野球U-18日本代表の日の丸自粛ってそこまで悪手だったか? 日韓関係以前におかしなヤツはどこにでもいるしね【長文】
韓国・機張(きじゃん)で開催中の第29回WBSC U-18ベースボールW杯。
1次ラウンドB組の日本代表は2019年9月3日にパナマと最終戦を行い、5-1(6回途中降雨コールド)で勝利。戦績を4勝1敗とし、5日からスタートする2次リーグへの進出を決めた。
また同日には大船渡・佐々木朗希投手と星稜・奥川恭伸投手の両エースがブルペンで調整を行い、ともに代表デビューへ向けて準備万端を強調している。
なお、今大会への参加に際し、日本高野連は移動中は日の丸を外した無地のポロシャツを着用することを決定。日韓関係の悪化を考慮し、選手たちの安全を第一に考えての対策としている。
【U-18W杯】高校代表が移動時に“日の丸”自粛へ 日韓関係に配慮しロゴなど外す#侍ジャパン #高校野球https://t.co/rOQ9v9InVN
— Full-Count (@Fullcountc2) August 27, 2019
これに対し、自民党の武田良太元防衛副大臣が「韓国に強要されていないのに自ら日の丸を外すのは問題」「自ら日の丸を外すのなら、試合に参加しなくてよい」「そんな気概では勝てない」とコメント。高野連の対応を厳しく批判している。
【イザ:政治ニュース】日の丸外してU18杯、自民・武田氏「参加しなくてよい」 #イザ https://t.co/veUNTilLro
— イザ!編集部 (@iza_edit) August 28, 2019
さらに登山家の野口健氏や作家の竹田恒泰氏らも苦言を呈すなど、高野連に多くの批判が集まる事態となっている。
「日の丸を隠さないと日本代表選手を守れない」というのならばそんな危険なところに行くべきではない。日本代表が日の丸を隠してまで。日韓関係に配慮って意味わからん。ならば韓国代表は韓国国旗をユニフォームから外す?片方だけが外すという事が果たして未来志向なのか?
https://t.co/BNoqzIVYVQ— 野口健 (@kennoguchi0821) August 27, 2019
日の丸自粛は、教育上もよろしくない。日本人であることが後ろめたいような精神状態で、どうやって外国でいい試合をするのだ?高野連は根本から考え直した方がいい。
竹田恒泰氏、U18日本代表の日の丸自粛に苦言「アホじゃないか?日の丸を隠さず堂々と行けばよい」 https://t.co/wGzrUSO5qi— 竹田恒泰 (@takenoma) August 28, 2019
高野連の日の丸自粛がそこまでダメだとは思わなかった。あまりにデリケートな話なので黙ってたけど
U-18日本代表の移動中の日の丸自粛に際し、激しい批判に晒された高野連。
登山家の野口健氏や作家の竹田恒泰氏だけでなく、多くの方がこの対応への苦言を呈している。中には「国辱」「日本の恥」といった過激な発言も聞かれるなど、スポーツと政治を結びつけることへの抵抗の大きさを改めて感じさせる出来事と言える。
これねえ……。
問題がデリケート過ぎたせいでしばらく黙っていたのだが、そろそろほとぼりも冷めた頃なので。
日の丸自粛の対応がクソほど批判された高野連だが、実は僕自身、そこまで悪手だったとは思っていない。
もちろん正解とは言わないが、急場の対応策としては及第点じゃない?
100%ではないけど、ベターではあった気がするよ?
面倒だから口には出さなかったけど。
そんな感じで一連の騒動をながめていた次第である。
「MLBが絶賛観客数減少中だって。理由? いろいろあると思うけど、試合がつまらないからじゃないかな」
生まれた国云々関係なしに、おかしなヤツはどこにでもいる。いちゃダメだけど、現実問題として
高野連の日の丸自粛が正解かどうかはともかく、日韓の間でここ最近起きた出来事としては、
・8月23日に韓国政府が日本とのGSOMIAを破棄
・8月28日に日本政府が韓国を「ホワイト国」から除外
・韓国からの訪日客が前年同月比で7月は7.6%減
・大韓空港が9月以降の日本便の大幅縮小を決定
・8月23日にソウルで日本人女性旅行客が韓国人の男に暴行を受ける
だいたいこんな感じだろうか。
中でもソウルで日本人女性観光客が暴行を受けた事件は、高野連の判断に大きく影響していると思われる。
日本人女性観光客に韓国人が暴力 韓国でも「恥ずかしい」非難 #nhk_news https://t.co/rXCsiR1C8b
— NHKニュース (@nhk_news) August 24, 2019
繰り返しになるが、この点において高野連の判断は悪手ではなかったと思っている。
日本政府が「ホワイト国」から韓国を除外したことや、韓国政府が日本とのGSOMIAを破棄したことの是非をここでどうこう言う気はない。また、韓国人男性による日本人女性旅行客への暴行と日韓関係の悪化に関連があったとも言わない。
ただ、純粋な事実として、今現在日本と韓国はギクシャクしているし、日本の観光産業にも影響が出ている。
それに触発されたかはともかく、女性にイチャモンをつけて暴行を加えるような頭のおかしいヤツが存在することも事実。
川崎市登戸通り魔事件や京都アニメーション放火事件等でもわかるように、意味不明な理屈で自己を正当化して他人を傷つけるクズは間違いなくいる。
「京都アニメーション火災が平成以降最悪のテロだった件。ここまで身勝手極まりない生き物を“人”として扱えと?」
韓国人であるとか、日本人であるとかは関係ない。
99.99……%の人が普通に生活する中、残り0.00……%の割合で理解不能な行動に走るヤツがいる。いてはいけないのだが、現実的に。
そして、もしかしたら日の丸をつけた高校生と日韓関係の悪化を結びつけるバカが現れないとも限らない。
「日韓関係が悪化している今だからこそ、運営側は威信をかけて守るはず」といった意見も聞かれたが、どうがんばっても危険がゼロにならないことは先日の川崎市登戸通り魔事件や京都アニメーション放火事件でも明らかである。
どれだけ警備を厳重にしても、選手の宿泊しているホテルに放火されればひとたまりもない。
可能性を天秤にかけた上で苦渋の選択をした。本音を言うと国際問題になるしね
恐らく日の丸の着用を自粛すれば、今回のような批判が巻き起こることは容易に予想できたはず。
「高野連は根本から考え直せ」だの「日の丸を隠さなければならないような危険なところなら行くべきではない」だの、著名人が顔を真っ赤にして騒ぎ出すことも含めて。
それを踏まえた上で、高野連は双方の可能性を天秤にかけて日の丸自粛を選択した。日の丸着用or辞退の極論ではなく、選手に危険が及ばないように大会を終える最善の方法が日の丸自粛だと判断した。
もう一度言うが、決してこれが正解だったとは思わない。だが、高野連にとってもいろいろな意味で苦渋の決断だったのだと想像する。
竹中事務局長の「韓国側の感情を考えてむやみに日の丸を出すのはやめよう」とのコメントにも批判が集まっていたが、そこもまあ、仕方ない。
「ものごとの分別がつかないクズと遭遇したらヤバいから」などと言えば、あっという間に国際問題になるからね。
「広島原爆の日、長崎原爆の日、終戦記念日。「表現の不自由展・その後」や参院選のおかげでいろいろ考えることも多かった」
繰り返しになるが、韓国人であるとか日本人であるとかは関係ない。
どこの国にも頭のおかしいヤツは一定数存在するし、そいつらと遭遇した際の危険を少しでも減らすための措置が日の丸自粛だったという話。
気概? 精神状態? アスリートを舐めんなよ。あれ以来、ダンマリのくせに
また、個人的にちょっと納得できないのが、自民党の武田良太元防衛副大臣や作家の竹田恒泰氏のコメント。
「そんな気概では勝てない」「日本人であることが後ろめたいような精神状態で、どうやって外国でいい試合をするのだ?」と言い切るのはさすがにアスリートを舐め過ぎだと思う。
少し観ればわかるが、今大会でのU-18日本代表はめちゃくちゃいい試合をしている。先日のパナマ戦の勝利によってスーパーラウンド進出も決めているし、9月4日時点で4勝1敗という戦績も残している。
つまり、彼らの言う「日本人であることが後ろめたい精神状態」でいい試合をし、「勝てるわけのない気概」で勝利を重ねているということ。
しかも野口健氏や竹田恒泰氏はあれ以来、Twitter上では野球について一切触れていない。日の丸自粛には散々ヒステリーを起こしたにもかかわらず。
「投票率が上がらない理由? 日本人はバカだとか、都民も府民も終わってるとか上から目線で罵声浴びせられるから嫌気がさす」
U-18日本代表の調子が上がらないのにははっきりとした理由がある
もしかしたら、現在のU-18日本代表の戦いぶりにフラストレーションを感じている方もいるかもしれない。
初戦のスペインには4-2の辛勝。アメリカには16-7で打ち勝ったものの、台湾には1-3(5回降雨コールド)で敗れている。日本の圧勝を期待していた人たちにとっては若干物足りないのではないか。
ただ、これにははっきりと理由がある。
具体的には、
・初見のムービングファストボーラーへの対応力
・木のバットへの対応
・層の厚さ
・左打者偏重の打線
この4つである。
まず上の3つ、「初見のムービングファストボーラーへの対応力」「木のバットへの対応」「層の厚さ」については初戦のスペイン戦がわかりやすい。
日本を7回2安打無失点に抑えたスペイン先発のジャスティン・ルナ投手の球は、スピードこそないが手元で微妙に沈む。
日本は伝統的に縦回転の4シームを投げる投手が多く、これ系の投手を打ちあぐねる傾向が強い。プロ選手を集めたトップチームが国際大会でこういう相手に苦戦するのも見慣れた光景である。
しかも、今回使用するのは木のバット。
普段遭遇することのないタイプの投手に加え、使い勝手の違うバットのせいでポップフライとゴロアウトを量産する結果に。
ところが投手が交代した終盤8回には4安打4得点を挙げ、一気に逆転勝利。これこそが日本チームの「層の厚さ」である。
日本代表には先発、中継ぎ、抑えともにハイレベルな投手が揃っているが、野球大国ではないスペインチームはそうはいかない。一線級の先発に比べてリリーフ陣はやや力が落ちるため、どうしても終盤の失点が多くなりやすい。
高校野球における球数制限は毎年議論されるが、実際に導入されれば恐らくこういうことが頻発する。層の厚い強豪チームとスーパーエース1人に頼るチームの差が、終盤のリリーフ勝負で顕著になるはずである。
「スーパーエースの無双こそが一戦必勝のトーナメントを勝ち上がる最善手。金足農業・吉田輝星投手は最後まで腕を振る」
最後の「左打者偏重の打線」については、各試合の先発メンバーを見れば明らか。
スペイン戦、台湾戦ともに左打者が6人、右打者が3人のオーダーで、1~5番までは4番石川以外全員左という偏った打線。
そして、楽天との育成契約が決まっているサウスポー王彦程に5回2安打1得点に抑えられてしまう結果に。
成績を見てもわかるように、右打者の石川以外ノーヒット。
あまりに左打者偏重の打線を組んだおかげで、ハイレベルなサウスポーに軽くひねられたという何とも言えない結末である。
気概、精神状態などは関係がない。メンタルが最上位概念だと言い切るなら、彼らはそれを証明する必要がある
つまり、U-18日本代表の調子が上がらないのは日の丸の自粛とは関係がない。
武田良太元防衛副大臣や竹田恒泰氏の言う「気概」「後ろめたい精神状態」といったメンタルの話ではなく、純粋な技術によるものである。
「メンタル」「モチベーション」を勝負の結果に結びつけようとする風潮はスポーツの世界ではマジで多いのだが、そんなわけはない。
スポーツの実力はあくまで日々の鍛錬と研究の積み重ね。
こんなことは普通に試合を観ていればわかることで、それすらせずに「気概」やら「精神状態」などを理由に「勝てない」「いい試合ができるわけがない」と断言するなど、あまりにもアスリートへのリスペクトが足りていない。
仮に「メンタル」「モチベーション」といった概念が技術よりも上位にくると言うなら、彼らは納得のいく形でそれを証明する必要がある。
「「小さな村の物語 イタリア」とかいう暴力的癒し番組。土曜日の夕方、大切なものを求めて」
まあ、野球に興味のない人間にこんなことを言う気はないのだが、彼らは「勝てない」「いい試合ができるわけがない」と自信満々で言い切ったのでね。影響力のある人間が断定口調でモノを言うってそういうことだから。
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