那須川天心vs井上拓真戦再視聴。天心の世界戦は2戦早かった? 何だかんだエストラーダは理想の相手だった。能力は高いけど怖さが足りない天心を観て“アイツ”を思い出した【結果・感想】
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2025年11月24日にTOYOTA ARENA TOKYOで開催された「Prime Video Boxing 14」を現地観戦してきたのは下記の通り。
那須川天心vs井上拓真現地観戦。最後まで「天心vsボクシング」だった。天心の試合で相手の応援が大きい状況は初めて。両陣営の対策に差を感じた。天心は接近戦の対応が…
メインのWBC世界バンタム級王座決定戦、那須川天心vs井上拓真戦をお目当てに行ってきたわけだが。
この試合は井上尚弥を除けば熱量も注目度も近年ではダントツに高かった。
僕も会場でめちゃくちゃ楽しんだが今回は見逃し配信で視聴した感想を。
(リングから距離がある)スタンド席ではわからなかったこと、印象が変わらなかったこと等を言っていく。
全編視聴は下記↓

- 1. 試合を通した印象はほぼ同じ。純粋な能力以上に戦略面での差を感じた
- 2. 天心が追い込まれるごとに拓真への歓声が大きくなっていく。ある意味天心の狙い通りだけど…
- 3. 思った以上に「天心vsボクシング」だった。映像で観るとブーイングを浴びせるほどのラフプレーではない
- 4. 両者の特徴がよく出ていた。スピードの差というより種類が違うんだろうね
- 5. 1、2Rは従来のアンタッチャブルさが戻っていた。だが拓真が圧力を強めると逃げきれなくなり…
- 6. 天心の世界戦は2戦早かった? 何だかんだエストラーダは理想の相手だった気がする
- 7. 天心がアイツとちょっとだけ被るんだよね。存在が派手で能力は高いが怖さがない
試合を通した印象はほぼ同じ。純粋な能力以上に戦略面での差を感じた
まず全体の印象は会場で感じたものとほぼ同じ。
序盤2Rは天心が先制→3Rに拓真が距離を詰めてから流れが変わり、5、6、7Rと拓真のペースに。
8Rに天心が巻き返しを見せるが、9R開始早々に拓真がラッシュをかけて流れを引き戻す。
終盤は天心も1発1発に力を込めて腕を振るが、近場の回転力や精度で後れを取る。
・近場の右ショートが当たる
・一足飛びで中に入られると対応が遅れる
・先行逃げ切り型で中盤から単調になる
過去の数戦で見えた天心の弱点に拓真陣営がうまくつけ込んだと言えそう。
逆に天心側はいまいち対策が見えなかった。
まともに勝負したら分が悪いと思うが、天心側から声をかけたのだから勝算があるはず。
と思って注目していたところ、特に何もなかった。
着の身着のままぶつかってちゃんと負けた。
純粋な能力差がそこまで大きいとは思わないが、戦略面での差を感じた次第である。
中野幹士vsライース・アリーム。応援してたアリームさんが勝ったのは嬉しいけど中野幹士のバリエーションのなさが…。「真っ直ぐ行ってぶっ飛ばす、右(左)ストレートでぶっ飛ばす」だけでは頭打ちになる?
天心が追い込まれるごとに拓真への歓声が大きくなっていく。ある意味天心の狙い通りだけど…
僕の体感では両者に対する声援は五分五分か拓真の方が大きいくらい。
さらに試合が進むにつれて会場の雰囲気はどんどん拓真寄りに。天心が追い込まれるごとに「見たかオラァ!!」の空気が増していった。
下記の記事で「ボクシングの歴史と伝統を重んじる保守ファン層の意地 」「ボクシングに対する価値観のぶつかり合い 」等のフレーズを用いているが、マジでそんな感じ。
「嫌われてるんですかね」敗者・那須川天心が“初めてのブーイング”に本音ポツリ「優しくしてよ…」井上拓真への大歓声を呼んだ井上尚弥の“ある行動”(布施鋼治)#ボクシング #boxing #那須川天心 #井上拓真 #NumberWeb https://t.co/ubtdx1CZZ7
— Number編集部 (@numberweb) November 28, 2025
よくも悪くも天心が口にしてきた「ボクシングからの果たし状」「天心vsボクシング」へのアンサーだったのだろうと。
正直、僕などは「そこまでカリカリするほどか?」「この程度の煽りをアングルとして楽しめないのは狭量すぎねえか?」と思うのだが、逆に言えばその不寛容さがあの熱量を生んだわけで。
ある意味天心の狙い通りになったと言える(過去イチやヴぁい拓真を引き出しちゃったけど)。
堤聖也が井上拓真に勝利!! 「足を入れ替えるだけがスイッチじゃない」みたいなファイト。あの位置、タイミングで飛んでくるの? ってパンチが山ほどあった
思った以上に「天心vsボクシング」だった。映像で観るとブーイングを浴びせるほどのラフプレーではない
そして表題の件、思った以上に(会場で感じた以上に)「天心vsボクシング」だったなと。
上記の記事内にもあるように両者がもみ合って拓真がスリップした際に大きなブーイングが起きていた。
僕の後ろに座っていた拓真応援(天心が嫌い)の人もガーガー文句を言っていたが、見逃し配信(消音)で確認するとそこまでラフなものではない。
序盤のスリップはもつれただけ、後半のヤツも拓真が後ろ重心になったところに足が絡まったように見える。
あえて言うなら両手で強引に引きはがしたシーンだが、そこまで逆鱗に触れるほどか? と。
余裕のない状況で思わずやってしまったというのは容易に想像できるし、天心本人も「故意ではない」「格闘技のクセで腕が出てしまった」とコメントしている。
だが「歴史と伝統を重んじる保守ファン層」にはそんなことは関係ない。
天心の型破りなパフォーマンス、癇に障る言動には常日頃からイライラさせられてきた。
それがあの試合で沸点を超えた感じである。
SNSでもあるじゃないっすか。
“言動や見た目が何となく気に食わないヤツ”が失敗すると「待ってました」とばかりに集団でそいつを叩き始める現象。
犯罪を犯したわけでもない、そもそも迷惑をかけられたわけでもない。
それでもムカつくヤツに総スカンを食らわせるのは正しい行為であると。
「アイツ、何かムカつく」
「え? やらかしたって?」
「おっしゃあ、みんなで叩こうぜヒャッハー!!」
このノリがリアルで起きていた気がする。
両者の特徴がよく出ていた。スピードの差というより種類が違うんだろうね
内容に関しては、両者の特徴がめちゃくちゃ出ていた(と思う)。
試合前の評価では“スピードでは天心が上”と言われていたが、実際にはそこまでの差はない。むしろ4R以降は天心の方が拓真のテンポに戸惑っていたくらい。
これはスピード差というより速さの種類が違うのだと思う。
拓真は常に上体を動かしつつ細かくポジションを変えながら攻めるタイミングを探す。
チョコマカと動きながら空いた場所をスタイルで近場の回転力、追尾能力に長けている。
対する天心は基本はカウンター狙い。
静から動への転換というか、緩急をつけたファイトを持ち味とする。相手がフッと気を抜いた瞬間、キワの部分を狙うのが抜群にうまい。
その反面、長いリーチを活かした単発型なので強いパンチを打つにはある程度スペースが必要になる。
デビュー当時はとにかく動き回って打たせない、触らせないことを重視していたためうまくスペースを確保できていたが、アレはあくまで3Rのキック仕様のもの。消費カロリーが高く中盤あたりで必ずスタミナ切れを起こす。
それを解消するために腰を落としてどっしり構えるやり方に移行したわけだが、代償として初期のアンタッチャブルさが失われて近場の被弾が増えた。
ジェイソン・モロニー戦で右ショートをもらってダウンしかかったのもスタイル変更によるものだと思っている。
那須川天心vsジェイソン・モロニー現地観戦おもしろかった。適応は進んだけどいい意味での“ボクサーらしくなさ”が薄れた気も…。基本的にメンタルが“こっち側”なんだろうね
1、2Rは従来のアンタッチャブルさが戻っていた。だが拓真が圧力を強めると逃げきれなくなり…
今回の天心は1、2Rは従来のアンタッチャブルなファイトが戻っていた(と思う)。
ただデビュー当時のように全力で動き回るのではなくペース配分を考えてのもの。
そのせいで拓真がプレッシャーを強めた途端に逃げ切れなくなり、やむを得ずガードを上げて迎え撃つ流れに。
変則ファイトが戻った8Rにポイントを取り返したことを考えると、フルスロットルで動き回れば拓真にも十分通用する。
だが、それをやると高確率でガス欠を起こす。
そこの塩梅をどうするか、まともにぶつかれば分が悪い(と思われる)中で陣営の対策に注目していたわけだが、特に何もなかった(出させてもらえなかった)と申し上げている。
確かにデビュー当時のいい意味でボクサーらしくないスケール感は目減りしたよな。
天心のポテンシャルが一番発揮できるのってハメドとかパーネル・ウィテカーだと思う(メイウェザー、リゴンドーではなく)けど、それをやるとハイカロリー過ぎて途中でガス欠するっていうね。
さじ加減が難しいよな。 https://t.co/tCzkcCIc5l
— 俺に出版とかマジ無理じゃね? (@Info_Frentopia) June 9, 2025
拓真と違って連打型ではない(単発タイプ)&やや非力な天心が自分の距離をキープする方法を見つけるのは急務に思える。
那須川天心の公開練習がアップされたので感想を。確かにデビュー当時のアンタッチャブルさが戻ってた。接近戦がうまい井上拓真。和氣慎吾戦はすごかった
天心の世界戦は2戦早かった? 何だかんだエストラーダは理想の相手だった気がする
後出しジャンケンになるのだが、天心の世界戦は2戦早かったかもしれない。
散々申し上げてきた通り天心は近場の右をもらいやすい、中盤以降単調になる傾向がある。
さらに懸念材料として言われていたのが12Rを経験していないこと。
また前戦のビクトル・サンティリャンは拓真とは真逆のタイプ。
もともと那須川天心vs武居由樹プロジェクトが進行していたためにリーチの長いサウスポーを選んだわけだが、拓真対策としてはあまり意味をなさない。
那須川天心vsビクトル・サンティリャン。「天心ナイスファイト!!」と思った直後の落ち込み具合に驚いた。天心が一番力を発揮できるのはパーネル・ウィテカーだと思うけど燃費が悪い&両立が難しいんだよな
それを埋めるためにもあと2戦ほど挟んでもよかったのではないか。
以前カイチョー本田が「10戦目までは世界戦をやらせない」と言っていた覚えがあるが、結果的に10という数字は絶妙だった。
その反面、経験を積む試合に限界がきていたことも確か。
バンタム級トップ戦線が活性化する中で天心だけ蚊帳の外とはいかなかったと想像する。
近場の連打型で拓真ほどではないがボディワークもある、12Rを一定のペースで動けてサウスポーも苦にしない。
プラスαとして1発KOの心配がない。
これらの条件を満たす相手として何だかんだでファン・フランシスコ・エストラーダは理想的だった(と思う)。
天心がアイツとちょっとだけ被るんだよね。存在が派手で能力は高いが怖さがない
これは余談だが、今回天心が負けたことでちょっとだけアイツを思い出したことをお伝えする。
ブライム・アスロウム。
フランス代表として五輪金メダルを獲得、鳴物入りでプロ入りしテレビ局から全面的なバックアップを受ける。
満を持して2005年12月に初の世界タイトル(フライ級)に挑戦するも、王者ロレンソ・パーラに技巧で上回られて判定負け。
2007年3月に今度はWBO王者オマール・ナルバエスに挑戦するが、再び大差判定負けを喫する。
世界王者までの一大プロジェクトとしてガッツリお膳立てをされるが、大一番で勝てずに尻すぼみに。
一応世界王者(L・フライ級)になっているので失敗ではないものの、当初の期待値に比べれば全然物足りない。
身体能力が高く派手で目立つ存在だが全体的に非力。能力は高いが怖さがない。
どんな手を使っても相手を倒してやろうという“殺気”みたいなものが足りない印象の選手である。
そして、那須川天心がこのブライム・アスロウムと被るのが……。
特に「能力は高いが怖さがない」部分が。
まあ、天心は性格的に一度の挫折で凹むようなタイプではない(と思う)ので大丈夫だと思っているが。
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