ドネア復帰第2戦を完勝!! セットウルを2回TKOで粉砕!!【ボクシング】
2015年7月18日。中国のマカオでドネアvsセットウルによりスーパーバンタム級ノンタイトル10回戦が行われた。
結果はドネアの2RTKO勝利。3度のダウンを奪ったドネアがセットウルに完勝した試合であった。
ノニト・ドネア(34勝22KO3敗)
vs
アンソニーセットウル(20勝8KO4敗)
試合開始からグイグイとプレッシャーをかけるドネア。今日のドネアは強いぞ
1R。
リング中央で対峙する2人。
ドネアがセットウルのボディめがけて左を出す。
対するセットウル。引っ掛けるような左フックを返す。
お互いに当たらない。リングを左回りに回る2人。
軽く前後にフットワークをしながら距離を計るドネア。セットウルはガードを高く上げて頭を振りながらドネアの出方をうかがう。
ドネアのノーモーションの左!!
セットウルの鼻先を軽く捉える。鋭い刃物のような左。セットウルが左を返す。そこに右をかぶせるドネア!!
カウンターでセットウルを捉える!! 観客が沸く!!
セットウルが左を返す。これをバックステップで避けるドネア。再びリング中央で対峙する2人。
ドネアが軽いジャブを2発放つ。いずれもセットウルの顔面を軽く捉える。セットウルも左を返す。しかしドネアはヘッドスリップやガードで余裕を持ってかわす。
2人が同時に左を出すが、ドネアの左が先に相手に届く。パンチのスピード、キレにかなりの差がある。これは早期決着のパターンだろうか?
セットウルが意を決したように前に出て右のロングフックを放つ。そこから返しの左をボディへ。ドネアはこの左をガードしながらカウンターの左をセットウルのボディに合わせる。ドネアの得意とタイミングだ。しかもガードを上げた状態からの左。目に頼った防御、野性的な勘に頼ったカウンターではなく、しっかりとガードを上げた状態でのカウンターである。
ステップバックして距離をとるセットウル。2、3度ステップを踏んだところで動きが止まる。そしてその場にしゃがみこむセットウル!!
ダウン!! ダウン!!
カウンターでのボディ。ワンテンポ遅れてダメージが表面化するパンチだ。
レフェリーが駆け寄りカウントを始める。見るからに苦しそうなセットウル。
カウント7で立ち上がり、試合再開。盛り上がる観客席。
ドネアが攻める。
セットウルが守る。
もう一度ドネアの左ボディ!!
セットウルの腹に突き刺さる。
たまらず後退するセットウル。
追い足を緩めずに前進するドネア。
ロープを背に、時計回りに回るセットウル。
にじり寄るように距離を詰めるドネア。
すごいプレッシャーだ。
セットウルの左に合わせてドネアが右を出す!! そして返しの左!! これをもう一度ボディへ!!
ドシュッ!!
凄まじい破裂音がリングに響く。
たまらずセットウルが腹を押さえて膝をつく!!
ダウン!! 2度目のダウン!! えげつないパンチだ。
苦しいセットウル。残り数秒。立ち上がることができるか。
カウント9で立ち上がるセットウル。
試合再開の合図と同時に1R終了のゴング。
まだ1Rだが、今日のドネアは相当動きがいい。
パンチ、ステップ、プレッシャーのかけ方。すべてにキレがある。
大盛り上がりの会場。
次のラウンドでのKOを期待する空気が会場中に充満する。
一気にTKO。文句のつけようのないくらい完勝のドネア
2R。
ガードを高く上げて、1Rよりも大きく前後左右にステップを踏むセットウル。対するドネア。獲物を狙う猛禽類のような雰囲気でセットウルの動きを観察する。
左ジャブを1発。そして右。かわされはしたが、凄まじいキレ。やはり今日のドネアの動きはいい。
セットウルの左がドネアの顔面を軽く捉える。
対するドネアは左のダブルで応戦する。2発目のアッパーは空を切ったが、セットウルが気圧されるように数歩後退する。
「ボクシング岩佐亮佑、敵地でハスキンスに6R TKO負け!!」
セットウルの左をダッキングでかわし、長い右のカウンター。そこから左ボディを突き刺し、さらに右。流れるようなコンビネーション。当たったのは左ボディだけだが、会場から感嘆の声が漏れる。
再三にわたるボディ攻撃により、早くもセットウルの足取りが怪しい。左ジャブにもシャープさがない。厳しい。セットウル厳しい。
プレッシャーをかけるドネア。
気圧されて後退しながら苦し紛れの左。この左にドネアが右カウンターのフック!! セットウルのテンプルを捉える!!
ダウン!!
セットウルダウン!!
うわ!! これは決まったか?
リングに突っ伏した状態からカウント8で立ち上がるセットウル。
しかし足に力が入らない。ふらふらと後ろによろける。この瞬間セコンドからタオルが投入される。
試合終了!!
TKOでドネア勝利!!
2R 1分41秒TKOでドネア勝利!!
ドネアの今後。ビッグマッチの余地は残されているか
この試合、ドネアが早々にセットウルの左のタイミングを掴んだのが一番の勝因だろう。調子自体も素晴らしかった。
もちろん力量に差があったのは間違いない。
それでも、ここ数試合の「目で避けてからの左フック」のパターンに頼り過ぎなドネアに比べたら相当出来はよかったのではないだろうか。相手のパンチをしっかりガードし、そこからスムーズな流れでカウンターにつなげる。あまり大きく動き過ぎず、最小限のステップで相手を捉えていたと思う。
「メイウェザーはボクシングを終わらせた? アンドレ・ベルトとのラストマッチ発表を受けて」
ドネアというボクサーは、自分が前に出てプレッシャーをかけることができる相手には無類の強さを発揮するタイプである。
ところがここ数試合のドネアは、かつての野性的な勝負勘にやや陰りが見えていた。さらにフェザー級での体格のハンディも大きかったのだろう。あまりスッキリしない試合が続いていた。
やはりドネアの適正階級はせいぜいがスーパーバンタム級なのだ。フェザー級でも大きな部類に入るウォータースとのタイトルマッチは体格的に限界があったと言わざるを得ない。相手のプレッシャーに圧されて、大振りのカウンター一発に賭ける戦い方しかできなくなっていた。
この階級にはスコット・クイッグやカール・フランプトンといったイギリス出身のスター候補がいる。今後のドネアのキャリアを考えると、彼らがステップアップするための高い壁として、後数試合はビッグマッチを組むことができるのではないだろうか。そして、もしも誰かを食うようなことがあれば、ドネアが再び世界タイトル戦線の先頭に立つことも可能である。
ノニト・ドネア。
野性的な勝負勘と並外れた嗅覚を持ったフィリピンの英雄。日本でもまだまだ人気が高いボクサーなので、もう一花咲かせてもらいたいところである。
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