井岡一翔大晦日の復帰戦&挑戦者決定戦に思うこと。いつも通り「ボクシングがボクシングしてる」。モンキービジネスの横行と心を動かす熱量が同居するのがボクシング

「ボクシング記事一覧リンク集」へ戻る
 
2025年12月31日に井岡一翔が復帰するわけだが。
対戦相手はベネズエラバンタム級王者マイケル・オルドスゴイティ。この試合はWBA同級挑戦者決定戦として行われる。

井岡一翔　大みそかにオールドスゴイティとＷＢＡ世界バンタム級挑戦者決定戦　ベネズエラ王者　Ｌｅｍｉｎｏプレミアムでの独占生中継も発表/ファイト/デイリースポーツ online https://t.co/aFTcauiTwg #DailySports

— デイリースポーツ (@Daily_Online) November 28, 2025

井岡の大晦日復帰は朗報。“一般人にとっての日常”に到達した数少ないスポーツ選手

今年7月にフェルナンド・マルティネスとの再戦に敗れた井岡一翔。
僕はあの試合で引退かな? と思っていたので5階級制覇を目指しての復帰はめちゃくちゃ朗報である。
 
 
「大晦日の井岡一翔」はもはや風物詩と言っていい。
 
毎週日曜夕方のちびまる子ちゃん→サザエさんのリレー、イチローの200本安打。そして大晦日の井岡一翔。
井岡は“一般人にとっての日常”にまで到達した数少ないスポーツ選手である。

・毎週日曜日の夕方にちびまる子ちゃんとサザエさんを観て休みが終わる絶望を感じる
・9月後半にイチローの200本安打達成のニュースを聞いてホッとする
・大晦日に井岡一翔の試合を観てから紅白歌合戦に切り替える

もはや一般人の「当たり前の日常」に到達したスポーツ選手なんだよ井岡一翔は。 https://t.co/B36RumqXWX

— 俺に出版とかマジ無理じゃね? (@Info_Frentopia) December 31, 2023

井岡一翔vsホスベル・ペレス現地観戦。12度目の大晦日は具志堅の13度防衛にも匹敵する偉業。でも、井岡の出来自体はそこまでよくなかった?
 

バンタム級でトップの力があるかは微妙。でも、そういうことじゃないんですよね

恐らく井岡の現役生活は残り少ない。
数年前に比べて動きも落ちている上にS・フライ級の時点で適性をややオーバーしていた。
バンタム級でトップレベルの力を発揮できるかは微妙である。
 
ただ、今の井岡はそういう段階は過ぎたと思っている。
 
頂点を目指すよりも“生き様を見せる”フェーズに入ったというか。
キックの武尊や総合の青木真也同様、人間臭さを味わう時間。
 
全盛期に比べて身体つきがボテッとして反応も鈍くなった。
 
肉体的なピークをすぎたベテランが経験値と工夫でギリギリ踏みとどまる、トップレベルに近いパフォーマンスを引っ張り出す。
月日の経過とともに失われたものを受け入れつつ、残されたリソースをどう使うか。
彼らが勝利の瞬間、敗北の瞬間に見せる表情。
それらを噛みしめる時間である（キモいことを言っている自覚はある）。
 
井岡一翔vsフェルナンド・マルティネスVol.2現地観戦。井岡の工夫とマルティネスの踏ん張り。どうなんだ? 井岡。完全燃焼できたのか? 内山高志の二の舞は回避したのか?
 

中継はAbema TVからLeminoへ。Abemaはボクシングから撤退したがってるんでしょうか?

なお今回は（今回から）井岡の試合をAbema TVではなくLeminoが中継するとのこと。
バンタム級での意気込みを聞かれた井岡が堤聖也、井上拓真、ドネアの名前を出したのもLemino効果? だと思われる。
 
これでAbema TVが中継するのは亀田興毅の3150FIGHTのみ。独占スポンサー契約を結んでいた堤駿斗は弟とともにリヤドシーズンに参戦中。Abema自体がボクシング中継からの撤退を図っている印象である。
 
いや、どうなんすかね。
（不良債権化した）ボクシング中継をAbema側が切りたがっているのか、井上尚弥を抱えるLeminoが好条件を出したのか。
何となく前者が正解な気がするが。
 
 
ボクシングの中継が地上波放送から配信に移行してからカンテレドーガ、Paravi、YouTubeとあれこれ乱立したが、何だかんだでU-NEXT、Lemino、DAZN（海外）に着地しそう（Amazonはいつまで続くかわからん）である。
 
そして媒体が代わっても大手（帝拳、大橋プロモーション）中心で回す状況はこれまでと変わらない。
国内では「BOXING REAL」や「BOXING RAISE」が独自路線でがんばってるけど。
 
 
井岡の志成プロモーションが3150FIGHTと合流すればおもしろくなるんじゃねえか? などと考えていた時期が僕にもありました。

SANKYOおじさん再起宣言キター♪───Ｏ（≧∇≦）Ｏ────♪

大晦日に志成プロモーションと3150と合流して井岡一翔vsケネス・ラバー（IBF2位決定戦）とかやらねえかな?

ケネス・ラバーはこの前試合したばっかりだし、さすがにないとは思うけど。 https://t.co/GftrFQ65AG

— 俺に出版とかマジ無理じゃね? (@Info_Frentopia) October 30, 2025

亀田京之介vsカシメロ。これは結構すごいんでないか? 最初は乗れなかったけど勝機がありそうだったのもこの試合。格上を喰うためにやれることをやる。来年の京之介vs渡邊海が楽しみになったぞ
 

ランク外の相手といきなりの挑戦者決定戦に批判? 「ボクシングがボクシングしとる」でしかない

バンタム級で実績ゼロの井岡がいきなり挑戦者決定戦に出場すること、対戦相手がランキングにも入っていないベネズエラ王者であること。
このあたりの節操のなさが批判されていたが、まあ今さらである。
 
堤聖也に挑戦するノニト・ドネア、井上拓真に負けた直後に挑戦者決定戦の指令が出た那須川天心も同様。
いつも通り「ボクシングがボクシングしとる」としか思わない。
 
ノニト・ドネアがんばれ。堤聖也は強敵&相性もよくなさそうだけど何とか勝ってくれ。もしドネアが勝ったら血管がちぎれるくらい叫ぶことを宣言します笑
 
SNSやネット掲示板等では
「あのケースはOKだけど～、今回は～」
「こっちにキレるならあっちも批判するべきで〜」
といった言い合い? が散見されたが、ぶっちゃけどれも変わらんでしょと。
 
以前にも申し上げたが、ボクシングのモンキービジネスっぷりを散々見せられたせいで僕の中では「ボクシングはそういうもん」という認識が定着している。
僕と同じ光景を目の当たりにしているはずの人たちがあの熱量でイラつけるのが不思議なくらい。
 

迷惑系YouTuberと重犯罪者の30kg差マッチに世界戦が振り回される現実。犯罪者に寛容な業界のなれの果てですね

そして極めつけは先日のジェイク・ポールvsジャーボンティ・デービス戦（エキシビジョン）がデービスのDV疑惑によって中止になった件。
 
「ジェイク・ポール対ジャーボンティ・デイビス戦が、デイビスに新たなDV疑惑が浮上したことを受けて中止になる」
 
この試合のアンダーで予定されていた平岡アンディvsゲイリー・アントゥワン・ラッセル戦が2026年2月に延期されたわけだが、改めてしょーもない。
 
 
「迷惑系YouTuberと重犯罪者の30kg差マッチが重犯罪者側のやらかしによって中止になる」
↑
字面だけで眩暈がする案件だが、こんなヤツらの都合で世界タイトルマッチ（日本中量級の切り札の大一番）がリスケさせられるのがボクシングの現実である。
 
体重超過やドーピングといった競技内での違反には異様に厳しい割に、リング外での犯罪、一般人に被害が及ぶ行為にはやたらと寛容な業界のなれの果て。
 
ボクシング関係者やファンが他競技（MMAやキック）を茶番呼ばわり&「ボクシングだけは本物」マウントを取ってフルボッコにされる光景を定期的に目にするが、いったいどの口が言っているのか。
それらに比べれば井岡（や天心）のランキング操作など些事でしかない。
 

目を覆うような惨事もあるけど、それを忘れるくらいの感動を生み出せるのがボクシング

申し上げた通りボクシングではランキング操作や人気選手の優遇が当たり前に横行している。
極論、犯罪者だろうが人気と実力があれば許されてしまう。
そのなれの果てがジェイク・ポールvsジャーボンティ・デービス戦である。
 
その反面、ボクシングには問答無用で心を動かす熱量がある。
 
先日の那須川天心vs井上拓真戦や井上尚弥vsムロジョン・アフマダリエフ戦等、ファンの胸を打つ試合はこれまでいくつも生まれている。
国内外問わず語り草になるほどの名試合は多数存在する。
 
那須川天心vs井上拓真現地観戦。最後まで「天心vsボクシング」だった。天心の試合で相手の応援が大きい状況は初めて。両陣営の対策に差を感じた。天心は接近戦の対応が…
 
ボクシングは高尚で崇高な美しいものなどでは絶対にない。
だが人生をかけて舞台に上がり、パンツ一丁で勝負する姿は観る側の心を動かす力がある。
 
いい面も悪い面も全部ひっくるめてボクシング。
目を覆いたくなるような惨事もあるけど、そういった諸々を忘れるほどの感動を生むこともある。
それでいいと思うのだが。
 
 
あ、井岡とマイケル・オルドスゴイティさんの試合がどうなるかはわからねえっす。
 
「ボクシング記事一覧リンク集」へ戻る