格闘技を生で観戦してはいけない理由

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夕方の海岸
幾度となく申し上げているが、僕は格闘技が好きだ。
そして、日本の格闘技界がかつての勢いを取り戻して、選手たちが相応の待遇を受けられる業界になって欲しいと願っている。

「日本の格闘技が不人気な3つの理由【低迷? 迷走?】」

それにはライト層への浸透が不可欠であると再三主張しており、年末に旗揚げされる格闘技イベント「RIZIN」には大いに期待している。

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ただ、格闘技を会場で生観戦することに対してはどちらかというと否定的である。
特に観戦経験のないライト層の方が会場に行くことに関しては、正直あまりおすすめしない。行くのであれば4人以上の人数で行く方がいいのではないかと思う。

というわけで今回は「格闘技を生で観戦してはいけない理由」を中心に書いていきたい。

「生で観戦もせずに選手の強い弱いを語ってんじゃねえよ」

これはとある自称・真の格闘技ファンの言葉である。

何を言っているのだ。
こういうことを抜かす人間がいるから生観戦したくねえんだよ。

格闘技を生観戦するべきでない理由はこれだ。
格闘技の会場に行くと、僕の大嫌いな自称・真の格闘技ファンと同じ空気を吸わなくてはいけない。ライト層を見下す自称観戦玄人が強制的にもれなくセットでついてくるのである。さらに後日SNSなどで感想を言おうものなら、こういう輩に上から目線で否定されるのである。これが反吐が出るほど嫌なのだ。

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格闘技イベントは会場の規模や出場選手にもよるが、往々にしてチケットが1万円前後、もしくはそれ以上であることが多い。大金とまでは言わないが気軽に「いいよ」と言える金額でもない。
しかもイベントの開催時間は最低でも3時間。長いものであれば6時間にも及ぶ場合もある。ほぼ丸一日が潰れる計算である。そこに交通費や食費がプラスされる。実費の1万円以上に負担は大きいのだ。

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それだけの負担を強いられて、なおかつ現場でこんな人間に触れなくてはならないイベントなど行きたいと思うだろうか。少なくとも僕は思わない。どれだけおもしろい試合だろうが、周りの人間に気分を害されるイベントにわざわざ金と時間を使って出向く必要性を感じないのである。

僕が行きたいと思わないということは、つまり多くのライト層は格闘技会場で生観戦をしたいと思わないということである。たとえ一度会場に行ったとしても、うんざりして二度と行きたくなくなるというパターンだろう。

だって気分悪いもん。
何で高い金払って、休日潰して交通費と食費まで使って、ムカつく人間と同じ空気吸わなきゃいけねえんだよ。バカバカしいったらありゃしない。

それなら誰にも邪魔されずにテレビ観戦して好き勝手言う方がよっぽど健全で楽しい休日を過ごせる。
そんな、どこぞの会場での隠れた最強なんか見つけなくても、テレビに出てくる格闘家だけ見てれば事足りるし。そいつのことを適当に褒めたり批判したりしてりゃ十分でしょ。

「生で実際に見てないのに選手の強さがわかってたまるか」という理論もたまに聞くのだが、それこそ「お前、何言ってんだ?」である。

会場で見るよりテレビ画面の方がわかりやすいでしょ? どう考えても。
あんなガチャガチャした雰囲気の中で前の人の頭が邪魔になるような状況で、しかも変な角度で何がわかるの?

テレビ画面で適度な距離から俯瞰で映してくれた方が全然わかりやすいでしょ。すぐにスローも出るし、終わってからもダイジェストが流れるし。
というか「録画をもう一度見直してみよう」ってよくおっしゃってるじゃないっすか。自分でテレビの方がわかりやすいって言っちゃってるじゃないっすか。

「格闘技がわかってないヤツが格闘技を語るな」

自称・真の格闘技ファン「格闘技がわかってないヤツが格闘技を語るんじゃねえよ」

なんで?

意味がわからん。
というより、「わかってるヤツ」って何だ?

「やったことないヤツが批判するな」という言葉を本当によく聞くのだが、毎度のことながら何を言っているのかわからない。

プロ野球選手のプレーはプロ野球選手以外語っちゃいかんのか?
監督の采配批判は監督経験者以外しちゃダメか?
プロ野球の監督経験のある人間ってどれだけいるんだ?

じゃあ日本で初めて三階級制覇を達成した亀田興毅を批判する資格があるのは日本全国で井岡と八重樫だけという理屈になりますが?

メイウェザーの試合がつまらないと言えるのは1試合のファイトマネーが100億円を超える選手だけってことですか?

「メイウェザーはボクシングを終わらせた? アンドレ・ベルトとのラストマッチ発表を受けて」

そりゃあ格闘技は不人気だわ。

「シング・心・ジャディブも知らないヤツがRIZINを批判すんな」

自称・真の格闘技ファン「シング・心・ジャディブも知らないヤツがRIZINを批判する資格なんかねえよ」

ハッハッハ。
もはや戯れ言レベルですらない。

シング・心・ジャディブなんて誰も知らねえしww

シング・心・ジャディブなど、はっきり言って格闘技ファンでもない人間が知っているわけがない。K-1にも出ていたインド人の選手であることすら知られていないだろう。

というより知っている必要もない。
シング・心・ジャディブは確かにいい選手ではあるが、ネームバリューという意味ではまったく足りない。一般層にとっては無名以外の何物でものない。
ヒョードルの相手がこの選手であると聞かされて「物足りない」と思うのは当然のことである。
だって知らないでしょ? シング・心・ジャディブなんて。何か名前に漢字入ってるし。

そのシング・心・ジャディブを知らないことを批判する自称・真の格闘技ファン
まったくわけがわからない。

そういう無名の強豪選手を売り出すためのRIZINだろ?
ヒョードルにシング・心・ジャディブが壮絶に勝ったらどうなる?
一躍トップスターですよ。そういうシンデレラストーリーがあるから格闘技はおもしろいんだろ?

「UFCが終わる? ロンダ・ラウジーの敗北はUFC終焉の序章」

こういう人間がわんさといる格闘技会場になんて行く気になれますかね。

僕が最初に「行くなら4人以上で行った方がいい」と申し上げた理由はこれである。周りを気にせずに自分たちだけで盛り上がれる人数で行くべきだと言っているのである。
それができないならおとなしく家でテレビを観てた方がいい。その方がよっぽど楽しいから。

【余談】前田日明「RIZIN」に対して「マッチメーク的にも過去の人を掘り起こしてもどうかと思う」

アマチュア格闘技「THE OUTSIDE」を主催する前田日明氏がRIZINに対して「過去の人を掘り起こしてもどうかと思う」とのコメントを出したという。

相変わらずである。なぜこうなってしまうのだろうか。

冬の時代が続く格闘技界。
なぜその内側にいる人間が、状況を打破しようと奮闘する人たちを応援できないのだろうか。なぜ一枚岩になって業界を盛り上げようと思わないのだろうか。

それぞれにバラバラの主張なんかしてる場合か?
日本の格闘技界って利害関係でもめるほど余裕あるか? 人気あるか?
ホントにしょーもない。

【余談】格闘技ビジネスはやりづらい。関係者から恫喝される

いつだったか、格闘技がビジネスとして成立しにくい理由として「気に入らないことがあるとプロモーターやマネージャーが恫喝まがいの態度をとる。面倒が多すぎてまともに仕事ができない」という記事を読んだことがある。
ゴシップ系の週刊誌の情報なのでどこまで本当かはわからないが、これが本当だとしたら格闘家どうこうではなく、人として終わっている。

確か去年の年末のイベントで中指を立てた選手に対して「不快だ」「選手としての価値観が彼とは違う」とか「格闘技界の指針が〜」と憤っていた選手がいた。
その選手が言うには「格闘技の目的は青少年の育成」であり「礼に始まり礼に終わる精神を育てること」だったと思う。

全然できてねえじゃねえか。

全然育成できてないじゃないっすか。
それどころか、社会人としてもアカンじゃないですか。

しかもその人間が運営側と直接接する重要なポジションにいたりする格闘技界の状況。
格闘技界の指針や育成云々をおっしゃるなら、中指を立てる程度のパフォーマンスの是非を議論するより、そういうおかしな人間がトップにいる業界の状況を嘆いていただきたいと思う次第である。
まあ本当か嘘かは知らないが。

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