俺のコバレフが勝ったどー!! アルバレスの圧力を抑え込んで王座返り咲き。慎重な破壊神ってのもいいじゃないですかw【結果・感想】
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2019年2月2日(日本時間3日)、米・テキサス州で行われたWBO世界L・ヘビー級タイトルマッチ。
同級王者エレイデル・アルバレスと前王者セルゲイ・コバレフの一戦は、3-0(120-108、116-112、116-112)の判定でコバレフの勝利。2018年9月以来のダイレクト・リマッチを制し、見事に王座奪還に成功した試合である。
序盤から軽快な動きと細かい連打でヒットを重ねるコバレフ。
アルバレスも力強いジャブとボディへの左で対抗するが、コバレフの出入りについていけない。
中盤から徐々に圧力を強めるアルバレスに対し、例によって失速するコバレフ。
時おり危険なタイミングの右がテンプルをかすめるものの、すばやいバックステップでかろうじて回避する。
そして、ラスト3Rはコバレフがペースを取り戻し、再び出入りと連打でアルバレスを翻弄。
終始主導権を渡さず12R終了のゴングを聞く。
結果は3-0でコバレフの勝利。
内容的には接戦ではあったが、ジャッジ1人がフルマークをつける大差となった。
セルゲイ・コバレフベストバウト3選。やっぱりコバレフ超カッコいい。圧倒的な“クラッシャー”っぷりと人間味溢れるコバレフが大好きですww
コバレフ勝ったどー!! アルバレスもよかったな。これで辞めるとか言うなよ
やったぜ俺の()コバレフ!!
ダイレクト・リマッチで見事にリベンジに成功。
前回のKO負けを観て「これで引退かな?」とか言ってスマンww
「サンキューコバレフ、お前はサイコーだった。アルバレスに7RKO負けで王座陥落。クラッシャーの終焉か?」
まず、何よりおもしろい試合だった。
以前から申し上げているように、僕はセルゲイ・コバレフのファンである。なので、今回もコバレフ寄りで観ていた。
そして、それを踏まえた上でおもしろかった。
コバレフが勝利したことはもちろん、アルバレスのがんばりもよかった。
胸を打つような感動はなかったものの、随所に両者の駆け引きが見える好試合だったと思う。
はい。
コバレフは復活おめでとうございます。
アルバレスもナイスファイト。まだまだ辞めるとか言うんじゃねえぞ。
過去2度、弱点をつかれてKO負けを喫したコバレフ。ウォードはうまかったよね
具体的な感想については、コバレフの慎重さが際立った試合かなと。
前回の対戦では、
・序盤はいつも通りのど迫力のラッシュで圧倒
・中盤から徐々に失速
・ボディを叩かれ、下を意識させられ顔面をドカン
という流れでのKO負け。
2017年のアンドレ・ウォードVol.2と似たようなパティーンで撃沈させられている。
「ウォードが再戦に完勝!! コバレフがキャリア初のKO負けでリベンジ失敗。仕方ないね。ちょっと差があり過ぎたよな」
・中盤から失速する
・インファイトが微妙に苦手
・ローブローに神経質
・左ガードの低さ
諸々の弱点? をウォードにうまく狙われ、生涯初のKO負けを喫した試合である。
そして、前回のアルバレスも基本的には同じ。
・序盤のラッシュを耐え、
・ローブローを気にせずボディを叩き、
・インファイトでカリカリさせ、
・動きが落ちた中盤にオーバーハンドの右を叩き込む
アルバレスにはウォードほどの器用さはないものの、持ち前のフィジカルと根気強さでコバレフの牙城を崩してみせた。
省エネ慎重な破壊神。極力インファイトを避け、後半に体力を温存する作戦か
それを受けてのダイレクト・リマッチとなった今回。
この試合では、過去2度のKO負けを反省し、大事に大事にラウンドを消化する破壊神がそこにいたww
リング中央、たっぷりと距離をとって対峙する両者。
上半身を目いっぱい伸ばすようにジャブを打ち込むコバレフに対し、しっかり足を踏ん張り力強く腕を振るアルバレス。
この距離だと、アルバレスのジャブはコバレフには届かない。だが、コバレフの左は悠々アルバレスの顔面に到達する。
距離を支配したコバレフは常にその位置関係をキープし、前後に動きながら細かいワンツーをヒットしていく。
時おりいいタイミングで右がヒットし、一瞬アルバレスの動きが止まる。
ところが、今回のコバレフはそこから踏み込まない。
あそこで一気呵成にラッシュを浴びせるのがこの選手の勝ちパターンなのだが、今回はあえての自重。
前回の対戦ではあのラッシュでアルバレスを倒しきれず、なおかつ中盤から反撃を受けてKOされた。恐らく今回はそれを反省した上での選択だったと思うが、個人的には「なるほど」な作戦だった。
「これが僕のコバレフ! ヤードに苦戦しつつも11RKO勝利で初防衛に成功。もうカッチョいい。最高にカッチョいいww」
細かい連打でアルバレスを遠い位置に釘付けにし、インファイトでのもみ合いは極力避ける。
アルバレスのボディストレートや左ジャブはバックステップと見切りでかわし、ポイントを稼ぎつつ後半に向けて体力を温存する。
“破壊神”の異名には程遠いが、やや体力の落ちた自分を客観視した試合運びだったのではないか。
アルバレスの作戦は前回と同じ後半勝負。でも、思ったよりも前半でコバレフの体力を削れず
対するアルバレスについてだが、こちらは基本的には初戦と同じ作戦。
前半はコバレフの猛攻に耐えつつインファイトでボディを叩き、中盤以降の失速を見計らってペースを上げる。
主導権を奪い返したところで「ボディを意識させる→右のオーバーハンドをドカン」という流れをイメージしていたはず。
そして、恐らく作戦自体はうまく機能していたのだと思う。
開始直後から盛んにボディに左を打ち込み、コバレフの踏み込みにはカウンターで対抗。
相手の体力が満タンな序盤はダメージを最小限に。要所でのボディ打ちで弱らせ、中盤から勝負をかける。
「ホ、ホントにやるんかカネロvsコバレフ。さすがにこれはコバレフが勝たなきゃダメなヤツじゃない?」
だが、想定以上に今回のコバレフが慎重で、思ったよりも体力を削れない。
6、7、8Rに圧力を強めて勝負をかけるものの、あと一歩のところで凌がれてしまう。
うん。
右のオーバーハンドが何度もコバレフの顔面をかすめてたし、マジであと一歩だったんだよなアルバレスは。
ただ、コバレフの慎重さが功を奏して当たりが浅い。
コバレフもそれなりにダメージを覚悟していたのかもしれないが、それも含めて一枚上手だった印象。
その結果、9R以降アルバレスはなかなか前に出られず。
疲労とダメージで逆に出足が鈍り、コバレフに逃げ切りを許してしまった。
結果論だが、8Rまでに決定打を奪えなかったことがアルバレスの敗因と言えるのかも。
「田中恒成vs田口良一決定か。どうなるかがまったくわからん。今回はTBSで全国中継されるってさよかったな」
おもしろい試合でしたね。コバレフの理不尽なパンチ力と圧力が際立った
とは言え、繰り返しになるがおもしろい試合だった。
“破壊神”を捨てたコバレフの現実路線と、前回同様の根気強さを見せたアルバレス。
どちらもナイスファイトで、個人的には大満足の一戦である。
「カライジッチが怪物ベテルビエフに挑戦。マーカス・ブラウンを苦しめた長身カウンター使いが初の世界戦。がんばれ俺のカライジッチ」
あとはまあ、改めてコバレフの理不尽なパンチ力が光った試合でもあったかな。
ここぞの踏み込みを我慢する慎重な試合運びではあるが、1発1発の破壊力はやっぱり凄まじい。
普通にガードを上げて前進するだけでアルバレスが後退させられるシーンが何度もあったし、向き合っているだけでも相当な圧力を感じていたのではないか。
また、明らかにボディが辛そうだったのも印象的。そこまでボディを打たれている感じもしなかったのだが、たまに突き刺すボディストレートがめちゃくちゃ効果的だったのかな? などと想像している。
というわけで、諸々の結果を踏まえて僕はこれからコバレフのことを“Little Crusher”と呼ぶことにした(呼ばない)。
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