映画「バスキア(BASWUIAT)」感想。孤独でセクシーなジェフリー・ライトとデヴィッド・ボウイ他。闇堕ちから救った親友ベニーに感動した
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映画「バスキア」を観た。
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「バスキア」(1996年)
1979年ニューヨーク。
公園のダンボールハウスで生活しながらスプレーペインティングや音楽活動を続けるジャン=ミシェル・バスキアはもうすぐ20歳。将来への大きな希望と不安の中で日々を送っていた。
親友のベニーに絵で成功したいことを相談すると、彼は「いい服を着て有名人と知り合いになれ。同じタイプの作品を作り続けるんだ」とバスキアに忠告する。
ある日、著名なアーティストであるアンディ・ウォーホルがレストランに入る姿を見かけたバスキアは、迷わず彼のあとを追う。そしてウォーホルの席に押しかけ、自らの描いた絵はがきを10ドルで買ってくれるように頼むのであった。
すると、意外なことにウォーホルはバスキアの絵を気に入り、すべての絵はがきを買ってもらうことに成功する。
また別の日、ベニーとともにドラッグパーティに興じていたバスキアは、宿泊のお礼に自身が描いた絵を置いていく。
偶然その場に居合わせた美術評論家のルネは、無造作に置かれた絵に衝撃を受ける。そして、大急ぎでバスキアを追いかけ「君をスターにしてやる」と宣言するのだった。
ルネの売り込みによりチャンスを得たバスキアは、自身のアトリエや資金提供を受けてまたたくまにスターへと上り詰める。
だが、その過程で親友ベニーや恋人のジーナとはしだいに距離が生まれ、大きな成功とは裏腹にバスキアは孤独を感じ始める。すでに世界的な名声を得ていたにもかかわらず、彼の心が休まるのはアンディ・ウォーホルとの時間だけになっていた。
その後、ヘロインの過剰摂取やストレスで皮膚がただれ、生活が荒んでいくバスキアを見かねたウォーホルは、画家友だちであるマイロに薬を止めるようにバスキアを諭してくれと頼むのだが……。
1996年製作、享年27歳という若さでこの世を去った画家ジャン=ミシェル・バスキアの半伝記映画である。
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実はバスキアが好きなんですよね。グッズをあれこれ集める程度には
2018年の「ボヘミアン・ラプソディ」を始め、1986年「シド・アンド・ナンシー」や2002年「8 Mile」、2009年「THIS IS IT」など。ミュージシャンの伝記映画は定期的に大ヒットを生み出すが、本作「バスキア」はその画家バージョン。
ニューヨークのブルックリンで生まれ、ストリートペインティングからアート界のスターに上り詰めたジャン=ミシェル・バスキアの半生を描いた作品である。
実を言うと、僕はバスキアが好きで適当にグッズを買い漁ったりもしている。
また、2019年9月21日より森アーツセンターギャラリーで行われる「バスキア展」も今からめちゃくちゃ楽しみである。
「バスキア展」
おはよう、社畜の諸君。
今日はすばらしい知らせを持ってきた。いろいろなものを諦めた僕は、9/21〜開催されるバスキア展のチケットをコンビニで発券してきた。
では楽しみにしているぞ。#ぶるぁぁぁぁぁ https://t.co/QOEYvvrdtX pic.twitter.com/TtIBFHQ9Qz
— 俺に出版とかマジ無理じゃね? (@Info_Frentopia) September 9, 2019
今回はその予習というか、記憶をほじくり返す意味も込めて久しぶりに今作「バスキア」を観てみた次第である。
そういえば、この方もこんなことをおっしゃってましたね。
青いバスキアと一緒に暮らしてみました。約2ヶ月の短い同棲生活でしたが、癒され圧倒され毎日毎日違う発見がありました。9月21日からの『バスキア展』に出展されるため、今日旅立っていきましたが、展覧会での活躍を心から願っています。いなくなるとめちゃくちゃ寂しい?https://t.co/zpIn4sP8pf pic.twitter.com/f4ebKsq6nO
— Yusaku Maezawa (MZ) 前澤 友作 (@yousuck2020) September 6, 2019
まあ、正直に申し上げると、僕はバスキアのよさをわかっているわけではない。
仮に作者名を隠して落書きと並べられても区別はつかないし、具体的に何が好きかを説明しろと言われても不可能。ただ「何となくオサレ感があっていいよね」というフワッとした感想を持っているだけのクソニワカww である。
なので、いいなと思ったものはバスキアでなくても普通に購入する。
先日もバンクシーのポスターを衝動買いしてしまったのだが、見れば見るほどカッコいいww
これまでバンクシーに興味がなかったどころか、映画「スターウォーズ」すらも観たことがないのだが……。
あまりのカッコよさに思わずポチってしまったww
出演陣の豪華さにびっくり。ジェフリー・ライトのセクシーさがヤヴァイ
具体的な感想についてだが、とりあえず本作の出演陣がクッソ豪華である事実に驚いてしまった。
アンディ・ウォーホル役のデヴィッド・ボウイを筆頭にブルーノ役のデニス・ホッパー、マイロ役のゲイリー・オールドマンなどの名前が並び、親友ベニー役にはベニチオ・デル・トロ、最初にバスキアをスカウトするルネ役にマイケル・ウィンコット。
やり手美術商のメアリー・ブーン役のパーカー・ポージーや、ジーナ役のクレア・フォーラニが小物に見えるくらいのオールスターっぷりである。
この映画を最初に観たのがいつだったかは忘れてしまったが、当時はこの部分にあまりピンときていなかった記憶がある。
だが、改めて観るとすげえなと。
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そして、何より主人公バスキアを演じたジェフリー・ライトのセクシーさがヤヴァイ。ここは間違いなく本作の見どころの一つだと思っている。
生前のバスキアはヘロイン吸入によってラリッた状態で次々とアート作品を生み出していくわけだが、その天才画家を演じきった憑依力はお見事としか言いようがない。孤独に苛まれて堕ちていく後半の様子までもが色気に溢れているというか。当たり前だが、この作品はジェフリー・ライト抜きでは語れない。
今ではこんな感じのゴツい俳優になってるんですけどね。
ちょっとだけ元阪神のロサリオにも似てる?
ウィリン・ロサリオ選手と来季の選手契約を締結しましたのでお知らせします。なお、背番号は「20」となります。
ロサリオ選手のプロフィールなど詳細は↓https://t.co/Da5gS9SuLd pic.twitter.com/RszRb5VDcR— 阪神タイガース (@TigersDreamlink) December 13, 2017
ストーリーは成功→堕落の王道。恋人ジーナの表情が切ない
なお、ストーリー自体は割とよく聞く成功→堕落の王道パティーンである。
成功を夢見る若者があるきっかけで見出され、スター街道を一気に駆け上がる。
「ストリート出身の黒人画家」という物珍しさも手伝い、彼を利用して金儲けを目論む人間に囲まれるうちに本人が自分を見失っていく流れ。
初の個展が開催された際、ルネに送る予定だった絵を別の人間に売ってしまったり、打ち上げの食事会で、恩人たちの席ではなくウォーホルやブルーノらの大物の集まる席を選んだり。若気の至りと言えばその通りなのだが、成功を求めるあまり周りがどんどん見えなくなっていくバスキアの様子が生々しい。
酒に酔ったルネがバスキアの席に乱入し、怒りをまき散らすシーンは本作のハイライトと言えるのではないか。
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また、成功を重ねるごとに自分から心が離れていくバスキアの様子に傷つくジーナの表情など、なるほどと思う描写も多い。
目の前にいるのに温もりを得られないもどかしさというか、遠目から見た魅惑的な姿と本人を目の前にした際のギャップ。
実際、危うい雰囲気を醸す天才系に魅力を感じる女性というのは少なからずいるのだと思う。愛しい相手の心が自分に向いていない事実に苦しむジーナの姿は、見ているだけで痛々しいものがあった。
堕ちたバスキアに手を差し伸べてくれたのは親友ベニーだった。最後の最後で孤独の闇から救い上げてくれた
そして、もっとも印象的だったのが廃人寸前のバスキアを助けたのがかつての親友ベニーだったこと。
物語中盤、スター街道を突き進むバスキアはどんどん態度が尊大になっていく。
タクシーの中で理不尽に怒鳴り散らす姿に嫌気がさしたベニーは捨て台詞とともにバスキアのもとを去るわけだが、それ以降、彼の登場シーンはない。
・人種差別
・薬物依存による妄想壁
・民衆の妬み
成功と引き換えにさまざまなコンプレックスを抱え、自らの殻に閉じこもっていくバスキア。唯一の心のよりどころであったアンディ・ウォーホルがこの世を去り、母親との面会も許されない。
自らを見出してくれたルネや恋人ジーナを切り捨て、成功に向かって突き進んだ先にあったのはどうしようもない孤独。言葉にならないほどの虚無に襲われ、暗がりに堕ちていくバスキアを抱え上げてくれたのはかつての親友ベニーだった。
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うん。
これはいいですよね。
「どんなときも変わらず接してくれるのが本当の友人」という話はよく聞くが、バスキアにとってのベニーがまさにそれ。
助手席ではしゃぐバスキアを優しく見守り、呆れた顔で声をかけるベニー。2人の間に流れる空気はダウンボールハウスで暮らしていた頃のまま。
個人的にあのシーンは「キッズリターン」のラストにも通ずるものがあると思っている。
「俺たちもう終わっちゃったのかな」
「バカヤロー、まだ始まっちゃいねぇよ」
ラストカットがバスキアの笑顔とそれを見守るベニーというのも印象的。
それから間もなくバスキアはオーバードーズでこの世を去ったとはいえ、最後の最後に親友が孤独から救ってくれたのはある意味幸せだったのではないか。
どこまで本当の話かは不明だが、親友ベニーの存在が本作「バスキア」の味付けに大きな役割を果たしたことは間違いない。
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