「クリード 過去の逆襲」感想。ロッキーシリーズからの完全なる決別、ここからのリスタートを意識したんだろうな。風貌がだいぶアポロに似てきた笑
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映画「クリード 過去の逆襲」を観た。
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「クリード 過去の逆襲」(2023年)
ライトヘビー級、ヘビー級で数々の輝かしい実績を残したアドニスはアフリカのキンシャサで引退試合に挑んでいた。
対戦相手はリッキー・コンラン。かつて不敗王者としてヘビー級に君臨し、若きアドニスと激闘を演じた男である。
コンランの猛攻に序盤から苦戦を強いられるアドニスだが、「肉を切らせて骨を断つ」作戦で見事逆転KO勝利を挙げる。
大観衆の声援に送られ有終の美を飾るのだった。
その試合から3年。
現在、アドニスは長年自身のセコンドを務めたトニーとともにボクシングジムを経営している。
所属選手には現役ヘビー級王者フェリックス・チャベスもおり、次回のタイトルマッチはアドニスのプロモートで開催されることが決定している。
そんなある日。
ジムを出て自分の車に向かうアドニスの前にある男が姿を現す。
男の名はディミアン・アンダーソン。
かつての幼馴染であり、アドニスに「肉を切らせて骨を断つ」戦い方を教えた男でもある。
18年ぶりの再開に戸惑うアドニスだったが、その思いを押し殺してディムを食事に誘い……。
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ロッキー1から40年以上。初めてスタローンが出ない「クリード 過去の逆襲」
2018年「クリード 炎の宿敵」以来約5年ぶり、クリードシリーズとしては3作目となる今回。
ロッキー1から40年以上にわたって出演し続けてきたシルベスター・スタローンが出演を取りやめたことが話題になった作品でもある。
ただ、僕にとってそこはあまり関係がなく。
むしろ「ロッキー」の後ろ盾(作品的にもブランド的にも)がなくなった「クリード」がどう独り立ちするかに興味がわいた次第である。
映画『クリード3』、「自身が想定していたものとは違う方向へ進んでしまった」とシルヴェスター・スタローンがコメント https://t.co/okSKQ4P42C pic.twitter.com/NJ7XJ1eXhj
— IGN Japan (@IGNJapan) November 11, 2022
また今作は日本での公開から客入りが苦戦中とのこと。
僕も平日のレイトショーで観たのだが、場内には僕を入れてわずか3人。週のど真ん中という状況を差し引いてもなかなかである。
もともとボクシングやプロレス、格闘技を題材にした映画はヒットしにくいとは言われているが、それ以上に日本では海外の作品が売れなくなっているとか。
今作も公開3週を終えたところだが、すでに多くの劇場で1日1回上映に縮小されている。
恐らく今後も一部のヒット作を除いて細々と上映されていくのだと思うが、興味のある作品に予定を合わせるのがどんどん難しくなりそうである。
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リスタートの作品。これまではあくまでロッキーシリーズの系譜を受け継いだもの
今作の率直な感想だが、なかなかよかった。
正直、間が空き過ぎて過去2作の記憶が曖昧なのだが、映画単体としても普通に楽しめたことを報告する。
と同時に今回は完全にリスタートの作品なのだと思う。
過去の2作はどちらかと言えばロッキーの系譜を受け継いだもの。
アポロの息子アドニスがボクシングを習うためにロッキーのもとを訪れる。
彼の生い立ちに負い目を感じたロッキーはしぶしぶコーチを引き受けるが、ボクシングに携わっていくうちに情熱を取り戻していく。
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また2作目はかつてリング上でアポロを殺し、ロッキーが仇をとったドラゴの息子が登場する。
ロッキーに敗れて以降、幸福とは言えない人生を送ってきたドラゴはロッキーへの復讐の炎を胸に生き続けてきた。
そして、自分の分身とも言える息子に復讐を託し……。
要するに上記2作はあくまでロッキーありきのもの。
過去から脈々と続くロッキーの流れを引き継いだ作品と言える。
スタローン「主人公にはダークな方向に行って欲しくなかった」。うん、確かに暗いよね笑
だが、今作はロッキー関連のキャラとはまったく接点がない。ドラゴJr.やリッキー・コンランなどは出てくるものの、彼らはあくまでクリード1からの登場キャラである。
スタローンが出演を取りやめたことにも関連していると思うが、それ以上に主役&監督を務めたマイケル・B・ジョーダンの意向が強く反映されているのだろうと。
上述の記事によると、スタローンがクリード3に出演しなかったのは「方向性の違い」「主人公がダークな方向に進んでしまったこと」が原因とのことだが、これはちょっとわかる。
今作はクリードの過去をほじくり返す内容で、確かにダークな表現が目立つ。
施設の担当者に激しい折檻を受けていたこと。
のちに偶然会った担当者をフルボッコにして警察沙汰になったこと。
それを助けたディムが逮捕され、自身はその場から逃げ出したこと。
ディムが収監されてから18年、一度も面会にすら行かなかったこと。
などなど。
記憶を掘り起こすように段階的にアドニスの過去が明かされていくわけだが、ああいう回想シーンの入れ方もまた……。
忘れたいトラウマ、心身に刻まれた傷、目を逸らし続けてきた過ち……。
ディムという男はアドニスにとって過去からの亡霊そのもの。
過去に苦しめられるアドニスが徐々に精神を蝕まれていく流れはこれまでのロッキー、クリードシリーズにはなかったもの。
タイトルが「過去の逆襲」なのでそっち方面に行かざるを得ないのはわかるが、全体的なジメジメ感は最後まで消えることはなかった。
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まさしく「ロッキー」“サーガ”。ロッキーシリーズとの決別第一弾としてアドニスの過去を清算した
同時に「ロッキー」“サーガ”と呼ばれるだけあり、今作はあらゆる面でロッキー、クリードシリーズの踏襲が見られた。
・何者でもなかった男が一夜にしてスターに
・親友(よきパートナー)だと思っていた男の本性がろくでなし
・過去の清算
・復讐戦として再び舞台に立つ
・子どもがいじめられる
・近しい人間(トレーナー、母親)の死
・「アドニスvsディム」と「アドニス、ビアンカ、アマーラによる家族物語」の2軸
ボクサー役に実際のボクサーを起用したり、スター選手がチラッと出てきたりとシリーズならではの演出もそのまま。
諸々を踏まえると、僕の中での「クリード 過去の逆襲」は“クリードのリスタート”という位置付けである。
申し上げたようにクリード1、2はあくまでロッキーシリーズの続き。
今作ですべてがリセットされ、シリーズがようやく新たな展開へと動き出す。その第一弾としてアドニスの過去をきれいさっぱり清算した。
次回作があるかは不明だが、とにかくクリードは今作で完全にロッキーとの決別を果たしたと思っている。
まあ、ここからクリード伝説を作るのは年齢的にきつそうだけど笑
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いい感じに年齢を重ねたクリードがだいぶアポロに似てきた
そして思ったのが、クリードの風貌がだいぶアポロに似てきたこと。
2015年の初登場からいい感じに年齢を重ね、雰囲気も落ち着き顔のシワも増えた。
テレビ番組で復帰を宣言するシーンや廊下を歩くシーンなどは「あ、アポロだ!!」と思ったほど。
本人が意識しているかは不明だが、髪型もアポロっぽくなってきた気が……。
隠し子とはいえ、やはり血のつながりは隠せない(つながってねえ笑)。
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アニメ好きのマイケル・B・ジョーダン。「はじめの一歩」と「龍が如く」っぽいシーンがあったかな?
また今作では本人のアニメ好きが講じてアニメを参考にしたシーンが散りばめられているとのこと。
何となくだが、プロローグのコンラン戦とラストのアドニスvsディム戦がそれっぽかった気が……。
ガラ空きのボディをアドニスが睨みつけるシーンやボディを打たれた瞬間に背中に「ズシッ」と衝撃が走るシーンは「はじめの一歩」。
アニメ「はじめの一歩」第1期が完璧としか言いようがない。「強いって、何ですか?」「知りたいか。ならば戦ってこい。あの男に勝ってこい」
アニメではないが、アドニスvsディム戦で突然周囲の喧騒が消えリングが金網に変わる→両者が円を描くように歩き「うおー!!!」と叫んで殴り合いを始めるシーンはゲーム「龍が如く」のボス戦を彷彿とさせた。
僕の印象が正しいかは不明だが、どちらにしてもバトルシーンにアニメ要素を取り入れたのは間違いなさそうである。
まあ、ラストバトルはあの演出をやるために2Rから12Rにワープさせたおかげで逆転のカタルシスが消し飛んでしまったのだが笑
概ね楽しめた「クリード 過去の逆襲」だが、クライマックスがやや盛り上がりに欠けたのは残念だった。
その割に特訓のシーンは微妙に長かったしね。
ちなみにオマケのアニメは「メガロボクス」にインスパイアされた感じですかね?
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別の星に移住したり、世の中の善悪? をボクシングで決めたりとやたらと話が壮大になっていったが、絵柄や雰囲気は「メガロボクス」っぽかったなぁと。
アレのおかげで本編の印象が薄れたという噂もありますがww
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