阪神クローザー候補のクレトは活躍できるのか? 2016年、オ・スンファンの後がまストッパーは誰?
阪神がマイケル・クレト投手の調査を進めているという。
2015年はホワイト・ソックスに所属した最速163kmの右投げの豪腕投手である。
交渉打ち切りが正式に発表された呉昇桓の後がまクローザー候補の1人として調査しているという話である。
一部ではマルコス・マテオに一本化したとか、デービッド・アーズマを調査中との報道も出ているが、いったいどれが正しい報道なのだろうか。
相変わらず情報が筒抜けの阪神の外国人補強。
市場に出た選手に片っ端から手を出して失敗しまくったり、余剰人員を大量に抱えて批判されるというこれまでの阪神クオリティに比べればやや物足りないが、オフシーズンも変わらずに話題を提供しくれるガバガバの姿勢は本当にありがたい。
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そこで今回は「阪神クローザー候補のクレトは活躍できるのか? 2016年、オ・スンファンの後がまストッパーは誰?」と題して、マイケル・クレト投手がどの程度活躍できるかを予想してみたい。
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まだ獲得すると決まったわけではないので、ある程度好き勝手な意見になってしまうが、そこは大目に見ていただければ幸いである。
球が速いぞクレト。そしてデカいぞクレト
まず、マイケル・クレト投手のピッチングをパッと見た印象を列挙すると、
・めちゃデカい。特に横に
・球がすげえ速い
・若い(26歳)
・ストレートはややシュート回転。右打者の内側に抜ける球が多い
・指にかかった球はものすごい威力だが、割合自体はあまり多くない
・ストレートの質は呉昇桓よりも下
・スライダーは縦スラ
・コントロールが効かないことも多いが、空振りが奪えるスライダー
・自分の思ったコースに投げるコントロール(コマンド)は低い
・ストライクをとる能力はあるので四球での自滅はなさそう
・安定感はいまいち
・小粒な打者が多いセリーグならある程度いけそう
だいたいこんな感じだろうか。
全体的なイメージとしては、ご想像のとおりの荒れ球パワーピッチャーである。
ストレートは速いが球質自体は手元で伸びるような球ではなく、むしろシュート回転しながら沈む。そのため球威があるときはいいが、調子が悪く球威が落ちると抜け球の半速球のような棒球になりやすい。
もう一つの決め球であるスライダーは、曲がりが大きく縦に落ちる。
一見派手で有効な球に見えるが、変化量が大きすぎて自分で制御できていない部分もある。調子のいい日には右打者がのけぞるほどのキレを見せるものの、調子の悪い日は打者のだいぶ手前でバウンドしてしまうなど振り幅がかなり大きい。
全投球の8割以上がストレートとスライダーで構成されるピッチングスタイルである。
どことなく2012年にソフトバンクに途中加入したヤンシー・ブラゾバンと似ている気がする。
僕はあのピッチャーを敗戦処理として起用し続けたソフトバンクの采配がいまだに謎で、普通に勝ちパターンに入れる球を投げていたと思っているのだが。
巷の噂ではノーコン過ぎると聞くが、実際に見るとそこまででもない。細かいコマンドがあるわけではないがゾーン内に投げ込む最低限の能力はあり、四球で自滅するタイプではないといってよさそうである。
2014年は開幕からある程度のイニング数をメジャーで投げているのだが、その際は29.1回を投げて四球23とやや四球率が高くなっている。だが、2015年のAAAでは51.0回で24四球とある程度の改善を見せている。メジャーの強打者を警戒し過ぎてコースを狙った結果、カウントを悪くしたということだろうか。
小粒な打者が多いセリーグでなら、長打をあまり気にすることなくどんどんストレートで勝負できるはずである。被本塁打の多さが気にはなるが、それもセリーグの打者相手なら大丈夫だろう。
呉昇桓のレベルは期待できないが、ノーコン自滅型ではない
ピッチャーとしての実力だが、はっきり言って悪くない。とはいえ、呉昇桓のレベルを期待してはいけないと思う。
ストレートは確かに速い。
だが、ストレートだけでねじ伏せるにはやや角度が足りない。スリークウォーター気味の低い位置から腕が出てくるので、迫力という意味ではソフトバンクのサファテや全盛期のマシソン、ファルケンボーグにはやや劣ると言わざるを得ないだろう。
2015年のAAAでの成績を見ると、
31試合3勝2敗5S
防御率:3.00
投球回:51.0
となっている。
さらに奪三振数が61、与四球数が24、そして被安打が31である。
大雑把に言うと、1イニングに1つ以上の三振を奪い、2イニングに1つの割合でフォアボールを出しつつ、およそ5人に1人ペースでヒットを打たれるイメージである。
数字から想像するに、調子がいいときは手がつけられないようなピッチングを見せるが、調子が悪い日は抑えが効かずにズルズルいくというタイプではないだろうか。
調子の波が大きく、年間を通して平均するとだいたい防御率が3.00前後に収まる計算になるということだと思う。
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また、これは何となくだが、身体に似合わず連投が苦手なタイプな気がする。
春先は力のあるストレートとキレキレのスライダーで大活躍するものの、疲れが溜まる6月にやや調子を落とし、ストレートがシュート回転し始める。スライダーも投げた瞬間はっきりとボールとわかる球が増える。
徐々にストレートで空振りがとれなくなり、結果的にフォアボールで自滅する場面が増えるのではないだろうか。
恐らく調子が悪い日はどうにもならないタイプなので、球威が落ちてくる6月の時期はかなりの苦戦を強いられそうである。
疲れが溜まって球威が落ちてきた時期に、監督の金本がタイミングを間違わずに休みを与えられるか。1週間から10日くらい間を開けて回復する時間をとることができるか。年間通してクレトが活躍するには、そのあたりの采配も重要だろう。
そして1、2回救援を失敗しても、そこで見限らずに我慢して起用できるかも大事だ。辛抱のないファンから厳しいヤジが飛ぶような状況でも、ある程度信頼して起用し続けることが必要である。
元広島のヒースと両捕りで保険をかけておくのは賢明な判断だ
阪神のクレト獲得は総じて悪くはない。
悪くはないが、保険は絶対に必要だ。
もう一度言うが、ピッチャーとしてのレベルも耐久力も呉昇桓よりは確実に落ちる。呉昇桓レベルの働きを期待しているのであれば、それは間違いだと断言しておく。
聞くところによると元広島のヒースとの両捕りという話もあるようなので、そういう考え方であれば十分獲得する価値はある。
だが、このピッチャーにチームの命運を託すつもりで獲得すると恐らく死ぬ。
配置がどこになるのかはわからないが、2011年のバーネットくらいの成績を期待したい。
もちろん獲得が決まったわけでもないので何とも言えないのだが。
2011年バーネット
48試合1勝1敗22H2S
防御率:2.68
投球回:47.0
ホールドやセーブ数はともかく、防御率は2点台後半、投球回は50回くらいは期待したいところではある。
阪神金本監督は新外国人が日本野球に慣れるまで辛抱できるか?
阪神がクレトを獲得したと仮定して、ではどこで起用するのがいいだろうか。
僕のおすすめはやはりクローザーだ。1イニング限定で全力投球してもらうのが、クレトを活かすには最適の解答ではないだろうか。
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ただ、環境に慣れるまでの猶予は絶対に必要だろう。
阪神タイガースというチームで、しかも助っ人外国人という立場でどれだけ辛抱してもらえるのかはわからないが。
仮に金本監督が数試合で見切りをつけるようであれば、そのままファームに幽閉→道頓堀観光→帰国というパターンも十分考えられるだけに心配ではある。
逆に、ひとたび日本の環境に慣れてしまえばそれなりにやってくれるのではないかと思う。
1年間クローザーで起用した場合の成績予想としては、
41試合1勝4敗29S
防御率:2.97
投球回:49.0回
期待を込めてこのくらいでいきたいと思う。
年齢も26歳と若いし、ぜひともジャパニーズ・ドリームをつかみ取ってもらいたいものだ。
まあ、クレトがこの数字を残してしまうと、藤川球児の使いどころが完全になくなってしまうのだが。
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