ゾンビか!! サリドがバルガスを追いつめ惜しくもドロー!! 三浦を敗ったフランシスコ・バルガスがギリギリで初防衛に成功【結果】
2016年6月4日(日本時間5日)に米・カリフォルニア州のスタブハブ・センターで行われたWBC世界S・フェザー級タイトルマッチ。
王者フランシスコ・バルガスが同級3位オルランド・サリドと対戦し、判定引き分け(115-113、114-114、114-114)で辛くも初防衛に成功した。
なお王者のフランシスコ・バルガスは2015年に日本の三浦隆司に勝ってタイトルを奪還しており、その試合が年間最高試合に選ばれている。
「三浦vsバルガス壮絶決着!! 最強挑戦者フランシスコ・バルガスに三浦隆司がTKOで敗れて王座陥落!!」
王座返り咲きを狙う三浦隆司とバルガスの年内再戦はあるのか。激戦の様相を呈しているS・フェザー級の2016年後半にますます注目である。
ナイスファイト!! 名試合生まれました!!
まず最初に両者ナイスファイト。手に汗握る本当にいい試合だった。
王者のバルガスは2015年の三浦戦もよかったが、今回のサリド戦もすばらしかった。2戦続けて階級屈指のインファイターと激突するマッチメークに若干同情する部分はあるが、激闘型王者としての地位を完全に固めたと言ってもいいのではないだろうか。
「ウォータースvsロマチェンコ決定ワロタww これで内山vsコラレス再戦確定的か?」
年内に三浦との再戦があるのか、疑惑をかけられているドーピング問題がどうなるのか。いろいろ不透明な部分は多いが、個性豊かなS・フェザー級の面々の中でもひときわ目立つ存在だと思う。今後もがんばってもらいたいものである。
「ダークヒーロー・バルテレミーが曲者ミッキー・ベイに完勝!! 文句なしの最強だけど不人気」
両者一進一退の攻防で激しくペースを取り合う
試合序盤はバルガスがサリドの前進に圧されて下がる展開。
長いリーチを活かすためにある程度のスペースが欲しいバルガス。それに対し、頭がぶつかる(実際にぶつける)距離でゴリゴリ打ち合いたいサリド。サリドの問答無用のプレッシャーにバルガスは後退させられてしまう。
何とかスペースを確保して得意のストレートを打ち込みたいバルガスだが、頭を下げて前進するサリドを持て余してペースを握ることができない。
「ベルデホダメか? マルティネスにはKO勝利したけど課題山積」
だが、5Rに入るとバルガスが距離をとることを諦め、サリドの距離で真っ向から打ち合い始める。インファイター同士の迫力満点の打ち合い。一発の威力ではバルガスの方が上である。
バルガスのこの判断が功を奏し、サリドを逆に下がらせることに成功する。
右のカウンターがいいタイミングでサリドの側頭部にヒットし、ロープ際に追いつめたところで得意のストレート。さらに大振りの左右フック。このパターンで5R以降はバルガスがペースを取り返す。
「フランシスコ・バルガスvsミゲール・ベルチェルト予想。豪打のメキシカン対決勃発。ベルチェルトねえ……」
ところが試合後半の10R。
バルガスがこのまま押し切るかと思われたが、サリドが不屈の闘志で再び前に出始める。
バルガスの踏み込みをさらに強い踏み込みで受け止めてスペースを潰す。序盤同様、頭が当たる距離での泥試合に持ち込む。
すでにサリドを押し返すパワーは残っていないバルガスが意を決して超至近距離での打ち合いに応じる。
「最強巨神兵コバレフの攻略法判明? チレンベ(チレンバ)の大健闘で大差判定ながら不安を残す」
前に出続けるサリド。
下がらないバルガス。
どちらもギリギリで踏みとどまり、相手にペースを渡さない。
攻防がめまぐるしく入れ替わる大激闘。
「クロフォードvsポストル予想!! 虚弱クリチコ・ポストルがソリッドスター・クロフォードに挑む!!」
ラストはサリドがバルガスにロープを背負わせ、左右のフックを打ち込んだところでゴング。
最後の瞬間まで手を休めず打ち合った両者が健闘をたたえ合う。
世界屈指のインファイター同士の壮絶な一戦が幕を下ろす。
「ロマチェンコがゴロフキン化? マルティネスに手も足も出させず完勝!! アカンわこりゃww」
サリドのよさはダーティファイトと類いまれなる頑丈さ
正直、ドロー防衛という結果が妥当だったかは僕にはよくわからない。
サリド有利にも思えたし、バルガスのパンチの的確さが勝っていたようにも思える。
もしかしたらジャッジ泣かせの試合だったのかもしれないが、それはそれとして、今回は両者の激闘に拍手を贈りたい。本当にナイスファイトだった。
「マジでやるんかマイキー・ガルシアvsズラティカニン。失われた2年間を取り戻せ」
今回の試合で再確認したのだが、やっぱりサリドはいい選手である。
以前の記事でサリドに対し「こいつが大物とか笑わせんなよ」と申し上げた覚えがあるが、言うまでもなくこの選手はトップクラスの実力者である。僕自身があまり好きではないだけで。
「ゲイリー・ラッセルがロマチェンコに熱烈片思い? ハイランド戦を2RTKOで圧勝防衛!!」
この選手のよさは何と言ってもダーティさ。そして他に類を見ない頑丈さである。
特にダーティさに関してはご存知のように世界屈指のスペシャリストである。あのロマチェンコが相手でも、得意の泥試合に引き込んで勝ってしまうのだから文句のつけようがない。
もちろんインファイターのバルガスが相手でもそのダーティファイトは随所に光っており、毎度のことながら感心することしきりである。
懐に入りたいサリドに対し、リーチの長いバルガスは腕を思いきり振り回せるスペースを確保したい。サリドの顔面をまっすぐ打ち抜こうと、ガードを内側に絞って構える。
だが、サリドは自分の腕をバルガスの脇の下からねじ込み、ガードを強引にこじ開ける。無理矢理バルガスのガードを広げさせて、さらに内側から最短距離で細かいパンチを顔面、ボディに打ち込む。しかもバルガスの片腕を脇に抱え込んで反撃を封じながらである。
「クロフォードがポストルに大差判定勝利!! ん? クロフォード圧勝? むしろポストル勝てたんじゃないのか?」
また、再三バルガスの右フックをカウンターで側頭部にもらっても、極力効いたそぶりを見せない。
もちろんあのタイミングでカウンターをもらえば効いていないはずはない。
だが、たとえダウンするほどのダメージを負っても、できる限り相手側に倒れこむことでカモフラージュするのである。
自分の体重を相手に預けることで、ダウンを回避するだけでなく至近距離が苦手なバルガスの安全圏に逃げ込む。さらに、全体重をかけて相手に寄りかかるので、結果的にサリドが押し込んでいるような印象を与えることができる。
「フォルトゥナ陥落!! イキった末にソーサの左フックを被弾してKO負け」
相手と身体を密着させてダメージの回復を図るしたたかさ。
そして何より相手の強打を承知で身体を密着させにいく勇気。
一発の威力に勝るバルガスを相手に、単なる力技だけではない経験に裏打ちされたダーティファイトと言えるのではないだろうか。
「は? ソーサがロマチェンコに勝てるわけねえじゃんかww え? 棄権した? よし、批判の時間だあああああ」
思うに、このサリドよりも才能がある選手は日本にもいる。
だが、実際にサリドに勝てる日本人選手はほとんどいないと思う。
というか、あんなダーティなボクシングを後楽園ホールでやったら大ブーイング必至だろう。ただ、アンダードッグが勝つためには、あのスタイルは一つの正解とも言えるのではないだろうか。
純粋なボクサーとしての才能だけなら内藤リッキーの方がサリドよりも上ではないかと思う。だが、それでも僕には内藤がサリドに勝つ光景を思い浮かべることができない。
「天才三浦隆司がミゲル・ローマンの努力を牛耳るからまあ見とけ。S・フェザー級トップ戦線生き残り」
そして何より持って生まれた耐久力の高さと回復の早さである。
試合中盤にバルガスがペースを握った時点で、僕は「ああ、このままバルガスが押し切って勝つかな」と思っていた。
だが、サリドはラスト3Rできっちりダメージを回復させて攻め込んでみせるのである。この耐久力とゾンビ並みの回復力。やはり特筆ものと言っていい。
「小原佳太がトロヤノフスキーに場外に吹っ飛ばされる!! 模造テクニシャンを大量に生み出したメイウェザーの功罪」
スタイル的に考えて、ある程度の被弾は想定内。
バルガスほどの強打者が相手なら苦戦も想定内。
それでも粘り強く前に出続けていれば必ず流れがくる。
今まで我慢比べで負けたことはない。
サリドには恐らく自分の回復力と耐久力に対する絶対の自信と信念があるのだろう。
「レイ・バルガスが日本に来るぞ?! カボレに圧勝判定で挑戦者決定戦を制す」
どんな相手にも怯まず、どんなスタイルの選手と対峙しても必ず得意の泥試合に持ち込む生粋のインファイター。
今回はオルランド・サリドという選手のよさが凝縮された名試合だったのではないだろうか。
あまり好きではないが。
「三浦隆司が花山薫パンチでミゲール・ローマンを撃墜!! デラホーヤが早くも「年間最高試合」に認定」
実は三浦vsサリド戦が観たいんですよ。バルガスとの再戦もいいけど
王座獲得に失敗した選手を褒めすぎと言われるかもしれないが、今回は「サリドよくやった」と言っていい試合だったと思う。
フランシスコ・バルガスの防衛戦の相手がサリドだと聞いたときはあまり興味がわかなかったが、これだけ噛み合わせのいい名試合になるとは思わなかった。
そして、僕はどちらかと言うと三浦にはバルガスとの再戦よりこのサリドと一騎打ちに進んでもらいたい。
「ボンバー三浦vsサリドキター!! 好戦的インファイター対決がアメリカで実現。バルガス戦を上回る激闘に期待感」
恐らく三浦のボンバーレフトはサリドに当たる。三浦の左をアゴに被弾してコーナーで尻餅をつくサリドの姿が容易に想像できる。
だが、サリドにはこれまで三浦が経験したことのないほどエグいダーティファイトがある。
真っ向勝負上等の三浦がサリドの経験値を上回ることができるか。それともゴリゴリとインファイトの仕掛けられてポイントアウトされてしまうのか。
「ラフファイトとか体重超過とか、別にアリだよな? というお話」
フランシスコ・バルガスとの再戦はある程度想像しやすいが、サリドvs三浦戦はどうなるのかの興味が尽きない。
今回は仕方がないが、どこかでこの両者が遭遇することをひそかに期待している。
しかし、ラスベガスのリングで当たり前のように三浦の試合を期待している状況ってマジですげえな。できることならここに内山も絡んでもらいたいけど。
「ジェスレル・コラレスが内山を粉砕!! 暫定王者がまさかのアップセット!!」