田中将大、インディアンス打線につかまり敗戦。4試合連続QSも地元紙には評価されず【田中将大結果】

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夏の空イメージ
ヤンキースの田中将大投手が8月21日(日本時間の22日)に本拠地ヤンキースタジアムで行われたクリーブランド・インディアンス戦に先発。6回0/3を投げて7安打4失点(自責点3)で6敗(9勝)を喫した。田中は107球を投げて3奪三振2四死球。被本塁打1を許し、防御率は3.61となった。

「田中マー君、今季初完投で9勝目。被弾に泣かされた雪辱を晴らす!!」

この日の投球内容を受けて地元紙では「田中の投球は敗北に値する」など、辛辣な評価が下されている。

今日の田中は球にキレがない。悪いなりにどこまで持ち堪えられるか

初回。
外のフォーシームを中心に8球で三者凡退に仕留めた田中。
3番のブラントリーには外側高めのフォーシームをうまく合わせられたが、打球は運良くセンター正面に飛んで3アウト。
前回の試合もそうだが、ここ数試合でフォーシームの割合をやや増やしているように感じる。さんざん肘の故障が懸念されている田中だが、これだけ積極的にフォーシームを投げることができればひとまず問題ないと断言できそうである。

2回。
1アウトから、5番チゼンホールにライトオーバーのツーベースを許す。しかも打たれたのは外側低めに落ちるスプリット。前の打者の4番サンタナに投げたスプリットもそうだが、今日はあまりこの球の調子がよくない。

6番ゴームズ。2球目のツーシームがデッドボールとなってしまい、ランナー1、2塁。
7番アルモンテへの初球。88マイルのスプリット。この球をアルモンテが鋭く振り抜く。痛烈なゴロが田中の足下を襲う!! しかし田中、フィールディングよくこれをキャッチ!! セカンド、ファーストと渡りダブルプレイ!! ピンチを自らの好守備で無失点に切り抜ける。

序盤2回までだが、今日の田中はあまりよくない。
アウトにはなったが、アルモンテへのスプリットにはキレがよくなかったし、デッドボールを与えたツーシームの動きも悪い。この先のピッチングに不安が残る立ち上がりである。

悪いなりに試合を作るが、徐々に失点を許す田中。何とか立ち直って欲しいが……

3回。
先頭の7番アーシェラ。
初球、2球目とスライダーを続ける。2球目のスライダーにアーシェラが手を出すが、打球はサード正面に飛んで1アウト。だが、このスライダーもあまりキレがない。

9番ラミレスには3-1からの真ん中低めのフォーシームをライト戦に思い切り引っ張られてしまう。3ベースで1アウト3塁。

続く打者は1番キプニス。3球目のスプリットを引っ掛けさせてファーストゴロに打ち取り2アウト。
2番のリンドールにはスプリットの連投で早々に追い込むも、カウント2-2まで粘られてしまう。1球高めを見せたいところだが、今日の球威だと投げるのが恐いのかもしれない。
6球目。89マイルのスプリットが外側やや真ん中よりに入る。この球にリンドールが反応!! うまく合わせて三遊間をライナーで抜くタイムリーヒット!! インディアンス、1点を先制。

2アウト1塁で迎えた3番ブラントリー。初球の外側フォーシームに軽くバットを合わせる。痛烈な打球がサードの正面へ。サードのヘドリーがガッチリ掴んでファーストへ送球。3アウトチェンジ。
何とか打ち取ってはいるものの、いずれの打球も痛烈な当たりばかりである。

4回。
先頭の4番サンタナをカーブとカットボールのコンビネーションで三振に打ち取る。
今日の田中はややカットボールの比率が高い。前にも言ったが、カットボールが多い日の田中はあまり調子がよくないのだ。そして、今日はその傾向が出ている日だ。

5番のチゼンホールを外側のツーシームの後のカットボールでセカンドゴロに打ち取る。アウトにはなっているが、打球自体は痛烈だ。

6番のゴームズには4球ファールで粘られながら最後はスプリットで三振を奪う。この回はツーシーム、スライダー、スプリットと投げ分けていたが、なかなか空振りがとれずに球数が嵩んでいる印象だ。

うん。やはり今日の田中はよくない。
変化球がキレていないので、低めのいいコースに投げても打者がついてくる。思ったように空振りがとれないのでコースを狙い過ぎて、結果的に球数が増えるパターンだ。ゴームズを三振にとった最後のスプリットもホームプレートのだいぶ前でバウンドしていた。たまたま振ってくれたが、本来なら見逃されていた球である。

とはいいつつ、なんだかんだで4回まで1失点で切り抜ける田中。この辺りはさすがといったところであろうか。悪いなりに何とかする器用さは本当に素晴らしい。

1-1とヤンキースが同点に追いついた5回。
先頭の7番アルモンテにカウント2-2から外側スライダーを捉えられ、ピッチャー強襲のヒットを許す。
続く8番アーシェラの初球。84マイルのスライダー。
あ、甘い!!
だがアーシェラが見送って1ストライク。
2球目も同じコースにスライダー。この球にアーシェラが反応するが、打球は平凡なライトフライ。
助かった。この2球は甘かった。

9番ラミレス。低めを意識し過ぎたか、スプリット、スライダーともに叩きつけてしまいフォアボールを許す。キレの悪さを制球力でカバーしようとするあまり、カウントを悪くしてしまう悪循環。しかもランナーを出してからの投球間隔が非常に長い。苦しいピッチングが続く。

打順は1番に戻りキプニス。
初球。78マイルのカーブが決まり1ストライク。このカーブは今日、唯一調子がいい球ではないだろうか。
2、3球目とスプリットを連投するが、余裕を持って見逃される。今日のスプリットには本当にキレがない。
4球目。カーブが外角に抜けてボール。カウント3-1。
5球目。真ん中やや外よりのスプリット。あ、甘い!! と思った瞬間キプニスが鋭くバットを振り抜く!! 痛烈な打球が一二塁間を襲う!! しかしセカンドのラミレスが飛び込んでキャッチ!! セカンドへ送球してフォースアウト。これは大きい。ナイスプレーだ。

2番リンドール。先ほどのプレーで何とかリズムに乗りたい。
カウント2-0からの3球目。この回初めてフォーシームを投じる田中。94マイルのフォーシームにリンドールが振り遅れてファール!! いい球だ。この球はいい!!
続く4球目。カットボールで空振りを奪い、カウント2-2
5球目。外側のスプリットをリンドールが引っ掛けて平凡なショートゴロ。しかしこの打球をショートのライアンがなんとお手玉!! この間に3塁ランナーが生還して2失点目。2-1と再びリードを許す。

3番ブラントリーを4球目のスプリットでピッチャーゴロに打ち取り、5回を終えた田中。この失点は悔しい。本来ならピンチを切り抜けはずなのに。完全に打ち取った打席だったのに。

ホームランで追加点を許してしまう田中。フォーシームを続け過ぎた

6回。
先頭打者は4番のサンタナ。
初球は76マイルのカーブが低めに外れる。
2球目。外側へのツーシーム。これも外れてボール。
3球目。今度は外側へのカットボール。高めに抜けてボール。カウント3-0。
4球目。外側への93マイルのフォーシーム。ストライク。
5球目。外側へもう1球、94マイルのフォーシーム。サンタナが手を出すが、振り遅れてファール。
6球目。真ん中やや外よりに95マイルのフォーシーム。この球をサンタナが振り抜く!! 打球は詰まりながらもライトスタンドの最前列へスタンドイン!! ホームラン!!
ソロホームランで3失点目。得点は3-1と、インディアンス2点のリードに広がる。
う〜ん。裏をかいたつもりだったのだろうか。いい球だったが、3球連続同じコースにフォーシームはさすがに続け過ぎだ。

その後、6番ゴームズにレフト前ヒットを許したところで田中がギアを上げる。
7番アルモンテにはスプリットを3球続けてファーストゴロ。
8番アーシェラには7球中スプリットを5球投げ、最後は外角低めのスライダーで三振に切ってとる。
いずれもキレ自体はあまりよくはなかったが、気迫を前面に出した投球でこの回を乗り切った恰好だ。

7回。
ここまでの球数98球。この回を投げきれるかどうか。

先頭打者は9番ラミレス。
初球は外側のスライダー。しかし外れてボール。
2球目。また外側のスライダー。これは決まってカウント1-1。
3球目。内側へのツーシーム。ボール。
4球目。外側のスライダー。決まってストライク。カウント2-2。
5球目。89マイルのスプリット。だが叩きつけてしまいボール。カウント3-2。
6球目。外側への89マイルのスプリット。ラミレスが引っ掛けてファール。
7球目。もう一度同じコースへスプリット。この球にもラミレスが反応するが、またしてもファール。
8球目。外側を狙ったフォーシームが内側に入る。ラミレスが手を出すが、振り遅れでファール。
7球目。外側へのスライダー。すっぽ抜けてハーフスピードのボールになる。この球をラミレスが三遊間に流し打ち!! 打球はレフト前に転がりノーアウトランナー1塁。

ここで球数が107球となり、監督のジラルディがベンチを出る。
結局この打者までで降板となった田中。試合はその後も追加点をあげたインディアンスが7-3でヤンキースを破り、田中に6敗目(9勝)が記録された。

悪いなりに試合を作った田中。今後の過酷なプレーオフを勝ち抜くための調整に注目

6敗目を喫した田中。
全体的な出来としては、球にキレがなく明らかに悪かった。特にスプリットの変化がドロンとしていて、普段は空振りがとれているはずの球に当てられていた。そのため球数が増え、キレの悪さを制球力でカバーしようとしているのでさらにカウントを悪くするという悪循環であった。ただ、その悪い中でも6回3失点で粘ったのは評価できるのではないだろうか。

だが、配球面にはやや疑問の残る点があった。
毎度のことだが、ピンチになるとスプリット一辺倒の組み立てになるのはそうなのだが、サンタナへの3球連続のフォーシーム。あの配球はさすがに極端すぎるように思えるのだが、どうだろうか。

「田中将大、2本のソロ本塁打に泣き今季5敗目。なぜ今年は被本塁打が増えたのだろうか」

やはりマッキャンとのコンビネーションはいまいちなのだろうか。
だが、チームとしても25本打てるキャッチャーを無視するわけにはいかないのもわかる。特に今日の相手先発は好投手のカラスコだ。田中との相性だけでこの打力を捨てるわけにはいかないだろう。

「田中将大今シーズン10勝目!! ホームランを許すものの7回3失点の好投」

今日は調子が悪く敗戦してしまったが、シーズンも佳境に入るこの時期。徐々に田中にかかる負担も大きくなっていくはずである。調子がよければ相手を押さえ込める実力を持っていることは証明済みの田中。今後の調整力に注目である。

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