小原佳太vs小畑武尊、渡来美響vsロメル・ピニリ。小原佳太はさすがの中間距離での強さ。でも動きがちょっとカクカクして滑らかさが失われたような【結果・感想】
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2022年10月11日に東京・後楽園ホールで行われた「ダイヤモンドグローブ」。
メインイベントでは日本ウェルター級タイトルマッチが行われ、同級王者小原佳太と暫定王者小畑武尊が対戦。3R2分35秒KOで小原が勝利し王座統一に成功している。
右足の負傷から約10か月ぶりの復帰を果たした小原佳太。暫定王者小畑武尊との統一戦を3RKOでクリアした試合である。
僕はこの日はリアルタイムでは視聴できなかったのだが、前戦で会心の勝利を挙げた小原佳太の復帰戦はぼちぼち楽しみにしていた。
またアンダーカードでは以前現地観戦した際に「これはすごいな」と思った渡来美響のプロ2戦目も行われている。
ほぼ惰性で月額料金を払い続けているFODだが、こういうときは非常に便利である笑
とは言え、そろそろプラットフォームを絞ってもらいたいとも思っている。
配信が増えたのは結構なのだが、とりあえずあっちこっちに分散し過ぎである。
それこそ普段地上波をほとんど観ない僕にとってFODはほぼ不要。惰性で料金を払っていると申し上げたが、実は単に解約するのを忘れていただだったりする。
今年7月の井岡一翔vsドニー・ニエテス戦などはさらにすごい。
アンダーカードに出場した堤駿斗、比嘉大吾の試合は井岡と同じサイトで配信されたものの、セミセミの森武蔵だけは“マネジメント会社の違い”とやらで別配信だったとか。
ここまでくるともはやギャグでやってるとしか思えない笑
大人の事情があるのは仕方ないが、せめて試合順を変えるなり対処のしようはないんかいと。
佐々木尽vs小原佳太、阿部麗也vsキコマルは興味深い。拳四朗vsゴンサレス、拓真vsソリスは正直…。那須川天心vs与那覇勇気戦以外の展望
まあ、愚痴っても仕方ないのでそろそろ試合の感想を。
上述の通りメインの小原佳太vs小畑武尊戦と第3試合の渡来美響vsロメル・ピニリ戦についてあれこれ言っていくことにする。
○渡来美響vsロメル・ピニリ×(判定3-0 ※60-54、60-54、60-54)
渡来美響は以前たまたまデビュー戦を現地観戦して「おお、これはすごい」と思った選手で、そろそろ2戦目がこないかなぁと思っていたところ。
そして今回もさすがだったというか、5勝4KOの強打者にまったく付け入る隙を与えず。現時点でもすでに日本ランカーレベルの実力はあるのでは? と思うくらいの勝ち方だった。
L字の構えにスピーディな足運び、鋭い左リードを駆使するスタイルからもフロイド・メイウェザーリスペクトなのは明らかだが、それを完全に自分のものにしている印象。
前回も申し上げた通り「放っておけば勝手に出てくる」感が尋常じゃない。
渡来美響vs柴田尊文、矢作海vs高橋世魁感想。渡来美響のほっときゃ出てくる感と矢作海の入念に準備を重ねて当日を迎えた感。どっちも好きっすね
相手のロメル・ピニリが3Rあたりからガードを固めて極力自分から手を出さない作戦に変えたためにKOはできなかったものの、倒そうという意思ははっきりと見えた。実際あと1、2Rあれば倒せていたのでは? というくらいピニリはいっぱいいっぱいで、デビュー2戦目としては十分過ぎる内容だったのではないか。
マジな話、これはそこそこキャリアを急ぐのもアリかもしれない。国内のランキングがスカスカな階級だけに次戦かその次くらいでアルビン・ラガンベイあたりを連れてきても大丈夫そうに思えるのだが。
○小原佳太vs小畑武尊×(3R2分35秒TKO)
そしてメインイベント、小原佳太vs小畑武尊戦について。
小原佳太は右足の負傷により今年3月の防衛戦をキャンセル、今回が約10か月ぶりのリングとなる。
対する小畑武尊は小原離脱を受けて6月に行われた暫定王座決定戦で永野祐樹にTKO勝利した選手。前回の勢いのまま正規王座戴冠を狙う。
久保隼vs佐川遼。佐川の凶悪な右が久保をKO。相変わらずとんでもない右。パーフェクトな勝利でしたね。でも久保隼の試合を初めて現地観戦できてよかった
試合は上述の通り小原佳太の3RTKO勝利。小原が経験の違い、格の違いを見せつける結果となった。
ただ今回はちょっと動きが鈍かったというか、持ち味の出入りに陰りが見られた印象。
もともとこの選手は前後左右に動きながら絶えずアングルを変え、前手の差し合いでアドバンテージを取るスタイルを得意とする。
スムーズな上体の動きと足さばきで相手を翻弄しつつ、抜群のタイミングで右の強打を打ち込む。
無造作に出した右が見た目以上の威力を秘めているのも大きな特徴である。
ところがこの試合では全体的に動きがカクカクしていて下半身の粘り? も足りていなかったような……。
相手の小畑武尊があまり手を出してこなかったのもあるとは思うが、僕の記憶にある小原佳太とはややズレがあった(気がする)。
いや、どうなんだ? これは。
右ふくらはぎの怪我とのことだが、もしかたしたらまだ本調子ではないのか?
それとも単純に不調だっただけ?
実際のところは不明だが、どちらにしろ以前のような滑らかさがやや薄れていたように感じた。
小原佳太の中間距離での強さはさすが。この選手に勝つにはいかに自分の距離で勝負させないかが重要?
それでも小原佳太は中間距離での差し合いではさすがの強さを発揮する。
この選手は上述の通りフットワークを駆使した出入りが持ち味で、坂井祥紀のようにガードを上げてプレッシャーをかけてくる相手はやや苦手。
だがスペースがある位置での差し合いで後れを取ることはまずない(アジア圏内では)。
今回も小畑武尊との激しいフェイント合戦(はじめの一歩の“殺気をまとったフェイント”みたいだった)の末に右の強打でKOしているし、この位置で勝負できさえすれば多少足が動かなくてもそこまで影響はなさそう。
逆に小畑武尊は小原の得意な距離に長く留まってしまったのが痛かった。
スピードと精度でそのつど上を行かれるせいで迂闊に近寄れなかったのだとは思うが、小原に勝つには坂井祥紀のガツガツさやアルベイン・ラガンベイのような思い切りのよさが必須。とにかく小原に自分の距離で勝負させないことが重要になる。
前手のジャブで小畑を圧倒し、ガードの間から右を通しまくって試合を優位に進める小原佳太。
で、最後は顔面を打つと見せかけて途中で軌道を変え、小畑の頭が下がったところに側頭部をズドン。ジョン・リエル・カシメロがゾラニ・テテをKOしたパンチと同じ1発をぶち当ててのTKO勝利である。
2017年10月のジャーメル・チャーロvsエリクソン・ルビン戦もそうだが、相手が頭を下げた瞬間に軌道を変えて打ち込む右はサウスポー殺しとしてめちゃくちゃ有効。死角から飛んでくる分、タイミングが合ってしまうと反応のしようがない。カシメロ、チャーロ弟、小原佳太などの出入りを持ち味とする選手にとってはマジで狙い目なのかもしれない。
佐々木尽が剛腕で豊島亮太を1RKO。あそこで勝負したら佐々木尽は強いよな。アブラハム・ノバvsアダム・ロペス戦と井上尚弥の次戦についてとか
小原佳太vs佐々木尽、小原佳太vs井上浩樹が観たいぞ。海外のリングに上がる前にもう一戦…
とりあえず小原佳太はアレだな。
2023年は佐々木尽か井上浩樹と対戦してだな……。
海外のリングで最後のチャンスを模索するのはもちろんOKなのだが、その前に国内でもう一戦やっていただければ。
那須川天心に全部を背負わせた日。天心のことが嫌いなのは構わんけど、ウジウジ揚げ足取ってる場合じゃないでしょ。佐々木尽の振る舞いには感情移入できたよ
僕はどちらかと言えば小原佳太vs佐々木尽が観たい&小原の圧勝予想なのだが、今回のカクカクした動きを観るとちょっと危ないんじゃねえか? とも思い始めている。
何となくだが、佐々木尽の左フックがどこかで小原の顔面を捉えそうな気がしないでもない。
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