井上浩樹の試合を初めてちゃんと観たけどいい選手。細川バレンタインに大差判定勝利。手数が少ない? あれでいいんじゃない?【結果・感想】

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2019年4月6日、東京・後楽園ホールで行われた日本S・ライト級タイトルマッチ。同級王者細川バレンタインにランキング1位井上浩樹が挑戦し、3-0(97-93、98-93、98-92)の判定で井上浩樹が勝利。初の日本王座戴冠を果たした一戦である。
 
 
37歳の遅咲き王者細川バレンタインに、井上尚弥の従兄弟でもある井上浩樹が挑んだ今回。
開始直後から低い体勢で前に出る細川に対し、井上は鋭い右とバックステップ、スピード差を活かして応戦。序盤は一進一退の攻防が続き、5R終了時の公開採点ではわずかに井上がリードする。
 
ところが6R以降、井上が強めに腕を振るシーンが増え、徐々に細川が前に出られなくなる。
そして時おり鋭いワンツーをヒットするなど、井上が試合の流れを掴む。
 
試合はそのまま井上ペースで進み、最終10R終了のゴング。見事、日本王座戴冠を果たすとともに、デビューからの無敗をキープした。
 
「1R4分の計測ミスの次は1R2分だってさ。試合の成立の可否も後日発表…。こういう仕事ってホントにやるもんじゃねえよな」
 

井上浩樹の試合をちゃんと観たのは初めて。細川バレンタインはそもそも顔と名前が一致すらしてなかった

井上尚弥の従兄弟、井上浩樹が日本タイトルの初戴冠に成功した。
 
相手はベテランの細川バレンタイン。序盤は相手の突進を持て余すシーンも目立ったが、中盤からきっちりと対応。後半はほとんど付け入る隙を与えず、大差の判定勝利を挙げた試合である。
 
 
と言いつつ僕自身、これまで井上浩樹の試合をほとんど観たことがない。
数年前に有明コロシアムで生観戦したのだが、正直遠過ぎていまいちわからなかった記憶がある。また、それ以降も何度か観るチャンスはあったのだが、どうにも食指が動かず。
 
理由はまあ、アレだ。
顔が嫌いだから。
 
相変わらず最低極まりない理由なのだが、余計な理屈をこねない分、マシかなとも思っている。
 
「高橋悠斗選手の試合をようやく生観戦した話。中川祐vs有馬啓祐、高橋悠斗vs中山祐太、赤穂亮vs藤岡飛雄馬in後楽園ホール」
 
そして、細川バレンタインについてはまったく知らない。
名前を聞いたことはあったが、当然試合を観たことはなく。それどころか名前と顔が一致しない状態で、「バレンさん」というのがこの選手を指すことを今回初めて知ったほど。
 
「井上尚弥の従兄弟vs低身長マッチョのベテラン」以外、ほぼ知識がないまま試合観戦するという体たらくである。
 

井上浩樹がいい選手だったことに驚いた。硬くて多彩な右が効果的。3人の中で一番センスがあるってのはなるほどだね

試合の具体的な感想だが、井上浩樹が予想以上にいい選手でびっくりした。
 
強力な右リード、アッパーのカウンターなど。
見るからに硬い右を自在に操り、細川バレンタインの突進を寸断する。
 
特に変なタイミングと角度で打つ右アッパー。アレはなかなかすごいのではないか。
実況によると浩樹の得意パンチらしいが、序盤にカウンターで当てたのを観て思わず声が出てしまった。
 
「岡田博喜にとってのベルトランは最悪な相手だったな。9RTKO負けで初敗戦。経験値と慣れと強者のメンタル」
 
そして細川バレンタインの前進をストップし続けた右リードね。
1発1発が硬そうでめちゃくちゃ痛そう。
時おり見せパンチのフルスイングを振ったり、とにかく多彩で器用だった。
 
試合前のVTRで井上拓真が「尚弥、拓真、浩樹の3人では浩樹が一番センスがある」とコメントしていたが、なるほど。その意味が何となく理解できた気がする。
 
しかもよくよく聞くと、この選手は右利きのサウスポーとのこと。
ああ、そういうことなのね。
 
まあ、そんなことすら知らない自分の情弱ぶりがしょーもないわけだがww
 
「カライジッチが怪物ベテルビエフに挑戦。マーカス・ブラウンを苦しめた長身カウンター使いが初の世界戦。がんばれ俺のカライジッチ」
 

足腰の強さは井上一族の特徴。どんな局面でもバランスを崩さず腰の入ったパンチを打てる


また、この選手の特にいいなと思った部分が足腰の強さ。
 
どんな局面でも体勢を崩さず、すぐに反撃の準備が整う。
序盤は何度か細川バレンタインに押し込まれるシーンもあったが、それでも棒立ちで攻撃を受けたりといった動きは皆無。常にしっかりと足を踏ん張り、カウンターの姿勢をキープしていた。
 
以前から何度か申し上げているが、この辺が井上一族の持ち味である足腰の強さ。
 
「バックステップ→踏み込んでのリターン」までの動きがどれだけスムーズで速いか。
カウンター使いが勝ち上がれるかどうかの分かれ目がここだと思っているのだが、その辺、浩樹はお見事だった。
 
「井上拓真は軽量級のキース・サーマン襲名ってことでいいよな? ペッチ・CPフレッシュマートに判定勝利で初戴冠」
 
細川バレンタインも様々な角度から距離を詰めていたが、バックステップの後にすぐさまリターンが飛んでくるせいでうまく中に入れない。
このリターンと右リードで徐々に出足が鈍り、後半からはほぼワンサイド。にっちもさっちもいかないままラストラウンドを終えてしまった。
 
尚弥、拓真、そして今回の浩樹。
どの選手も試合中にバランスを崩すことなく、常に腰の入ったパンチを打てる。
パワフルさでは細川バレンタインの方が上だったとは思うが、全体の安定感では断然浩樹が上回っていた気がする。
 
「RIZIN15にパッキャオ来場だってさ。榊原信行氏が有能過ぎる件。那須川天心vsフリッツ・ビアグタン決定」
 

積極性? 手数? 今回はアレでいいんじゃないかな。浩樹はこのまま成長すれば和製クロフォードになれる?


ちなみにだが、今回の試合については
「手数が少ない」
「井上の積極性が足りない」
といった感想が散見された。
 
また試合中も解説陣が盛んに「手数」を連呼するなど、両者の消極的な姿勢にやや否定的なコメントを発していた。
 
 
ただ、個人的にはアレでいいと思っている。
 
身長差とサウスポーの長所を利用するにはあの作戦が一番だし、それを実現するために必須の右リードの威力と身体のバネもある。この方向でうまく成長していけば、いずれ和製テレンス・クロフォードにもなれる(適当)。
 
「カーン様がクロフォードに勝つ日がやってきたぞw アミール・カーンは打倒クロフォードの可能性を持った数少ない1人」
 
対する細川バレンタインについても、自分にできることを精一杯やり尽くしたと思う。
 
浩樹に突進をいなされるたびに解説陣に「そこでもう一歩出ないと」と言われていたが、いやそうか?
 
突進の勢いで体勢が崩れ、重心が大きく流れる。あの状態からもう一歩前に出るなんてことが可能なのか?
しかも、サイドに回った浩樹はすでに迎撃姿勢が整っていて、完全にカウンターをもらって大の字になるタイミングにしか見えなかったのだが。
 
むしろ、自分を律して思いとどまったことを褒めるべきな気が……。
知らんけど。
 
 
どちらにしろ「手数が少なくて盛り上がりに欠けた」といった感想が多かったことにはちょっと驚いた。
両者の駆け引きや試合の流れが変わる瞬間など、個人的にはかなり楽しめたので。
 
「ロマチェンコがクローラに圧勝! って、さすがにそうなるでしょとしか…。今さらジョー小泉復活とか古すぎる。時間止まってんのか」
 
なお、細川バレンタインはこれで引退なのだろうか。
僕としてはもう少し観てみたい気もするが。
あまり適当なことは言えないが、がんばってほしいですね。
 
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