那須川天心vs井上拓真現地観戦。最後まで「天心vsボクシング」だった。天心の試合で相手の応援が大きい状況は初めて。両陣営の対策に差を感じた。天心は接近戦の対応が…【結果・感想】

那須川天心vs井上拓真現地観戦。最後まで「天心vsボクシング」だった。天心の試合で相手の応援が大きい状況は初めて。両陣営の対策に差を感じた。天心は接近戦の対応が…【結果・感想】

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2025年11月24日にTOYOTA ARENA TOKYOで開催された「Prime Video Boxing 14」を現地観戦してきた。
お目当てはメインイベントのWBC世界バンタム級王座決定戦、同級1位那須川天心vs同2位井上拓真戦である。
 
結果は3-0の判定(116-112、116-112、117-111)で井上拓真が勝利。昨年10月の堤聖也戦以来の復帰戦で王座戴冠に成功している。
一方、敗れた那須川天心はキックボクシング時代を含めて公式戦で初の黒星。戦績は7勝1敗2KOとなっている。
 
全編視聴は下記↓

 
那須川天心の初の世界戦、しかも相手は井上拓真ということでウッキウキで現地観戦してきたわけだが。
 
今回一つ残念だったのが時間に追われて最後までいられなかったこと。
この日は車で現地に向かったのだが、困ったことに駐車場が22:00で閉まってしまう。
メインのスタートが20:30過ぎ、インターバルや入場を含めて(12Rで)1時間ちょいと考えるとかなり際どい。
 
結局終了のゴングとともに席を立つ→入り口が混雑する前に外に出たため判定結果やインタビューを聞くことができなかった。
また試合中も時間のことが頭を離れず100%集中しきれない状態が続いた。
 
めちゃくちゃいい試合だった半面、最後がバタバタで余韻を感じられなかったことが心残りである(ネット記事やSNSを漁ったりもしていない)。
 

最初から最後まで「天心vsボクシング」だった。天心の試合で相手への声援の方が大きいのは初めて

まずこの試合は(僕の中では)最初から最後まで「天心vsボクシング」だった。
 
天心がデビュー戦の会見で「ボクシングからの果たし状」というフレーズを使い、今回も囲み取材で「ボクシング=井上兄弟という概念を壊したい」旨の発言をする。
これに対するボクシングファンの反応は好意的とは言えず、天心を敵対視する空気が充満する。
僕などは「そこまでカリカリする案件か?」と思うのだが、ボクシングファンはとにかく神経質で細かい人が多い印象である。
 
そして当日の会場もそんな感じ。
拓真への声援はこれまで聞いたことがないほど大きく、「拓真がんばれ」の言葉からは言外に「天心に勝ってボクシングを守ってくれ」の意味が上乗せされている。
 
声援の大きさは5:5、もしくは拓真の方が大きいくらい。
天心(キック時代から)の試合は何度も現地観戦しているが、相手選手の応援があそこまで大きかった(応援に限ってはBサイド)のは初めてである。
 
那須川天心vsビクトル・サンティリャン。「天心ナイスファイト!!」と思った直後の落ち込み具合に驚いた。天心が一番力を発揮できるのはパーネル・ウィテカーだと思うけど燃費が悪い&両立が難しいんだよな
 

主役になれない弟vs主人公の兄。でもやっぱり僕の中では…。一番近いのは魔裟斗vs川尻達也かな

名トレーナーの父親に育てられた同士。
一方は偉大な兄のせいでどれだけ実績を重ねても主役になれない弟。
片やデビュー当時からメインストリームのど真ん中を突っ走ってきた兄。
 
陰と光、鮮やかすぎるくらい鮮やかなコントラストを感じさせる両者の対戦には身震いがする。
陰の道を歩んできた者が主人公になるか、真っ赤な太陽がより強く輝くかの勝負を見届けようぜ。
 
という意見にはむち打ちになるほどうなずいた。
 
 
だが試合前の反応や当日の会場の空気はやっぱり「天心vsボクシング」


ボクシングファンや(元対戦相手を含む)同業者は拓真を応援する。
キック時代から天心を応援しているファンやRISE、RIZINの関係者、選手はもちろん天心応援である。
 
外部からの侵略者とボクシングの尊厳を守る者の激突。
これと似た試合を挙げるなら2009年7月の魔裟斗vs川尻達也戦(K-1ルール)が思い浮かぶ。


本来「侵略者」「ボクシングの尊厳」という表現は適切ではないのだが、天心の大げさな煽り文句とそれに過剰に反発するボクシングファンを見ると……。
 

井上拓真がすごかった。「過去イチの仕上がり」はガチだったね

試合についてだが、今回の井上拓真は本当にすごかった
 
前手の差し合い、接近戦での対応、ペース配分、などなど。
試合前の「一番のモチベーション」「過去イチの仕上がり」のコメント通り。
この日の出来なら堤聖也にも勝てる、2024年5月のジェルウィン・アンカハス戦を上書きするベストパフォーマンスだったのではないか。
 
井上拓真vsジェルウィン・アンカハス。いや~、すまん拓真。ナイスファイト。接近戦はオドレエタ。アンカハスは数年前に比べて足が動かなかったな
 
特に劣勢をひっくり返す粘り強さ、冷静さはこれまでの拓真には見られなかったもの。
1、2Rに圧巻の支配力でペースを握った天心だが、拓真に慌てた様子はない。
3、4Rと徐々に距離を掴み近場の対応で差を見せていく。
 
時おり天心の長いジャブ、フェイントからのボディを被弾するが、次のラウンドの開始からラッシュをかけてすぐにペースを戻す。
 
これまでの7戦で天心は完全な序盤型、中盤から後半にかけてダレることがはっきりしている。
集中を切らさずやるべきことをやれば必ず逆転できると考えていたと想像する。
 
そして、その“集中”が過去イチレベルだったという話。
 

天心も調子はよかった。ただ、現時点で拓真に勝てるかは何とも言えない

対する那須川天心も調子自体はよかったと思う。
 
デビュー当初に見られた中盤での失速もなく初の12Rでも最後まで動けていた。
スウェーからのカウンターや目隠し→ボディ、異様に長いリーチを生かしたジャブ等、瞬間瞬間の動きはやはり天才。会心の出来だった1、2Rはもちろん、ポテンシャルに関しては拓真以上かもしれない。
 
だが現時点で拓真に勝てるかは疑問。
これまでの試合を観る限り天心は自分と同等のバネがある(バックギアについてくる)相手にモタつく傾向がある。
またショートの右をもらいやすく、その両方を兼ね備えるジェルウィン・アシロにはだいぶ苦労させられた。


これらは拓真陣営も絶対に見ているはずで、両者のファイトスタイルを比較すると分が悪いのは天心ではないか。
 
那須川天心vsジェルウィン・アシロ。アシロが強かった&遠間からすっ飛んでくる剛腕との相性もよくない? 天心の調子も悪かったかもね
 
さらに上述の通り天心は完全な前半型である。
序盤は持ち前のスピードとタイミングで圧倒できるが、慣れられると中だるみする。1発の怖さ、流れを変える爆発力が足りないせいでラウンドが進むにつれて単調になる。
 
要は前半の貯金を切り崩しながら逃げ切りを狙うスタイル。この辺は亀田和毅と少し被る。
 

天心側からの対戦オファーなら勝算があるはず。陣営の対策に注目してたけど…

拓真陣営は間違いなく天心の苦手(右のショート、鋭い踏み込み、先行逃げ切り型)を把握している。
しかも今回は初めての12Rである。
 
諸々を加味すると天心が拓真に勝つのは難しい気がするが、聞くところによるとこの対戦は天心側からのオファーだったとのこと。
 
帝拳プロモーションは危ない橋を渡らない、相性のいい相手を見つける眼力に定評がある。その帝拳がGOを出したのだから何かしら勝算があるはず。
下記の通り陣営の拓真対策に注目していたわけだが……。
 
那須川天心vs井上拓真(゚∀゚)キタコレ!! 天心の接近戦の対応次第かな。近場で右をもらいやすい、遠間から一足飛びで入ってくるタイプがやや苦手。天心陣営の作戦に注目しております
 
何もなかったっすね。
 
いや、何かありました?
僕にはそれらしい工夫が感じられない、着の身着のまま勝負して当たり前に負けたように見えたのだが。
 

バッチリ対策を練ってきた拓真陣営とは真逆。苦し紛れのスイッチ、ノーガードを見せる天心

申し上げたように天心のポテンシャルは文句なしにすごい(と思う)。
入場時の表情からもコンディションのよさが感じられた。
 
だが拓真とはやや相性が悪く勝機を見出すには何らかの対策が必要になる。
僕は「拓真を後退させる展開を作れれば」「近場での対応力、工夫が必須」だと思っていたが、そこに関してはまったく見られなかった(気がする)。
 
那須川天心の公開練習がアップされたので感想を。確かにデビュー当時のアンタッチャブルさが戻ってた。接近戦がうまい井上拓真。和氣慎吾戦はすごかった
 
終盤などは天心が右構えにスイッチしたりノーガードで挑発したりと苦し紛れのムーブを見せる有様。
右のショートやペース配分、自分から圧力をかける等、しっかりと対策を練って本番を迎えた拓真陣営とは真逆である。
 
当たり前だが自分と同格かそれ以上の相手に勝つには作戦が重要になる。天心陣営にそこが感じられなかった(僕には)のはちょっと残念である。
 
 
ちなみに試合前に「純粋な実力は拓真の方が上だが天心の勝負強さ、本番力は尋常じゃない」 「わずか2年半でここまできた成長曲線は間違いなく化け物」という理由で天心を推す声が多く聞かれた。
 
ただ、さすがに陣営がそれを計算に入れているわけがない。
本番力やら成長曲線やらの曖昧な物差しで対戦オファーを出すはずがないので、やはり敗因は対策のなさと言えるのではないか。
 

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めちゃくちゃいい試合だったし満足度も高いけど…

入場時の拓真の表情がよかったんですよね。

 
僕は選手の後ろをゾロゾロ着いてくる大橋プロモーションの赤ジャージ軍団が本当に苦手。


と思ったらその直後に天心側もゾロゾロ出てきて激萎えした笑
 

 
今回は何のポーズだったんでしょうか。

 
序盤から天心のパンチもぼちぼち当たっていた。


 
特に上を見せてからのボディは有効だった。


 
だが徐々に拓真がペースを掴む。
 
この右はやはり狙い目ですよね。


 
天心のパンチが近場でひょいひょいかわされる。


和氣慎吾戦や古橋岳也戦での拓真のボディーワークにめちゃくちゃ驚いたことを覚えている。
右ショートとともにここの対策にも注目していたのだが……。
 
 
繰り返しになるが、今回の井上拓真は本当にすごかった。
一方の天心も大一番に向けてしっかりと仕上げてきた。決して評価が下がる内容ではなかったと思う。


 
と同時に作戦面では両陣営に差を感じた。
近場の右、動きに慣れられてからの単調さ、パンチ力不足といった課題を踏まえた上でどうするか。そこが天心陣営に見られなかったのが残念だった。
 
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