ロマチェンコにウォータースは勝てるか? 無理だろうなぁ。勝って欲しいけどなぁ。ロマチェンコはすごいからなぁ【WBO世界フェザー級予想】
WBO世界フェザー級王者ワシル・ロマチェンコとニコラス・ウォータースの対戦合意報道が出てから数日。
TV放映などの詳細を詰めてから正式発表されるとのことだが、具体的にはいつになるのだろうか。
「ウォータースvsロマチェンコ決定ワロタww これで内山vsコラレス再戦確定的か?」
日程は2016年4月16日を予定しているとのことで、準備期間を考えるとそろそろはっきりとさせてもらいたいところである。
ニコラス・ウォータースといえばご存知のとおり、2016年に海外進出を目論む日本の内山高志の標的として名前が挙がっていた選手だ。
「内山vsウォータース予想!! 実現なるか? 日本のKOダイナマイト内山高志とニコラス・ウォータース」
だが、結果的には大物ロマチェンコに先を越されてしまったということだろうか。もしくはマネー交渉のレベルが違い過ぎてまったく勝負にならなかったとか。
ちなみに内山vsフォルトゥナ戦も「順調に交渉が進んでいる」との報道を耳にしてからだいぶ時間が経つが、こちらの方はどのような状況なのだろうか。
「タイからの未知なる強豪、なんたらゴーキャットジム(31)」と大田区総合体育館での防衛戦という事態だけは避けてもらいたいのだが。
まあそれはそれとして、今回はワシル・ロマチェンコvsニコラス・ウォータース戦の行方を予想してみようと思う。
以前の記事で「対戦が正式発表されてから」と申し上げたが、試しに観直してみたロマチェンコの試合があまりにすごかったために前倒しで書こうと思った次第である。
「ウォータースvsロマチェンコだと!? 内山はフォルトゥナ戦を絶対実現せないかんぞ」
ただ、前にも言ったとおり僕はウォータースのファンなので、ウォータースびいきの記事になることは間違いない。どうかその辺はご勘弁いただければと思う。
付け入るスキが見当たらないロマチェンコ。どうすんだコレ?
ロマチェンコはすごい。
改めて観たが、これはすごい。
スピードと手数、当て勘と防御勘。そして滑るようなステップなど、凄まじいまでの完成度である。至近距離での左右へのステップなども含め、すべてのスペックが最高値。あの動きに対応できる選手などこの世に存在しないのではないかと思うほどだ。
ウォータースが勝つにはどうすればいいかを考えようと思ったのだが、結局ロマチェンコのすごさを思い知っただけになってしまった。
「亀田兄弟がおもしろいこと始めたぞ!! JBCに6億6000万訴訟?」
だがロマチェンコのすごさはそれだけではない。
何と言うか、動きにリズムがないのだ。
基本的にどんな選手にも一定のリズムというものがあるはずなのだが、ロマチェンコにはそれがない。あったとしてもごく小さなもので、ほとんど感じられることはないのである。
「ゴロフキンがウェイドを子ども扱い!! もう相手おらんなこりゃ」
うまく言えないのだが、出力を0からいきなり100まで上げることができるとでも言えばいいか。助走なしで一歩目からトップスピードを出すことができるというか。
スムーズなコンビネーションを打つ選手はたくさんいるが、ロマチェンコに関しては別格だ。打つ瞬間の身体の溜めがほとんど感じられないのである。
基本的なスピードや当て勘のよさだけではなく強弱を自由自在に操れる。こう言えばしっくりくるか。
要するに、回転数をいきなり全開にしたり、スピードを抑えて強く打ったりといったことが予備動作なしでできるのである。
「クイッグがフランプトンに敗れる!! 英国スター対決は凡戦の末にフランプトンに軍配」
ここぞの場面で全力を出すのではない。
いつでも出したいときに出せる。
テンションを上げるでもなく、ペースを握って徐々にギアを上げていくのでもない。ごく普通に呼吸を乱すことなく。トイレにでも行くようなテンションのままトップギアに入るのである。
「サンタクルスがキコ・マルティネスにKO勝利!! 試合後にフランプトン、ラッセルとのビッグマッチを希望!!」
さらに言うと「この相手にはどの場面で何速まで出せばいいのか」という判断力にも長けているので、対戦相手はいつまでたってもロマチェンコのリズムを掴むことができない。
かといってスピード勝負を挑んでもロマチェンコにかなうわけがない。
結論を言ってしまうと、技術戦でこの選手に勝つのはほぼ不可能だ。この先ロマチェンコに衰えが見られないかぎり、完全に攻略されることはないと断言できる。
「内山国内防衛ワロタ _( ̄▽ ̄)ノ彡 だから言っただろww 大田区総合体育館を想定しておけと」
プロの水に慣れたロマチェンコにはラフファイトすらも通じない
難攻不落のロマチェンコに勝つとしたら、やはりオルランド・サリドがやったようなラフファイトが最も有効だろう。
だが、果たして今のロマチェンコにあの作戦が通用するのだろうか。
はっきり言って僕は無理だと思っている。
「内山vsコラレスを予想する!! 4月27日の大田区総合体育館でトリプル世界戦開催!」
サリド戦のロマチェンコは、強引に突進してくる相手をカウンターで迎撃しようとしてラフファイトに巻き込まれてしまった。頭突きまがいの突進で前に出るサリドを正面から受け止めてしまったために、まんまと術中に見事にハマってしまったのである。
「マジでやるんかマイキー・ガルシアvsズラティカニン。失われた2年間を取り戻せ」
だが、ここ最近のロマチェンコはちょっと違う。相手の前進に合わせてバックステップで距離をとったり、左右に動いて的を絞らせないなどの慎重さを身につけている。恐らくプロ転向2戦目でいきなり辛酸をなめたことを教訓としているのだろう。本気でアウトボックスに徹するロマチェンコについていける選手などそうはいない。
「木村悠防衛失敗!! ガニガン・ロペスの接近戦をさばけずに判定負け」
もちろんそれはウォータースも同様だ。
サリドがあのラフファイトに持ち込めたのは、プロ2戦目というキャリアの浅さにつけ込むことができたからに他ならない。
「ゲイリー・ラッセルがロマチェンコに熱烈片思い? ハイランド戦を2RTKOで圧勝」
攻めるときは攻める。
逃げるときは逃げる。
プロの水に慣れて攻防のメリハリを身につけたロマチェンコに、もはやラフファイトに持ち込む作戦は通用しないだろう。
そして最も厄介なのが、ロマチェンコが真面目だということである。
どれだけ有利な状況でも遊ばず、相手を舐めるようなパフォーマンスもしない。対戦相手を最大限リスペクトした上で、勝つための最善策をクレバーに選択するのである。
「ロマチェンコがゴロフキン化? マルティネスに手も足も出させず完勝!! アカンわこりゃww」
最後の最後まで気を抜かず、勝利への最短距離を走りきろうとする姿勢は問答無用ですばらしい。
だが、勝負の行方を占う意味ではつまらないことこの上ない。
これもサリド戦の敗北が教訓となっているのだと思うが、対戦相手にとってはたまったもんじゃない。あれだけのポテンシャルを持った選手がクソ真面目に勝ちにくるのだ。一発逆転の可能性すら見出せない絶望感に包まれること請け合いである。
天笠戦のリゴンドーのように、多少でも自分を舐めてくれれば対処のしようもあるのだが。
「エロール・スペンスがクリス・アルジェリをまったく問題にせず!! こりゃ本物だ」
ウォータースが実力で勝とうと思っているのなら、それは大いなる勘違いだ
まずこの試合、ウォータースが判定でロマチェンコに勝つのは不可能だ。
理由は長々述べてきたとおりである。唯一可能性があると思われたラフファイトも、力強さと慎重さを身につけた今のロマチェンコには通用しない。
純粋なボクサーとしての実力でウォータースがロマチェンコを上回ることはできない。
どこかにスキはないものかと過去の試合を観直したのだが、観れば観るほどウォータースが勝つ光景が浮かばない。
パンチに合わせたバックステップ、近距離での足さばき。どれだけ考えてもウォータースのパンチがロマチェンコを捉える画が想像できない。
「ゾンビか!! サリドがバルガスを追いつめ惜しくもドロー!!」
フィジカルでゴリ押しすればいけるのではないかとも思ったが、残念ながらそれも無理だ。手数で圧倒されてあっという間に体力差を相殺される。打たれても前に出続けろとはよく聞くが、実際あれだけ精度の高いパンチを間断なく打たれれば後退は避けられない。
もちろん普通に打ち合っていたのではさらに絶望的だ。ウォータースが1発出すうちにロマチェンコのパンチは2発飛んでくる。ウォータースがガードポジションに戻る前にロマチェンコの2発目がウォータースを捉えるという地獄絵図である。
ロマチェンコの猛攻にロープを背にして亀になるウォータースの姿だけは容易に想像できてしまうから困りものだ。
もしかしたら、ガードの真ん中から左を被弾したウォータースが尻持ちをつくというパターンもあるかもしれない。
「ロマチェンコ完勝! ウォータースあへあへギブアップで余裕の防衛成功!! 階級アップで覚醒」
いや、まいった。
これは厳しい。
「みんなロマチェンコが完封するっていうけど、俺はウォータースが勝つと思ってるんだよね」
このセリフを言うためにロマチェンコの試合を観始めたのだが、どうやってもロマチェンコ勝利の結論しか出ない。
内山vsウォータース、内山vsフォルトゥナであれば、あれこれ楽しく想像できるのだが。
「内山がフォルトゥナに勝てるかを予想する。WBA統一戦に勝利し、さらなるビッグマッチに進むのはどっちだ?」
ウォータースが勝つにはKO一択。逆転のワンパンチでロマチェンコをリングに沈めろ
結局のところ、ウォータースが勝つにはKO一択だ。
どんな展開になろうがどのラウンドだろうが、ポイントでは間違いなくリードされる。何ラウンドのどのような局面でも、ウォータースの勝利は一発逆転のKOしかあり得ないと断言してもいい。
そして、ウォータースの持ちネタの中でロマチェンコに通用しそうなパンチはただ一つ。あのアッパーだけである。
ドネアやダルチニャンからダウンを奪った「アックスマン」の代名詞ともいえるアッパー。出所の見えない角度から飛んでくるウォータース得意のパンチである。
あのアッパーを突き上げてKO勝利、もしくはそれに近い状態に追い込むことがウォータースがロマチェンコに勝利する唯一の手だ。
もちろん普通に打っていたのでは当たるわけがない。周到な作戦と伏線を張り、一瞬のチャンスにすべてを賭けて打ち込む必要がある。
まずあのアッパーにつなぐために、なるべくロマチェンコに横の軌道を覚え込ませることだ。ボディやフックを中心に、ガードの上からでもいいのでとにかく手を出し続けるのである。
そしてひたすらまっすぐ前進する。相手のサイドに回り込もうなどと考える必要はない。そんなことをしてもどうせサラッとかわされる。身体の強さを活かして愚直に前に出続けるのである。
当然反撃はされるし、被弾もする。それでも前に出続けて無理矢理にでも手を出し続けるのだ。あれだけ間断なくパンチを打ちこまれれば後退してしまうと言ったばかりだが、ウォータースはその連打を超えて前進し続けなくてはならない。
恐らくポイント的には一方的になるだろうが、そんなことを気にしてはいけない。片目がふさがるくらい顔が腫れるかもしれない。それでも、ロマチェンコに勝つためにはその程度の犠牲は必要である。
横軌道のパンチを打ち続け、愚直に前に出続けて十二分に横の軌道を意識させたところでようやく勝負だ。
左足を大きく踏み込み、右に回るロマチェンコの退路をふさぐ。ロマチェンコの足が揃う一瞬を狙ってガードの間からアッパーを叩き込む。
横軌道のパンチを見せ続け、まっすぐに前進し続けたところからいきなりのサイドステップ。そして見えない角度からのアッパーだ。普通に打つよりも当たる確率ははるかに高いはずである。ウォータースのアッパーがまともに当たれば、ロマチェンコといえども間違いなく倒れる。
最近のウォータースは肩に力が入り過ぎだとも言ったが、もちろんそんなことは解消済みという前提である。
「ウォータースがソーサにまさかのドロー!! S・フェザー級転向初戦で連勝ストップ」
というか、僕の陳腐な想像力ではこれくらいしかウォータースが勝つ姿が想像できない。冗談抜きで何かいい考えがあれば教えてほしい。
残念ながらこの試合はロマチェンコのイージーゲーム。ウォータースが勝てば奇跡だ
何度も言うが、今回の試合はどう考えてもロマチェンコの有利は動かない。ビッグマッチの様相を呈してはいるが、実際にはロマチェンコのイージーゲームだ。
個人的なオッズは11対1くらいでロマチェンコ。両者にはそのくらいの差があるように思える。
ウォータースを応援している身としては、何とか奇跡の扉をこじ開けて欲しいのだが。
ん?
おかしいな……。
ウォータースを応援する記事を書くつもりだったのだが、ロマチェンコを褒めてばかりいる。