ジェイソン・クイッグリーvsトレアノ・ジョンソン感想。村田諒太vsクイッグリー戦を画策した帝拳のスカウティング能力さすが【結果・感想】
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2019年7月18日(日本時間19日)、米・カリフォルニア州で行われたNABFミドル級タイトルマッチ。同級王者ジェイソン・クイッグリーvs挑戦者トレアノ・ジョンソンの一戦は、9R終了TKOでジョンソンが勝利。無敗のNABF王者が敗れる波乱が起きた試合である。
WBC5位で無敗のクイッグリーに20勝2敗1分15KOの挑戦者ジョンソンが挑んだ一戦。
開始直後からどんどん前に出て腕を振るジョンソンに対し、クイッグリーも懸命に左リードで迎撃。だが、威力が足りずなかなかジョンソンの突進力を止められない。そのつど打ち合いに巻き込まれ、ロープを背負って連打を浴びる展開に。
中盤、やや失速したジョンソンにクイッグリーがロープを背負わせるシーンを作るが、全体を通して見ればジョンソンのペースで試合が進む。
そして9R。
リング中央で立て続けにクリーンヒットをもらい、足元がおぼつかなくなるクイッグリー。ジョンソンにもたれるようにダウンを拒否するも、ラウンド終了後に陣営が棄権を申し出て試合終了。
見事勝利したジョンソンはNABF王座を獲得し、再浮上のきっかけをつかんだ。
「ベテルビエフvsグヴォジクとかいう地球が割れるかもしれない統一戦。退路を断った爆腕と重量級の拳四朗楽しみやね」
クイッグリー負けたの!? 自分、クイッグリーをトレアノ・ジョンソンだと思っておりましたww
ジェイソン・クイッグリーvsトレアノ・ジョンソン。
先日、GBPのFacebookで中継されていた一戦をようやく観たのでその感想を。
まず僕は当初この対戦にあまり興味がなく。
これまで両選手の試合を一度も観たことがないし、そもそも名前もよく知らない。
一応、5Rだけはリアルタイムで観たのだが、あまりにインファイトに差があり過ぎたためにそっ閉じ。
「ああ、アカンわジョンソン。これはクイッグリーの勝ちでしょ」。
そして、翌日に試合結果を見て、
「え? クイッグリー負けたの?」
「というより、あの黒人選手ってクイッグリーじゃなかったの?」
という体たらく。
トレアノ・ジョンソンのことをジェイソン・クイッグリーだと思い込む
↓
たまたま観た5Rでアップセットは起こらないと確信
↓
クイッグリーが負けたと知って驚く
↓
そもそもやられてた方がクイッグリーだったと知る
我ながらいろいろと残念なヤツだったことを報告させていただくww
「れっとホセ・ラミレスvsモーリス・フッカーだと!? さすが激戦区S・ライト級。これはおもしろい試合になるんじゃない?」
いや〜、確かにあの無骨な黒人選手にジェイソン・クイッグリー感はなかったんだよな……。
ただ、困ったことにボコられてる方のヤツはトレアノ・ジョンソン感があったという。
何となくだが、銀行員とボクシングを掛け持ちしてそうなイメージ。そこそこ高学歴だけど、ボクシングも本気でやってますみたいな。
いかにも「トレアノ・ジョンソン」的な雰囲気出してたのがな(何言ってんだコイツ)。
トレアノ・ジョンソンがいい選手だった。オールドスクールなインファイターがマイク・タイソンっぽかったな
とまあ、くだらん話はともかく。
申し上げたように僕は両者の試合を今回初めて観たのだが、とりあえずトレアノ・ジョンソンがかなりいい選手だったことに驚かされた。
ガードを高く上げ、上半身を振りながら大股で間合いを詰める。
肩からぶつかるように相手を押し込み、至近距離でフルスイング。
その過程でいくらパンチを受けようがお構いなし。強フィジカルと腕力を活かしてひたすら近場での打ち合いに巻き込むスタイル。
オールドスクールなインファイターというか、マイク・タイソンにも少し似ているような。
特にコンビネーションの最中に身体を倒して打つ右アッパーなど、往年のマイク・タイソンとダブって見えた。
なるほど。
確かにあれだけインファイトで歯が立たないと、ジェイソン・クイッグリーが棄権するのも仕方ない。今回はちょっと相手が悪過ぎたというヤツ。
「レミュー左フック一閃!! スティーブンスがスヤッスヤ。マザーの胸で安らかに眠れ。ひげ面の勇者が担架の上で十字を切る」
ちなみにだが、トレアノ・ジョンソンがキャリアで喫した敗戦はカーティス・スティーブンスとセルゲイ・デレビヤンチェンコの2敗。近場での回転力やパンチ力で上をいかれた場合にはキツくなるが、唯一最強の戦術で生き残ってきたキャリアは伊達じゃないということか。
ジェイソン・クイッグリーは仕方ない。相手が悪過ぎたし、9Rまでよく立ってたよね
対するジェイソン・クイッグリーだが、申し上げたように今回は相手が悪過ぎた。
距離を保つために懸命に左を打つが、あの程度の左ではジョンソンは止まらない。
さらっと間合いを詰められ、パンチの戻り側に潜られ下から突き上げられる。
何とかカウンター狙いのフックを出し続けるものの、激しく頭を振るジョンソンを捉えられず。
逆にボディ、顔面に立て続けに被弾を許し、徐々に失速。
恐らくこの選手が力を発揮するにはある程度のスペースが必要なのだと思うが、インファイトのスペシャリストであるジョンソン相手にはまったく機能せず。
正直9Rまでよく立っていたと思うし、もう少し早く止めてもよかった気もする。もしかしたら、6、7Rあたりで若干ジョンソンが失速(わざと休んだ?)したせいで希望が生まれてしまったか。
「黄昏時のサーマンが若き王者パッキャオ(40)に2-1で敗れる。肘も痛いし足も動かない。だから僕はサーマンに感動したんです」
前評判ではクイッグリー優位予想が多かったらしいが、今回に関してはホントに仕方ない。僕が「5Rを観ただけでも勝敗がわかった」などとほざいたそのままの展開が1〜9Rまで続いた感じである。
帝拳ジムが村田諒太と対戦させたがってた意味が理解できた。確かにこの相手なら普通にやれば勝てる可能性が高い
そして表題の件。
今回、ジェイソン・クイッグリーの試合を初めて観て、帝拳ジムがこの選手と村田諒太を対戦させたがっていた理由がめちゃくちゃ理解できた(候補に挙がっていたこと自体忘れておりましたが)。
左リードの強度はぼちぼちで、スピードがあるわけでもない。
ハッサン・ヌジカムのようにピョンピョンと動き回る足はなく、近場での打ち合いは苦手。
とはいえ、エマヌエーレ・ブランダムラより上背、身体の強さは上で、得意な距離も村田と合う。
「村田諒太はGGGかカネロ? いやいや、ブラントVol.3→返上→アンドラーデにしとけって。WBO王座があれば振り向いてくれるんじゃない?」
恐らくだが、この選手となら普通にやれば村田諒太が勝つ(はず)。
それも前戦のブランダムラよりは手強く、打ち合いが発生する可能性も高いので豪快なKOも期待できる。
先日のロブ・ブラントVol.2のように自分のスタイルを捨てて速攻勝負に出る必要もない。ガードを上げてじっくりプレッシャーをかけるこれまでのやり方で十分の相手。
米国でインパクトある勝利を挙げ、ゲンナジー・ゴロフキンとのビッグマッチへの弾みをつけるにはまさにうってつけである。
なるほどねぇ……。
散々顔を真っ赤にして村田vsクイッグリー戦を実現させようとしていたのはこういう意味だったのね。しかも、もう1人の候補がロブ・ブラントなら「相手にする価値もない」「つまらない選手」と罵ってでも回避しようとしたのも納得できる。
「ラミレスすごい。フッカーを圧倒して6RTKO勝利。でも、デラホーヤには見えない。むしろデニス・シャフィコフっぽい?」
スカウティング能力の高さに驚く。ヌジカムほど足はなくブランダムラよりは強い。ビッグマッチまでの筋道はお見事
また、村田陣営のスカウティング能力の高さには毎回驚かされる。
足は動くが手数は多くないハッサン・ヌジカム相手にタイトルを取らせ、さらにスケールダウンさせたエマヌエーレ・ブランダムラ相手にさらっと初防衛を果たす。その勢いのまま無敗で見栄えがよく、すべてのパラメータが適度に高いがインファイトが苦手なジェイソン・クイッグリーとの対戦を画策する。
五輪金メダリストの価値をなるべく落とさずビッグマッチを目指す意図がよく見える采配。
ロブ・ブラントというババを引いてケチがついたものの、ドル箱スターを傷モノにせずに最終目標までの筋道を立てる手腕はすばらしいとしか言いようがない。
あれこれと批判を受ける本田会長だが、やはり経営者としての能力は図抜けている。
「やったぜ村田JUST DO IT.マイナビ諒太!! ロブ・ブラントを2Rで葬り王座返り咲き。辞めなくてよかったなオイ」
そして、今回のトレアノ・ジョンソンが仮想ゴロフキンとして最高なんじゃねえの? と思ったことは内緒。
だって、絶対あり得ないからね。NABF王座はWBC傘下だし、ジョンソンは実力と知名度が伴わない典型的な選手だし。
でも、仮にこの選手を日本に呼べたらめちゃくちゃおもしろいよね。
ないとは思うけど。
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