ライアン・ガルシアの馬力と多彩な左。ルーク・キャンベルもやることやってたけど、スペック差が激しかったな。ホントに数年前とは別人【結果・感想】

ライアン・ガルシアの馬力と多彩な左。ルーク・キャンベルもやることやってたけど、スペック差が激しかったな。ホントに数年前とは別人【結果・感想】

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2021年1月2日(日本時間3日)、米・テキサス州ダラスで行われたWBC世界ライト級暫定王座決定戦。同級4位ライアン・ガルシアと3位ルーク・キャンベルが対戦し、ガルシアが7R1分58秒KO勝利。見事初戴冠を果たした一戦である。

いつも通り両腕を高く掲げて懐深く構えるキャンベルに対し、ガルシアはパワフルな前進とともに左を振るう。
ガードの外側からキャンベルの側頭部にヒットを重ね、序盤から優勢に試合を進めていく。
 
ところが2Rにキャンベルの左フックがガルシアの顔面を捉え、豪快にダウンを喫するガルシア。
まさかの展開に沸く場内だが、ガルシアはすぐに立ち上がり落ち着いて反撃。その後も馬力の差を発揮して積極的にキャンベルを攻め立て、5R終了間際に左をヒットして盛大にグラつかせる。
 
そして7R中盤。
遠間から踏み込んだガルシアの左ボディがキャンベルの脇腹に突き刺さり、ワンテンポ遅れてキャンベルがダウン。四つん這いのまま立ち上がることができず、10カウントを聞いて試合終了。
 
2Rのダウン以外は終始試合を支配したライアン・ガルシアが暫定ながらも初の王座戴冠に成功した。
 
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ああ、ライアン・ガルシアvsルーク・キャンベル戦があったことを忘れてたw リングサイドにカネロもいたね

2020年の夏ごろから「両陣営が合意!!」「対戦決定!!」といった情報が飛び交い、一度は12月上旬開催が決定していたこの試合。ところが11月にルーク・キャンベルの新型コロナウイルス陽性が発覚し、年明けにリスケされた経緯がある。
 
正直、僕はこの試合が1月開催であることをすっかり忘れていて、以前あれこれと展望を考えていたことも完全に抜け落ちていた。 
たまたまDAZNのラインナップをボーっと眺めていたところ、「あれ、ライアン・ガルシアvsルーク・キャンベル戦があるやんけ」と気づいたくらいの体たらくである。
 
 
また現地でどの程度注目されていたのかは不明だが、客席もだいぶ空席が目立つなど決して大盛り上がりとは言えなそう。
正月開催+暫定王座戦ということを考えると、あんな感じになるのも仕方ないかな? という気もするが。
 
ちなみにリングサイド席にはミドル級/S・ミドル級王者のカネロもいて、同門のライアン・ガルシアの勝利を喜んでおりました。


 
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穴狙いのルーク・キャンベル勝利予想だったけど…。思った以上にガルシアがパワフルだった

具体的な試合の感想だが、ライアン・ガルシアの馬力、スピード&パワーが思った以上にすごかったなと。
 
恐らくこの試合は人気者のガルシアを勝たせるためのもので、プロモーターや主催者にとっては予定通りの結果。
今後、正規王者のデビン・ヘイニーとの統一戦に向かうのかは不明だが、スター候補のガルシアが王座戴冠という第一歩を刻んだことは主催者側としてもありがたかったはず。
 
ただ、そこまで思惑通りにことが進むのはつまらないので、どうせならルーク・キャンベルに勝ってもらいたいと思っていた。
なので、勝敗予想も“キャンベルが勝った方がおもしろいから”という理由でルーク・キャンベルの判定勝利予想とさせていただいている。
 
だが、今のライアン・ガルシアは思った以上にパワフルでスピーディ。ワシル・ロマチェンコやホルヘ・リナレス相手にも判定まで粘ったルーク・キャンベルだったが、ガルシアの馬力を抑えることができずに7Rでねじ伏せられてしまった。
 
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キャンベルは高次元でまとまったサウスポーだが、ガルシアとのスペック差は歴然でしたね

一応、僕の勝手な予想を読み返してみたところ、
 
ライアン・ガルシアvsルーク・キャンベル予想。前半でガルシア、後半でキャンベルでええんちゃう? ブリブリのガルシアの苦戦が観たいぞ
 
・前半はガルシア、後半になればキャンベルにもチャンスは生まれる
・ライアン・ガルシアは基本的にはカウンター使いで追い足はない
・vsサウスポーでは得意の左リードが機能せず、モタモタする印象
・懐が深く総合力の高いキャンベルを攻めあぐねる可能性も?
・キャンベルの左フックでガルシアが大の字になるかも?
・でも、ライアン・ガルシアは以前とは別人。ここ数年で飛躍的にビルドアップしている
・両者は得意な距離が近く、ガルシアのフルスイングがキャンベルを捉える?
・逆にガルシアの馬力にキャンベルが飲み込まれてKOされるかも?
・勝敗予想はキャンベルの判定勝利。なぜならその方がおもしろいから
 
まあまあそれっぽいことを言っているように見えなくもないww
 
カウンター使いのライアン・ガルシアは基本的に追い足はなく、vsサウスポーの際にややモタつく傾向がある。
だが、馬力とスピードは文句なしに凄まじい。単純なスペックだけならキャンベルを大きく上回る。
 
キャンベルは総合力が高く懐の深いサウスポーだが、ガルシアとは得意な距離が近いために一気に持っていかれてしまう可能性もあるかもしれない。
 
でも、僕はあえてキャンベルの判定勝利を予想する。なぜならその方がおもしろいから
 
 
そして、試合展開も概ねそんな感じだったのかなと(勝敗は真逆だけど)。
 
前手の右を駆使して距離を測り、左のカウンターを狙うキャンベル。
それに対し、ガルシアは持ち前の馬力とスピードを活かして無遠慮に腕を振っていく。両者の得意な距離が比較的近く、そのつどガードの外側からガルシアの左がキャンベルの顔面を揺らす。
 
 
右リードで牽制しつつサイドに回り込んでアングルをチェンジ。タイミングを測って左フックを放つ。この試合のキャンベルはいつも通り、自分のやるべきことを忠実にこなそうとしていた。
 
実際、2Rにダウンを奪った左フックは出どころが見えにくい軌道で、ややガードの低いガルシアにとっては完全に意識の外側から飛んできたパンチだったはず。
 
しっかりとガードを上げて常に足を動かす。極力相手の正面に立たず、アングルを調整しながら左を打ち込むチャンスをうかがう。
申し上げたようにルーク・キャンベルは自分にできること、やるべきことを一つずつ丁寧に遂行していたと思う。
 

ライアン・ガルシアのスピード&パワー。井岡一翔と対戦した田中恒成と少し被るんだよな

だが、それ以上にライアン・ガルシアのスピード&パワーは凄まじい。
1発1発の重さ、踏み込みの鋭さ、持ち前のハンドスピードで襲いかかり、キャンベルはサイドへの動きやバックステップ、ガードが間に合わない。
 
右リードを出せばそこに左フックを被せてくるし、いきなりの右でガードの上から身体を揺らされる。
さらに5Rの終了間際には意を決して踏み込んだ右に左フックを合わせられ、盛大にグラつくシーンも。
 
確かにライアン・ガルシアはvsサウスポーで若干モタつく姿も目につくが、両者の距離の近さや基本スペックの差によってだいたいのことをカバーしていた印象である。
 
 
ガルシアの圧倒的な攻撃力と2Rの豪快なダウンシーンなどを観ると、何となく先日井岡一翔に敗れた田中恒成を思い出す。
 
田中はスピード&パワーでは井岡を上回りながらも強固なディフェンスと針の穴を通すような井岡の緻密さの前に沈んだが、今回のライアン・ガルシアはスケールの大きさと圧倒的な馬力でキャンベルを飲み込んでしまった。
 
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1Rの中盤、ガルシアのいきなりの右がキャンベルの顔面を捉えるシーンがあったが、アレなどはホルヘ・リナレスがキャンベルからダウンを奪った右と同じパンチ。一定以上のスピード&パワーの相手を抑えきれなくなるのは、ルーク・キャンベルが王座に一歩届かない要因なのかなぁと思ったり。
 
 
あとはまあ、「ライアン・ガルシアは顎が弱い」「絶対に打たれ弱い」と聞いていたが、この試合を観る限りそんなことはなさそう。あれだけ豪快に倒されてもケロッと立ち上がって反撃していたし、言うほど耐久力は低くないのではないか。
 
そもそも論として、僕はこの選手になぜグラスジョー説が流れていたのかすらよくわかっていないのだが。
 

ガルシアの左が思った以上に多彩だった。カネロチームで練習しているおかげだと思うが、ホントに数年前とは別人だよな

そして、今回の試合でもっとも想像を超えていたのがライアン・ガルシアの左の多彩さ。
 
直近のvsサウスポーは2017年12月のノエ・マルティネス・レイゴザ戦までさかのぼるのだが、そのときは相手の前手の右に邪魔されて左リードがほとんど機能しなかった。
 
そのせいで得意な距離になかなか入れず、ズルズルと試合が長引く展開に。何とか最終回にKOしたものの、本人的にもフラストレーションの溜まる試合だったのではないか。
 
僕が今回、ルーク・キャンベル勝利に期待したのもあの試合があったからなのだが……。
 
そう考えると、やはりライアン・ガルシアは3年前とは完全に別人。
ビルドアップして馬力が底上げされただけでなく、左の多彩さも大幅にアップデートされて懐の深いキャンベルを見事に攻略してしまった。
 
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KOパンチとなった1発も、その直前まではほぼ顔面へのフックのみだったのを同じタイミングでいきなりボディに持っていったもの。
カネロと同じチームで練習することで飛躍的な成長を遂げたのだと思うが、とにかくすごいフィニッシュだった。
 
 
なるほどねぇ。
繰り返しになるが、ここ数戦のライアン・ガルシアの充実っぷりはマジで群を抜いている。
 
次戦がデビン・ヘイニーになるのか、あの選手をも勢いで飲み込んでしまうのかは何とも言えないが、今のライアン・ガルシアなら少なくともホルヘ・リナレスが相手であれば中盤くらいにKOしてしまうかもしれない。
 
しかも、リナレスが真正面からどつき合って負ける初めての試合になる可能性も……。
適正階級を超えているわけでもなく、苦手なタイプでもない。距離感もファイトスタイルも噛み合う相手に純粋な力負け……。
 
さすがに今からリナレス戦が実現する確率は低いとは思うが、仮にそうなったらという話で。
 
別にどっちの選手も好きじゃないけど。
 
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