ターミネーター:新起動/ジェニシスの感想【スーパー久しぶりの一人映画館】
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「ターミネーター:新起動/ジェニシス」を観てきた。久しぶりの一人映画館である。
アーノルド・シュワルツェネッガーが2003年の「ターミネーター3」以来、12年ぶりにターミネーターT-800型を演じたことでも話題となっている今作。大人気SFアクション映画「ターミネーター」のシリーズ5作目である。
未来の反乱軍のリーダーであるジョン・コナーの母、サラ・コナーを抹殺すべく未来から送り込まれた殺戮マシーン「T-800」。そしてサラ・コナーを守るために未来のジョン自身が過去へと送った戦士カイル・リース。「審判の日」阻止のため、タイムトラベラーたちの時空を超えた戦いが今始まる。
結論から言うと「ボチボチ」
感想をひと言で言うと「ボチボチ」だった。
決してつまらなくはないけど、はりきって観に行くほどでもなかった。そんな映画だった。
「期待を遥かに超える大どんでん返し。必見の作品だ!!」(ジェームズ・キャメロン)
この煽り文句のおかげで期待値がだいぶ上がったので、それもちょっと悪い方に作用したのかもしれない。
とはいえ、映画自体は製作側の本気度を大いにうかがわせる大作だった。脚本にも工夫と創作意欲が感じられた。ただ、それが特別優れているとも思わなかった。
というより狙い過ぎて空回りしたというのが正解だろうか。
あそこの辻褄が合わないとか、ここが矛盾しているなどという野暮を言うつもりはまったくない。
オールドファンを喜ばせようという演出が端々に観られたし、意外性を出そうという意図は十分伝わってきた。
ただ、いかんせんちょっといじり過ぎた。奇をてらい過ぎというか、新しいことをしようとし過ぎてやや外してしまった印象。
「ターミネーター:ニュー・フェイトで俺たちのサラ・コナーが帰ってくるぞw 28年ぶりの正当な続編だってさ」
とにかく時間軸がややこしい。そこを追いかけるのに必死で、いまいち物語に入り込めなかった。もっとこう、ターミネーターがどこまでも追いかけてくる絶望感。アレを前面に出して欲しかったのだが。
「T-800vsT-1000」。このパワーバランスが絶妙
ターミネーターのパワーインフレが尋常じゃない。
今作の敵方ターミネーター。とにかく強過ぎる。いくら攻撃してもケロッと復活してくるし、もはやどうやって倒していいのかわからない。
一個小隊を殲滅できるほどの重火器が毛ほどの足止めにもならないという豪腕無敵っぷり。あり得ない。
そしてめちゃくちゃ動きが速い。残像を残して背後に回るターミネーター。いやいやいやいや。重厚で骨太なバトルこそが持ち味だったはずじゃないですか。
正直なところ、このパワーインフレ自体は「3」の時点でもだいぶ厳しくなっていた。
それをアップグレードさせれば「まあ、こうなるよな」というのは想像できる。想像はできるのだが、こんなヤツにT-800でどうやって勝てと。戦闘力の次元が違い過ぎて勝負にすらならない。小学校2年生と6年生ほどに差があるのだ。
懐古主義と言われてしまうのかもしれないが、T-800vsT-1000のパワーバランスは本当に絶妙だった。触れたものをコピーできる「液体金属」という設定もすばらしい。
ダメージを負っても再生が可能で、重火器や打撃がほぼ無効。一見無敵とも思えるこのT-1000を、旧型ターミネーターと人間が力を合わせて撃退するという背水バトル。液体窒素で凍らせるシーンなど絶頂ものである。
このギリギリの戦いに僕は手に汗握ったし、今だに名作として語り継がれる要因の一つではないだろうか。
「映画「BASURA」←タガログ語で「ゴミ」。映画自体が「ゴミ」ってこと?」
まあ、この「2」のおかげでT-800型に強烈なカリスマ性が生まれてしまったために身動きがとれなくなったという側面は間違いなくあるのだが。今さらシュワちゃんにT-800型以外になれというのも難しいだろうし、ファンもそれを受け入れられないだろう。
敵方はどんどんインフレしていくのに、こっちは現有戦力のまま。これはなかなか厳しいものがある。
今作のT-1000もがんばったんだけどね……。
あ、ちなみに今作でもT-1000が出ます。
これまた懐古主義と言われてしまうかもしれないが、やはりロバート・パトリックのT-1000は別格だった。
今作のT-1000役のイ・ビョンホンもがんばってはいたと思う。がんばってはいたと思うが、やはりどこかに感情の揺れが感じられるというか、ロバート・パトリックの無慈悲さには遠く及ばなかった。
そして、やはりT-1000はオールバックでなくてはダメである。あんな中途半端な七三で毛先で遊んでいる場合ではないのだ。
ちなみに「3」でT-Xを演じたクリスタナ・ローケン。個人的に彼女はなかなかいい味を出していたと思っている。作品としてはクソだが、ターミネーター役としてのクオリティは相当高かったと思うのだ。
彼女の無表情さ、無慈悲さは間違いなくロバート・パトリックに匹敵するポテンシャルを持っていた。だが、残念なことに彼女はセクシー過ぎた。スタイルのよさに目を奪われて無慈悲な印象がかき消されてしまったのだ。やはり敵方ターミネーターはオールバックに限る。
「映画「Slam(スラム)」でポエトリー・リーディングの雨に降られろ。ソウル・ウィリアムズの魂の叫び」
シュワちゃんがおじいちゃん過ぎてキツい
今作のコンセプトとして「サラを父親のように愛するターミネーター」というものがあるようだが、果たしてこれは成功だったのだろうか。僕としては「ちょっとキツいなぁ」というのが素直な感想であった。
肉体派俳優のアーノルド・シュワルツェネッガーもすでに67歳。さすがに無表情な殺戮マシーンを演じ続けるのは厳しいと感じたのだろう。今回は「人間味を感じさせるターミネーター」を意識した演出への路線変更が見られた。ただ、僕個人としては「ターミネーターが表情豊かなおじいちゃんなのはキツい」と感じてしまった。
これに関してはいろいろな意見があるだろうが、親子愛を表現したいのであればターミネーターは無表情の方が効果的だと思うのだ。無表情のターミネーターが無邪気なジョンのお守りをする。これが微笑ましいのであって、表情豊かで好々爺なターミネーターはちょっと違うのではないかと思う。
まあ、あの硬質な演技も「3」の時点でかなり厳しくなっていたし、今のシュワちゃんにそれを求めるのも酷なのは重々承知しているのだが。
「ワイルド・スピード SKY MISSIONなんじゃこりゃww ドラゴンボール化が止まらなくて腹がよじれそう」
サラ・コナー役のエミリア・クラークはとてもよかった
ここまで批判的な意見ばかり述べてきたが、サラ・コナー役のエミリア・クラークはよかったと思う。
彼女を観たのは今作が初めてだったのだが、今後成長していけば、彼女はサンドラ・ブロックになれるのではないだろうか。ターミネーターは今作から3部作で製作していくという話もあるので今後に期待である。
つまらなくはない。おもしろくもないけど
もう一度申し上げるが、今回のターミネーター:新起動/ジェニシス。決してつまらない映画ではなかった。つまらない映画ではなかったが、とびきりおもしろいとも思わなかった。映画評価サイトで軒並み5段階の3.5評価を得ているようだが、まさしくその通りだと思う。
はりきって映画館に行くほどではないが、時間があるならレンタルで観ても損はしない。そんな感じの映画ではないだろうか。
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