ジョシュアがパーカーを子ども扱い。パーカーはがんばったけどやっぱり2m無双。結局こうなっちゃうんだよな【結果・感想】

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英国イメージ
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2018年3月31日(日本時間4月1日)、英・カーディフで行われた世界ヘビー級王座統一戦。WBAスーパー、IBF王座アンソニー・ジョシュアがWBO王者ジョセフ・パーカーと対戦。
ジョシュアが3-0(118-110、118-110、119-109)の判定で勝利し、3団体統一を果たした一戦である。
 
 
プリンシパリティ・スタジアムに集まった78,000人の大観衆の中で行われたヘビー級王座統一戦。無敗王者同士の対戦として注目を集めた一戦だが、結果はアンソニー・ジョシュアが圧勝。
 
「ジョシュアがポベトキンを鬼KO!! 動ける巨人最強説は今日も健在ですね。ワイルダーorフューリー戦実現します?」
 
スピーディな出入りで優位な展開を作りたいパーカーだが、序盤からジョシュアのプレッシャーに後退するシーンが目立つ。
中盤、鋭い踏み込みからの連打で流れを掴みかけるものの、ジョシュアの強烈なワンツーを浴びて動きが止まる。
 
「魔境タイソン・フューリーの帰還。強豪セファー・セフェリとの2年半ぶりの復帰戦。最強ヘビー級のクソ野郎がここにいるぞw」
 
対するジョシュアもパーカーの1発を警戒してか、無理に倒しにはいかず。
安全な距離を保って左を打ち下ろし、最後は大差判定での勝利を飾る。
 
連続KO勝利は20で途切れたものの、盤石の強さで王座統一を果たしたジョシュア。
次戦以降、WBC王者デオンティ・ワイルダーとの一騎打ちが期待される。
 
「ルイスがジョシュアに勝利! 動けるデブが動ける2mに勝利! 19年ぶりの何してくれてんねん案件やな」
 

だいたい予想通りの展開で、予想通りの結果が出た試合。そりゃあジョシュアが勝ちますよね

「まあ、そうなりますよね」というか、ほぼほぼ予想通りの展開、結果だった。
 
以前から申し上げているように、僕はここ最近のヘビー級にあまりテンションが上がっていない。
 
「ヘビー級のビッグマン無双を打破するには? ワイルダー、ジョシュアの2強を打倒するてっとり早い方法を考える。新階級設立?」
 
デオンティ・ワイルダー、201cm。
アンソニー・ジョシュア、198cm。
この2人のビッグマンがあまりに抜けていて、誰が相手でも試合展開がだいたい読めてしまう。
 
高い位置から左を出していればOK。
細かいフェイントや技術云々以前に「デカくて動けるヤツが大正義」という答えが出てしまっている。
 
そして、今回のジョセフ・パーカーも基本的には同じ。
 
ジョシュアが上背とリーチを活かして距離をとり、高い位置からジャブを当てる。
パーカーが無理やり踏み込めば、それに合わせてバックステップ。
 
どれだけパーカーにスピードがあっても関係ない。
深い懐と長い腕、高い頭の位置という利点を総動員して致命打を避ける。
 
マジで「大は小を兼ねる」としか言いようがない試合だった。
 

パーカーはがんばったでしょ。ジョシュアにとってはクリチコに次ぐ強敵だった

とはいえ、今回のジョセフ・パーカーはそこそこがんばったと思う。
 
今回の判定勝利を受けて、
「凡戦」
「ジョシュアの評価が下がった」
という声が聞こえてきたが、さすがにそれは早計な気がする。
 
ジョシュアにとって、恐らくパーカーはクリチコに次ぐ強敵。
193cmの上背で、あれだけスピーディな出入りと鋭いワンツーを持った相手と遭遇した経験はジョシュアにはない。
 
「ジョシュアがクリチコを粉砕!! 圧倒されながらも逆転勝利。怪物元王者を沈めたジョシュアの次戦は」
 
左リードで距離を測るスタイルはこれまでと同じだが、そこからのもう1歩がなかなか出ない。
パーカーが常に左にカウンターを被せてきたのも含め、慎重にならざるを得なかったのではないか。
 
まあ、ジョシュアは基本、まっすぐ前に出てワンツー、相手が出てきた分バックステップして〜という直線的な選手なので、読みやすいといえば読みやすい。
試合前にパーカーが「ジョシュアはサイドに回る動きに弱い」とコメントしていたが、確かにその通り。パーカー陣営の作戦自体は間違いではなかった。
 
ジョシュアのプレッシャーに押されてそれどころではなかったわけだが。
 

サイズの小さい側ができることは「懐に入ってインサイド勝負」のみ。ビッグマンは相手が何をやってくるかがわかっているから対策も立てやすい

ただ、申し上げたように「大は小を兼ねる」試合だったことに変わりはない。
2m級のビッグマンというアドバンテージが盤石過ぎて、勝負論どうこうまでに至らない状況。
 
身長、リーチで劣る側が勝機を見出すには、懐に入ってインサイドで勝負するしかない。だが、強烈なジャブと打ち下ろしの右、懐の深い相手にそれをやるのは困難を極める。
しかも、ジョシュアの方はパーカーが何をやってくるかを十分把握しているという。
 
この状況を打破するのは並大抵のことじゃない。
多少スピードや手数に差があろうが、バックステップと長いリーチですべて相殺されてしまう。
 
今回のパーカーも5、6Rにがんばって前に出たが、結局はそこまで。
あの2ラウンドでパワーを使い果たし、それ以降は致命打をもらわずに耐えるだけで精一杯だった。
 
正直、この試合でジョシュアの評価云々を言うのは意味がない。
同サイズのワイルダー相手にパーカーと同じことができるわけがないし、クリチコ戦以降、ようやくジョシュアが予想のつかない領域に足を踏み入れるというだけの話。
 
「気づくのおっせえw 岩佐vsサウロン。大差判定で岩佐が初防衛成功。ジリ貧の両者が後半に「あっ」ってなる」
 

今回の試合、凄まじい既視感だったのだが、やっと思い出した。クリチコの地獄の10年を思えばヘビー級も活性化したよね

今回の試合、実を言うと12Rを通じて既視感が半端なかったのだが、やっと思い出した。
2011年7月のウラジミール・クリチコvsデビッド・ヘイ戦
 
当時、絶対王者として君臨していたクリチコに、唯一対抗できるかもしれないと思われたのがデビッド・ヘイ。
この選手のスピード、出入りの鋭さならクリチコの懐に入れるのでは? と言われたものの、蓋を開けてみればいつも通り。これまでの挑戦者よりはがんばったが、結果的にはクリチコの盤石ぶりを改めて見せつけられただけの試合。
 
あの試合のヘイも確か3、4Rあたりで「お?」という動きを見せたが、そこで体力を使い果たして終了。そこから先は完全に尻すぼみだった覚えがある。
 
2011年のクリチコvsヘイ戦と今回のジョシュアvsパーカー戦。
両選手のスタイルや試合の流れ、さらに終盤のダラけた絶望感も含めて酷似していた気がする。
 
そう考えるとアレだ。
むしろ、ヘビー級もだいぶおもしろくなったと思うべきなのかも。
 
ああいう「大は小を兼ねる」試合を10年以上続けてきたのがウラジミール・クリチコという選手で、当時の退屈はこの試合の比ではない。
 
そして、今回のジョシュアvsパーカー戦がクリチコvsヘイ戦と酷似しているという事実。これは、今回の試合がクリチコの10年と比べれば最上位に位置することを意味する。
 
2017年4月のアンソニー・ジョシュアvsウラジミール・クリチコ戦、2018年3月のデオンティ・ワイルダーvsルイス・オルティス戦など。
ここ最近、目の覚めるようなスーパーファイトが続いたせいで、目がかなり贅沢になっている感が強い。
 
「野獣ワイルダーがオルティスを豪快KO!! やべえ、おもしろかったww オルティスは勝たなきゃダメな試合だったな」
 
もしかしたら、あの地獄の10年が過ぎたことを喜ぶ方がはるかに健全なのかもしれない。
 
知らんけど。
 
あとはまあ、タイソン・フューリーさんは早く復帰しなさい
さっさと復帰して、「デカくて動けるヤツが大正義」の状況を打破するのは「もっとデカくて動けるヤツでした」という本末転倒なチートぶりを見せてください。
 
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