八重樫がサマートレックをパワーで圧倒!! あれ? 肉体改造でもしたか? ここまでパワフルにねじ伏せるとは思わなかった【結果・感想】

NO IMAGE

新宿高層ビル
「ボクシング記事一覧リンク集」へ戻る

2016年12月30日に東京・有明コロシアムでIBF世界L・フライ級タイトルマッチが行われた。
同級王者八重樫東がランキング8位の挑戦者サマートレック・ゴーキャットジムに12R2分13秒TKOで勝利し、2度目の防衛に成功した。

「ボクシングはテレビで観るものだと確信した夜。有明コロシアムで「ボクシングフェス2016 井上尚&八重樫 W世界戦」」

肩の負傷によって、2016年5月の防衛戦以来7か月ぶりのリングとなった八重樫。2014年に井上尚弥とタイトルマッチを行ったサマートレックを相手に、終始ペースを渡さぬ試合運びを見せる。

「八重樫の試合にイラつく…。テクアペトラ程度に激闘王って、ただの泥試合だろ。辛勝でタイトル防衛」

常に距離をとり、サマートレックの前進を的確なジャブで寸断。足を使った本来のボクシングで挑戦者を翻弄。
7R以降、サマートレックの失速を確認して攻撃に転じ、最終12Rにレフェリーストップを呼び込んだ試合である。

これでV2を達成し、最高の形で2016年を締めくくった八重樫だが、試合後のインタビューで「すぐに練習して次を目指す」と発言。次戦が有力視されるミラン・メリンドや、対抗王者との日本人対決の実現はなるのか。2017年のさらなる躍進に期待である。

「騙された! 田口がカニサレスを持て余して引き分け防衛。薄氷を踏む展開でギリギリ5度目防衛に成功」

顔もキレイで理想的な試合。八重樫にしては珍しい

怪我からの復帰となった今回、試合の流れとしてはほぼ理想的だったのではないだろうか。
評価は賛否分かれているようだが、個人的には今回の八重樫は現時点でできるMAXの試合をしたと思う。

左ジャブでサマートレックと適度な距離をとってコントロールした序盤。
勝負を賭けてきたサマートレックの前進を受け止め、逆に押し返した中盤。
失速を確認して出力を上げ、ダメージの蓄積によってサマートレックの心を折った終盤。

全局面で相手を上回り、力の違いを見せつけた上でレフェリーストップを呼び込む。
何から何まで八重樫の夜だったと言える試合である。
珍しく顔もキレイだったしね。
 
「拳四朗vsガニガン・ロペス戦を予想してみる。拳四朗勝利が大方の予想みたいだけど、ガニガン・ロペスもいい選手」
 
いつも「この選手の試合は当日のコンディション次第で雲泥の差がある」と申し上げているが、今回の八重樫は間違いなく「当たりの日」だった。

あれだけの試合ができるのであれば、まだまだ引退を考えるのは早い。2017年も引き続きがんばってもらいたいと思う。
 
「八重樫がメリンドにまさかの1RTKO負け!! L・フライ級日本人王者4人体勢が1夜で崩れ去る」
 

勝因は体格差とパワーの差。サマートレックとの体格差を活かして射程内に入らせなかった

理想的(だと僕は思った)な試合運びで快勝した八重樫。
今回の勝因を挙げるなら、何と言っても「体格差」「パワー差」だろう。

まず相手のサマートレックだが、この選手は間違いなくいい選手である。
ガッシリとした身体を活かした力強いフックでグイグイ前進し、相手をロープに詰めて攻め落とす。
小さなシフトウェイトとポジションチェンジで相手の反撃を防ぎつつ、至近距離でガードの上からパンチを打ち込み、徐々に弱らせるスタイルである。

だが、予想記事でも申し上げたように、この選手はとにかく小さい
身長160cmの八重樫と向き合っても、さらに一回りサイズが劣る。
しかも前に出てなんぼのスタイルの選手なので、相手にフィジカル負けすると一気に苦しくなってしまうのである。

「【予想】サマートレック再び。八重樫東が8ヶ月ぶりに防衛戦に挑む。井上尚弥に善戦した強者とどう戦う?」

今回の試合でも、体格的不利に加えてリーチの短さも致命的だった。
前に出て距離を詰めようにも、そのつど八重樫の左で寸断される。
仕方なく中間距離で腕を振り回すのだが、八重樫が射程のわずか外のポジションをキープしているためにどうしても届かない。なおかつ八重樫のパンチだけがギリギリ当たる位置。
序盤のペース争いの段階で、体格差によって先手をとられたのは本当に痛かった。
 
「聖地後楽園ホールに亀田和毅登場!! 強豪マイク・タワッチャイを相手に日本復帰戦。タワッチャイをパワーで圧倒しろ亀田」
 

顕著だったのがパワーの差。肉体改造でもしたか? あれだけパワフルな八重樫は意外だった

そして、今回の試合で特に顕著だったのが両者のパワー差である。
正直な話、僕は八重樫がここまでサマートレックをパワーで圧倒するとは思わなかった。

サマートレックの前進を寸断し続けた左ジャブ。
自分のパンチだけが当てる位置を確保し続けた前半を観るに、思った以上に八重樫のパンチに力感があったのだろう。
2014年のタイトルマッチで、曲がりなりにも井上と接近戦で打ち合ったサマートレックがあそこまで出足を止められたのは意外だった。

「井上vs河野感想。モンスター井上がタフボーイ河野に勝利。これが井上尚弥。ロマゴンだろうが関係ない」

さらに、中盤以降の力勝負にはより驚かされた。
恐らくサマートレックが勝負を賭けたのは5R。
このままくぎ付けにされていてはラチがあかないと思ったのだろう。開始直後から強引に前に出て打ち合いを挑んできたラウンドである。
 
「田中恒成vsアンヘル・アコスタ予想。過去最強の挑戦者が愛知に来るぞ。ミゲール・コットの秘蔵っ子が期待の田中恒成に挑む」
 
これに対し、八重樫が選択したのはまさかの真っ向勝負だった。
信条とする「打たせずに打つ」ではなく、打ち合いでねじ伏せる。
正面衝突で見事に打ち勝ち、勝負を賭けたサマートレックの心を半分折ったのである。

いや、これには驚いた。
八重樫ってこんなにパワフルだったっけか?
確かにサマートレックの適正はミニマム級だが、それを差し引いてもあそこまでパワーで圧倒するとは。
 
「井岡vsノクノイを予想する。てか、井岡圧勝を予想する。今回ばかりはやりやすい相手を厳選した感が」
 
どうしたおい?
肩の負傷で休んでる期間に肉体改造でもしたのか?

改めて八重樫を見ると、下半身がどっしりして肩周りもゴツくなってるような気もする。

「ロマゴンvsシーサケット予想。これシーサケット勝利あるぞ? 最強ロマゴンがパワフルな挑戦者に敗れる?」

パワーが上がったおかげでスピード面での優位性を活かせる。怪我をしている期間でのトレーニングがうまくいったんだろう

井上尚弥に善戦した強敵サマートレックをパワーで圧倒した八重樫。
もしかしたらこの試合、八重樫がスピードを活かした本来のボクシングを貫いたおかげで勝てたと思われているのかもしれない。
 
「地の利とか日本人ボクサーがタイで勝てない理由とか。世界戦19敗1分を引き起こしたマモノ()についてのお話」
 
だが、個人的にそれはちょっと違うと思っている。
パワーの相手にスピード差で上回ったのではなく、パワーがついたおかげでスピードを活かす余裕ができた。
これはフエンテスに圧勝した田中恒成にも言えることだが、持ち味のスピードを活かすにも、正面衝突で当たり負けしない最低限のフィジカルというのは必須である。

「覚醒した田中がフエンテスに圧勝!! “中京の怪物”が絶不調のフエンテスを5RKO。階級アップでパワーが増した田中」

ここ数戦の八重樫を観ていると、相手の突進をフルスイングで止めるスタイルに終始していることがわかる。相手が自分より大きかったこともあり、どうしても足を踏ん張って腕を目一杯振る必要に迫られていた。
そのせいでスピード面にメーターを割り振ることができず、後半の大激闘に勝機を見出さざるを得なくなっていたのである。

「八重樫vsハビエル・メンドサ!! 赤っ恥予想の言い訳をしていくぞww」

それが今回、パワー面で優位性に立ったことで状況が変わった。
ジャブでサマートレックの前進を止めることでスペースを確保し、自分のパンチだけが当たる位置で対峙することが可能になった。
おかげで八重樫の足の速さが活き、得意とする出入りのボクシングも余裕をもって実行できるようになったのである。

これまで100の力を使っていた動きを70~80で出すことができれば、残りを別の動きに割り振ることが可能になる。
八重樫の場合、これまでは相手の突進を止めるのにMAXパワーを使っていた。それが肉体改造によって80%の力でまかなえるようになり、ある程度余裕をもってアウトボクシングにメーターを割り振れるようになった。

さらに、至近距離での打ち合いでもハンドスピードと1発の威力で上回り、結果的にすべての局面で絶望感を与えての勝利というわけである。まさしくパワー面での成長がプラスに作用した好例といえるのではないだろうか。

怪我をして練習ができない期間を有効に使い、積極的に肉体改造に着手したのだろう。恐らくこれまでのように年3回ペースで試合をしていたらできなかったはずである。
年齢的にブランクを作るのは厳しいと思っていたが、むしろ八重樫にとってはちょうどいい休みになったのかもしれない。
有力視される2017年のミラン・メリンド戦も楽しみである。

「爆腕!! 村田がブルーノ・サンドバルにド迫力KO!! 世界前哨戦で格の違いを見せつけ3RKO」

ちなみにだが、2013年のエドガル・ソーサ戦も今回同様、フィジカル面で遅れをとらなかったことが大きな要因だと思う。

まあ、これだけ絶賛しておいて「実は筋トレなんかしてへんし!!」となったらさすがに赤っ恥だが。

「ボクシング記事一覧リンク集」へ戻る


 

 

 

【個人出版支援のFrentopia オンライン書店】送料無料で絶賛営業中!!