騙された! 田口がカニサレスを持て余して引き分け防衛。薄氷を踏む展開でギリギリ5度目防衛に成功!! カニサレスでけえなおい【結果・感想】

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ベネズエラバリオイメージ
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2016年12月31日に東京・大田区総合体育館で行われたWBA世界L・フライ級タイトルマッチ。
同級王者田口良一がランキング3位の挑戦者カルロス・カニサレスと対戦し、三者三様の引き分け(116-112、112-116、114-114)で5度目の防衛に成功した。

16戦無敗でKO率80%を超える最強挑戦者カニサレスを迎えた田口だったが、序盤から劣勢を強いられる苦しい展開。
2Rまでは好戦的に腕を振り、中盤以降は足を使ってアウトボクシングに徹する23歳の若者を持て余す。

それでも田口は終始積極的に前に出続け、疲れを見せるカニサレスを追いつめる。だが、巧みなクリンチワークを見せるカニサレスを最後まで仕留めることができず試合終了。
ジャッジ2人が正反対にポイントをつける際どい結果となったが、薄氷を踏む内容ながら5度目の防衛を果たした試合である。
 
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2016年末の世界戦ラッシュの中、消化不良の試合でベルトを守った田口良一。4つの主要団体のうち3つのタイトルを日本人が独占するL・フライ級で、今後も存在感を示すことができるか。
先輩である内山高志、河野公平が共に敗れ、ジムで唯一の世界王者となった田口良一の2017年に期待である。

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カニサレスの身長に偽りあり。いやお前、そんなデカいなんて聞いてねえぞ

まずこの試合に対して僕が言いたいことは一つ。
「カニサレスでけえじゃねえかおいww」
これである。

常々申し上げているのだが、田口良一という選手は小柄な相手が得意である。
過去の対戦相手を振り返ってみるとわかるのだが、大ロートルのランダエタ以外は160cm以下の選手ばかりである。
そして今回のカニサレスも公証153cm。いつも通りの小柄なプロフィールで、「相変わらず陣営はわかってやがるな」と感心していたところである。

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試合予想は前回記事で申し上げた通り。今回も小柄ハンター田口が長身とパワー面の優位性を発揮してカニサレスを追いつめるだろう。希望的観測も含まれてはいるが、終盤のKOで勝利してくれれば最高。そんな感じで考えていた次第である。

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だが蓋を開けてみればそんなことはまったくない。
リング上で田口と対峙したカニサレスは決して小さい選手ではない。168cmの田口と比較しても、15cm差もあるようにはとても見えない。明らかに160cmは超えていそうな風貌である。

いや、これは反則だろww
田口の相手は160cm以下じゃなきゃダメだって言っただろ?
話が違うじゃねえかww

というか、今Boxrecを見たら158cmに変わってやがるww
何コイツww
この短期間で5cmも身長伸びたの?
ジャック・ハンマーかお前ww

もしくは陽動作戦継続中か?
もう次の勝負は始まってるってか。
 
「田中恒成が激闘の末にアコスタを退ける!! すっげえ試合! アコスタも間違いなく最強の挑戦者だった」
 

カニサレスは左フックが得意なカウンター使い。スペースを確保するためにアウトボクシングに切り替えた

この試合を観て僕が感じたカニサレスの印象は、左フックのカウンターが得意であるということ。そして、そのフックに依存気味だということである。
 
「田中恒成vsアンヘル・アコスタ予想。過去最強の挑戦者が愛知に来るぞ。ミゲール・コットの秘蔵っ子が期待の田中恒成に挑む」
 
得意の左フックをタイミングよく叩き込もうとし過ぎるあまり、ガンガンプレッシャーをかける相手には後手になりやすい。
この辺はフェリックス・ベルデホとも若干共通するのだが、「相手の攻撃をガードしながらジャブをついて間合いを詰めて〜」という過程をすっ飛ばしているため、どうしても身体能力に頼ったスタイルになってしまう。

あれだけ前後左右に動き回りながら目一杯腕を振り回していれば、12R通して体力がもつわけがない。終盤3Rのグダグダっぷりを見るに、まだまだ荒削りな部分が多い選手である。

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そして、積極的に前に出てきた序盤2Rとそれ以降の足を使ったスラッガーっぷり。
突然ここまでスタイルを変貌させたことに驚いた方も多いと思うが、あれこそがカニサレスがカウンターに依存している証拠ではないだろうか。

カウンターの左フックを打つにはある程度の距離が必要になる。
だが、この選手はそこまでリーチが長い方ではない。報道によると、田口とはリーチ差が16cmほどあったとか。

左フックを自分のタイミングで打つためには、とにかく中間距離をキープする必要がある。ところがこの日の田口はどんどん前に出て打ち合うスタイルに終始していた。
おかげでカニサレスはスペースを確保する必要に迫られ、その結果があのアウトボクシングというわけである。

小柄な選手との対戦が多い田口と、カウンターを打ちたいカニサレスの距離感がピッタリ一致した

じゃあ2Rまでのアレは何よ?
少なくとも2Rまではカニサレスも積極的に前に出てきてたじゃないか。
当然の疑問である。

思うに、これは田口の小柄ハンターぶりが引き起こしたものだったのではないだろうか。

何度も申し上げているように、田口は小柄な相手が得意だ。
この階級では長身の部類に入る168cmという体格を活かし、プレッシャーをかけて間合いを詰める。自分の得意な距離になったところで内山直伝の左ボディと打ち下ろしのコンビネーションでペースを掴む。これが田口の基本的なパターンである。

小柄な相手のボディを打つには当然近い間合いで打ち合う必要がある。なおかつ自分とのリーチ差を活かせるギリギリの距離。近からず遠からず。
要は、この微妙な距離感がカニサレスの左の射程とバッチリ合ってしまったのだ。

そして、この距離で対峙するのはマズいと判断した田口がもう一歩間合いを詰めるために前に出た。カニサレスの右側から回り込むように間合いを詰め、左フックの射程を潰しにかかった。おかげで3R以降のカニサレスはひたすら下がって距離をとらざるを得なくなったのである。

内山高志と河野公平のハイブリッドで、なおかつ打たれ強さと強靭なフィジカルを持っていながら突き抜けたものがない不思議な選手。それが田口良一

しかし毎度思うのだが、田口良一という選手は本当に不思議である。

・距離感に長けた左ジャブ
・リラックスした上半身
・左のボディが得意

これだけ見ると、まんま小型版内山高志である。

しかも168cmとこの階級では高身長で、なおかつ相手に押し負けないパワフルさ。10Rで見せたように、河野公平を思わせる中間距離での右カウンターもある。被弾してもビクともしないフィジカルも持ち合わせている。

プロフィール的には完全にアウトボクシングタイプなのだが、実際はほぼほぼファイターというちぐはぐさ。

ガードを上げ、距離を詰めて打ち合う。ある程度の被弾は覚悟しつつ、最後は長身とフィジカル面の優位性を活かしてねじ伏せる。

正直手持ちの武器を見ている分には、もう少し幅のある試合運びもできそうに思えるのだが。
というより、幅はあるけどスケール感が足りないといった方が正解か。

フィジカルが強く高身長。井上尚弥のパワーにも臆さないハートもあり、ジムの先輩の長所を積極的に取り入れる素直さもある。
工夫次第で一気にモンスター化しそうな感じがあるのに、その気配はまったく見られない
内山と河野のいいとこ取りをしつつ、身体の強さもあるのにいまいち突き抜けたものがない。
何と言うか、やっぱり模倣は模倣。オリジナルは超えられないということなのか。
この辺のジレンマがもどかしく、そして僕がこの選手から目が離せない要因にもなっている。

まあ、あの風貌とは打って変わった気の強さというギャップがこの選手の最大の魅力でもあるのだが。
田口と長年の親交があり、ご自身も10年以上のボクシング経験をお持ちのスペシャルゲスト、KAT-TUNの上田さんも田口のその部分に惹かれたとおっしゃっていたし、僕自身もその通りだと思っている。

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今回の試合、カニサレスの勝利だったと言う方もいて、僕にはどちらが正しいのかはよくわからない。少なくとも内山vsコラレス戦の結果よりは難しい判定だったことは間違いないと思う。

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この微妙な試合を観て「田口はこんなもん」と言われてしまうのか、それとも何かのきっかけを掴んで進化を遂げるのか。
2017年には田中恒成との統一戦も期待されているというし、とりあえず田口ファンとしては今後も注目していきたいところである。

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でもアレだよな。
結局、内山との抱き合わせで初めて映える選手ではあるよな……。

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