エキサイトマッチ総集編2016を観た感想と、俗世にまみれた雑感など
2016年12月26日、WOWOWエキサイトマッチ総集編2016がO.A.され、これで2016年エキサイトマッチの放送分がすべて終了した。
「ビッグマッチが少ない」と言われた2016年ではあったが、改めて振り返るとそれなりにバラエティに富んだ1年だったことに気づかされる番組内容だった。
放送開始25年を超える長寿番組に来年も期待である。
◎エキサイトマッチ2016年総集編「ベストマッチランキング」
1位:〇サウル・アルバレスvsアミール・カーン×
2位:〇ローマン・ゴンサレスvsカルロス・クアドラス×
3位:〇マニー・パッキャオvsジェシー・バルガス×
4位:〇ゲンナジー・ゴロフキンvsケル・ブルック×
5位:〇アンドレ・ウォードvsセルゲイ・コバレフ×
6位:〇ワシル・ロマチェンコvsローマン・マルティネス×
7位:▲フランシスコ・バルガスvsオルランド・サリド▲
8位:〇ホルヘ・リナレスvsアンソニー・クローラ×
9位:〇マニー・パッキャオvsティモシー・ブラッドリー×
10位:〇キース・サーマンvsショーン・ポーター×
2016年は目玉の試合が少なかった。でも、やっぱりウォードvsコバレフ戦は断トツかな
まず順位を見て思ったのが、
「やっぱり目玉になる試合が少なかったな」
である。
「エキサイトマッチ総集編2017の感想。解説陣4人とゲストの村田諒太でビッシリ。おっさんたちの人口密度ゴルァww」
1位のカネロvsカーンや4位のゴロフキンvsケル・ブルックなど、話題性も結末もド派手ではあったが、さすがにミスマッチ過ぎたという印象が強い。
特にゴロフキンvsブルックに関しては、個人的に「ぶっ壊されなくてよかった」という感想しか残っていない。
ゴロフキンの雑な試合運びと試合後のイラついたコメントにちょっとした批判が集まっていたが、それでもケル・ブルックをヤバいところまで追いつめなかったのは大人の対応だったのではないだろうか。
後は何だかんだでパッキャオの引退試合と復帰戦が両方ランクインしたことか。
ブラッドリーVol.3発表時には「誰が観たいんだ」と批判され、復帰が決まった際にも「過去の人」だと言われたパッキャオだが、ふたを開けてみればしっかりトップ10に名を連ねている。やはり、アジアの生ける伝説の動向を楽しみにしている方は多いということか。
そして、今年見事に覚醒して大躍進を遂げたワシル・ロマチェンコと、外れなしの激闘王フランシスコ・バルガスに挑んだオルランド・サリド。彼らを中心としたS・フェザー級戦線は文句なしにおもしろい。
超人的な動きを見せるロマチェンコが頭2つほど抜けている感じはあるが、ここに日本の三浦隆司がどう絡むのか、さらに大みそかに進退をかけてコラレス戦に挑む内山高志は? などなど。2017年もこの階級に注目である。
だが、何をおいても外せないのはやはりアンドレ・ウォードvsセルゲイ・コバレフのL・ヘビー級統一戦。
個人的にこの試合は上記10試合の中では断トツのトップである。
「コバレフvsウォード感想。コバレフ敗れる!! ウォードが3-0の判定で王座奪還!! 神の子がクラッシャーに鼻差で勝利」
「モンキービジネス」と揶揄されるボクシング界で、これだけの実力者同士の一騎打ちが時期を逃さず行われたという事実。
感想記事でも申し上げたが、僕は開始直後にリング上で向かい合うウォードとコバレフの姿を観ただけで半分満足してしまった。
内容の濃密さもさることながら、ボクシング界は結局「誰が強いんだ星人」の集まりだということを思い出させてくれた一戦である。
2016年俺的トピックス1:ゴロフキンの畜生化が止まらない
ランキングについての感想はだいたい上述の通りだが、個人的に2016年で印象に残ったことを挙げるとすれば「ゴロフキンの畜生化」だろう。
ここ最近、ゴロフキンのコメントに棘があることにお気づきの方は多いと思う。
ケル・ブルック戦後に
「ブルックはミドル級の選手ではない」
「さっさと終わらせようと思った」
ドミニク・ウェイド戦後に
「カネロ、私と戦いたくないなら私にベルトを預けろ」
カネロvsカーン戦が決まった際も
「カーンがカネロとやるにはあまりに小さい」
などなど。
2015年までの優等生キャラとは打って変わり、皮肉交じりのヒールへの傾倒がうかがえる。
「ゴロフキンは下の階級の相手とばかり試合をして、自分が階級を上げてウォードに挑む気はない」など、周囲からも徐々に批判が出始めている状況である。
これについて僕の意見を言うなら、ゴロフキンはあえて計算してそうしているのではないかと思う。
最強王者ゴロフキンもすでに34歳。2017年4月には35歳である。
スピード系の選手でないとはいえ、今の強さを維持できる時間は決して多くない。
だが、組まれる試合は話にならないほど弱いドミニク・ウェイドや2階級下のケル・ブルックといった微妙な相手ばかり。期待されたデビッド・レミューとの統一戦もほぼ一方的なタコ殴りで終了。クリス・ユーバンクJr.など、不当に条件釣り上げを画策する無礼者もいる。
あげくの果てに、もっとも期待されるカネロはあれこれと理由をつけて対戦を引き延ばす始末。
恐らくこのまま優等生キャラでいても、満足できる相手に巡り合う可能性は少ないと考えたのかなと。
だったらここらで綺麗ごとは止めて、周囲を挑発しまくれば流れが変わるのではないか。
畜生発言で注目を集めれば、自分から逃げる腰抜けどもの中から怒りに任せて向かってくるヤツが出るかもしれない。そう考えての畜生化なのだと思う。
そして、思うにこれはコバレフの手法の踏襲だ。
アドニス・スティーブンソンを「チキンソン」呼ばわりするなど、ことあるごとに物議を醸すコバレフ。実際、あの畜生キャラに拒絶反応を起こす方は少なくない。
「コバレフ圧勝!! 試合後にチキンソン呼ばわりでなぜかWBC王者を挑発ww」
人種間の問題に触れたり、一線を超えている部分もなきにしもあらずである。
だが実を言うと、僕は本来のコバレフはいいヤツだと思っている。
ロシアからアメリカに渡り、長い下積みを経験する中で数々の苦労があったことは想像に難くない。どうしても越えられない人種の壁を感じたことも一度や二度ではないはず。
その過程で、アウェーの地で何をやれば注目を集めることができるか。試合内容だけでなく、試合前や試合後のインタビューで自分を売るにはどうすればいいか。
それを突き詰めた結果があの畜生キャラだったのだ。
なので、僕はリング上で畜生発言を繰り返すコバレフを観るたびに「ええぞコバレフww」と応援し、SNSなどで見せる穏やかな表情とのギャップに萌えているww
ホプキンスへのお疲れコメント。
もうめっちゃいいヤツww
Удачи моему другу Бернарду Хопкинсу в его завершающем карьеру бое!💪🏼👍🏼 pic.twitter.com/kZG6yhPIIB
— Sergey Kovalev (@KrusherKovalev) 2016年12月16日
嫁の尋常じゃないファーストレディ感も相変わらずで何より。
Time to have a positive time😉👍🏼
🇷🇺Kovalboxer.ru
🇺🇸https://t.co/FPJoBwG87F pic.twitter.com/ayo2NAa4SD— Sergey Kovalev (@KrusherKovalev) 2016年11月22日
孤高のゴロフキン。強すぎるが故の不幸に満ちた選手生活
コバレフを見習い、優等生キャラを捨てて畜生化の道を突き進むゴロフキン。
だがこの一世一代の路線変更も、残念ながら不発に終わるような気がしている。ゴロフキンがどれだけ周りを挑発しても、恐らく本人の望むような相手は現れない。
だってミドル級におらんでしょ? ゴロフキンの相手になりそうなヤツ。
2017年3月にダニエル・ジェイコブスとの統一戦が組まれているとのことだが、現状「選手の格」や「ネームバリュー」でゴロフキンに見合う相手としてはMAXの人選である。
そして、仮にこの試合をクリアしてしまうと(すると思う)、ミドル級は草木一本生えないさら地状態。ゴロフキンがこの階級でやることは完全になくなる。
後は下の階級から上がってきた有名選手を小突き回すか、S・ミドル級に上げてバドゥ・ジャックorジェームス・デゲールを狙うか。
でも年齢的に考えて間に合うの? S・ミドル級で調整試合なんかやってる暇あるの?
本当にそんな感じである。
ジャン・パスカル、ホプキンス、ウォードと、人材豊富なL・ヘビー級でそれなりのビッグマッチを実現させているコバレフと違い、あまりに飛び抜けた実力を持つが故の不幸というヤツである。
2016年俺的トピックス2:吉年愛梨女史っていいよね
最後に思いっきり俗世にまみれた感想を一つ。
吉年愛梨女史いいっすよねww
いやマジで。
この姉ちゃん、確か今年の4月からエキサイトマッチのファミリーに加わったと記憶しているが、個人的になかなかアリでございますww
前任の山藤美智女史もキレイでよかったのだが、明らかにボクシングに興味がないのが丸わかりなのが残念だった。
しかもあまり感情を表に出さないというか、芯がまったくぶれない感じがちょっと……と思っていた。何というか、一緒に飲みに行っても隙がなさ過ぎてつまらないというか(飲みに行くこともないけど)。
既婚者というのもあるだろうが、もう少し砕けた雰囲気が欲しいと思っていた次第である。
その点、吉年愛梨女史の距離感はいい。
適度にボクシングに関心を示し、感動するところでしっかり感動するという雰囲気は非常に好みであるww
ちなみに僕はバスケも好きでWOWOWのNBA中継も観るのだが、この番組内での吉年愛梨女史もしっかりといい味を出している。
前任の木村英里女史も悪くなかったが、正直あまりの熱量に胸焼けを起こしていた。顔圧がすごいというか、画面から伝わる気迫にクソニワカww の僕は毎回気圧されてしまっていた。
「エキサイトマッチ総集編2019感想。どれも印象深かったけど、え? この試合が? ってのもあったかな」
そういう意味でも、この吉年愛梨女史の絶妙な距離感と醸し出す空気はすばらしい。世知辛い世の中ですっかり汚れた僕に、安心感と癒しを与えてくれる存在であるww
ええ、自分でも気持ち悪いというのはわかっているのであしからず。
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