「選挙行かないヤツふざけんな」について、頭が悪いので割とガチで教えてほしいんだが
「選挙に行かないヤツが一番の悪」ってどういうことでしょうか?
「二重行政の解消」「大き過ぎる大阪市の権限の再編」を目的とした大阪都構想の住民投票が5月17日に行われた。結果は「反対」が「賛成」を僅差で上回り、橋下氏の提唱する大阪都構想は否決された。その日の夜の会見で橋下氏は、市長の任期満了とともに政界からの引退を表明した。
今回の結果を受けて、20代、30代の投票率の低さを嘆く声や、高齢者の比率が大きく若い世代の意見が反映されにくかったとされる「シルバーデモクラシー」など、インターネットを中心に大きな反響が見られた。
大阪都構想に対する説明の不足や世代間での立場の違い、その他若年層の投票率の低さなど、さまざまな課題が見えた選挙だったと言えるのではないだろうか。
始めに申し上げておくと、僕はここで大阪都構想の是非や橋下氏に対して云々言うつもりはなく、政治談義をする気もないです。それを前提としてお付き合いいただければと思います。
若年層の投票率が低いのはわかった。だけど、それを糾弾するってどういうこと?
今回行われた住民投票は、賛成と反対が1万741票と僅差だったこと、20代、30代の投票率が低かったことを受けて「投票に行かなかった若者が行っていたら結果は変わっていたかもしれない」という声が多数あがり、インターネットを中心に結構大きな議論となっています。
都議会議員が今回の件について書いたブログが話題になったり、政治に関する識者の発言があったりと、改めて国民全体の関心の高さをうかがわせる選挙でした。
特に若年層の投票率の低さに関してはかなり過激な意見が多数見られます。
「選挙に行かないヤツが悪い」
「選挙に行かないヤツに政治に文句言う資格なんてない」
「選挙に行かないヤツには何らかのペナルティが必要」
「選挙に行かないヤツは罰金」
「選挙に行かないヤツはそれだけで害」
「選挙に行かないヤツは異常」
「選挙に行かないヤツは非国民」
「選挙に行かないヤツはバカ」
「選挙に行かないヤツは無能」
「選挙に行かないヤツは選挙権剥奪」
「選挙に行かないヤツはその程度の人間」
「選挙に行かないヤツの言い訳は〜」
掲示板の書き込みやTwitterのつぶやきなどをひととおり見て回ると、このようにあいうえお作文の強化版のように、選挙に行かなかった人を一様に糾弾するような書き込みに出会うことができます。
これって、いったいどういうことなんでしょうか?
僕の頭が悪いのがアレなのかもしれないですが、いくら考えてもどれだけ頭をひねってもこれらの意見が理解できずに心底参っている次第です……。
「政治家は自分に投票してくれる人を優遇するに決まっている。高齢者の投票率が高くて現役世代の投票率が低いということは、日本はどんどん高齢者が優遇される社会になっていく。だから若者は投票に行った方がいい」←これはわかります。もう耳にたこができるほど聞いています。
「選挙を棄権したということは白紙委任と同義であるのだから、どんな結果になっても文句を言うべきではない」←100歩譲ってこの心情も理解はできます。
「選挙に行かないヤツってなんなの? 棄権することが信じられない。行かなかったヤツには罰金なり何らかのペナルティを課すべき」←わからないのがここです。ホントにこの部分がわからないです。
今回だけじゃないのですが、選挙があるたびに投票に行かない人間を糾弾する意見が溢れます。この思考に対する理論的な答えがどれだけ考えても出てこないんです。
「映画「ドゥ・ザ・ライト・シング」。人種問題に切り込んだ? 違うね。他人の考えを許容できない器の小さいバカどものなれの果てだろ」
投票率が低いのはわかりました。
それが今回の大阪都構想否決に少なくない影響を与えたことも納得できます。
だからといって、それが選挙に行かなかった人間を罵倒していい理由になるとはどうしても思えない。
僕は法律には詳しくないのでアレなんですが、選挙権というのは「権利」であって、行使するもしないも個人の自由であると思うのですがいかがでしょうか。その「権利を行使しなかった自由を選択した人」を「権利を行使する自由を選択した人」が、責めていい道理がいくら頭をひねっても見つからない。
こんなページもありますね。
「選挙に行かない」という選択があなたにもたらす恐ろしい影響
はい。
「選挙に行かないとこれだけ損をしてしまう。あなたが選挙を棄権するとこんなに大きな影響が出るんですよ」というのを教えてくれています。
このまとめページのビュー数が20万を大きく超えているのを鑑みるに、それだけ関心が高い事例なのだと思いますし、実際選挙に行かないと、その分自分が損をしてしまうのでしょう。
だけど、だからといって「選挙に行かなかった人を罵倒していい権利」が発生するとはどうしても思えないです。どなたか順序だてて教えていただけるとホントにありがたいです。
「タレントが立候補するとすげえ批判されるけど、なんでそんなにイラついてんの?」
ちなみに僕は選挙には行ってます。でも……
私事ですが、僕個人は毎回選挙には行くようにしています。
国政、都政、市政。もろもろ合わせると大体1年半に一回くらいの割合で選挙がある感じですが、一応欠かさずに行くようにはしております。
大層な信念があるわけではないですが、現役世代である自分の世代が少しでも優遇される社会になればいいなという、前述した内容と大体同じ理由で選挙権を行使しています。
「東北被災地のボランティアが足りてないってさ。行った方がいいんじゃないの?」
後、実は2011年の東日本大震災がきっかけになった部分もかなりあります。それまでは選挙の日時が迫るたびに「日曜日にめんどっちいな」という思いがあったのが正直なところです。ですがあの震災をきっかけに、自分が日本人であることを強く意識して、理屈ではなく「選挙には行った方がいいな」と思うようになりました。
とはいえ、それはあくまで僕個人がそう思っているだけの話であって、そうじゃない人を責める気はさらさらないです。それなりのポリシーがあって棄権している人もいれば、ただ何となく行かない人もいると思います。そしてその選択に対してどうこう言う権利は僕にはないと思っています。
「投票率が上がらない理由? 日本人はバカだとか、都民も府民も終わってるとか上から目線で罵声浴びせられるから嫌気がさす」
僕の周りにも「選挙に興味がない」「今まで一度も行ったことがない」という人が何人かいて、「自分は行った方がいいと思ってるから行くけどね」という話はしますが、「はぁ?! 行かないとかありえないんだけど?!」とは決してならないです。
「選挙棄権=全権委任、オール・イエスですよ」って、んなわけあるか
「選挙棄権=全権委任、オール・イエス」
「選挙に行かないヤツは政治に文句言うな」
実はこれ、違いますからね。
先ほど「選挙を棄権したということは白紙委任と同義であるのだから、どんな結果になっても文句を言うべきではない」という主張は100歩譲って理解できると申しました。この主張、理解はできますけど実は正解じゃないです。
選挙に行かない人でも、政治に文句を言う権利はあります。
僕も最近まで「選挙に行かない人間は政治に口出しする権利はない」という考えを当たり前のように信じていました。確か中学のときの公民の授業だったと思いますが、「選挙に行かないっていうことは結果を支持することだからね」という担当教師の言葉を素直に受け取っていました。
ですが、2013年。
某市長の言い放った『「現状にご不満のない方はどうぞ棄権下さい。こちらで全部決めておきますから」くらい言ってもいい』という言葉。そして「棄権はオール・イエスである」という主張。
これを見たときに、直感的に「あ、これ危険だ」と思いました。
うまく言語化できないんだけど、何か違う。
この人、この意見、ちょっと危ないかもしれない。
個人的にこういう“ゴロっ”とした違和感は結構大事にしていて、「うまく言えないんだけど肌触りが気色悪い」という感覚は、危険を察知するセンサーとしてかなり正しく反応するものではないかと思っています。
それで調べてみたところ、選挙以外にも政治に参加する方法は案外多いということがわかりました。
・リコール(不信任)の署名
・支持政党の党員になる
・デモを起こす
・立候補する
この中で公的な参政権がリコール(不信任)の署名と立候補ですが、どちらも選挙権を行使したかどうかにかかわらずやろうと思えば誰にもできます。
支持政党の党員にしても、デモを起こすにしても参加資格に選挙権の行使が含まれているとはとても思えないです。
つまり、某市長が公式に発言した「選挙棄権=全権委任、オール・イエス」という主張は法的にはまったく無効です。というか、突き詰めていけば表現の自由の侵害にすらなりかねない危険な言葉かもしれないです。
そもそも「全権委任」ってアドルフ・ヒトラー先輩の思想ですね。
Wikipediaでも何でもいいので「全権委任法」で検索していただければわかると思いますが、あまりに強引な法で笑ってしまいます。
ヒトラー先輩曰く「俺が決めたことは憲法よりも優先だからね!!」
まさしくジャイアンイズムの完成型です。
まあ結局、政治なんてものはいかにジャイアンになるか、のび太にならないかということではありますが。
いかにジャイアンになって自分が優遇されるか。ジャイアンが無理だったら、どれだけうまく立ち回ってスネ夫になるか。もしくは超絶優秀な出来杉くんになって高みの見物を決め込むか。要するにそういうことかなと。
ひとたびのび太になってしまったら、ず〜っと摂取される側になります。現実世界には、のび太を庇ってくれるしずかちゃんもいないし、ドラえもんという反則技もありません。
それを考えると「選挙棄権=全権委任、オール・イエス」もあながち間違っていないのかもしれません。
いや、そんなことないか。
「「何か違う」「ちょっと嫌だな」という肌感覚、直感はそこそこ信頼できるよねって話。ZOZO TOWNの1億円バラマキ企画」
最後に
長々と書いてきましたが、結局何が言いたいかというと「選挙に行かない人を罵倒していい理屈なんかどこにもないんじゃないの?」ということです。政治的な主張では決してないです。
もしかしたら「こういうことを言うバカがいるから日本がおかしくなるんだよ」と言われてしまうかもしれませんが、バカで構わないので、ぜひとも「選挙に行かない人を罵倒していい理由」を納得いくように教えていただければありがたいです。
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