ラグビーW杯2019南アフリカ優勝。タックル、セットプレー、モール。南アフリカの持ち味がイングランドをノートライに封じる【決勝戦感想】

ラグビーW杯2019南アフリカ優勝。タックル、セットプレー、モール。南アフリカの持ち味がイングランドをノートライに封じる【決勝戦感想】

横浜国際競技場イメージ
2019年11月2日、横浜国際競技場で行われたラグビーW杯決勝戦。南アフリカ代表vsイングランド代表の一戦は、32-12で南アフリカの勝利。2トライ2ゴール6PGを決めた南アフリカがイングランドをノートライに抑え、見事3大会ぶり3度目の優勝を飾った試合である。
 
 
10分過ぎに南アフリカのハンドレ・ポラードが先制のPGを決めると、23分にはイングランドのオーフェン・ファレルがPGを決めてすぐさま同点に追いつく。その後も両チームがPGを決め合うじりじりとした展開が続き、12-6と南アフリカ6点リードで前半を折り返す。
 
後半に入ると徐々に南アフリカがペースを掴み、イングランドを押し込むシーンが増える。
66分にWTBマピンピが両チーム通じて最初のトライを奪い23-12とリード。コンバージョンゴールも決まり、南アフリカが試合の流れを一気に引き寄せる。
 
続く74分には右WTBのコルビが個人技でイングランドディフェンスを振り切りトライ。ポラードが確実にコンバージョンを決め、試合を決定づける。
 
懸命の反撃を見せるイングランドだが、最後まで南アフリカのディフェンスを崩せず無念のノーサイド。南アフリカの3大会ぶり3度目の優勝が決まった。

 

ラグビーW杯楽しかった!! 20年以内の日本開催を目指す? おう、やれやれ、絶対やれ

2019年9月20日に開幕したラグビーW杯も11月2日の決勝戦をもって全日程を終えたわけだが、この1か月半は本当に楽しかった
 
日本の史上初のベスト8入りはもちろん、その日本に勝利した南アフリカが優勝したのもすばらしい。惜しくも敗れたイングランドも準決勝では優勝候補筆頭のニュージーランドに完勝するなど、実力の高さを証明している。
 
「日本vsサモア感想。おっもしれえ試合。動きが多くて白熱した。点の取り合いでも強い日本」
 
その他、ウルグアイがフィジー戦で大金星を挙げたり、ウェールズvsフランス戦が凄まじい接戦だったり。それこそつまらない試合が一つもない(僕が観た中では)と言えるほど、見どころだらけの大会だったのではないか。
 
個人的にラグビーは4年に一度のペースで観戦熱が上がるクソニワカww なのだが、それを踏まえた上で楽しかった。
 
各チームの戦力をあれこれと分析()するのもそうだし、ドン引きするようなデカい男たちがゴリゴリぶつかり合うのを観るのもいい。
“フェアプレー精神”や“おもてなし”など、ややアピールが過ぎる部分が目についたが、それ以外は文句なしの1か月半と言っていい。
 
 
また今回の大成功を受けて、日本は再びラグビーW杯招致に名乗りを挙げているとか。
20年以内の日本大会実現を目指し、代表強化のために南半球4か国対抗とスーパーラグビーの主催団体の担当者に要望を伝えるという。
 
なるほど。
どの試合も高視聴率だったというし、ぜひまたやってもらいたい。次回こそは会場での観戦を目標に、その日を楽しみにしておくことにする。
 

南アフリカは強いけど、イングランドのことはよく知らず。チラッと観た感じでは拮抗するように思えたかな

そして、決勝戦について。
 
僕自身、南アフリカチームに関してはずーっと評価しており、「4年前よりも明らかに強い」「ディフェンスとキックの強化によってますます手がつけられなくなった」と再三申し上げてきた(クソニワカww のクセに)。


対するイングランドだが、正直このチームについてはよく知らず
組み合わせ的に日本と当たる確率が低く、そのせいで地上波放送も少ない。2015年まで日本を率いたエディ・ジョーンズが指揮官を務めていることは当然知っていたが、はっきり言って決勝まで進むチームだとは思っていなかった。
 
それが準決勝で優勝候補筆頭と言われるニュージーランドに大金星を挙げたのを観て、いや、こりゃやべえぞと。あのニュージーランドが負けることがあるんかいと。
プールBの初戦、ニュージーランドvs南アフリカ戦を観た際には「決勝もこの2チームで決まりでしょ」とまで思っていたのだが。
 
「日本がロシアを粉砕。球際とパスワークで差をつけ30-10で勝利。今の日本は強いから安心しれ」
 
ただ、南アフリカもそう簡単に負けるとは思えず。
 
事前予想ではイングランド有利の声が多かったようだが、準決勝までの試合を振り返ると決して南アフリカが劣っているようには見えない。
でも、イングランドをよく知らないから試合を予想するのは止めとくか。
 
そんな感じで、どちらかと言えば南アフリカ寄りのテンションで観戦したという流れである。
 

いい試合だった!! 日本vs南アフリカ戦と同じような展開だったよね

で、結果は32-12で南アフリカがイングランドを下したわけだが、「めちゃくちゃいい試合だったな」と。
 
緊迫感のある前半から、1トライを奪った南アフリカが抜け出した後半。
展開的にはベスト8の日本vs南アフリカ戦と似たようなイメージで、後半に入って地力の差が徐々に表面化した試合と言えるのではないか。
 
「日本vs南アフリカ感想。先にバテたのが日本だったな。自陣にくぎ付けにされたのが…」
 
以前から申し上げているように、南アフリカの持ち味は低いタックルと堅実なセットプレー、ドライビングモールの3つ。
 
スピーディな詰めで相手の出足を前で止め、攻撃のリズムを作らせない。
 
オフェンス面では今大会失敗わずか1(!!)のラインアウトでボールをキープし、敵陣でガッチリモールを組む。そのまま得意のドライビングモールでグイグイ前進してゴールラインになだれ込む。もしくは相手を下がらせた状態で外に大きく展開し、高速WTBを走らせる。
 
ディフェンス面で言えば、相手を仰向けに倒すほどのタックルは特筆もの。試合を通しての総タックル数が相手チームの1.5倍を記録することもザラで、地域支配率、ボール支配率の低さの割に失点が少ない。今大会で奪われたトライはわずかに3つという鬼畜ディフェンスのチームである。
 
だって、ホントにサボらないんだよなコイツら。
前に出るタックラーと内側から詰める人間、外側でパスコースを塞ぐ人間。ボールキャリアはあっという間に3人同時に囲まれるせいで何もできなくなる。
 

スタッツ的にも日本戦と似通ってたな。ランキャリー、パス数は負けても、その分をタックルで補うスタイル

そして、イングランドとの大一番でもディフェンス面の堅さは如何なく発揮されている。
 
この試合での各スタッツを見ると、
 
・地域支配率
イングランド:56%
南アフリカ:44%
 
・キャリーメートル数
イングランド:201
南アフリカ:369
 
・ランキャリーメートル
イングランド:123
南アフリカ:89
 
・パス数
イングランド:153
南アフリカ:97
 
・キックゲインメーター
イングランド:567
南アフリカ:585
 
・パントキック/キックのボールを獲得
イングランド:19/15
南アフリカ:24/22
 
・タックル
イングランド:97
南アフリカ:158
 
主なものを抜粋してみたが、だいたいこんな感じである。
これらを見て気づくのが、各数値の傾向が日本戦と似通っていること。
 
上記と同様に日本vs南アフリカ戦のスタッツを抜粋すると、
 
・地域支配率
日本:50%
南アフリカ:50%
 
・キャリーメートル数
日本:274
南アフリカ:295
 
・ランキャリーメートル
日本:129
南アフリカ:90
 
・パス数
日本:204
南アフリカ:104
 
・キックゲインメーター
日本:408
南アフリカ:625
 
・パントキック/キックのボールを獲得
日本:30/14
南アフリカ:20/15
 
・タックル
日本:103
南アフリカ:148
 
どうだろうか。
日本、イングランドともにランキャリーメートル、パス数は南アフリカを上回っているのに、総キャリーメートルは南アフリカの方が上。効果的なキックでゲインメーターを稼ぎ、パントキックを確実に獲得することでチャンスを生み出していることがわかる。
 
またどちらの試合でも、南アフリカは約1.5倍のタックル数を記録している。
これを見れば両チームが南アフリカのディフェンスを攻めあぐねていたのは歴然で、パスを多く回しながらも前に出られず横走りさせられていたということになる。
 
要は、最初に申し上げた通り「スピーディな詰めで相手を前で止め、攻撃のリズムを作らせない」という南アフリカの持ち味がモロに出た試合というヤツ。
 
「日本は奇跡ではなく、アイルランドに勝つべくして勝った。ここまで作戦がすべてハマるとは」
 

スクラムの安定によってイングランドを後手後手に回らせる。拮抗した試合ではセットプレーがクソほど重要

さらに言うと、この試合に限ればスクラムでイングランドを圧倒できたのは非常に大きかった。
 
序盤から何度もスクラムでイングランドを押し込み、ディフェンスを後手後手に回らせる。計11度のマイボールスクラムをすべて成功させ、そのほとんどを前に出ながらの攻撃につなげていた。
 
スクラムやラインアウトの安定によって自分たちの形で攻撃をスタートすることが可能になり、ブレイクダウンでの優位制も確保しやすい。結果、落ち着いてディフェンスラインの裏にパントを上げ、空中戦でも有利な状況が生まれる。
 
実力の拮抗した試合において、スクラムの安定はいろいろな面での相乗効果を生む。そのことがよくわかる試合内容だった。
 
 
今大会のベストトライと言っても過言ではない66分の左WTBマピンピによるトライ。そして、74分に右WTBコルビがミスマッチをついて奪ったトライ。決勝の大舞台でチームの持ち味が十分発揮された上で生まれた2本のトライに、僕は大満足であるww
 

イングランドは準決勝がベストゲーム。決勝ではあの試合と真逆の展開に持ち込まれてしまった

逆にイングランドとしては、準決勝のニュージーランド戦とは真逆の展開に持ち込まれた感が強い。
 
・ランキャリーメートル
イングランド:149
ニュージーランド:154
 
・キャリーメートル数
イングランド:406
ニュージーランド:639
 
・パス数
イングランド:184
ニュージーランド:211
 
・キックゲインメーター
イングランド:873
ニュージーランド:624
 
・タックル
イングランド:147
ニュージーランド:164
 
ランキャリーメートル、パス数ではニュージーランドに上回られながらも、タックル数ではイングランドが上。また、総キャリーメートル数ではニュージーランドに大きく水をあけられたが、キックゲインメーターでは驚異の873を記録するという。
 
横展開の得意なニュージーランドを鋭いタックルで止め、キックを中心に陣地を稼ぐ。
 
ゲインを切られた際はすばやく戻り、複数人でボールキャリアを囲んでパスコースを塞ぐ。ニュージーランドの選手がオフロードパスの相手を探しながら何もできずに潰されるシーンが何度も見られたが、まるでイングランドだけ20人で試合をしているのでは? と思わせるほどの集散の早さだった。
 
「ラグビープロ化構想がスタートしたらしいけど、なかなか難しそう。批判もあるけど企業スポーツってクッソ待遇いいからね」
 
あの試合はイングランドにとって文句なしのベストゲームだったが、決勝戦ではそれをそのまま南アフリカにやられた感じ。
 
スクラムでペナルティを犯してタッチへ。相手のラインアウトからドライビングモールで押され、ディフェンスの裏にハイパント。空中戦で競り負け、深く引いたラインの裏をランナーに走られ外側でゲインを切られる。
 
指揮官のエディ・ジョーンズも言っていたが、あらゆる面でこの日はイングランドにとっての誤算続きの試合だった。もしかしたら、前半に自陣22m内で無理に展開しようとしたのも最後まで波に乗れなかった要因かもしれない。


なお、試合後に南アフリカチームのロッカールームに英王室ヘンリー王子が祝福に訪れたことが話題になっていたが、


そんなことよりヘンリーデケえww
シヤ・コリシと並んでも見劣りしないフィジカルってどうなってんだww

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