亀海喜寛引退。先入観、常識に立ち向かい、時計の針を進めた男の偉大さ。日本人が中量級以上で通用しない? 冗談も休み休み言えよw
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2018年11月6日、亀海喜寛が引退を発表した。
「2005.11.05~」
元東洋太平洋ウェルター級王座。
2011年から本格的に米国進出を果たし、2014年のロバート・ゲレロ戦で惜しくも敗戦。だがこの試合が年間最高試合候補になり、評価を一気に上げる。
その試合をきっかけに、2015年には日本人で初めてGBPと契約を果たす。
そして、2016年のヘスス・ソト・カラスとの2度に渡る大激戦を経て、ついに2017年8月にS・ウェルター級で世界挑戦のチャンスを得る。
しかも相手は元4階級王者ミゲール・コット。
歴代日本人選手の中でもトップクラスのビッグネームとの対戦は、ファンの間でも大きな話題となる。
結果は大差判定で敗れたものの、「日本人には無理だ」と言われ続けた中量級でビッグネームを相手に世界戦を実現した意義は大きく、多くのファンに感動をもたらした。
ところが、2018年1月に予定されていたダクアン・アーネットとの再起戦は、亀海の肩の故障のために中止。
仕切り直しとして同年8月に行われたグレグ・ベンデティ戦では0-3の判定負け。
本人によると、直近のミゲール・コット戦からなぜか上腕二頭筋に力が入らなくなる現象が起き、パワーパンチを打てない状態が続いていたという。
無人の野を切り開き、日本人がこの階級でも十分にやれることを証明した亀海喜寛。
今後はトレーナーとなり、後進の指導に当たるとのこと。
「亀海喜寛「引退しました」今後はトレーナーになる」
亀海引退か…。続報がないからどうしたのかな? と思ってたけど、残念だな
亀海喜寛が引退した。
やはりというか、残念というか。
前回のグレグ・ベンデティ戦以降の情報がなかったのでどうしたのかな? と思っていたが。
年齢的にもこの連敗はちょっとキツかったということか。
「亀海完敗…。グレグ・ベンデティとのカウンター勝負で歯が立たず。今回はどうにもならなかったな」
とはいえ、この選手の功績は計り知れない。
日本で敵なしを証明して主戦場を米国に移し、数々の激闘の末にミゲール・コットとのタイトルマッチまでたどり着いた。
2011年以降のキャリアは叩き上げという言葉がピッタリの戦績で、歴代日本人選手の中でも屈指の実績と貢献度と断言していいと思う。
マジでナイスファイト。
今後はトレーナーになるとのことで、いっそうの活躍を期待しております。
「日本人には無理」という先入観に抗い、「筋トレは悪」という謎理論も覆した。それが亀海喜寛
申し上げたように、亀海喜寛という選手は歴代日本人選手でもトップレベルの実績、貢献度の持ち主だと思っている。
ロバート・ゲレロやヘスス・ソト・カラスとの壮絶な打撃戦で現地のファンの心をつかみ、元4階級王者ミゲール・コット戦を実現させたのはもちろん、中量級以上は日本人には無理だという「先入観」に真っ向から立ち向かったこと。これがめちゃくちゃ大きいと思う。
・日本人には無理
・外国人とは体格、パワーが違い過ぎる
・骨格の作りが違う
・体格では歯が立たない
スポーツ界には昔から「日本人はヤワで非力」というジョーシキ()があり、海外の選手に対抗するには「体格で敵わない分を持ち前の器用さとチームプレー、テクニックでカバーする」ことが前提とされていた。
特にボクシングなどのコンタクトスポーツでは「真正面からぶつかっても歯が立たない。技術と知力を駆使して日本人らしく()戦うべき」という考えが長年定着していた(ように思う)。
「コットvs亀海感想。あ~、亀海これでいっちゃったか。もう少しやりようがあったような気が…」
同時に、
「筋トレは悪」
「筋肉をつけ過ぎると邪魔になる」
「動きの制限になる筋トレはするべきではない」
「器具を使うトレーニングでは実践的な筋肉がつかない」
という考えがジョーシキ()とされ、フィジカルアップのためのウェイトトレーニングは長年タブーとされてきた(ように思う)。
筋トレによって身体を大きくして階級を上げた亀海喜寛。飛び抜けたセンスがなくても十分やれるんだよ
だが、このジョーシキ()に真正面から立ち向かったのが亀海喜寛。
下記の記事にもあるように、かなり早い時期から練習の中にフィジカルトレーニングを取り入れ、その効果を実感していたとのこと。
「道なき道を登り頂点まで迫った亀海喜寛が引退」
2010年には階級をS・ライト級からウェルター級へ。
そして、2014年のロバート・ゲレロ戦後には、フィジカル面の充実を図ってS・ウェルター級への階級アップを決意する。
現状のスペックを活かすために減量をがんばり、当日のリバウンド込みで階級を選択するのがボクシング界での「常識」。
だが、亀海はフィジカルトレーニングによって自らのスペックを底上げし、排気量が増すごとに階級をアップしていった。
「年齢が上がれば体重が落ちにくくなるので、仕方なく階級を上げる」のではなく、自ら進んで身体を大きくし、もっとも動きやすいと感じる階級に足を踏み入れた。
「大健闘の井上岳志。ハイメ・ムンギアに3-0の判定負け。でもめちゃくちゃカッチョよかったよな。採点は…118-110かな?」
今でこそ器具を使ったトレーニングは一般的になりつつあるが、それもここ数年のこと。
恐らく2000年代後半〜2010年代前半くらいまでは、亀海のような選手はかなりの異端だったのではないか。
もちろん筋トレの効果を感じて実践していた選手もいるとは思うが、やはり亀海クラスのトップレベルの選手がそれをやっていたことは大きい。
しかも、記事内では本人が「エリートでもなく飛び抜けたセンスがある訳でもない」とも言っている。
井上尚弥や長谷川穂積のような才能に恵まれた選手でもない亀海が、ボクシング界のジョーシキ()に真っ向から抗い、十分な効果があることを証明した。
そういう意味でも、この選手の功績はとてつもない。
「日本で中・重量級に人材が集まらない理由? 逆に何でメキシコでは人材が集まるの?」
日本人はヤワで非力? 器用で技術力が高い? そんなの絶対違うからな。亀海を見れば一目瞭然でしょ
そもそも論として、日本人が中量級で通用しないという固定観念、先入観自体がおかしい。
以前にも申し上げたが、日本人はヤワで非力なんてのは絶対に嘘。
器用で技術力が高いというのも嘘。
日本人の世界王者を見ればわかるように、むしろスピード&パワーでぶち抜くタイプの方がずっと多い。
2015年にラグビーW杯の日本代表を率いたエディ・ジョーンズも「チームプレーという言葉に逃げるな」と代表チームでのフィジカルトレーニングを重視し、結果的に「世界一のフィットネス」と呼ばれる強力なディフェンスを作り上げた。
もちろん人口比率や先天的なものなど、多少は人種間の差もあるとは思う。
それでも、ウェルター級〜ミドル級(63kg〜72.5kg前後)の体格で、そこまで絶望的な違いが出るの? という話。
「「日本人はフィジカルが弱い」←これホントなの? そんなことないんじゃない? むしろスピード&パワーで勝負するべきな気が」
ちなみにだが、亀海が2014年以降に喫した黒星は
・ロバート・ゲレロ(2014年)
・アルフォンソ・ゴメス(2015年)
・ミゲール・コット(2017年)
・グレグ・ベンデティ(2018年)
の4つ。
振り返ってみればわかるが、どの試合も判定負け。しかも、足を使われて翻弄されての敗戦である。
KO負けどころか、僕は2014年以降、亀海がパンチを効かされたシーンすらも観た記憶がない。
要は、亀海がフィジカル面で海外の選手に負けたことなど1度もない。
この階級での日本人は絶望的でもないし、体格的にまったく歯が立たないわけでもない。
「日本人は非力」というジョーシキ()が間違いだということは、この選手によって山ほど証明されている。
繰り返しになるが、井上尚弥や長谷川穂積のようなスペシャルな才能の持ち主ではない亀海が無人の野を切り開いたことで、日本人がこの階級でも十分やれることを示した。
その功績はとてつもなく大きい。
体格的に敵わないのではなく、経験値と知名度が足りない。ここを解消するために藤本京太郎を応援するべきなんだよ
村田諒太と「はじめの一歩」の作者森川ジョージの対談↓
#森川ジョージ が語る”神の階級”
「(日本人のミドル級制覇)は漫画でも描いちゃいけない」#村田諒太さらなる一歩 #村田諒太 との対談、必見です👇pic.twitter.com/wNrJLyg0gN— スポーティングニュース・ジャパン (@sportingnewsjp) 2018年10月19日
・ミドル級は神の階級
・漫画でも描いちゃいけない
・日本人は体格で潰されちゃう
・そこで金メダルを獲るのはあり得ない
・しかも、前に出て勝つなんて…
恐らくだが、これが当時の一般的なジョーシキ()なのだと思う。
その先入観がしょーもないということを、亀海喜寛はキャリアを通して証明してみせた(もちろん村田諒太も)。
「村田はブラントに勝負師として負けてる。準備、経験、覚悟。すべての面でブラントが上回り完勝。文句なしの感動的な試合」
何度も言うが、中量級以上は「日本人にとって絶望的な階級」なわけじゃない。
体格的に厳しいというのも真っ赤な嘘。
むしろ、足りないのは経験値と知名度。
この階級の層の薄さと米国での知名度のなさ。
先日ロブ・ブラントに敗れた村田諒太も、結局はその部分に跳ね返された感が強い。
もっと言うと、日本に中量級以上で通用する人材がいないわけでもない。
下記は、村田諒太が福岡ソフトバンクホークスの内川聖一と並んだところ↓
今年最も世間の歓心を受けたプロスポーツ団体として、ホークスが『内閣総理大臣杯 日本プロスポーツ大賞』を受賞しました!チーム代表として内川主将が表彰式に出席。殊勲賞を受賞したプロボクサーの村田諒太選手と記念撮影☆ #sbhawks pic.twitter.com/eqwSS5vTRT
— 福岡ソフトバンクホークス(公式) (@HAWKS_official) 2017年12月20日
こちらは内山高志と内川聖一↓
内川はプロ野球選手の中では決して大柄な方ではないが、村田や内山と並んでもこれだけのフィジカル差がある(内川ばっかりだけど)。
要は、日本人が通用しないのではなく、通用する人材が中量級以上に少ない。身体の大きなフィジカルエリートがボクシングをやっていないという話。
「ヘビー級のビッグマン無双を打破するには? ワイルダー、ジョシュアの2強を打倒するてっとり早い方法を考える」
正直、今の日本で身体の大きなフィジカルエリートがボクシングを選ぶ意味はあまりない。
申し上げたように、ボクシングの中心地である米国で活躍するには知名度が必須。なおかつ日本国内では選手の分母自体が少なく、経験を積むのにも苦労する。
身体の大きなフィジカルエリートなら、最初からもっと稼げる競技に行った方がいいのは明白である。
ぶっちゃけ、僕もMLBの大谷翔平には「野球をやっていてくれてありがとう」と思っているし、NBAに挑戦中の渡邊雄太には行けるところまで突っ走ってもらいたいとも思う。
ただ、大谷や渡邊のような化け物がボクシングや格闘技をやっている世界も観てみたいというのも本音だったりする。
「京太郎を応援する理由? そんなもん「ヘビー級だから」でいいだろw 京太郎マジでがんばれ」
そういう意味でも、ヘビー級でがんばっている藤本京太郎をもっと応援するべきだと以前から喚いている。
何だかんだで長年総合格闘技のヘビー級で戦い続ける石井慧はもっと評価されるべきだとも思っている。
競技の普及や選手の地位向上を考えても、重量級不毛の地である日本で格闘技を選んでくれた選手を応援しない理由がない。
「石井慧がイバン・シュトルコフにKO敗戦。石井の天敵だったなぁ。でも石井慧はもっと評価されていいと思う」
まあ、いくら喚いても一向に相手にされないのが切ないんですけどねww
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