ポール・バトラーの井上尚弥戦後のインタビュー記事が納得感が高い。井上は階級アップ後も普通に通用すると思うけど、“モンスター”でい続けられるかは…

ポール・バトラーの井上尚弥戦後のインタビュー記事が納得感が高い。井上は階級アップ後も普通に通用すると思うけど、“モンスター”でい続けられるかは…

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先日、下記の記事が掲載された。
 
「バトラー、井上尚弥戦で批判された亀作戦の真意を告白「彼は減量に苦しんだ。だから…」」
 
2022年12月13日に東京・有明アリーナで世界バンタム級4団体統一戦を戦ったポール・バトラーのインタビュー記事。
 
防御に徹した「亀作戦」は多方面から厳しい評価を受けたが、井上尚弥に勝利するためにはあれがベストの選択だった。
だが井上のパンチが強烈でなかなかカウンターを合わせることができずに苦労した。
井上の減量苦を考えると後半にスタミナが落ちてくると読んだが、それもかなわなかった。
 
といった内容である。
 
 
さらに下記では
 
「井上尚弥に敗れたバトラーが引退示唆 経済的安定も理由「明日引退しても問題ない」」
 
経済的な安定を得たこと、長いキャリアで2度世界王者になったこと、仮にリングに戻るにしても再び世界戦をやる頃には35歳になっていることを考えるとこのまま引退するのも悪くない。
と語っている。
 
バトラー自身、今回の一戦である程度満足していることがうかがえる。
 
 
今後、ポール・バトラーがどういう決断を下すかわからない&「THE ANSWER」お得意の横流し記事なので信頼度は低いものの、とりあえずは「なるほど」と思わせる記事である。
 

戦力差を自覚した上で勝機を見出そうとしたポール・バトラーに感動した。井上攻略の糸口すらも感じさせた

まず先日行われた井上尚弥vsポール・バトラー戦の感想は下記。
 
井上尚弥がポール・バトラーをKOして4団体統一。“持たざる凡人”が超人攻略を目指した。これをもっと高次元でできればと思わせるバトラーの動き
 
自分から手を出さずにひたすら防御に徹したポール・バトラーに対して「逃げた」「勝つ気が感じられない」「何しに日本に来たんだ」等、厳しい言葉が浴びせられた(母国メディアからも批判されたらしい)が、僕はそうは思わない。
 
むしろあれは勝利のためにできることをやり尽くした結果。あそこまで粘ったバトラーに感動したほどである。
 
多くの挑戦者が井上のパンチ力、圧力に飲まれて防御一辺倒にならざるを得なかったのに対し、ポール・バトラーは最初から「自分と井上の戦力差を自覚した上で」あの作戦を実行した。
 
井上はバンタム級では頭一つ抜けた存在だが、あえて短所を探すとすれば
・追い足がない
・中盤やや集中力が散漫になる
・勘頼りのディフェンスが危なっかしい
・接近戦で亀になるシーンがある
ことくらい。
 
弱点と呼べるほどのものではないが、100点満点の中に80点、90点の要素があればそこを狙うのは当然である。
 
まともに打ち合ってもスピード&パワーでねじ伏せられる。
ガードを固めて耐えるだけでは勝利につながらない。
 
ポール・バトラーが限られたスペックの中で勝機を見出すなら「井上がグダる中盤〜後半にかけてのカウンター」。
 
井上が鬼のような強さを発揮する序盤はフットワークとガード偏重でひたすら耐える。
で、(井上の集中が切れて単調になる)中盤から後半のどこかで全力のカウンターをぶち当てるとか、そんな感じ。
 
結果的にチャンスらしいチャンスは訪れずに11Rに決壊したが、バトラーの勝利への意志ははっきりと感じ取れた。
 
自分との戦力差、スペック差を踏まえて井上を山ほど研究し、わずかに分がある(と思われる)土俵で勝負をかけた。
そして、実際に「この作戦をさらに高次元で実行できれば、もしかしたら?」という可能性も見せた。
 
前半でぶっ倒されてもおかしくないと思っていたポール・バトラーがここまで粘り、井上攻略の糸口すら見せたことにクソほどテンションが上がった次第である。
 

バトラーに勝つ気がなかったなんてあり得ないから。これまでの井上の対戦相手の中で一番賢かった気がするよ

バトラーのインタビューも概ねそんな感じ。
 
・作戦はカウンター狙いだった
・減量苦の井上が6、7、8R辺りで失速すると踏んでいた
 
だが井上の圧力、パンチ力に対応しながらカウンターを合わせるのは困難を極めた。手を出せばカウンターのカウンターが飛んでくると感じてなかなかそれができなかった。
中盤から後半にかけての失速もなかった。
 
要するにバトラーは当初の作戦を忠実に実行したものの、井上のパフォーマンスはその上をいっていたという内容である。
 
 
うん、ですよね。
勝つ気がなかったとか、最終ラウンドまで立っていればOKだとか、そんなふざけた話では断じてない。
バトラーはどうにかして井上に勝とうとしていたし、そのプランもあった。
 
試合直後には普通のファンだけでなく現役の格闘家までもが「バトラーには勝つ気持ちを見せてもらいたかった」と言っていた記憶があるが、なーにをぬかしとるんだと。
 
自分のスペックが物足りないことを自覚し、その上でできることをやり尽くした。限られたリソースを総動員して最強王者の牙城を切り崩そうとした。
しかもその作戦はちゃんと機能していた。
ここに僕は感動したと申し上げている。
 
 
もっと言うと、直前に行われたジョン・リエル・カシメロvs赤穂亮戦とのギャップが大きかったというのもある。
 
「普通に勝てると思う」
「日本王座は軽くない」
と豪語し「最後の挑戦」と位置付けてカシメロと対峙したものの、大した工夫もなく(僕がずーっと指摘してきた)悪癖の改善も見せずにデコピンで跳ね返された赤穂亮。
 
カシメロvs赤穂亮が2Rノーコンテスト。内容はカシメロのワンサイドゲームだけど、それ以上に情けない試合過ぎて吐き気が…。何で格下が横綱相撲取ってんだよ
 
それに対してポール・バトラーは工夫に工夫を重ねてわずかな可能性をこじ開けるためになりふり構わずがんばった。
この部分のアンチテーゼはあまりにも見事だった。
 
 
バンタム級での井上の対戦相手を比較すると、純粋な力量だけなら恐らくノニト・ドネア、エマヌエル・ロドリゲス、ジェイソン・モロニーがトップ。
ただ、誰が一番賢く戦ったか、IQの高さと根性を両立させたかと言えば断然ポール・バトラー。
 
改めてあの日のバトラーはナイスファイトだったし、最後にそこを切り崩した井上尚弥もさすがだった。
バトラーが今回の試合で一定の満足感を得た、これで引退するというならそれも悪くない。心からお疲れさまでしたとお伝えしたい。
 

井上はS・バンタム級でも通用する。ただ、今まで通り“モンスター”でいられるかどうかは…

そして当の井上尚弥はいよいよS・バンタム級進出となるわけだが、先日階級アップ後の井上がどこまでやれるかを考えてみたのが下記である。
 
井上尚弥S・バンタム級進出? 弟拓真がWBOAP王座返上。階級アップ後のパフォーマンスを勝手に想像、妄想する。同時期のノニト・ドネアがどうだったかを振り返ってみた
 
似たような? キャリアを送ったノニト・ドネアと比較しての印象だが、とりあえず井上はS・バンタム級でも通用する。ここは間違いない(と思う)。
 
ドネアがS・バンタム級初戦で王座戴冠を果たしていることを踏まえれば井上がそれより落ちるとは考えにくい。
今のままタイトルマッチに突っ込んでも問題なく勝つと予想する。
 
ただ、バンタム級での無双っぷりをそのまま再現できるか? と聞かれるとちょっとわからない。
これまでは指名挑戦者だろうが関係なく「正面に立つと終わる」「ジャブの差し合いをすると終わる」「打ち合いなどもってのほか」状態だったが、さすがにそこまでにはならない気が……。
 
S・バンタム級初戦のドネアが相対的にパンチ力が目減り→楽々カウンターを合わせられていたことを加味すると、井上も火力とスピードでゴリゴリ圧倒できるまでにはならない? かも?
 
つまり、
・井上は今のままでもS・バンタム級で十分通用する
・着の身着のまま突っ込んでも王座戴冠は可能
・だが、今まで通り“モンスター”でいられるかは不明
というのが僕の漠然とした予想である。
 
階級最強の1人には違いないが、もしかしたら井上攻略の可能性を持った選手が1、2人出てくるかもしれない。
 
で、その候補の1人がWBC/WBOの王座を保持するスティーブン・フルトンであることは間違いなさそう。
 
井上尚弥vsスティーブン・フルトン正式決定! フルトンのジャブとクリンチが通用するかが見どころ。がんがれフルトン、僕に井上の苦戦を見せれ笑
 

階級アップ後の初戦の相手はレイセ・アリームが最適じゃない? 井上のパワーが通用するかを測るのにちょうどいい

先日ちょろっと申し上げたのだが、井上尚弥のS・バンタム級初戦の相手は現WBO1位のレイセ・アリームが最適だと思っている。


スピード&パワーで勝負するタイプで、あまり駆け引きはせずに正面からのどつき合いが基本。比較的単調なスタイルなので後半モタつくことも多く、カウンターと見切りに長けた技巧派に振り回されそうな選手である。
 
なので、階級アップ直後の井上のパワーがどれだけ通用するかを測るにはめちゃくちゃちょうどいい。
恐らくアリームの強さは全盛期(和氣慎吾をKOした2016年前後)のジョナサン・グスマンと同じくらい(だと思う)。この相手にパワー負けせずに勝てればS・バンタム級でもやれる証明になるのではないか。
 
 
そして、僕は井上が普通に勝つと思っている。
実際にやってみなければわからないが、何となく。
 
まあ、所属がPBC(フルトンも)なのでどうなるかはわからないですけどね。
 
田中恒成vsヤンガ・シッキボ。田中は4階級制覇の準備完了かな。シッキボは“惜しい”選手だった。アムナットになれそうなポテンシャルなのに素直過ぎた
 

フルトンvs井上orアリームvs井上が日本で開催されたら? 井上は今後も国内の大会場でファンを席巻し続けりゃいいんだよ

仮にスティーブン・フルトンvs井上尚弥戦、もしくはレイセ・アリームvs井上尚弥戦が日本で開催された場合、本格的にトップランクは害悪でしかなかったという結論になる笑
 
それこそ大手プロモーションとのしがらみのない? 大橋会長とカイチョーHONDAの手腕に任せておけばよかったじゃねえか。
みたいな。
 
 
連呼しすぎていい加減しつこいのだが、

ボブ・アラム「彼らが次戦も日本開催を望むのであれば私たちも構わない。できれば年内に井上の試合を米国でも組みたいが、次戦でなくても構わない」

ノニト・ドネアVol.2直後のボブ・アラムのコメントにはいまだにムカついている笑
 
日本史上No.1と言っても過言ではない選手の4団体統一戦を欲しがらない、日本開催でも構わないとほざくような舐め腐ったヤツらに媚びる必要はどこにもない。
 
井上は今後も国内の大会場でファンを席巻し続けるべきなのである()
 
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