パッキャオがマティセを寄せ付けずに9年ぶりKO勝利。僕たちの英雄は世界一強い大統領(予定)。最高にカッチョいいだろ?【結果・感想】
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2018年7月15日、マレーシア・クアラルンプールで行われたWBA世界ウェルター級タイトルマッチ。
元6階級制覇王者マニー・パッキャオが同級王者ルーカス・マティセに挑戦し、7R2分43秒TKO勝利。通算10度目の王座を獲得するとともに、約9年ぶりのKO勝ちを果たした試合である。
2017年7月以来、ちょうど1年ぶりの再起戦となった今回。
相手は今年1月にテワ・キラムを8RKOで敗り、2階級制覇を達成したルーカス・マティセ。
ブランクや加齢による衰えも心配されたパッキャオだが、序盤から軽快な出入りでマティセを翻弄していく。
3Rには意表をついたアッパーでダウンを奪うなど、コンディションのよさを感じさせる。
そして、パッキャオの圧倒的優勢で迎えた7R。
外側の右リードからのアッパーがヒット、マティセからこの日3度目のダウンを奪う。
がっくりと膝をついたマティセはそのまま立ち上がることができず、マウスピースを吐き出す。それを確認したレフェリーが両手を交差して試合をストップする。
7R2分43秒、パッキャオのTKO勝利。
大歓声の中、パッキャオはコーナーに登って喜びを爆発させた。
「パッキャオvsサーマンちっともわからん。パッキャオのコンビネーションか、サーマンの足か。サーマンは早くランニングマンに改名しろ」
パッキャオの偉大さを再認識。世界一強い大統領(予定)なんて、最高にロックだろぉ?
いや〜、カッチョよかったですねパッキャオ。
開始直後に「お、今日はコンディションよさそうだな」とは思ったが、まさかKOするとは。
ここぞの場面で決めるところがスーパースターというか、マジでヒーローだなと。
試合数日前まで政治家としての公務をこなしていたという報道も見たが、おう、だからどうした?
結果さえ残せば、それ以外の時間に何をやろうが関係ない。
わかってんのか?
この方はいずれフィリピンの大統領になるお方ぞ。
「俺らの大統領は世界一強いチャンピオン」なんて、最高にロックだろが、あ?
などなど。
改めてマニー・パッキャオという選手の偉大さを思い知らされた一戦だった。
「「ONE Championship」でシーサケットが防衛戦やるってさ。ようやくボクシングとMMAの選手が同じ日に同じ舞台に上がるんだね」
現時点でできる最高の試合だったな。不確定要素が多過ぎてまったく予想がつかなかったけど
2017年のジェフ・ホーン戦以来、再起戦の話が浮上→ポシャるを繰り返してきたパッキャオ。
今回のマティセ戦もかなり早い段階から話は出ていたものの、開催地やスポンサーの関係でなかなか決定まではいかず。
実際、WOWOWエキサイトマッチでの中継が発表されたのも正式発表の前だったり。
ファンの間でも「あまり興味がわかない」「もう引退してほしい」といった声が挙がり、お世辞にも注目度が高い試合とは言えなかった。
「アルバレスvsゴロフキン再戦を予想する。まあ、いろいろなことは水に流して楽しくいこうやww」
なお、僕は興味がないわけではなかったのだが、パッキャオの現在地がわからないので何とも言いようがなかった。
この短期間でマティセの調子が乱高下するとは思えず、どうなるかはとにかくパッキャオ次第。
ジェフ・ホーン戦での微妙なパフォーマンスから約1年。
このブランクがどう影響するか?
政治家の公務とどこまで両立できているのか?
フレディ・ローチと袂を分かった影響は?
あまりに不確定要素が多く、予想もクソもないと思っていたのが本音である。
そして、結果的には前述の通り。
今回のパッキャオはかなりコンディションがよく、試合内容もほぼパーフェクト。
上半身もいい感じにビルドアップされていたし、踏み込みの鋭さもあった。
全盛期の弾丸のような動きにはほど遠いが、現時点のベストバウトと言ってもいい気がする。
「パッキャオ圧勝w ブローナーをまったく問題にせず。おかしいだろコイツ。議員との二刀流のルーティーンを掴んだっぽい」
マティセはパッキャオの一番得意なタイプだった。中間距離で手数が少ない相手を蜂の巣にする
具体的な感想としては、
「やっぱりパッキャオはこういうタイプが大得意だよね」
といった感じか。
スピードがなく、連打が出る方でもない。
単発のジャブでジワジワ距離を詰め、至近距離で勝負をかけるスタイル。
2008年のオスカー・デラホーヤや2010年のアントニオ・マルガリートなど。
あとは2016年のジェシー・バルガスもそうかな?
こういう相手を中間距離で釘付けにして、スピードと連打で圧倒するのはこの選手の必勝パターンだなと。
パッキャオ相手に「体格差を活かしてプレッシャーをかけて〜」などとやっていたら、ガードの間から山ほどパンチを通されあっという間に蜂の巣にされてしまう。
今回に関して言うと、1発目の左にカウンターの右をかぶせて左につなぐ。いきなりの右で出てきた際は、ガードを上げてバックステップ。
そして、動き出しを狙ってガードの真ん中から左をヒット。
マティセのように踏み込みの鋭さがなく攻防のつなぎに間ができるタイプは、パッキャオにとっては一番やりやすい相手だった。
「井岡一翔が4階級制覇を目指して現役復帰宣言!! フリーの選手が当たり前に活躍できる土壌ができたらいいね」
角度を変えた多彩な右と左ストレートでマティセの前進を制限し、外からの軌道をたっぷり意識させたところで同じタイミングからいきなりのアッパー。
狙っていたのか瞬間的な思いつきかは不明だが、すべてがパッキャオの思い通りに進んだ試合だった。
前戦のテワ・キラム戦ではラウンドごとに少しずつ距離を詰め、最後に自分の得意な間合いで仕留めたマティセだったが、その組み立てをする余裕もなく心を折られてしまった。
「マティセ圧勝すげえ! テワ・キラムに何もさせずに8RKO勝利。レベルが違い過ぎたかな。ここまで圧倒するとは」
ジェフ・ホーンのパッキャオ攻略はよかったよね。上位ランカーが相手ならパッキャオはまだまだいける
逆に今のパッキャオを攻略するには、やはりジェフ・ホーンのように強引にねじ伏せるのが一番手っ取り早いのかなと思う。
「伊藤雅雪がディアスを下して王座戴冠。だから男は顔だとあれほど…w 日本人のレベルが低いとか絶対嘘だからな」
左右に動いて的を絞らせず、遠い位置から踏み込む。
身体ごと体重を預けるように覆いかぶさり、反撃のスペースを潰す。
そのまま至近距離で強引に腕を振り、ついでに頭もぶつける。
パッキャオに右のカウンターを打つタイミングを与えず、左を振る余裕を奪う。
パッキャオの得意な中間距離で勝負せず、フィジカル差を活かした肉弾戦で体力を削る作戦。
ジェフ・ホーン自身も相当疲れていたが、何だかんだであの試合はすばらしかった。
まあ、バックステップしながらでもパンチの威力が落ちないクロフォードには通用しなかったが。
要は、中間距離で対峙できる相手となら、今のパッキャオはまだまだいい勝負ができる。
上述のジェシー・バルガスを始め、デボン・アレクサンダーやアンドレ・ベルトなど。
その他、慎重な試合運びに徹すればダニー・ガルシア相手でも十分可能性があるし、僕がちょっとだけ注目しているエジディウス・カバロウスカスも何とかなるのではないか。
ただ、キース・サーマンやクロフォードに追いつける足があるかは微妙。実際、今回の試合でも自分のスイングに足がついていかずにもつれるシーンが何度か見られた。
また、エロール・スペンスJr.やショーン・ポーターの圧力に耐え切れる感じもしない。次戦以降の対戦が期待されるアミール・カーンは……ちょっとよくわからない。
対抗王者との統一戦はキツイけど、上位ランカーなら相手を選べばまだまだいける。
この試合を観て、だいたいそんな感じの印象を受けた。
「エキサイトマッチ総集編2108の感想&自分的に度肝を抜かれた試合ベスト3を発表。第1位は思い入れの強かったあの試合」
パッキャオの現在地がどうだとか、そういう話は今回はいいかな。この選手のスーパースターっぷりに感動したからそれでいい
ただまあ、アレだ。
今回に関しては、そういう話はいいかなと。
「今のパッキャオは○○なら勝てるけど、××には厳しい」とか、そんなことを考えるのは野暮じゃないの? と思う。
いや、だって。
普通にすごかったからね今日のパッキャオは。
散々「衰えが〜」と言われ、勝つとしてもせいぜい判定でしょ? 仮にKO負けでもしたら引退じゃないの? などと思われていた中で。
あれだけ圧倒して、しかもKOで勝っちゃうって。
どう考えてもすごいでしょ。
少なくとも僕はクソほど感動したし、改めてスーパースターだなと思いましたからね。
スポーツで心を動かされるって、こういうことだよねみたいな。
「ジェフ・ホーン圧勝!! パッキャオ議員に力技で勝利し人生の厳しさを教える!! 作戦勝ちかな」
なお、本人は年内にもう一試合したいとコメントしていたが、果たしてどうなるか。
できればブランクを空けずにやってもらいたいですけどね。
また相手選びが難航するんだろうなとは思うが。
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