村田はブラントに勝負師として負けてる。準備、経験、覚悟。すべての面でブラントが上回り完勝。文句なしの感動的な試合だった【結果・感想】

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ラスベガス夜
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2018年10月20日(日本時間21日)、米・ネバダ州で行われたWBA世界ミドル級タイトルマッチ。
同級王者村田諒太がランキング1位ロブ・ブラントと対戦し、3-0(118-111、118-111、119-109)の判定負け。2度目の防衛に失敗した試合である。
 
 
いつも通りにガードを上げてプレッシャーをかける村田に対し、積極的に前に出て連打を浴びせるブラント。
序盤から全力で飛ばすブラントの連打をガードの間から被弾する村田。思ったように前進することができず、うまくペースを掴めない。
 
「村田諒太に「引退してほしくない」理由。コイツの本音が聞きたいんだよな。ボクシング界どうこうじゃなく、てめえがどうしたいか」
 
中盤以降、徐々にスピード、手数ともに落ちるブラント。そして、ペースアップを見せる村田。
これで流れが村田に傾きかけるものの、ブラントが後半から持ち直し、再び連打の回転力を上げて対抗する。
 
 
そして後半はブラントが村田を押し返すなど、最終3Rでは完全にブラントのペースで試合が進む。
 
判定が読み上げられると、納得した表情でブラントをたたえる村田の姿が印象的だった。
 
「やったぜ村田JUST DO IT.マイナビ諒太!! ロブ・ブラントを2Rで葬り王座返り咲き。辞めなくてよかったなオイ」
 

ブラント勝ったぜえええええぇぇぇぇ!!! こんなに感動したのは2016年のセルゲイ・コバレフvsアンドレ・ウォード戦以来かも

うっひゃっひゃっひゃっひゃっひゃ!!
ブラント勝ったぜオイ!!
 
だっはー!!
もうサイコーだな。
 
いや〜、興奮したぜ。
こんなすげえ試合が観られるなんて。
 
すばらしいなロブ・ブラント。
よくぞ勝ってくれました。
 
最初にお断りしておくと、僕は今回、村田諒太を応援していなかったわけではない。
先日のカネロvsゴロフキン戦の際に村田に対してあーだこーだと言ったが、それでもアンチ的な感情はない。
 
この試合も普通に村田に勝ってもらいたいと思っていた次第である。
 
ただ、途中から「ん? ブラントすごくね?」「おいおい、これは勝つんじゃねえか?」という雰囲気が出始め、最終的にこの選手のがんばりに目を奪われたという。
 
だって、すごかったでしょ。
村田がどうとかアンチが何だは抜きにして、この試合のロブ・ブラントはめちゃくちゃがんばったでしょ。
個人的には、2016年のセルゲイ・コバレフvsアンドレ・ウォードVol.1と同じくらい感動的な試合だったのだが。
 
「コバレフvsウォード感想。コバレフ敗れる!! ウォードが3-0の判定で王座戴冠!! 神の子がクラッシャーに鼻差で勝利」
 

ロブ・ブラントはいい選手だったよね。村田苦戦もあるかも? と思ってたけど、マジで勝つとは

そして、ロブ・ブラントという選手についても概ね予想記事で申し上げた通りの印象。
 
「村田諒太がやっぱりロブ・ブラント戦。ラスベガスで2度目の防衛戦はビッグマッチへの足掛かり? 結構いい試合になりそうな…」
 
左が鋭く左右に動き続けるバネもある。
S・ミドル級でのWBSSへの参戦経験もあり、フィジカル面もそれなりに強い。
実力的には村田にとっての過去最強で、ハッサン・ヌジカムやエマヌエーレ・ブランダムラよりも一段上。
 
特にあれだけスピーディで多彩な左は村田にとっても初体験。あの左で出足を止められた場合はちょっと手間取るかもしれない。
 
一応村田の11RKO予想をしておくけど、苦戦する可能性もあるんちゃう?
 
だいたいこんな感じである。
 
結果的に勝敗予想は真逆だったが、まあそれはそれ。
逆張り野郎である僕の勝敗予想なんて、めったに当たるもんじゃないww
 
それより、村田の前進をブラントが連打で止めてみせた。
ここに僕はモーレツに感動してしまった。
 

村田を止めるのはやっぱり前。手数とカウンターで前進を寸断し、攻撃の手立てを奪う

まず、今回のブラント陣営の村田対策は完璧だったと思う。
 
自分から連打を出して村田の前進を止め、攻撃の機会を奪う。
ワンツーパンチャーの村田の打ち終わりにカウンターをかぶせ、追撃のタイミングを封じる。
 
そして、村田の圧力をモロに受けないために、常にサイドに回り続ける。
 
先手を出し続け、カウンターの連打をかぶせ続け、足を止めずに動き続ける。
とにかく村田の射程の半歩外をキープし、悶絶ボディの間合いを作らせない。
 
ヌジカムやブランダムラは足を使って村田から逃げる作戦を選んだが、それが通用しないことは山ほど証明されている。
 
むしろ、村田を止めるには前
先日のカネロがゴロフキンにやったように、自ら前に出て手数と打ち終わりのカウンターで攻撃の手立てを奪う方がはるかに有効。
 
体力的にはめちゃくちゃしんどいが、鬼ごっこで袋小路に追い詰められるよりははるかにいい。
 
DAZNの実況が「村田の過去の試合を山ほど観た」「村田に関する記事を読めるだけ読んだ」というブラントのコメントを紹介していたし、この試合にかける意気込みは凄まじいものだったのだと思う。
 
開始早々、全力でスパートをかけたことを含め、相当の覚悟を決めてリングに上がっていたことがよくわかる。
しかも、中盤に効かされたところから後半にかけて持ち直す二番底。アレもお見事のひと言だった。
 
最後の方は打ち終わりではなく、動き出しを狙ってカウンターを当てていたし、完全にタイミングも掴んでいた感が強い。
 
「村田諒太現役続行!! そうだよ村田、アレで終わっていいわけがないw JUST DO IT.ガタガタ言ってる場合じゃねえw」
 

準備、経験、覚悟。あらゆる面でブラントは村田より上だった。そりゃあ、これだけ熱いものを見せられたらね。応援せざるを得ないでしょ


「練習してきたことを出せば普通に勝てる」とコメントしていた村田に対し、できる限りの研究を重ね、戦略を立ててリングに上がったブラント。
 
世界戦での相手がヌジカムやブランダムラなどのアウトボクサーばかりで、12Rを通した打ち合いの経験がない村田に対し、S・ミドル級でも当たり負けせずに12Rをしのぎきったブラント。
 
そして最初に申し上げたように、苦しい試合になることを覚悟でリングに上がり、フラフラになりながらも手を出し続けて勝利をつかんだブラント。
 
もはや勝負師としてもプロのアスリートとしても、村田はブラントに負けていたと言わざるをえない。
 
そりゃあ、あなた。
こんなもん、途中からブラント応援になりますよってね。
 
12Rのラストに村田に打ち勝ったシーンとか、マジですごかったでしょ。
目から溢れる汗を止められませんでしたよボカァ。
「魂を揺さぶられる」って、ああいうことを言うんだなって。
 
まあ、村田はアレだ。
この完敗がいい経験になったんじゃないの?
 
キャリアで初めてビリー・ジョー・サンダース対策()ではない相手と対峙して、結果的に丸裸にされたわけだから。
 
確かに鉄壁のガードと鬼フィジカルの突進はすごいけど、前に出ての手数とカウンターで相殺されちゃうこともわかったでしょ。カネロにはだいぶ分が悪いってことも判明したでしょ。
 
予想記事でも申し上げたが、今回の試合は2009年のジャーメイン・テイラーvsアルツール・アブラハム戦が参考になるのではないかと思っていた。
ただ、意外とカウンターが得意なアブラハムに対し、そこまでではない村田がブラントの左をどうかいくぐるか。それがこの試合の見所になるのでは? と。
 
そして結論としては、今の村田にそこの手立ては見当たらなかったという。
 
 
てか、この人のことだからまた「引退を含めて進退を考えるYo!」とか言い出すのかもしれないけど、せっかく経験を積んだんだからここで辞めるのはもったいないと思うけどね。
 

DAZNの力の入れようはすごかったね。というか、村田諒太は鷹村守じゃないでしょ。どっちかといえば……

なおこれは余談だが、今回の試合を中継したDAZNの力の入れようはなかなかだった。


「はじめの一歩」とコラボしたプレゼント企画など、やはり「ミドル級で活躍する日本人」のインパクトは絶大だということか。
 
「はじめの一歩」の作者の森川ジョージも「ミドル級は漫画でも許されないくらいの神の階級」だと言っている。
作中最強のボクサー鷹村守を村田諒太になぞらえ、この階級で日本人が勝つことがいかに凄まじいかが山ほど強調されていた。


まあ、僕自身「ミドル級で日本人が勝つことがとんでもない」という意見には大いに賛成なのだが、村田諒太を鷹村守に見立てることには若干の違和感を抱いていた。
「ん? 村田諒太が鷹村守? ちょっと違くね?」
 
むしろ鷹村守にたとえるなら、井上尚弥の方がしっくりくるだろと。
そして、階級を無視していいなら村田諒太は幕之内一歩だと思うのだが。
 
「村田覚醒? 強敵バトラーを壮絶左フックで5RTKO。ついに自分の馬力に気づいちゃったか? 前に出て腕を振れば相手は下がる」
 
確か、鷹村守のモデルとなったのが辰吉丈一郎。
そして、僕は以前から何度となく「井上尚弥は辰吉丈一郎の強化版だ」と申し上げている。
 
キャリアやファイトスタイルなど、どう考えても鷹村守を見立てるなら井上尚弥でしょとしか言いようがない。
 
いや、別にいいんですけどねww
 
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