茶番? 魔裟斗vs山本KID再戦を観たけど確かにしょっぱかったな【大みそかKYOKUGEN 2015感想】
2015年大みそかの特番「史上最大の限界バトル KYOKUGEN2015」内の1コーナーで、元格闘家の魔裟斗が総合格闘家で現役UFC選手の山本KID徳郁と3分3RのK-1ルールで対戦。2Rにダウンを奪うなど、3-0の判定で勝利した。
「魔裟斗vs五味(まさとvsごみ)とかいう最低のクソ試合。何だアレ、茶番ですらないわ」
格闘技界の主役に君臨していた両雄の11年ぶりの再戦とあって、発表当初から話題になったこのカード。だが、実際の試合を観た視聴者からは「茶番だ」「山本KIDに勝つ気が感じられない」「おもしろくなかった」などと批判が噴出し、物議を醸す結果となった。
「RIZINのMVPが山本アーセン? バカ言ってんじゃねえよ。MVPはあびる優に決まってるだろ」
魔裟斗、山本KID、テレビ局。誰も損をしない展開
対峙した両者を観た第一印象は、単純に「魔裟斗でけえww」
聞くところによると体重差が12kgあったとか。
なるほど。ボクシングで言ったら6階級ほどの体重差があったということか。そりゃデカいわけだわ魔裟斗。
まあ、試合の内容はすでにみなさんがいろいろとおっしゃられているので割愛するが、結論としてはあれがお互いにとって最良の展開だったのではないかと思っている。
「モデルボクサー高野が引退宣言? 別に構わないんじゃないの?」
山本KIDは体重差があるとはいえ、引退して6年も経っている元選手とまともにぶつかって負ける姿を見せるわけにはいかない。
あのやり方であれば「これだけ体重差のある相手に、軽く流しても余裕で受け流せる」ことをアピールしつつ、相手に花を持たせることができる。しかも専門外の立ち技ルールである。
さらに「UFCとの独占契約があるから本気の試合はできない」という大義名分もある。
恐らく立場的に一番損な役回りであることは間違いないが、それも「日本の格闘技界を盛り上げるためにこれだけ体重差のある不利な条件で試合を受けた」という称賛によってチャラになる。
「背中を向けて逃げるマクレガーに中指を立てて挑発するネイト・ディアス。しょーもない、悪童が聞いて呆れるわ」
魔裟斗側は当初の目的どおり「がんばってるかっこいいお父さん」を家族に見せた上での勝利。世間に対しても「引退して6年経った今もこれだけ強い」ことを証明することができた。自分の健在ぶりをお茶の間にアピールするいい機会にもなったはずだ。
テレビ局としても、かつての格闘技界の主人公が一念発起して一夜限りの現役復帰を果たし、なおかつ宿命のライバルとの対決に勝利するというストーリーの演出といううま味を得られる。
「モデルボクサー高野人母美KO負け!! 今後のボクシング界のために高野人母美の後継者を大至急探すんだ!!」
つまり三者三様、誰も損をせず穏便に試合を終わらせるという意味ではあの展開がベストだったのだ。
まあ、その結果として視聴者が長時間にわたって茶番を見せられる羽目になったわけだが。
「武尊vs小澤感想。やっとわかってきたじゃねえかK-1。大事なのはああいうわけのわからん熱量だよ」
この試合、そこまでイライラするほどのことだったか? いろんな意味で
いろいろと批判が出た魔裟斗vs山本KIDだが、個人的な感想としてはボチボチよかったのではないかと思っている。
試合自体はクソつまらなかったが、批判も含めてエキシビジョンがこれだけ話題になるのは単純にすごいことだし、スポーツイベントの一環として観る分には華もあって楽しめるものだったのではないだろうか。
まあ、僕はこの試合はRIZINで開催してもらいたかったので、その点は不満なのだが。
この試合を観た視聴者から「山本KIDのやる気がまったく感じられなくて萎えた」といった批判が噴出したのは前述したとおりである。
それに対して「山本KIDは12kgも体重差があるのに日本の格闘技界を盛り上げるために試合をOKしたんだぞ。そもそもUFCとの独占契約があるのに本気になるわけないだろ」という反論が各所で聞かれたのだが、実際のところはどうなのだろう。
僕個人は「エキシビジョンなんだからいいんじゃないの?」としか思わなかったのだが。
「山本美優負け~。RENAすごいね、UFC行けるんでないか? 木村ミノルの秒殺KO負けで度肝を抜かれた」
魔裟斗のデカさには確かに驚いたが、ガチの試合をするわけじゃないのだからある程度はOKだと思っていたのだが、違うのだろうか。
「そもそもUFCとの独占契約があるのに本気になるわけない」というのであれば、本気じゃないのだから体重差があっても特に大きな問題ではないということにはならないのだろうか。
本当によくわからないのだが、あそこまで本気でキレたりムキになって擁護したりするほどのことだったのか?
同じTBSの炎の体育会TVという番組内で、女子格闘家に体力自慢の芸人3人が挑むという企画があるが、僕はあれと同じ目線で観ればいいと思っていたのだが違うのだろうか。
2011年だったと思うが、オードリーの春日が韓国のイム・スジョン選手をフルボッコにしていたのにはちょっと引いたが。
あの放送事故的な光景に比べれば、今回の魔裟斗vs山本KIDはよっぽど予定調和の中での安心感があってよかったと思う。
「さすが俺のアムナットさん。20年ぶりのキックルールで那須川天心に肉薄。プニプニのお腹にパンチをもらって倒れ込むもナイスファイト」
年末年始にこれだけ格闘技が話題になったのって相当久しぶりじゃね?
繰り返しになるが、試合自体はクソつまらなかったが、企画そのものはボチボチだったと思っている。
「緊張感がまったくない」「茶番」「つまらない」「手抜き」と切り捨てる人は多いと思うし、「こんな損な役回りを引き受けた山本KIDは偉い」と擁護する人もいると思う。総合格闘家の山本KIDが立ち技での試合におつき合いしてくれたという見方もあるだろう。
あのエキシビジョンを真剣勝負風味の演出で放送したテレビ局にも問題があったのかもしれない。
だが、それもこれも加味した上で、格闘技においてこれだけ話題を提供してくれたことは単純によかったと思っている。批判も含めて年末年始に格闘技がこれだけ話題になることはここ数年なかったことなので。
今後の両雄の活躍にこれからも期待したい。