前田健太のピッチングスタイルが見えた? これならMLBでもなんとかやれるんじゃないか? 絶対大崩れしない投球パターンを構築中
米大リーグ、ロサンゼルス・ドジャースに所属するマエケンこと前田健太投手が2016年4月12日(日本時間13日)、本拠地ドジャースタジアムで初登板。
アリゾナ・ダイヤモンドバックス戦に先発し、6回95球を投げて被安打5四死球2。走者を許しながらも粘り強いピッチングで無失点に抑え、デビュー以来の無失点記録を12回に延ばした。
「2軍調整の松坂大輔、1軍登板までの険しい道のり。手術後の回復具合は何合目」
中五日での登板となった前田は1-0のスコアで勝利投手の権利を得たまま降板した。だが、2番手のバイエズが同点に追いつかれる本塁打を浴びるなどリリーフ陣が崩れてチームは逆転負け。前田の2勝目はお預けとなった。
「舐めんなメジャー、これがマエケンだぞ? あ? ドジャース前田健太がデビュー戦で大活躍」
マエケンvsパトリック・コービン。応援している選手同士のマッチアップで見ごたえ十分
マエケンナイスピッチング。
本日も無失点継続は文句なしにすばらしい。結果的にチームは敗れたとはいえ、これでマエケンに対する信頼もさらにアップするのではないだろうか。
注目のバッティングでもいい当たりのライトライナーとしっかり振り切ったショートゴロ。
「あんたホントに野球上手やね」
そんな言葉をかけたくなるような本拠地初お目見えだった。
対するダイヤモンドバックスの先発はパトリック・コービン。
キレのいいフォーシームとカミソリのようなスライダーをプレートの左端いっぱいから投げ込む本格派サウスポーだ。
2014年のトミー・ジョン手術からの復帰以来、なかなか本来のピッチングができずにいるが、投げている球は間違いなく一級品である。たとえて言うなら、中日ドラゴンズの岩瀬が全盛期の状態で先発しているイメージだろうか。
ちなみにコービンは僕の好きな選手の1人なので、今日は本当に見ごたえのある試合だった。
「前田健太、抜群の適応力でノーノー未遂!! やべえ、本物だわ。これはすごい」
悪いなりに無失点で切り抜けるのがさすがのマエケン
6回無失点と好投した前田だが、正直、出来自体はあまりよくなかった。
逆球が多かったし、前回に比べて球の勢いも感じなかった。先頭打者にいきなり死球を与えるなど、球がすっぽ抜ける場面も目立っていた。
中五日が影響しているのか、センセーショナルなデビューとなった前回登板の出来には及ばないものだったのではないだろうか。
ただ、それでも悪いなりに無失点で切り抜けたのはさすがマエケンである。
大けがせずに淡々とアウトを積み重ねるピッチングスタイルを構築中
今日のピッチングを観てわかったのだが、このマエケンのスタイルはMLBでも大崩れすることはなさそうだということである。
これ以上球威を落とさないことが前提となるが、決して大けがをしない安全第一のスタイルと言えると思う。
右打者には外角のストレートとスライダー、時おりカーブを織り交ぜて追い込む。内角に1球ツーシームを見せてから再び外にスライダー。ファールされた場合はもう1球外に曲がりの大きなスライダーを投げ込む。
左打者に対しては、基本外角のツーシームとストレート。そこにバックドアのスライダーやカーブを使ってファールを打たせるなどで追い込む。勝負球は曲がりが小さくスピードのあるスライダーを膝もとに投げ込むか、もしくはもう1球外角にツーシーム。
要するに、左右問わず内側を見せ球にしながら外角の出し入れで追い込み、最後は外に逃げる球で引っかけさせるというピッチングスタイルである。
驚くような変化球や圧倒的なスピードボールがあるわけではないが、それぞれの球が平均以上でなおかつ再現性が高い。
ピッチングスタイルとしてはごくごくオーソドックスながら、相手の嫌がるコースに嫌がる球種を淡々と投げ続けることができる。そのためにヒットを打たれることはあっても連打はされにくく長打も出にくい。投球の再現性が高いので球数の管理もしやすく、滅多なことでは大崩れしない。
つまり必要最低限の球威を下回らない限り好不調の波を極力小さくできるのである。
加えて、田中マー君のようにスプリットに依存するわけでもないので身体の負担も小さくて済む。
「2016年の田中マー君成績予想!! 靭帯断裂? 被本塁打数、防御率、投球回は?」
なるほど。
調子が悪くても今日のようなピッチングができるはずである。
ひたすら打者の外角へ沈ませ続けて凡打の山を築き、淡々と機械的にアウトを積み重ねていく。
ダルビッシュのような派手さはない。
はっきり言って見ていて楽しくはない。
ただ、安定感は抜群。
疲れが溜まろうが調子が悪かろうが、最低限の球威さえ失わなければシーズンを通してQSを記録し続けることができる。
喜怒哀楽を全面に出す豊かな表情とは裏腹に、機械のようなピッチングスタイルを構築しつつあるのがこの日のマエケンというわけだ。
さらに、今日は前回登板ではほとんど投げていなかったチェンジアップも投げていた。
今のところは叩きつけてしまうシーンが目立っているが、この球種の精度が上がれば左打者をもっと楽に打ち取れるようになる。幸い変化自体はかなり鋭かったので、もう少し制御できるようになればさらに機械化に拍車がかかるはずである。
「黒田200勝(まだ)、広島カープ優勝(する?)、引退(しない?)を受けて、黒田博樹の現状を考える」
投球回200、防御率3点台前半を達成すれば完全にエース格ですね
中四日の日程にどれだけ適応できるか、ケガは大丈夫かといった心配は依然としてある。
だが、今日の内容を見る限り、スタイル的にかなりイニングが食えるのではないだろうか。
今のところ100球未満で降板しているが、もう少し登板を重ねていけば100球を超えることもあるだろう。
全試合で30先発、毎試合7回平均投げたと仮定すると単純計算で210回。これで防御率3点台前半に収まれば十分どころの話ではない。エース格として堂々たる成績である。
「それ見たことか。マエケン舐めやがって。お? コラ」
ドヤ顔でこんな感じの暴言を吐いても許されるのではないだろうか。
まあ、マエケンががんばったからといって僕が暴言を吐いていい理由にはまったくならないのだが。
「マエケンのメジャー成績予想。前田健太(ドジャース)はMLB1年目でどこまでできるのか?」
つくづくオプトアウトなしの8年という奴隷契約が悔やまれるが、こうなったら出来高を総取りするくらいの成績を残してもらいたいものである。
なお次回登板は現地時間4月17日のサンフランシスコ・ジャイアンツ戦とのこと。ついに中四日での登板となる。ますますマエケン劇場に注目だ。