「ジュラシック・パーク」は壮大な人間観察を記した資料映像だった? 主要人物が全員イラつくってすごくないっすか?【映画・感想】
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映画「ジュラシック・パーク」を観た。
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ジュラシック・パーク(1993年)
考古学者のアラン・グラントとエリー・サトラー博士のもとにある日、世界的富豪ジョン・ハモンドが訪ねてくる。
ハモンドはとある無人島に本物の恐竜を目玉としたテーマパーク「ジュラシック・パーク」をオープンさせようと考えており、さまざまな分野の専門家に意見を聞いて回っているところだった。
研究費の提供を条件にジュラシック・パークに降り立ったアランとエリーがそこで見たのは、島を悠然と闊歩する恐竜たち。ハモンドはバイオテクノロジーの力を使って絶滅した恐竜を現代に甦らせたのだった。
ハモンドの孫であるレックスとティムを伴い、はりきって「恐竜見学ツアー」に出かける一行。
だが、野生の恐竜たちはなかなかハモンドたちの計算通りには動いてくれない。
そして、恐竜の胚を盗み出そうと画策したネドリーの不手際により、パークのシステムがストップしてしまう。
システムの停止によって制御が効かなくなった恐竜たちはフェンスを踏み越え、アランたちに襲いかかる……。
1990年に出版された小説をもとに、スティーブン・スピルバーグを監督に迎えて映画化されたパニック映画の超大作である。
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「ジュラシック・パーク」は大好きな映画です。今でもたまに観ております
ジュラシック・パーク。
言わずと知れた恐竜パニック映画の金字塔。今から20年以上も前の作品だが、その当時、最先端のCG技術で世間の度肝を抜いた映画である。
僕自身もこの映画を初めて観た(公開からだいぶ後だが)ときは、そのスケールの大きさにただただ驚くばかりだった。
革新的で圧倒的な映像に加え、疾走感と緊張感満載のストーリー。そのすべてに夢中になり、スピルバーグという夢の世界の住人の仕事に大きな感動を覚えた次第である。
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斬新な切り口でジュラシック・パークを語ってみるぞ。ええかっこしいなので
ただ、申し上げたようにこの映画は今から20年以上も前の作品である。
正直な話、一通りの感想は出尽くしてしまっている。
・当時のCG技術だが、今観ても十分楽しめる
・脚本が完璧
・まさしくスピルバーグの全盛期
などなど。
この映画に好意的な方の感想としては、概ねこんな感じだろうか。
世の中の多くの方が述べている感想をまた繰り返す意味があるのか。ありきたりな文章を書いて、果たして楽しいのか。
甚だ疑問である。
なので、今回はこの「ジュラシック・パーク」という映画をあえて別の部分から褒めてみたいと思う。
いわゆる「斬新な切り口」というヤツである。
といってもご大層なポリシーなどはない。ちょっと「ええかっこしてみたい」だけの話だ。
ただのひねくれ者の戯れ言だと思って読んでいただければ幸いである。
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この映画のキモは映像技術じゃない。ストーリーでもない。「人物描写の妙」だ。主要人物が全員イラつく映画って珍しくない?
実は、この「ジュラシック・パーク」という映画のキモは人物描写にあると言っても過言ではない。
何と言うか、主要人物が全員イラつくのである。
まず主人公のアラン。
機械音痴で子ども嫌いというひねくれた性格なのだが、これが見事にイラつく。
飛行機のシートベルトの締め方がわからず、強引にかた結びで済ましたり、自分のファンであるティムから離れるために車のドアを反対側から閉めて閉じ込めたり。
そして、何よりあの片方の口角を上げる笑い方。
ひねくれ者を表現したいのは理解できるが、必要以上にイライラが募る演出である。
次にアランの恋人エリー。
この人はとにかく頑固で、一度決めたらテコでも動かない。
ツアー中に病気にかかった恐竜を見つけるのだが、その原因を突き止めるまでひたすら粘る。
いや、気持ちはわかるんだが、こっちはツアーの続きを観たいんだよね。
あなたがバカでかい糞に手を突っ込むシーンとか、別にいいんですよ。
何ですかね、この人から漂うモヤモヤ感はww
もっとこう、バカでかい恐竜がガオーっと出てきてもらいたいんですよ。もちろん人を襲わないヤツが。
そういえば、このエリー役のローラ・ダーンはパーフェクト・ワールドにも出てましたね。
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もちろん大富豪ジョン・ハモンドも同様である。安定して観る側の神経を逆なでするキャラクターだ。
この人、とにかく使えない。
「ここでティラノサウルスです!!」と言ったわりにちっとも出てこないし、パークの危険性を散々指摘されているのになかなか認めようとしない。
「このパークは私の夢だったんだ」じゃねえよww
しかも「図面ぐらい読める!!」とか言ってたくせにちっとも案内できてねえしww
そんな鈍臭いのに、よくそこまでの富豪になったな? あ?
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さらにハモンドの孫2人も負けていない。
弟のティムはアランに付きまとってクソほど鬱陶しいし、おまけに高所恐怖症ときている。
おかげでフェンスから降りられずに感電。「アランの必死のパッチの人工呼吸」という観たくもないものを観るハメに。
さらに姉のレックスだが、こっちはとにかくうぜえww
目の前にいるティラノサウルスに見つかりたくない局面で「キャー!!!」。
目の前にいるティラノサウルスに見つかりたくない局面でライトを当てて自分たちの居場所を知らせてしまう。
草食恐竜に鼻水をぶっかけられてふて腐れるし、マジでいちいち邪魔くさい。
一挙手一投足に「イ〜〜〜ッッッ!!!」っとなる2人である。
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数学者のイアン・マルコム博士もかなりのイラつき要素を持っているはずなのだが、正直主要人物の中では一番マシである。
皮肉屋キャラを前面に出しているところを見るに、恐らく本来はこの人がイラつき担当だったのだろう。
だが、残念ながらまったくである。
他のメンバーのキャラが濃過ぎて、マルコム博士の人物描写は完全に中和されてしまっている。
「カオス」だの「自然への敬意」だの、ネタはしっかり持っているんだけどね。
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主要人物以外の「普通」さがしょーもない。あまりにヌルくて記憶にも残らん
彼らのキャラの濃さに比べれば、他の脇役連中など薄味以外の何物でもない。
病院食以上のヘルシーさである。
ティラノサウルスに頭をパックリいかれる「ヒルみたいな弁護士」も、パンを食い散らかしながら嫌みを言うネドリーとかいうデブもまったく物足りない。
あの程度のキャラでハモンドの無能さに対抗しようなど、あまりにヌル過ぎてヘソで茶が沸いてしまう。
ロバート?
ああ、あのボディガードみたいなガイドな。
アーノルド?
ああ、あのくわえ煙草でパソコンいじってたヤツな。
もう存在すら忘れてたわ。
ちなみにだが、「イラつき要素の薄いキャラ」からお亡くなりになるのも、この映画の特徴の一つである。
ロバートやアーノルドなどキャラの薄い人間から順に退場させ、イラつく人間だけを残す。
そうすることで、意外なケミストリー()が生まれるのである。
ピンチを脱するために力を合わせるイラつきオールスターズ。
だが、肉食恐竜のあまりの獰猛さにいつの間にかイラつきポイントを忘れ、彼らを応援している自分がいるのだ。
映画「ジュラシック・パーク」はパニック映画ではない。壮大なスケールを持った人間観察の場だ
つまり、このジュラシック・パークという映画はただのパニック映画ではない。
もちろん見事な映像技術を堪能するための映画でもないし、ましてや、主人公アランが2人の孫たちと絆を深める人情物語でもない。
極限状態における人間の所作。
ムカつく人間をどこまで追いつめれば本来の姿をさらけ出すのか。ギリギリの状況において、いかに飾りっけなしの自分と向き合うことができるか。
言ってみれば、性善説を前提とした壮大な人間観察の場である。
ムカつく人間、人をイラつかせる人間がどこで本来の自分を見せるか。そのボーダーラインを見分けるための資料映像。恐竜という古代の生物を題材にした非常に学術的価値の高い資料映像である。
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はい。
書いているうちに完全に着地点を見失いました。
我ながら意味不明でございます。
ただまあ、それはそれ。
最初に申し上げたように、僕はこのジュラシック・パークが大好きである。
今でも気が向いたときに観ているし、非常に好きな作品の一つというのも間違いない。
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2015年に公開された「ジュラシック・ワールド」も観たが、残念ながら初代ジュラシック・パークに比べればまったく及ばない。
「懐かしの映画」と呼ばれるほど年代の古い作品ではあるが、もはや「不朽の名作」と言ってもいいレベルではないだろうか。
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