ベテルビエフvsコーリン感想。攻略法が見えたような見えないような…。ベテルビエフの剛腕フィジカルにコーリンが撃沈。パワーの違いが…【結果・感想】

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2017年11月11日(日本時間12日)、米・カリフォルニア州で行われたIBF世界L・ヘビー級王座決定戦。同級2位アルツール・ベテルビエフvs同級3位エンリコ・コーリンの一戦は、12R2分33秒TKOでベテルビエフが勝利。初の王座戴冠を果たした試合である。
 
「ウシクvsガシエフ予想。WBSSクルーザー級決勝がサウジアラビアで開催。井上尚弥も次回バンタム級で出場するとか」
 
ガードを固めて踏み込むタイミングを測るコーリンに対し、ベテルビエフは硬質なワンツーで対抗。コーリンをまったく近寄らせない。
 
何とか懐に入って得意の連打に持ち込みたいコーリンだが、渾身のスイングをあっさり防がれ、逆に打ち終わりを狙われ後退させられてしまう。
 
後半に入ると、ダメージが蓄積したコーリンが失速。徐々にベテルビエフの圧力を受け止めきれなくなる。
 
「サダム・アリがコットに勝利!! よっしゃあぁぁボケェエ…! 終わる気満々のヤツに負けんなって思ったけど、ホントにヨカタw」
 
そして疲労困憊で迎えた12R。
ロープ際に追い詰められ、打ち下ろしのワンツーを浴びたコーリンが崩れ落ちるようにダウンを喫する。
何とか立ち上がるものの、すでに反撃する力はなく、ガードの上から右フックを浴びて2度目のダウン。これを見たレフェリーが間髪入れずに試合をストップする。
 
約1年ぶりの試合に勝利したベテルビエフが、見事初の王座戴冠を果たした。
 
「ジョシュ・テイラーvsミゲル・バスケスが本日No.1の名勝負だった件。テイラーはヤバいww こいつならクロフォードにも勝てるかも」
 

コーリンは間違いなくいい選手だった。でも、ベテルビエフとのパワーの差があり過ぎて手も足も出なかった

剛腕ベテルビエフ勝利!!
 
フィジカルで終始圧倒した末に12RTKO。
エンリコ・コーリンはまったく歯が立たず。
 
 
試合を観た率直な感想としては、
「まあ~、こうなりますわな」
 
「ベテルビエフが普通に実力を発揮し、普通に勝利した」とでも言えばいいか。
コーリンも最終ラウンドまでよくがんばったが、疲労困憊のあの状態ではどうにもならない。あと30秒粘ればKO負けを免れたとはいえ、あのタイミングでのストップは仕方ない。とにかく両者のパワーに差があり過ぎた。
 
「カライジッチが怪物ベテルビエフに挑戦。マーカス・ブラウンを苦しめた長身カウンター使いが初の世界戦。がんばれ俺のカライジッチ」
 
まず敗れたエンリコ・コーリンについてだが、この選手は文句なしの好選手。化け物揃いのL・ヘビー級の中でも実力上位で、ランキングに違わぬ強豪である。
 
過去の試合を観る限り、先日ディミトリー・ビボルにボロ雑巾のように負けたブロードハーストとはレベルが違う。少なくとも、この階級の第二グループには入るのではないか。
 
僕自身、コバレフの再起戦の相手であるシャブランスキーと並び、そこそこがんばるのではないかと期待していた選手である(再起戦のコバレフですが、ちょっと手間取るかも? などと思っております)。
 
そして、この選手の勝手なイメージを申し上げるならベタ足のゴロフキン
強固なガードとパリングで相手の攻撃を弾き、自分の距離まで接近してパワフルな連打を振るう。
全体的に力みがなく、ボディ打ちを含めた多彩なコンビネーションを得意とする選手である。
 
だが、ゴロフキンとは違って追い足がなく、基本的には正面からの真っ向勝負のみ。射程も近く、実力を目いっぱい発揮するには至近距離まで近づく必要がある。
 
なので、この選手がベテルビエフ相手に勝機を見出すには、とにかく近場で打ち合うこと。パワー面でベテルビエフに対抗できるかにかかっていると思っていた。
 
そして、結果は観ての通り。
エンリコ・コーリンはベテルビエフのフィジカルにまったく歯が立たず。ワンツーを打っているだけのベテルビエフに、まともに近づくことすらできなかった。
 
「コバレフがシャブランスキーを倒しまくり再起戦に勝利。かっこええわ~コバレフ。やっぱり破壊神が王座にいないとね」
 

自分の間合いまで近づきたいコーリンだが、ベテルビエフの圧力が強くてまともに手が出せない

上体を振り、踏み込みのタイミングを探るコーリン。
時おりジャブを出すが、そこからもう一歩がどうしても踏み込めない。
 
逆に、ベテルビエフの構えは無遠慮な前傾姿勢。
無造作に左を連打し、さらに大きく踏み込んでの右ストレート。ガードの上でもお構いなしに、コーリンの身体を盛大に揺らす。
 
身体を硬直させ、力を振り絞って防御に徹するコーリンに対し、ベテルビエフの動きは基本的に前後のみ。
おっかなびっくり踏み込むコーリンの右を軽くバックステップでしのぎ、たっぷり余裕を持ってリターンを返す。
 
今回、ベテルビエフがやっていたのは本当にこれだけである。
 
「ロマチェンコvsリゴンドー予想。利害の一致だろ? 先行きが見えない同士の消去法マッチ。ってゴメン、ちょっと楽しみにしてるw」
 
コーリンは自分の距離まで近づきたいのだが、ベテルビエフの圧力がすご過ぎて踏み込めない。
意を決して渾身のワンツーを打ち込んでもあっさりガードされ、すぐさま打ち終わりに極太の左が飛んでくる。
 
ガードを下げる余裕もなく、フットワークが使えないので角度を変える術もない。圧倒的なフィジカルの前に手も足も出ない状態が、結局12Rまで続いてしまった。
 
「マティセ圧勝すげえ! テワ・キラムに何もさせずに8RKO勝利。レベルが違い過ぎたかな。ここまで圧倒するとは」
 
「パワーの差があり過ぎた」
もはやこれ以外の言葉がないのだが、あえてつけ加えるとすれば、「井上尚弥と井岡一翔が試合をすれば、だいたいこんな感じになるよね」といったところか。
 

ベテルビエフ対策どうするよ。コバレフ、ビボル、グヴォジク、ジャックなら何とかなるか?

しかし、これはちょっと困った。
この試合を観る限り、ベテルビエフ攻略の糸口が見つからない。
 
中間距離で勝負しても、フィジカル差で圧倒されてワンツーだけでズタズタにされる。
かといって、踏み込み過ぎるとイシドロ・プリエトのようにカウンターでふっ飛ばされる。
 
タボリス・クラウドやアレクサンダー・ジョンソンのようにおっかなびっくり距離をとってもいてもジリ貧だし、強引に身体を密着させてもゴリラのような腕力でひっぺがされてドカン。
 
正直、中間距離でこの選手とまともに対峙しても、何とかできる感じがしない。
 
コバレフやビボルのリーチがあればワンツーで突き離せるか? という気もするが、果たしてどこまで通用するか。
 
「ウォードが再戦に完勝!! コバレフがキャリア初のKO負けでリベンジ失敗。仕方ないね。ちょっと差があり過ぎたよな」
 
あとは、サイドに回りながらの当て逃げに徹するくらいか。それができるとすれば、オレクサンデル・グヴォジクとバドゥ・ジャックか。
 
それでもベテルビエフとはフィジカル差があり過ぎて、たった1度のミスが致命傷になりかねない。
 
ただ、逆に言うとコバレフやビボルのワンツーがヒットすれば勝機は見えるし、グヴォジクやジャックが逃げ切れば道が拓けることを意味する。
 
僕の中でのL・ヘビー級最強は現時点ではベテルビエフだが、必ずしも絶望的とまでは言えない。付け入る隙は十分あるように思える。
 
さらに、宙ぶらりん状態が続くエレイデル・アルバレスが絡んでくれば、ますますこの階級が混沌としておもしろくなるはず。
 
いや、たまらないっすねL・ヘビー級ww
「困った」とか言いながら、実はちっとも困ってないというww
 
「拳四朗は和製ロマチェンコを目指せ。ゲバラに消耗戦で勝利!! だけど、これじゃない感半端ない」
 
できればアンドレ・ウォードがベテルビエフの圧力をどうさばくのかが観たかったが、今となってはどうにもならない。
 
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