2017年マエケンがやばい? 不調? 開幕2戦目に負け投手。今シーズンは苦労するかも?【予想・展望】
4月4日(日本時間5日)に開幕したMLB2017年シーズン。
開幕戦に登板したテキサス・レンジャーズのダルビッシュ、ニューヨーク・ヤンキースの田中将大。そして2戦目に登板したシアトル・マリナーズの岩隈久志、ロサンゼルス・ドジャースの前田健太。
MLB球団に所属する日本人投手はいずれも一定以上のピッチングを見せるものの、チームに勝ち星をつけられず。各々にとってやや不満の残るシーズン開幕となってしまった。
メジャー2年目となる“マエケン”ことドジャースの前田健太は5回を投げて75球4奪三振、6安打3失点。数字上はまずまずではあるものの、5回裏の打席で代打を送られQSはならず。長いイニングを投げるという2016年からの課題を克服したとは言い難い内容である。
メジャー1年目の昨年、16勝を挙げてポストシーズン進出の原動力となったマエケンの2017年の展望は?
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マエケン負け投手。期待される2017年シーズンだが、ちょっと厳しいかもしれない
MLBの2017年シーズンが開幕した。
1年目に16勝11敗 防御率3.48の成績でポストシーズン進出の原動力となった“マエケン”ことドジャース前田。
4月4日(日本時間5日)に行われた開幕2戦目のサンディエゴ・パドレス戦に先発したが、5回6安打3失点で負け投手となっている。
メジャー1年目に堂々の結果を残し、迎えた2年目の2017年シーズン。どれだけ成績を向上させるかに注目が集まるマエケンだが、果たしてどうなるか。
もちろん昨年以上のピッチングに期待している方は多いと思う。特にメジャーに移籍した日本人ピッチャーは2年目に成績を向上させる傾向が強く、マエケンもその流れに乗ってさらなる飛躍を遂げると思われているのではないか。
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だが、個人的には決してそうはならない気がしている。
この日のピッチングを観る限り、2017年のマエケンはかなり苦労するのではないだろうか。
昨年後半から、一部の鋭い観察眼を持った野球ファンの方が盛んに「マエケンが厳しい」とおっしゃっていたのだが、この試合を観て「確かにそうかもしれない」と思った次第である。
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軸となる4シームの球威が少しでも落ちると打たれる。好調なら抑えられる。マエケンは常にギリギリの境界線上にいる
4シーム 30.38% .212
2シーム 12.32% .319
チェンジアップ 10.58% .220
スライダー 29.43% .173
カーブ 17.26% .400
これがマエケンの2016年シーズンの球種の割合とその被打率である。
そして、以下がシーズン開幕から7月までのデータ。
4シーム 29.46% .180
2シーム 13.14% .353
チェンジアップ 8.648% .146
スライダー 30.07% .173
カーブ 18.70% .387
さらに以下が8月からシーズン終了までのデータ。
4シーム 31.92% .269
2シーム 10.95% .238
チェンジアップ13.84% .289
スライダー 28.35% .174
カーブ 14.86% .435
見てわかるとおり、各球種の割合はシーズン前半と後半でそれほど変わっていない。
チェンジアップの割合が増えてカーブが減ったくらいで、基本的には4シーム、2シームとスライダーを軸にピッチングを組み立てていることがわかる。
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だが被打率を見ると、4シームの被打率が7月までは.180と上々なのに対し、8月以降は.269。チェンジアップの被打率が.146→.289と大幅に悪化していることがわかる。
その分2シームの被打率が下がってはいるのだが、この2つの球種の悪化、特に4シームについては深刻である。
マエケンの4シームのデータを見てみると、
平均球速が
4月 90.21マイル
5月 90.66マイル
6月 91.15マイル
7月 90.98マイル
8月 90.90マイル
9月 91.38マイル
10月 91.00マイル
と各月でそこまで変わっているわけではない。
だが、ボールの伸びを示すVdrtical Movementの数値が
4月 9.97
5月 10.04
6月 9.52
7月 9.26
8月 9.60
9月 10.28
10月 9.06
となっており、夏場以降に若干落ち込んでいることがわかる。
「大して違わないじゃん。ほんの少し下がっただけだし誤差の範囲内でしょ」と言いたいところだが、この「ほんの少し」が大きな違いを生むこともまた事実である。
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申し上げたように、マエケンのピッチングの軸となるのは4シームと2シームにスライダー。もっと言うと、4シームをゾーンに投げ込み、スライダーを同じコースからボールゾーンに曲げて芯を外すピッチング。
左バッターには2シームとチェンジアップを使って真逆の軌道を見せていくわけだが、生命線となるのはやはり4シームとスライダーである。
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つまり基本的にストライクゾーンで勝負できるのは4シームのみ。そして実際の試合を観るとわかるのだが、平均90~91マイルというのはマエケンの4シームが通用するギリギリのボーダーラインである。
感覚としては、コンスタントに92マイル以上出ている日はまあまあ。
だが、それを少しでも下回るとあっさり捉えられてしまう。
シーズン後半に疲れが溜まったことでほんの少し4シームの威力が低下し、ボーダーラインを下回った。もちろん登板日ごとの波はあるとは思うが、夏場以降の被打率が大幅に悪化したのはそのためだと考えられる。
そして、これも感覚的なものだが、マエケンはだいたい80球前後でヘバる傾向が見られる。好不調の波だけでなく、疲れによる球威低下。
おかげで5、6回にピンチを迎えるケースが増え、失点も多くなる。2016年に投げた最長が7回、それもわずか2度のみというのも、これが原因だろう。
先日の登板も5回75球で代打を送られており、このあたりはいわゆるスペック的な限界というヤツである。
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カーブが多過ぎる。キャッチャーのグランダルの好みだと思うが、初球カーブの被打率があり得ない
また、マエケンのピッチングの問題点をもう一つ挙げると、カーブの割合が高過ぎることだろう。
上述した2016年の投球データを振り返ると、
カーブ 17.26% .400
となっており、
開幕から7月までは
カーブ 18.70% .387
8月からシーズン終了までは
カーブ 14.86% .435
である。
「田中マー君快投!! フライボール・レボリューションへの対抗策? 2シームを減らしてスライダーとカッター、カーブを増やす?」
正直、被打率.400の球が全投球の17%以上を占めているのはあり得ない。
シーズン後半は14.86%とやや下がっているが、それでも被打率は.435と悪化している。
しかも、初球にこのカーブを投げる割合が全体の31.50%。年間通して4シームの31.88%とほとんど変わらない比率で初球にカーブを持ってきているのである。
恐らくこれは投球パターンを読まれたためで、初球にカーブが多いことをデータから予測されたのだろう。案の定、8月以降の初球カーブの被打率は驚きの.500である。
うん。
これはマジであり得ない。
恐らくキャッチャーのグランダルが好んで投げさせているのだろうが、脳みそが沸騰しているとしか思えない。
はっきり言って、マエケンのカーブはピッチングの軸になるような質ではない。あくまでピッチングのアクセントをつけるためのもので、意表をついて投げてこそ活きる球である。
同じチームのクレイトン・カーショウやソフトバンクの武田翔太のように、その球のみで勝負できるほどの質はマエケンのカーブにはない。
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ちなみにだが、2016年シーズンのカーショウのカーブは投球割合が全体の15.33%で、被打率が.144。こういうのを「軸になる球種」と呼ぶのである。
やっぱりマエケンの2017年は苦戦する? スライダーのスピードアップとカーブの使いどころを気をつけたいけど……
ピッチングの軸となる4シームはゾーンで勝負できるギリギリの球威。少しでも落ちればあっという間に打ち頃の球になる。
2016年シーズン後半は球威が落ちたところを痛打され、カーブを多投する投球パターンも読まれた。しかも右打者にはスライダー、左打者には2シームとチェンジアップで芯を外すという投球術をMAXに発揮した上で。
自身のポテンシャルを全開にした上での微妙な内容。
これが2017年マエケンの初登板だったわけで、制球が定まらず守備にも足を引っ張られたダルビッシュや、そもそも不調過ぎて話にならなかった田中マー君とは深刻度が違う。
先日の松坂大輔ではないが、伸びシロのなさという意味ではなかなかである。
「松坂大輔さんの2017年成績予想【定例報告】オープン戦ラスト登板で広島を相手に7回無安打無失点」
常にタイトロープの上を歩くようなスレスレのピッチングを強いられ、なおかつ投球パターンも攻略されつつある状況。
これを打破するには2016年の田中マー君のようにスライダーを高速化するくらいしかないと思っていたが、先日のピッチングでは特に変化は見られず。もちろんグランダルのカーブ好きも相変わらず。
「2017年田中マー君はサイヤング賞を獲得できるか? 実はダルビッシュよりも可能性が高い?」
そう考えると、やはり2017年シーズンのマエケンはかなり苦戦すると言わざるを得ない。注目を集める2年目のシーズンではあるが、あまり過度な期待を持たない方がいいのかもしれない。
一応申し上げておくと、マエケンが通用しないと言っているわけではないです。今のままでも十分いいピッチャーだし、先発2、3番手の力はあります。
ただ、スペック的にもピッチング内容的にもこれ以上の上積みが期待できないと言っているだけで、毎試合それなりのものは見せてくれると思います。
1年間ローテーションを守ったとして、ざっくり10勝10敗 防御率3.60~4.00 投球回150くらい?