ヘイニーがアブドゥラエフにギブアップ勝利で初戴冠。強ジャブとバックギアのコンボがメイウェザー二世の条件【結果・感想】

ヘイニーがアブドゥラエフにギブアップ勝利で初戴冠。強ジャブとバックギアのコンボがメイウェザー二世の条件【結果・感想】

ニューヨークイメージ
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2019年9月13日(日本時間14日)、米・ニューヨーク州で行われたWBC世界ライト級暫定王座決定戦。同級1位デビン・ヘイニーと2位ザウル・アブドゥラエフの一戦は、4R終了TKOでヘイニーが勝利。暫定ながらも初の王座戴冠に成功した試合である。
 
 
高いガードでじりじりと距離を詰めるザウル・アブドゥラエフに対し、開始直後から鋭いジャブとカウンターで応戦するヘイニー。何とか近づいて突破口を開きたいアブドゥラエフだが、ヘイニーの鋭くスピーディなジャブに出足を阻まれ、バックステップからのカウンターに歯が立たない。
 
2Rに入ると得意のボディ、近場での連打がやや機能したものの、3Rからボディ狙いに切り替えたヘイニーに再び主導権を握られる。
 
身体を振って近づくなど、あらゆる策を講じて勝機を見出したいアブドゥラエフ。だが、ヘイニーの強打とステップについていけず一方的なまま4Rが終了。コーナーでセコンドの問いかけに首を振って棄権の意思を示し、そのまま試合終了。
 
なお、完勝で初戴冠を果たしたヘイニーは試合後、正規王者ロマチェンコと戦う準備はできているとコメント。PFP1位の最強王者への挑戦を声高に宣言している。
 
僕のパウンド・フォー・パウンド(P4P)2020年4月バージョンを考えてみる。思いっきり好き嫌いに影響された独断ランキングだよん 

デビン・ヘイニー圧勝だったな。これは“メイウェザー二世”誕生と言っていい

“メイウェザー二世”として話題のライト級プロスペクト、デビン・ヘイニーが挑んだ初の世界タイトルマッチ。無敗の強打者ザウル・アブドゥラエフとの一戦は、初回からスピード差で圧倒したヘイニーが4Rギブアップ勝利。
 
僕自身、この試合はアブドゥラエフがどれだけがんばれるかに注目していたのだが、思った以上にヘイニーがすごくて驚いてしまった。
 
うん。これはマジで“メイウェザー二世”の誕生ですね。
これまで何人も出ては消えていったメイウェザー(偽)とは一味違う。
 
前回「いまいちスケール感が足りない」どうこうと言ったが、今のところこのレベルで負ける気配はない。本当にvsロマチェンコが実現するのかは不明だが、とにかく今後も注目していきたい選手である。
 
「ゴロフキン大苦戦の末に王座返り咲き。デレフヤンチェンコさんすみません。あんなに手数が出るとは思いませんでした」
 

アブドゥラエフはいい選手だった。期待通りのパフォーマンスを見せてくれたが…

具体的な感想だが、とりあえず言えるのはザウル・アブドゥラエフがいい選手だったということ。
 
予想記事で「ヘイニーにとって過去最強の相手」と申し上げたが、その通りの実力者。何とも言えないところだが、今後も世界タイトルに絡むこともあるのではないか。
 
また、今回はアブドゥラエフ寄りで観ていたこともあり、この選手の精神状態がよく伝わってきた気がする。
 
前回申し上げたように、アブドゥラエフの特徴は高いガードと強フィジカル。
ガードを上げてじりじり近づき、鋭い左で距離を測る。
得意な距離まで近づいたところで左右ボディの連打。これで相手を怯ませ、もう一歩距離を詰めて顔面にストレート。
 
中盤以降の対応力も高く、中間距離でのカウンターをきっかけにペースを取り戻すことも可能。タイトルマッチ経験者のヘンリー・ランディにも勝利するなど、今回もそれなりに期待を持たせる選手だった。
 
そして、実際にその通りのパフォーマンスを見せてくれたのだが……。
 
「ボクシングジムのプロ加盟金が必要だと思う理由と、参入障壁をさらに高くしてもいいと思う理由」
 

ヘイニーの左が鋭く前に出られない。2Rはちょっと期待を持たせたけどね

アブドゥラエフが得意とするのは左右フックの連打。なので、腕を思い切り振るには近い間合いまで近づく必要がある。
 
だが、ヘイニーの左リードが鋭くなかなか前に出られない。
左を出して突破口を見出そうとするが、そのつどバックステップ→リターンの流れで前進を寸断されてしまう。
 
「シャクール・スティーブンソンvsジョエト・ゴンサレス合意キター!! 10月開催でいいの?」
 
2Rに入ると、アブドゥラエフはガードを上げて前進し、強引にヘイニーの間合いに踏み込んでいく。
 
1発目の左にヘイニーがカウンターを合わせたところを狙い、さらに右を被せる。
これで無理やり距離を詰め、左右のボディ連打につなぐ流れ。
 
ヘイニーの左は鋭く多彩だが、実際このラウンドのアブドゥラエフは少しだけ流れを掴みつつあった。
 
このペースを続けていれば、どこかで捕まえられる可能性はある。ただ、ダメージが蓄積すると厳しくなるのであまり猶予はない。とにかくなるべく早くヘイニーのスピードに慣れることが先決。
 
などなど。
わずかな期待を持たせるラウンドだった(と思う)。
 

インターバルで微妙な反応を見せるアブドゥラエフ。3R以降はボディ打ちに苦しみ心が折れる


ところが。
インターバルでのアブドゥラエフの様子がおかしい。
セコンドが懸命にハッパをかけるのだが、それに反応する姿にまったく覇気がない。
 
身振り手振りを交えてアブドゥラエフを励ますセコンド。
だが、当の本人は虚ろな表情でコクコクとうなずくのみ。
 
これが普段のアブドゥラエフの姿なのか。それともあまりの実力差にどうにもならないと思い始めているのか。
観ているだけの僕は「ここからじゃないの?」と思っていたのだが、想像以上にヘイニーのスピードに気圧されていたのかもしれない。
 
 
そして3Rに入ると、ここからヘイニーが少し攻め方を変える。
 
これまでは顔面への左が攻撃の中心だったのだが、その中にボディを織り交ぜ始める。
また、2Rに若干打たれたボディをL字ガードですっぽり覆い、間合いが近づいた分は手数で相殺。
 
これにより、アブドゥラエフはほぼ攻め手を失ってしまう。
 
ガードの間から次々左を通され、出足を止められる。
左リードで突破口を開こうにも、上体反らしで楽々かわされカウンターを被弾。
腕を上げて強引に近づくものの、強烈なボディで連打を寸断される。
さらに、遠い位置からのボディストレートはL字ガードによって打つ場所が見つからない。
 
「ウシクvsスポーン予想。元K-1戦士タイロン・スポーンか。適度に見栄えもよくていいんじゃないでしょうか」
 
スピードでは勝負にならない。
確かに左リードは鋭いが、単発ではヘイニーのバックステップに追いつかない。上体の見切り中心のヘンリー・ランディには届いたが、強靭な足腰を持つヘイニー相手ではそうはいかない。
しかも、相打ち覚悟のカウンター勝負もボディ打ちによって封じられる。
 
完全に打つ手なしというか、ラウンド終了後にコーナーに戻るアブドゥラエフの背中に諦めを感じたのは恐らく気のせいではない。
 
 
結局試合は4R終了時点でのギブアップによりヘイニー勝利に終わったわけだが、まあ、これは仕方ない。
 
アブドゥラエフはできることをすべてやりきり、その上で全局面でヘイニーに上回られた。
あのまま根気よく前進し続けていればもしかしたら……と思わないでもないが、身体より先に心が折れてしまった感が強い。そういう意味でも、深いダメージを負う前にストップしたのはいい判断だったと思う。
 

強ジャブとバックギアのコンボこそが“メイウェザー二世”襲名()の条件

勝利したデビン・ヘイニーだが、今回は本当にお見事だった。
 
正直、僕はもう少し慎重に塩漬けするのかなと思っていたが、まったくそんなことはなく。初のタイトルマッチということで気合いも入っていたと想像する。
 
そして、申し上げたようにこの選手はマジで“メイウェザー二世”だなと。
 
表題の通りなのだが、僕の中で“メイウェザー二世”を襲名する()条件は強ジャブとバックギア
スピーディでキレのある左で相手の出足を止め、鋭いバックステップからのリターンでカウンターを打ち込む。この一連の流れをスムーズにできる選手こそが“メイウェザー二世”を襲名するにふさわしいww
 
 
たとえば2012、2013年頃に“メイウェザー二世”と呼ばれたエイドリアン・ブローナー。
あの選手も左の強度はなかなかよかったが、残念ながらバックステップが効かない。
やたらと広いスタンスで後ろ足を突っ張り、上体の動きで相手のパンチをかわすのみ。しかも階級アップによって相手の圧力が上がるごとに余裕を失い、今ではしっかりガードを上げて真正面から受け止めるスタイルに落ち着いている。
 
「ポーターを見くびってたな。スペンスをあれだけ追い詰めるとは。ただの突貫野郎じゃないってことがわかった気が…」
 
その点、デビン・ヘイニーのバックギアはすばらしい。
今回もアブドゥラエフの左をバックステップでよけるシーンが何度も見られ、そこからリターンを返す姿はメイウェザーそっくり。
 
L字+クネクネディフェンスを駆使する選手は多いが、どの選手も防御面の弱さをカバーできているとは言い難い。
左の強度とバックギアが両立してこそのL字ガード。どちらが欠けてもL字は機能しないというのを、この試合のデビン・ヘイニーがたっぷりと証明してくれたのではないか。
 
衣装は最高にダセえけど。

そのピンクの柄なんだよww
本気でいいと思って着てんのかww
 

井上尚弥のバックギア→リターンはすごいよね。ボワイヨ戦あたりから安定感が一気に増した

ちなみにだが、日本人選手でこの「左の強度とバックギア」を両立している(と僕が思う)のがバンタム級王者の井上尚弥。
 
2018年10月のジェイミー・マクドネル戦などは顕著で、マクドネルの左をバックステップでよけ、リターンの右を叩き込んだシーンは今観ても悪寒がするほどの迫力である。
 
「井上尚弥vsドネア予想。ドネアはぶん回しの1発を当てるしかなさそうだけど…」
 
キャリア初期の井上は相手をギリギリまで引きつけてのカウンター狙いなど、あえてリスクを冒すシーンが目立っていた。聞いた話によればドネアリスペクトだったらしいが、今考えるとアレはあまりよろしくない。
 
それが2017年末のヨワン・ボワイヨ戦あたりから、どっしりと相手の出方をうかがうスタイルに傾倒。よりバックステップを有効に使えるようになっている。その結果、圧倒的なフィジカルに安定感が上乗せされたイメージ。
 
 
なお、和氣慎吾やハッサン・ヌジカムあたりの選手は足はよく動くが、基本的にそれだけ。ピョンピョン飛び跳ねて距離を取るまではいいのだが、そこからちっとも戻ってこない。おかげで和氣慎吾はジョナサン・グスマンに、ハッサン・ヌジカムは村田諒太にあっさり追いつかれ、連打に巻き込まれて終了という結果である。
 
この足腰の強靭さはやはり井上一族の特徴だなと。
 
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