田中マー君力投!! 三振ショーでオリオールズ打線を手玉にとるも、惜しくも12勝目ならず
田中マー君、今シーズン最高のピッチングで奪三振ショー。12勝目を逃すもプレーオフに弾みをつける快投!!
ヤンキースの田中将大投手が8日(日本時間9日)に本拠地ヤンキースタジアムで行われたオリオールズ戦に先発。8回を投げて104球、被安打6の1失点10奪三振の好投を見せた。試合はヤンキースがが1-2で惜敗し、田中将大は12勝目を惜しくも逃した。
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最高級のピッチングを披露する田中。今シーズン一番の出来ではないか
今日の田中のピッチングは素晴らしかった。
とにかく腕の振りが鋭く、すべての球に勢いとキレを感じた。
球速もコンスタントに93〜94マイルをマークしていたし、投球の軸となるスライダー、スプリットは共に鋭い変化でミットに吸い込まれていた。
試合後のコメントで本人が「スプリットの握りを変えた」と言っていたが、確かに変化の仕方は少し変わっていたようである。いったんフワッと浮いてから落下するイメージとでもいえばいいのか。初速は出ているのだが、そこからパラシュートのように減速しながら落ちていくような変化をしていた印象だ。
また、意図的に肘を下げたフォームで投げていたのか、今日のスライダーは小さく鋭い変化を見せていた。特に右打者の外側へ逃げていくスライダーはキレキレだった。
腕の振りが鋭ければ球威が出る。変化球は鋭く曲がる。結果的に大胆にゾーンを突いたピッチングが可能になるのである。特に今日の田中は高めのフォーシームで三振をとるなど、自分の思い描くピッチングができていたのではないだろうか。
以前から何度も申し上げているのだが、組み立ての中で高めのフォーシームを見せるのは絶対に有効である。球を低めに集めることは大事なのだが、あまりに低めばかりに固執するとバッターは間違いなく対応してくる。低めしかこないとわかれば、バッターはそこだけケアすればいいと判断するし、当然目も慣れる。今シーズンの田中がスプリットをファールされて、1人の打者を打ち取るのに苦労する場面が見られるのもそれと無関係ではないはずだ。その局面で1球胸元に球威のある球を見せることで、バッターには高低差の意識を植え付けることができるし、何より高めの速い球というのは打ちにくい。アッパースイング気味のバッターにとって、単純に球威のある高めのフォーシームは打ちにくいのだ。
今日の田中は、まさしくそのピッチングスタイルを実現していたのである。
「田中将大10勝目!! ホームランを許すものの7回3失点の好投」
また、5回1アウト1塁、バッタースコープの場面でカウント1-2から投げたカーブは素晴らしかった。
長めのセットポジションからのクイック。投げた球は77マイルのスローカーブ。これは打者はたまらない。こういうハイレベルな投球術をサラッとやってのけるあたり、さすがの田中である。
ただ、ピンチになると低めへのスプリットの割合が極端に増えるのは今日も同じであった。どこかで1球高めへのフォーシームを見せることで、もっと楽に打ちとれると思うのだが。どうやらそこまでの大胆さはないようである。
ただ、やはり一つ気になったのは肘が下がり気味なフォームだ。身体の開きがやや早く、若干だが手投げのフォームになっているのである。僕の気のせいならいいが、この投げ方だと爆弾を抱えた肘に負担がかかるのではないだろうか。何ごともなければいいのだが。
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60球を越えたあたりでガクッと球威が落ちる。ここから先は工夫が必要になる
絶好調の田中。しかし60球を越えたあたりからちょっと球が遅くなりだす。うなりをあげてミットに吸い込まれていた球がお辞儀をし始めている。スライダーも序盤の「キュンッ」という鋭い曲がり方ではなく、ドロンとしたぬるい軌道を描き始めている。
ああ、これはちょっと危ないな。
と思った瞬間だった。
フラハーティに真ん中付近に入ったツーシームを思い切り引っ張られてソロホームランを許す。
まずいなと思った途端のできごとであった。
制球が定まらずにボール球が先行し始める。
いいコースに投げてもいい当たりをされる。
今シーズンの田中はだいたい70〜80球前後で球威がガクッと落ちることが多いのだが、今日はそれが少し早くきたようである。
球威が落ちてからは低めのスプリットと外側のスライダーを中心とした組み立てに切り替える田中。目先を変えることで、どうにか打者の目先を変えてしのぐピッチングだ。再三いい当たりをされながらも、一人一人確実にアウトを積み重ねていく。
序盤は空振りを取れていた外側のスライダーも、明らかに捉えられ始めている。投球数は90球弱。味方のファインプレーもあり無得点に抑えてはいるが、かなりの危険信号である。序盤の直球の残像を利用して、何とか変化球で幻惑するピッチングだ。
8回104球。HQS達成で文句なしのナイスピッチング
8回を投げて104球、1失点。HQS達成で、文句なしにナイスピッチングといえるだろう。
今日の田中は、1〜5回までは今シーズン一番の出来、6回〜8回はいつも通りという感じだった。だが、結果的にはシーズン終盤からプレーオフにかけて弾みのつくエースの快投といって間違いない。
まあ、負けたけど。
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