先行して、その選手の本来の実力以上に評価が高くなってしまうのである。
結果的に「なぜこんなにいい選手を一軍で使わないんだ!!」とチーム批判を始めるめんどくさいファンの出来上がりというわけである。
「現地観戦もせずに偉そうなことを言うな」と憤る方の心情は、このめんどくさいプロ野球ファンと近いものがあると思う。
格闘技観戦など、どちらにしろ主観にしか過ぎないのだから「ほっとけ」という話である。
何だかんだで楽しかったです。ポスターももらいました
やや過激なことを申し上げてきたが、久しぶりのボクシング現地観戦は割と楽しかった。年に1回くらいなら行ってもいいかなと思えるくらいにはアリではないだろうか。
なお今回の和氣慎吾vsワルド・サブ戦は2016年2月20日の深夜2時23分からTBSでO.A.されるとのことだ。
ガッツファイティング「和氣慎吾×ワルド・サブ 山下賢哉×長嶺克則」ほか
午前2時半という1日の中で最も穏やかに過ごしたい時間帯に、むさくるしい男同士の殴り合いが観たい方はぜひ!!(山下賢哉vs長嶺克則戦はなかなかよかったですよ)
ちなみに勝利者インタビュー中の和氣慎吾です。
普段写真はあんまり撮らないので、試合の様子なども撮っていません。
館内放送で「動画撮影はご遠慮ください」と言っていたので、動画も撮ってないです。
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