日本がサモアに勝利!! ラグビー日本の歴史を塗り変える!!【結果】
2015年10月3日、ラグビーワールドカップイングランド大会に出場中の日本代表がサモアと対戦。2トライを含む26-5でサモアを下し、歴史的勝利を挙げるとともにW杯2勝目をマークした。
「日本vsアメリカ予想!! ラグビーW杯の予選最終戦。日本ラグビーの快進撃を見逃すな!!」
これで日本の対戦成績は2勝1敗となり、予選突破の可能性を大きくたぐり寄せた。
南アフリカ戦に続いてのベストマッチ。すごい試合だった
日本勝利!!!!
いや、すごい試合だった。
これだけ圧勝するとは思わなかった。
南アフリカ戦に続いてベストマッチではないだろうか。
「日本vsサモア予想!! ラグビーW杯、勝負の大一番で大金星を掴めるか?」
前回のスコットランド戦で見せたタックルの甘さやミスの多さ。この辺りの課題が劇的に改善されていた。日程的な余裕があったことも大きかっただろう。
だが、それよりも日本ラグビーの真髄であるダブルタックルと、近め近めのラッシュが徹底されていたことが最大の要因ではないだろうか。
「日本、スコットランドに大敗!! 日本ラグビーの運命を握る大一番に敗れる!!」
すばらしかった。
最高の勝利だった。
「サモアvsスコットランド予想!! ラグビー日本の命運を握る一戦を予想する!!」
ちなみに解説の大畑氏。今日は非常に声がしっかりしていた。
恐らくスタンド観戦した南アフリカ戦で絶叫し過ぎた影響だと思うが、前回のスコットランド戦ではガラガラの声だった。
開始直後は浮き足立っていた日本。これは大丈夫か? と思ったが
正直に申し上げると、立ち上がりはあまりいいとは思わなかった。
いきなり五郎丸にボールを渡して縦に突っ込ませたり、キックパスでウィングの山田を走らせるなど、奇襲に近いプレーが目立っていたのである。
違う。そうじゃない。そんなプレーはいらない。
何度も言うように、日本の最大の持ち味は近め近めの波状攻撃だ。
なるべく味方の近くで低く相手に当たり、サポートプレイヤーがなだれ込む。数的優位を作って素早くボールを出し、次のプレイヤーも近めで当たる。この繰り返しで徐々に前進して、最後にバックスに展開するラグビー。このパターンで南アフリカを慌てさせ、スコットランドを本気にさせたのだ。
「日本が南アフリカに勝利!! 日本代表を支える外国人。ラグビーW杯で起きた奇跡をひも解く」
それを崩して奇襲作戦を仕掛けるのは絶対に違う。
すべては基本から始まるのだ。
しかもサモアが試合開始早々、ポロポロしてくれている。なおのこと近め近めを意識したラグビーを展開するべきなのだ。
と思いながら観ていた前半5分。
ここで見せた攻撃はよかった。
味方の近めでポイントを作り、サポートプレイヤーがなだれ込む。数的優位を活かして素早くボールを出す。次のプレイヤーも近めで当たる。徐々に前進して、最後は外勝負。
惜しくもトライにはならなかったものの、このリズムで攻撃していくことが勝利への近道なのだ。
実況「流れるようなパスワークを見せた日本」
いやいや、それは違う。
その前の波状攻撃が効果的だったのだ。
ただ、やはり開始直後の日本は浮き足立っていたように思う。
前半10分での五郎丸のPG。
この選択はどうだったのだろう。先制点が欲しいのは痛いほど伝わってきたが、距離があり過ぎたし流れとしてはラインアウトから組み立てるべきだったように思えたのだが。
案の定キックは外れ、流れがプツリと切れたシーンだった。
そしてウィングの山田。
ちょっとイキり過ぎだ。
グラバーキックが多すぎる。
走って目立ちたいのはわかるのだが、なるべくボールは手から離さない方がいい。キックの類いはできれば使わない方が安全だ。こういう大舞台では一か八かはいらないのだ。
山田だけでなく、チームとしてキックで味方を走らせる場面がちょっと多い。よく走ってはいたものの、このペースは危険ではないか。後半になると足が止まる可能性が高い。
そんなことを思いながら観ていた前半だった。
「日本vsジョージアテストマッチ感想。タックルの精度と両翼の決定力が光った試合」
すぐに立て直した日本。サモアの弱みにつけこむ
開始直後はやや浮き足立っていた日本だったが、すぐに立て直した。
恐らく前半5分での波状攻撃で「これはいける」という手応えを掴んだのではないだろうか。
サモア代表は予想通り、相手を抱え込んでボールを奪う待ちのディフェンスだった。このディフェンスと日本の波状攻撃は抜群に相性がいいのだ。スクラムでも圧倒していたし、いい流れでサモアディフェンスに切り込んでいくことができていた。
「ニュージーランドが南アフリカに辛勝!! 史上初の2連覇へ向けて難敵を下し、決勝進出を決める!!」
前半8分半のサモアのオフサイド。
さらに前半10分のオフサイド。
これこそ日本の波状攻撃の効果である。
近め近めの素早い攻撃を仕掛けていけば、サモアは絶対ミスをするのである。
そうなのだ。
前回の記事でも申し上げたのだが、サモア代表は個人のフィジカルが高い反面プレーに粗さがある。オフロードパスや飛ばしパスなど、派手なプレーを好むせいか、その分ポロポロとボールを落とすシーンが目立つのである。片手でボールを持って走る選手が多いことも一つの要因だろう。ワンプレーワンプレーが軽いのだ。
つまり、日本が前に出てプレッシャーをかければミスをする。前回のスコットランド戦で日本がやられたことをサモアにやればいいのである。
そして、今日の日本はそれができていた。
南アフリカ戦ほどではないが、相手がスピードにのる前に早めのタックルで相手の突進を止めていた。1人目が下半身に低く入り、2人目が上半身に絡んでボールを殺す。スコットランド戦ではやや甘さが見られたタックルが、この試合では機能していたのである。
このディフェンスができればサモアは絶対にミスをする。
そして、思い通りにならない展開にイライラし始める。シンビンによる一時退場を3度も犯したことが何よりの証拠だ。
これも前に言ったのだが、早めのディフェンスでプレッシャーをかければ相手はミスをする。そして相手がミスをしてくれる分、結果的に自分たちのミスは減る。単純な話なのだ。
堅実なプレー。シンプルなプレーでリードを広げたぞ
さらに、今日は堅実にPGを狙ったことも大きかったと思う。
前回のスコットランド戦は前半から無理にトライを奪いにいった結果、掴みかけた流れを手放してしまった。その反省が大いに活かされたのだろう。とにかくPGで確実にリードを広げる作戦が徹底されていた。
今日の五郎丸はかなり平常心でキックを蹴れていたように思う。タッチキック、PG。すべてのキックに安心感があった。
要因の一つとして、サモアのディフェンスが前に出てこなかったことがあるのではないだろうか。もし、サモアがスコットランドのように前に出るタックルで潰しにきていたら、恐らくこうはならなかっただろう。ディフェンス面の重要さはこういう部分にも表れるのだ。
前半終了間際の山田のトライ。
これはすばらしかった。本当にすばらしい攻撃だった。
そう、これです。
日本はこれをやればいいんです。
近め近めでポイントを作り、徐々に前進して相手のディフェンスを崩す。じわじわ前に出たところで最後は外に展開して走力勝負。
先述したように、この攻撃を徹底してから流れはよくなった。
シンプル・イズ・ベスト。
結局そういうことなのだ。
開始直後の奇襲は本当にいらなかったのだ。
山田はおとなしく外で待っておけばいいのである。裏に蹴って自分が走るとか、突飛なプレーは必要ないのだ。
後半は疲れた日本。でも、サモアの方が疲れてました
前半を20-0と、思いのほか大きくリードして折り返した日本。
「これは勝てる」という気の緩みが後半に出なければと多少心配したが、それも杞憂だった。
依然としてタックルは2人がかりで早めに止めているし、攻撃面でも近め近めが徹底されている。
後半開始直後の田中のノックオンで一瞬嫌な雰囲気が漂ったが、持ち前のタックルで流れをサモアに渡すことはしなかった。
一方のサモアは思い通りにならない展開にイライラを募らせるばかり。
日本の早めの潰しに天を仰ぎ、ラフなタックルに激高する。相変わらずボールハンドリングは悪い。
「個をチームプレーが上回る」と実況が言ったが、そうじゃない。日本の個がそれぞれ強いのだ。
それぞれの選手が、前に出てタックルをし続けられるだけのフィジカルを持っているのである。
後半19分のマフィ投入。
ちょうどホラニの運動量が落ちていた時間帯だったので、この交代も絶妙のタイミングだった。
まさしくすべての流れが日本にきている時間帯だった。
後半の20分を回った辺りで、さすがに日本の出足が鈍くなる。
これまでと同様、近め近めの波状攻撃を繰り返すのだが明らかにスピードがない。ここをサモアに突かれなければいいが。
と思ったが、サモアの疲れがそれ以上だった。
日本の攻撃も雑になってはいたが、それ以上にサモアのプレーが淡白になっていた。
密集で繰り返されるターンオーバー。
ボールがグラウンドを転がるシーンが増える。お互い集中力が途切れている証拠だ。
日本は間近に迫った勝利、そして疲れ。
サモアは絶望感による疲れ。
ラグビーで最もしんどい時間帯。グダグダの時間帯である。
日本勝利!! 伝説の扉をこじ開けた
後半37分。
残り時間3分で、サモアのシンビン。
間違いない。日本の勝ちだ。
サモアの猛攻を日本がしのぎきり、最後は五郎丸がキックで蹴りだしたところでノーサイド。
26-5で日本の勝利。
すばらしい!!
歴史が動いた。
日本ラグビーの伝説の幕開けだ。
まあ、大げさなことを申し上げたが、今日の勝因は何よりもディフェンスだろう。
結局のところ、ラグビーはディフェンスなのだ。
いかに前でタックルして相手をスピードにのらせないか。
早めのプレッシャーで、いかに相手のミスを誘発するか。
タックルが試合の流れを作る。
それぐらい単純で、なおかつ重要なプレーなのである。
次回は10月11日(日本時間12日)のアメリカ戦。
休養も十分だ。またすばらしい試合を期待したい。
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