石井慧がイバン・シュトルコフにKO敗戦。石井の天敵だったなぁ。でも石井慧はもっと評価されていいと思うんだよな【結果・感想】

石井慧がイバン・シュトルコフにKO敗戦。石井の天敵だったなぁ。でも石井慧はもっと評価されていいと思うんだよな【結果・感想】

チェーンイメージ
2017年7月9日(日本時間10日)にロシア・エカテリンブルグで行われた格闘技興行日本vsロシア対抗戦。
北京五輪柔道男子100kg超級金メダリストの石井慧が、ロシアのイバン・シュトルコフと対戦。2R43秒TKO負けを喫した。
 
ボクシングとMMAの試合が交互に行われた同興行。メインに登場した石井慧だったが、「ロシアのハルク」の異名を持つ無敗のシュトルコフに壮絶TKO負け。
 
石井は初回からローキックや組み技を駆使してテイクダウンを狙っていくが、思うようにコントロールできず、逆にシュトルコフの反撃を受けてしまう。
 
そして迎えた2R。
開始早々、シュトルコフの右フックを被弾し、ダウンしたところに追撃の連打を浴びてしまう。
 
防戦一方になった石井を見て、たまらずレフェリーが割って入り試合終了。
残念ながら敵地ロシアで勝利を飾ることはできなかった。
 
「衰えまくったメイウェザーがセンス抜群のマクレガーにTKO勝利!! お前ら最高やww 報酬100億円のメイウェザー」
 

シュトルコフさん、打撃が得意で腰が強い。石井慧の天敵みたいなヤツだったな

先日行われたロシアでの格闘技興行。
僕も当日、金子大樹vsパベル・マリコフ戦など、ボクシングの試合を中心に視聴した。だが、時間が遅かったせいでメインの石井慧までたどり着くことができず、中途半端なまま終わってしまっていた。
 
「三浦仁選手はいいっすね。てか、エカテリンブルク日露対抗戦おもしろかったww 金子大樹ロシアで散る」
 
そして、この試合は「RCC BOXING PROMOTIONS」のYoutubeチャンネルで配信されており、先日ようやく観終わった次第である。
 

 
試合の感想としては、
「シュトルコフは石井の天敵だったなぁ」
 
恐らく、この選手は石井にとってもっとも苦手なタイプだったと思う。
 
スタンディングでの打撃が得意で腰が強く、首相撲からの膝がよく出る選手。
柔道ベースの石井には、相当やりにくい相手だったのではないだろうか。
 
「石井は打撃に課題がある」というのは以前から言われていたことだが、今回はそれがモロに対策されてしまった感じである。
 
 
まず石井のスタイルというのは、グランドで相手をコントロールするのが基本中の基本となる。
なので、大前提として相手をコカすことができなければ何も始まらない。
 
「石井慧 VS. ヒース・ヒーリング RIZIN 2017横浜」
 
逆に言うと、スタンディングのもみ合いでグランドに持ち込めなかった場合、この選手にはできることがなくなってしまう。
そして今回のシュトルコフは、その点において実に徹底していた。
 
一定の距離をおいて対峙し、得意の打撃をちらつかせて懐に入らせない。
 
石井が柔道技を発動するためには、脇に腕を差し込むか首に腕を回す必要がある。
なので、打撃をかいくぐって組みにいくのだが、首相撲からシュトルコフに膝をかち上げられ、何度も跳ね返される。そして逆にスペースを作られ、至近距離でフックを被弾して後退させられてしまう。
 
結果的にスタンドでの打撃勝負を強いられ、その部分で圧倒されるという最悪の流れである。
 
単発のローキックとへっぴり腰のフックでは脅威を与えることはできず、シュトルコフに余裕をもって対応されてしまう。
 
壊滅的に打撃センスがないのか、打たれることへの恐怖心が大きいのか。
実際のところはわからないが、どちらにしてもあの展開で石井が勝つのは難しい。遅かれ早かれああいう結末が待っていたような気がする。
 
「高野人母美楽しそうでよかった。吉田実代に判定負け。もうボクシング界の救世主になれなんて言わねえよ」
 

現在のMMAは打撃の重要性が向上している? 効率を考えるとタックルよりも打撃で崩した方がてっとり早い

以前にも申し上げたのだが、僕は最近のMMAをほとんど観ていない。
理由は単純に「つまらないから」
 
僕がMMAを観ていたのは発足初期のごちゃ混ぜ感、異種格闘技戦競技の雰囲気が好きだったからで、高度に競技化された今のMMAは正直、好みではない。
 
また、そのごちゃ混ぜ感をかろうじて残していたのがUFC女子バンタム級だったのだが、ロンダ・ラウジーがアマンダ・ヌネスに完敗したことでそれも終焉を迎えている。
 
なので僕自身、男子MMAの試合を観たのは相当久しぶりだった。
 
そこで感じたのが、現在のMMAでは打撃の重要性が上がっているのではないかということ。
 
技術形態が確立された今のMMAは、何かに特化した選手が生き残れるほど甘くない。これは以前にも申し上げた通りである。
  
ボクシングや空手出身の選手が付け焼刃で挑戦するなどもってのほかで、グランド技術のない五味隆典のような選手もどんどん淘汰されていく厳しい舞台。
すべての技術を80点以上のレベルで極めたトータルファイターが、いかに自分の得意なスタイルで戦うか。相手の得意な部分を出させず、自分が90点を出せる分野に持ち込むかというハイレベルな場所であること。
 
そして、それを実現するためには打撃がもっとも有効だと考えられているのではないかということである。
 
「KNOCK OUT FIRST IMPACTで那須川天心を生観戦してきたぞ。すげえ楽しかったから、その感想を羅列していくぞ」
 
グランドで勝負したい選手でも、崩しとしての打撃は必須。打撃を織り交ぜることができれば、いきなりタックルを仕掛けるよりもバリエーションははるかに豊富になる。
また、打撃の得意な選手はフィニッシュパターンをさらに洗練させる必要があり、それを防ぐ側にも同等のレベルが要求される。
 
タックルは1発で相手を仰向けにできる反面、アクションが大きいために外された際のリスクもある。一瞬のタイミングを逃せば成功しないし、おまけに体力の消耗も激しい。
 
逆に打撃ならその場ですぐに出すことができ、防御姿勢が崩れることもない。
身につけるのは難しいが、ものにしたときのアドバンテージは計り知れないものがある。
 
「魔裟斗vs五味(まさとvsごみ)とかいう最低のクソ試合。何だアレ、茶番ですらないわ」
 
ましてや今回は、オクタゴンよりも狭い四角いリングである。
スペースのない場所で有利な展開を作るためには、何だかんだで打撃で圧倒するのが一番てっとり早い。
 
つまり、石井慧のように打撃を苦手とする選手が現在のMMAで勝つのは相当難しい。
恐らく競技レベルの向上によって戦術も効率化された結果、打撃の重要性が加速度的に上がっているのだと思う。
 
何でもできるトータルファイターを相手に打撃もダメ、タックルもない、ガッチリ組んでから「せーの」で大外狩りを仕掛けるスタイルでは話にならない。
 
正直、石井に勝つには倒されないことだけに集中すればいいのだから単純である。
そして、そう考えると今回の結果も致し方なしと言わざるを得ない。

石井慧は山本美憂にレスリングを習えばいい。で、山本美憂は石井慧に柔道を習えばいい

ちなみにだが、石井慧は思い切って山本美憂と練習すればいいんじゃないの? と思っている。
これだけキャリアを重ねても一向に打撃の成長が見込めないのであれば、そっちは諦めた方がいい。せめてタックルを覚えて相手を転がせるようになれば、攻撃のバリエーションが増えるのではないかと。
 
で、逆に山本美憂は石井慧に柔道を習えばいい
タックルだけは超一流だが、相手をコカしてからの手がない。
 
相手を倒してからの局面を打破するのが山本美憂の課題なのは明白で、柔道の技を身につければ一気に覚醒するのではないかと思っているのだが、どうだろうか。
 
要は「打撃センスがない同士、お互いにいいとこ取りすればええんちゃいますか?」という話。
 
「RENA vs 山本美憂 Cygames Presents RIZIN WORLD GP 2016」
 

相変わらず辛辣な言葉を投げかけられる石井慧。そこまで酷くないんだけどね

なお、今回の敗戦を受けて、またしても石井慧を貶す声が聞かれる。
 
「もう負けてるイメージしかない」
「チヤホヤされたおかげで力を発揮できない典型的な例」
「口ばっかりの雑魚ww」
「総合格闘技にいったのは失敗だった」
などなど。
 
「知ってた? K-1ってすげえんだぜ? 日本の格闘技のポテシャルって凄まじいんだぜ?」
 
本人のキャラクターも災いしてか、「それ、ただの悪口じゃねえか」と言いたくなるほどの罵詈雑言である。しかも、すでに旬を過ぎたと思われているのか、普段UFCなどを観ている格闘技ファンの方は一様に無関心という有り様。
わざわざロシアまで出向き、興行のメインを戦った選手の扱いとしては寂しいものがある。
 
一応、僕個人としては、石井慧はもっと評価されていいと思っている。
 
僕は石井慧のファンでもないし、そもそもMMA自体をほとんど観ていない。
だが、この選手が「負けてるイメージしかない」「口ばっかりの雑魚」と罵られたり、日本の格闘技ファンから関心を寄せてもらえない状況は、正直忍びない。

石井慧は絶対に弱くない。現状、唯一まともに通用する日本人選手。海外の試合にも積極的に参加する圧倒的第一人者ですよ

とりあえず断言しておくと、石井慧は弱くない。
 
現在MMA戦績15勝8敗1分。
かつてのDynamaite!!やDREAMでも勝利しているし、主戦場をIGF(なくなっちゃったけど)に移してからはミルコ・クロコップ以外には負けていない。
 
RIZINの100kg級トーナメントでは例によって打撃の弱さをつかれて負けてしまったが、前回のヒース・ヒーリング戦ではうまくグランドで試合をコントロールしている。
 
「石井慧 vs イリー・プロハースカ RIZIN 2015年12月29日「SARABAの宴」」
「石井慧 VS. ヒース・ヒーリング RIZIN 2017横浜」
 
ベラトール169ではランペイジ・ジャクソンに敗れたものの、この試合は打撃というよりフィジカルで負けた感が強い。

 
ヒース・ヒーリング戦もそうだが、この選手がまともに試合になるかどうかは、やはりグランドに持ち込めるかにかかっている。
 
とはいえ、この階級でこれだけできる日本人は石井慧以外にいないし、柴田勝頼や藤田和之ではお話にならない。
 
後にも先にも、この舞台でまともに通用している日本人は石井慧ただ1人である。
桜庭和志、小川直也がいたじゃないかと言われるかもしれないが、そんな10年前の話を持ち出されても困る。
 
何度も申し上げているように、高度に競技化された現在のMMAで彼らが通用するとは思えない。かろうじて可能性があるとすれば、吉田秀彦くらいだろうか。
てか、そもそも小川直也ってどうだったの? という話だが。
 
「みんな範馬勇次郎になりたいんだよ。護身? 礼に始まり、礼に終わる? んなわきゃねーだろ。格闘技にそんな綺麗ごと必要ないから」
 
しかも戦績を確認すると、この選手は今回のロシアや前回のアイルランドだけでなく、ブラジルやアメリカの大会にも積極的に参加している。2011年から2014年まで、柔道アメリカ代表としてオリンピックを目指していた時期もある。
 

第二集団の先頭辺りにはいるんじゃないの? ここまで低評価な意味がわからない。まあ、キャラクターは大きいよな

MMAの勢力図に詳しくないので一概には言えないのだが、僕には石井慧が弱いとはどうしても思えない
今回のイバン・シュトルコフがUFCからのオファーがあったとも聞くし、トップ戦線とはいかないまでも、普通に第二集団くらいの力はあるのではないか。
 
他の日本人がお話にならない中、そこまで大きくない身体でこれだけの戦績を残す。なおかつ海外の試合も積極的にこなす。
 
間違っても「雑魚ww」ではないし、「チヤホヤされたせいで力を発揮できなかった」など的外れもいいところである。
 
「ボクシングよりUFCの方が上? もうめんどくせえよ。人気がとか実力がとか、無意味すぎるだろ」
 
まあ、試合がつまらないからね。
基本的にグランドのみだから、クソほど眠くなるんだよな。
 
あとはキャラクターだよね。
キャラクターが受けつけるかどうかがそのまま選手の評価につながるからな。
実際、人柄がよければ試合内容なんて関係ないと言っても過言じゃないからな。
大変だよな。
 
 

 

 
 
【個人出版支援のFrentopia オンライン書店】送料無料で絶賛営業中!!