田中マー君、イチローに2安打を許し2敗目。7回2失点ながらコントロールに苦しむ【ヤンキースvsマーリンズ。田中将大、今日の結果】

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アメリカ国旗イメージ
アメリカ大リーグ、ニューヨーク・ヤンキースに所属するマー君こと田中将大投手が、現地時間15日(日本時間16日)に、マイアミで行われたマーリンズ戦に先発。7回94球被安打9、奪三振6で本塁打を含む2失点の結果だった。
打線が沈黙したヤンキースはわずか3安打。2回に飛び出したティェイラの本塁打による1点のみで田中を援護することができず、試合には1-2で敗れた。田中は2敗目(4勝)。

なお、マーリンズに所属するイチロー外野手は2番センターで先発。注目された日本人対決は4打数2安打でイチローに軍配が上がった。

球にキレがない田中。安打を許すも粘りのピッチング

右手首の腱の炎症と前腕部の張りでDL入りした田中だが、故障明けから二度の登板でいずれも好投を見せている。
今日も安定感抜群の投球を披露して、周囲にも完全復活を印象付けたいところだ。

「田中将大、怪我の心配はなしか? 7回1失点で4勝目!!」

初回。
マーリンズの先頭打者は左打者のディー・ゴードン
初球。外角低めのまっすぐ。ファールで1ストライク。
2球目。同じコースにツーシーム。わずかに外れてボール。
3球目。同じコースからやや真ん中寄りに入るスプリット。ピッチャーゴロで1アウト。打ち頃の甘い球だった。ゴードンが打ち損じてくれた助かった。

2番イチロー。
早くも注目の対決第一ラウンドだ。
初球は外角からストライクゾーンに入るスライダー。ボール。
2球目。真ん中やや外寄りのまっすぐ。イチローが鋭く振り抜く!!
1、2塁間に痛烈なゴロが転がる。ライト前ヒット。

3番は左打者のイエリッチ。
メジャーリーグでは1~3番に左打者を並べるオーダーも特別珍しくはない。打者を左右に並べたがる監督もいるが、この試合に関しては打てる打者をどんどん上位に並べるオーダーを敷いている。右投手の田中相手だというのもあるだろうが、この辺はとてもいいことだと思う。

初球。外角を狙ったまっすぐが引っ掛かって内側へ。ボール。
2球目。外側低めへのスプリット。イエリッチがバットを出すが、打球はボテボテのセカンドゴロ。2塁に送球してフォースアウト。2アウトランナー1塁。

4番スタントン。右の強打者だ。
初球。外側へのスライダー。ボール。
2球目。真ん中高め、やや内側のツーシーム。スタントンが迷いなく思いきり引っ張る。
レフト前ヒット。1塁ランナーがサードへ滑り込んでツーアウト1、3塁。
内側の球を思い切り振り抜かれている。今日の田中の球はちょっと威力が足りないか。

5番ボアが左打席に立つ。
初球。外角低めへの89マイルのスプリット。空振り。1ストライク。
2球目。外角やや高めへのスプリット。これは見送られてボール。落ちも悪いしキレもない。危険な半速球だ。
3球目。また外角低めへのスプリット。空振りで2ストライク。スプリットを連投する田中。ここは早くも勝負どころとみたか。
4球目。もう一度同じコースにスプリット。ボアのバットが空を切る!! 空振り三振!!
この2球はいい球だった。スプリットの連投で初回のピンチを無失点で切り抜けた田中が悠然とマウンドを降りる。

初回を観た印象だが、今日はあまり球が走っていない。
いつも奪えているはずの空振りが奪えていないあたり、スプリットのキレもいまいちか。
漠然とした予想だが、このままいくと6回3失点くらいだろうか。
登板間隔は中五日。そろそろ疲れが出てくる頃か。若干身体も重そうだ。

2回も調子が上がらない。いつ崩れてもおかしくないぞ

ヤンキースがテシェイラの本塁打で先制点を挙げて迎えた2回裏。

この回の先頭は6番キャッチャーのリアルミュート。打率2割前半の右打者だ。
初球。真ん中高めへのまっすぐ。ボール。スピードが感じられない。やはり今日は球が走っていない。
2球目。外角へのカットボール。リアルミュートがバットを振る。が、力のない打球がライトに上がる。1アウト。

7番ディートリッチ。左打者だ。
初球は低めへのカーブ。ボール。
2球目。内角低めへのまっすぐ。ストライク。ややナチュラルにカットがかかっているだろうか。
3球目。外角へのスプリット。ボール。この球もあまりキレがよくない。
そして、どことなくディートリッチには投げにくそうにしている。
4球目。外角へのツーシーム。外側に曲がりすぎてボール。
5球目。外角高めのまっすぐ。甘いか!
ディートリッチが鋭く振り抜く! 打球はレフト戦へ。ツーベースヒット!!
まずい。またしてもピンチだ。

8番ヘチャバリアが右打席に入る。
初球はスプリットを叩きつけてボール。
2球目。またもスプリット。だがこれも低めに外れてボール。ああ、ちょっとヤバいな。
3球目。外角へのスライダーがギリギリに決まってストライク。今日はスプリットよりもこのスライダーの方がいい。
4球目。内側へ88マイルのスプリット。落ちが悪い!! ヘチャバリアが強振!! 打球はレフト前へ落ちる。ランナーがセカンドから一気にホームへ生還。1-1の同点!!
うん。やはり今日はスプリットのキレがよくない。
ここで切り替えられるか田中。このままズルズルいかないで欲しい。

続く9番ピッチャーのケーラーには、変化球でファールを誘い、スリーバント失敗で打ち取る。
1番のゴードンには外側のツーシームをジャストミートされたものの、打球は三塁手の正面をついて3アウト。
この回を1失点で切り抜けた田中。ここから調子を上げていきたい。

この前から思っていたのだが、故障明けの田中は、変化量を抑えてスピードを上げたスプリットを投げている。大体88~90マイル前後だろうか。
もともとは85~88マイル前後で鋭く落ちるスプリットが中心だったのだが、最近はやや変化を抑えてスピードを上げたスプリットを、カウント球で使おうとしているようだ。
空振りをとるためのスプリットと投げ分けているのだろうが、今のところしっくりきていない印象がある。
とはいえ器用な田中のことだ。すぐにコツを掴むだろう。

どうにか得点を許さない田中。立ち直る兆しは見えたか

同点で迎えた3回。
この回の先頭打者は2番センターイチロー。注目の第二打席だ。
初球は外角高めへのまっすぐ。ボール。
2球目。内側高めへカットボール。ストライク。
3球目は高めに大きく外れてボール。
うん。ここまではいい球がきている。
4球目。外角低めへ小さく落ちるスプリット。引っかけた当たりはボテボテのセカンドゴロだが、快足を飛ばしてイチローがファーストベースを駆け抜ける! 内野安打!! ノーアウト1塁。
この回の田中はなかなかキレのあるいい球を投げている。また、イチローも自分の持ち味を出した打席だった。おもしろい日本人対決だった。

その後、3番イエリッチによる強烈なピッチャー返しでピンチを広げた田中だが、4番スタントンをダブルプレーに打ち取るなど後続を断ってピンチを切り抜ける。

左バッターの内側へ94マイルのまっすぐ。その後、外角へのスプリットを連投。田中の調子も徐々に上がってきたようである。

4回、5回と無難に抑える田中。
特に左打者の初球に投げるカーブが効果的だ。毎度のことながら、この初球カーブの入りが僕は大好きである。

5回にみたびイチローと対峙した田中。
初球外角寄りのまっすぐから、同じコースへのスプリット2球で追い込む。そして内側のまっすぐを1球見せた後、最後は外寄りの95マイルまっすぐで見逃し三振!!
完全に裏をかかれたイチローはまったく手が出ない。なすすべもない打席だった。

どうやら立ち上がりのバタバタからは完全に立ち直ったようだ。マウンドさばきも落ち着いてきたし、球のキレも上がってきている。

特に5回。ランナーを出してからギアを一段上げて、94マイルを超えるまっすぐをどんどんと投げ込む。それまでの変化球主体のピッチングにタイミングを合わせていた相手打者は田中の気迫に牛耳られる。

さすがの一言だ。
試合の中で修正するずば抜けた能力こそ、田中の真骨頂である。前にも言ったが、マー君は野球選手としての基礎力が尋常じゃなく高いのだ。

この調子なら6回3失点とはいわずにもっといけるかもしれない。とはいえ、今日は右打者の内側からのスライダー、通称フロントドアを投げる余裕まではないようである。

田中が調子を上げてきた反面、今日のヤンキース打線は低調だ。相手先発ケーラーの前に2回以降沈黙を続けている。
ちなみにだが、田中マー君の打撃センスはかなり高いものがあると思う。本人がそこまでバッティングが好きではなさそうなのが残念ではあるが。

6回。
4番スタントンをスライダーで内野ゴロに打ち取り1アウト。

続く5番ボア。
外のスライダー、スプリットで2ストライクと追い込む。
3球目。大きなモーションから渾身の力で腕を振り下ろす田中。94マイルの外角まっすぐ!! 見逃し三振!! 三球三振!!!
キレ、スピードともに文句なし!!
マウンドで飛び跳ねる田中。素晴らしい躍動感!!
キタキタ!!

続く6番リアルミュート。
1-1から3球目のスプリットを捉えられるが、打球は強烈なサードゴロ。3アウト。
落差を少なくしてスピードをアップしたスプリットだが、今のところあまり効果的ではないようだ。

といいつつ4回、5回、6回を味方のエラーによる出塁のみで切り抜けた田中。ようやくいつもの姿が観られるようになってきた。球数的にもまだまだだ。次の回もいくだろう。がんばれマー君。

完璧に打たれたホームラン。この回を何とか切り抜けてくれ……

7回。
先頭打者は7番ディートリッチ。
今日はこの打者に対してちょっと投げにくそうにしている。

初球。低めやや外寄りのまっすぐ。ボール。
2球目。カーブがすっぽ抜けてボール。
2ボールからの3球目。
外側を狙ったツーシームがど真ん中に!! ディートリッチが迷わずバットを振り抜く!! 打球は一直線にライトスタンドへ!! ホームラン!!

うわ~、さすがにそれは打たれる。完全なホームランボールだった……。

打った瞬間わかるホームラン。得点は1-2。
マーリンズベンチが歓喜に沸く。若手の多いチームなので流れをつかんだ時の盛り上がりはなかなかすごいものがある。

続く8番ヘチャバリアには0-2から外側のスプリットを右中間に運ばれる。
この回、少し落ちてきたか。
前回もそうだったが、このところの田中は80球前後になると、やや球威が落ちてくる。

スライダーも引っかけ気味で外に大きく外れる。変化球も浮き気味だ。これはちょっと危険信号か。

1塁への素早い牽制球。
押せ押せ状態の相手に間をとる意味でも有効か。

と思ったら監督がアンパイアにチャレンジを要求する。お、これはどうなる?

VTRで観ると確かに微妙だ。タイミング的には完全にアウトだが……。
そう思っているうちに、アンパイアがアウトを宣告!!
お~、刺した!!

ため息に包まれるスタジアム。
ランナーも自覚していたか、いさぎよくダグアウトに引き上げる。
いや、これは大きい。自分で自分を救ったか。

続く9番ケーラーのところで代打に右打者のソラーノ。
田中、ここは今日一番の踏ん張りどころだ。

1-1から3球目。
キレのいいスライダーで空振り。
4球目も外角のスライダー。ファール。
この2球のスライダーはキレがいい。
5球目はスプリット。空振り三振!!
素晴らしい。最後の球はよく落ちた。
1つのアウトでこれだけよみがえるのだからおもしろい。

続く一番ゴードンには真ん中に入ったスプリットをジャストミートされ、右中間をやぶられるツーベース。やはりカウント球のスプリットがしっくりきていない。

続くイチロー。
外側の89マイルのスプリットを痛烈なピッチャー返し。
センター前に抜けるかと思われたが、ショートが回り込んでキャッチ。ファーストに送球して3アウト!!
切り抜けた。ホームランの失点だけで切り抜けた。よくやった!!

いつもとまったく変わらぬ配球。
相手がイチローだろうが投球スタイルにいっさいブレが見られない。
淡々と迷いなく、最も効率よくアウトをとれる方法を選択する。多少精神の高ぶりはあるかもしれないが、それが投球に影響することがまずない。これも田中の強みの一つだ。

この辺り、松坂とはまさに正反対だ。イチローのような打者を迎えると自然とギアが上がり、馬力で抑え込みにかかる劇場型の松坂。この手のタイプは圧倒的で観ていても楽しいが、投球が単調になって手痛い一発を食う可能性もある。
どちらがいいというわけでもないが、安心感という意味では間違いなく田中に軍配が上がるだろう。

敗戦投手にはなったが、文句なしのHQS。完全復活といっていいか

7回を終えて94球。恐らくこの回までだろう。
後は田中の勝ち運に期待したいところだったが、結局打線がその後も沈黙。田中に2敗目が記録された。

7回94球被安打9、奪三振6、四死球はさすがのゼロ。
9安打されながらも2点に抑えたピッチングは素晴らしかったし、今日の調子でこの結果なら上出来といっていい。負けはしたが、悪いなりにまとめた修正能力は大きく評価されると思う。

「田中将大、タイガース戦に登板。勝敗つかずも7回途中1失点の好投!!」

次回登板に影響がなければ、怪我に関しては復活と言ってもいいのではないか。

「マー君炎上!! 自己ワーストの3被弾で3敗目」

今後、ヤンキースは先発6人制を組んでできるだけ休養を多く取る方針とのことで、これは田中にとって間違いなく朗報だろう。さらなる飛躍に期待したいと思う。

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