ライアン・ガルシアがフォンセカに、ホルヘ・リナレスがモラレスに揃ってKO勝利。この両者の対戦はアトラクション的でおもしろい【結果・感想】

ライアン・ガルシアがフォンセカに、ホルヘ・リナレスがモラレスに揃ってKO勝利。この両者の対戦はアトラクション的でおもしろい【結果・感想】

カリフォルニア州イメージ
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2020年2月14日(日本時間15日)、米・カリフォルニア州で行われたDAZN中継のGBP興行。メインに登場したWBCライト級シルバータイトル王者ライアン・ガルシアがフランシスコ・フォンセカと対戦、1R1分20秒KOで勝利を挙げた。
 
またダブルメインとして行われたセミファイナルには元3階級制覇王者ホルヘ・リナレスが登場。カルロス・モラレスを相手に4R2分9秒でKO勝利を飾っている。
 
 
GBPのトッププロスペクトとして注目を集めるライアン・ガルシア。
前戦では難敵ロメロ・デュノを1RKOに沈めて衝撃を与えたが、今回はさらに圧倒的な力を見せつける。
世界タイトル挑戦経験もあるフランシスコ・フォンセカをまったく問題にせず、スピード差を見せつけての戦慄のKO勝利。同階級のデビン・ヘイニーやテオフィモ・ロペスが相次いで世界王座を獲得する中、タイトル挑戦に向けて大きなアピールとなった。
 
さらにセミファイナルに出場したホルヘ・リナレスは、2018年9月にライアン・ガルシア相手に判定まで粘ったカルロス・モラレスと対戦。序盤からグイグイとプレッシャーをかけ、スピード差を発揮して4RKOに仕留める。アッパーでグラつかされるシーンもあったが、キャリアで一度もKO負けがないモラレスを2度マットに這わせる見事な試合運びで存在感を示している。
 
ライアン・ガルシアの馬力と多彩な左。ルーク・キャンベルもやることやってたけど、スペック差が激しかったな。ホントに数年前とは別人
 

戦慄のカウンターでライアン・ガルシアが1RKO。ありゃ立てんわw

先週末に開催されたDAZN中継のGBP興行をようやく視聴したのでその感想を。
 
まずメインイベントのライアン・ガルシアvsフランシスコ・フォンセカ戦について。
これは多くの方もおっしゃっていたが、とにかくライアン・ガルシアの進化がえげつない
 
前戦のロメロ・デュノ戦もそうだが、2019年前半からの急激なパワーアップは目を見張るものがある。
 
肩回りを中心に上半身が一気にバルクアップし、1発の破壊力が格段に増した。もともと凄まじいハンドスピードの持ち主ではあったが、そこに1発の威力が加わってマジで手がつけられない状態。「近い将来、アゴにカウンターをもらって大の字になる」などと言われていたのがわずか1年半前とは思えないほどの覚醒っぷりである。
 
 
ただ、今回に限って言えば、やりやすい試合ではあったと思う。
 
相手のフランシスコ・フォンセカは基本的に近場の差し合いを得意とする選手で、特別スピードがあるわけでもない。ガルシアに比べて射程も短く、力をフルで発揮するには懐に入る必要がある。
 
だが「ガードを上げてジャブを出しながらプレスをかけて~」というスタイルでもないため、どうしてもパンチが単発になりやすい。遠い位置から大きく身体を伸ばして打ち込む右は、ガルシアにとっては完全なカウンターチャンスだった。
 
もともとライアン・ガルシアは下がりながらのカウンターを得意とする選手。鮮烈なKO勝利を連発していたデビュー当時もそれは随所に見られていた。
 
直線的な左の連打でスペースを確保し、相手の踏み込みに合わせてわずかにバックステップ。間髪入れずに外旋回の左を見えない角度から抜群のタイミングで打ち込む。超絶ハンドスピードによる連打のド派手さに目が行きがちではあるが、実際にはカウンター狙いのアウトボクサーに近い。
 
そして、今回のフォンセカはガルシアが待ち構えているところに思いっきり飛び込んでしまった。
同じカウンター使いのカルロス・モラレス戦ではお互いに攻め手がなくグダグダな展開が続いたが、この試合は開始直後から明らかにタイミングが合っていた。
 
「ライアン・ガルシアがモラレスに大苦戦? Facebook界の切り札アイドルがゼエゼエ言いながらも16連勝を飾る」
 
フランシスコ・フォンセカは間違いなくいい選手だと思うが、今回に関してはあまりにかみ合わせがよすぎたかなと。
 

ガルシアの進化がヤバすぎて…。デビン・ヘイニーあたりじゃないと対抗できないんじゃない?

しかし、ライアンガルシアの進化の度合いはガチでヤバい。
 
スピードに自信のない選手が不用意に飛び込んだ場合、今回のフォンセカのようにあっという間にカウンターの餌食になる。
 
腕を振るスペースを潰されると露骨に嫌な顔をするので、この選手が接近戦を苦手としているのは明白。だがガードを固めて距離を詰めようにも、火力が強すぎてまともに近寄れないのがキツい。
 
前戦のロメロ・デュノもブロック&リターンで懸命に懐に入ろうとしたが、左の連打で動きが止まったところでテンプルに被弾してジ・エンド。ライアン・ガルシアと真正面からフィジカル勝負するリスクを山ほど見せつけられた。
 
「ライアン・ガルシアすっげ…。ロメロ・デュノを1RKO。パワフルでスピーディでキラキラのクドい二重の超速連打に驚いた」
 
接近戦が難しいとなると、この選手を攻略するにはやはり距離をとってのカウンター狙いになるわけだが……。じゃあ、それができそうなのは誰よ? という話。
 
パッと思いつくところではWBC王者のデビン・ヘイニーとか?
もしくは先日ジェスレル・コラレスに勝利したクリス・コルバート?
 
どちらにしろ、ガルシアに左の差し合いで圧倒されないことが必須条件となる。
そうするとクリス・コルバートではちょっと厳しい? のか?
などなど。
 
急激な成長を遂げた結果、いよいよトップ戦線との直接対戦を妄想する段階にきた印象である。
 
 
あと、客席にいたYouTuber兼プロボクサーの顔芸なww
 

リナレス相手にカウンターが機能するとは。思った以上にモラレスがいい選手だった

一方、セミファイナルで行われたホルヘ・リナレスvsカルロス・モラレス戦について。
 
この試合の勝手な印象としては、
・カルロス・モラレスはいい選手
・リナレスは若干落ちた? かも?
 
 
まず相手のカルロス・モラレスだが、この選手は先ほども申し上げたようにカウンター狙いの待ちのスタイル。今回は若干ガードを下げてL字気味に構え、パンチを出しやすい状態でリナレスの連打に対抗していた。
 
そして、このカウンターボクシングがそこそこ機能したことにちょっと驚いてしまった。
 
以前から何度も申し上げているが、ホルヘ・リナレスの最大の持ち味は超絶ハンドスピードによるコンビネーション。中間距離における連打のスピードと精度は全階級でもトップクラスで、個人的に4階級制覇王者サウル・“カネロ”・アルバレスと双璧だと思っている(勝手に)。
 
その反面、接近戦は若干苦手で動きも直線的。腕が伸びない位置ではあっという間に糞詰まりを起こす傾向が目立つ。前戦では強フィジカルを活かしてグイグイ前に出るアル・トヨゴンを大いに持て余し、微妙な判定勝利に終わっている。
 
「リナレスわかりやすく攻略されてたな。アル・トヨゴンに10R判定勝利。これ、誰か勝てる日本人いるんじゃない?」
 
つまり、ホルヘ・リナレスと対峙する際は下がってはダメ。
勇気をもって近づき、ハンドスピードを発揮させないことが重要になる。
 
と思っていたのだが。
 
今回カルロス・モラレスが選択したアプローチはまったくの逆。自ら距離をとって打ち終わりを狙う(リナレス相手に一番やってはダメなはずの)カウンターボクシングである。しかもリナレスのスピードにもしっかり反応し、精度の高いアッパーでグラつかせるなど、十分な対応力を見せていた。
 
最後は低いガードの外側から右を被弾して沈んだが、リナレスにとってもタフな試合だったはず。
 
 
まあでも、アレか。
ここ3、4年で負けが込んでいるところを見ると、トップ戦線に食い込むには全体的に少し足りない選手なのかもしれない。
 

リナレスは若干落ちたかな? 数年前と比べて最大出力値が目減りした?

と同時に今回は「リナレス、若干落ちたかな?」と思わされる試合でもあった。
 
申し上げたように、この選手は超絶ハンドスピードを活かしたコンビネーションを最大の持ち味とする。なので、カルロス・モラレスのようなタイプは本来めちゃくちゃ得意(のはず)。それこそスピード差でぶん回して一気にオーバーキルしてもおかしくない(はずの)相手である。
 
だが、実際には左で動きを止められ、打ち終わりにカウンターを浴びる展開。遠い距離で対峙するモラレスを序盤は明らかに持て余していた。
 
1RKO負けを喫したセサール・カノ、前回のアル・トヨゴンはどちらかと言えばリナレスの苦手なタイプと言える。
だが、今回のモラレスは明らかに得意なタイプ。その相手にバタバタしていたのを見ると、やはり数年前に比べて最大出力値が目減りしているような気が……。
 
あえて手数を減らしてプレッシャーをかけていたのかもしれないけど。
 
ホルヘ・リナレスvsデビン・ヘイニーくるか? またいつもの「対戦に合意」、しかも口頭だって。リナレス勝利は決定事項だけど、ヘイニーは強敵だわな
 
3階級を制覇したホルヘ・リナレスも2020年10月で35歳。2002年デビュー以来50戦以上をこなし、敗戦を喫した試合はすべてKO負け。そろそろ身体にガタがきてもまったく不思議ではない。
 
繰り返しになるが、あくまでカルロス・モラレスがいい選手だったことが大前提での話である。
 

ライアン・ガルシアvsホルヘ・リナレス戦とかいうアトラクション。絶対に実現しなさい

そして、どうやらライアン・ガルシアvsホルヘ・リナレスというサバイバルマッチが実現しそうとのこと。
 
試合後のインタビューでのコメントを含め、リナレスがトップ戦線に再浮上するにはライアン・ガルシアは最高の相手。また、上り調子のライアン・ガルシアにとっても最終テストの相手としてリナレスは文句のつけようがない。
 
DAZNの解説も言っていたが、この試合が実現すれば世界戦以上の注目度、盛り上がりは間違いないと思う。
 
マジな話、ライアン・ガルシアvsホルヘ・リナレス戦はめちゃくちゃいい。


お互いに超絶ハンドスピードが持ち味で、ライアン・ガルシアは中間距離よりやや遠い位置を得意とする。それに対し、リナレスの射程は恐らくガルシアよりも半歩ほど近い。
 
リナレスがガルシアの危険地帯を踏み越えて高速ワンツーを当てるか。
それより先にガルシアが左フックのカウンターをねじ込むか。
 
こういう「どっちのパンチが先に相手に届くか」みたいな試合は問答無用でワクワクする。アトラクション的というか、よくも悪くも思考を停止して楽しめそうな組み合わせである。
 
パッと見の印象では、ガルシアのフックがガードの外側からリナレスの顔面を捉えそうなイメージなのだが……。
 
 
どちらにしても、この試合は絶対に実現していただきたい。
それこそ東京ドームで実現すると言われているカネロvsムラタのアンダーカードでもいいので(無茶言うな)。
 
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