これが僕のコバレフ! ヤードに苦戦しつつも11RKO勝利で初防衛に成功。もうカッチョいい。最高にカッチョいいww【結果・感想】

これが僕のコバレフ! ヤードに苦戦しつつも11RKO勝利で初防衛に成功。もうカッチョいい。最高にカッチョいいww【結果・感想】

ロシアイメージ
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2019年8月24日(日本時間25日)、ロシア・チェリャビンスクで行われたWBO世界L・ヘビー級タイトルマッチ。同級王者セルゲイ・コバレフがランキング1位アンソニー・ヤードと対戦し、11R2分4秒KO勝利。初防衛に成功した試合である。
 
 
2016年11月のアイザック・チレンベ戦以来、約2年半ぶりのロシア凱旋となったセルゲイ・コバレフ。今回の挑戦者アンソニー・ヤードは18勝無敗17KOの倒し屋で、早くから評価の高かった剛腕ファイターである。
 
 
試合は序盤からコンパクトな左でヒットを重ねるコバレフに対し、ヤードが鞭のような左でカウンターを狙う流れ。
時おりコバレフの懐にヤードが踏み込むものの、前半4Rはコバレフのヒット数が上回る。
 
だが5R以降、ヤードが徐々にペースアップ。逆にコバレフは緩やかな失速を見せ、試合の流れがヤードに傾いていく。
8Rには左右フックをヒットし、コバレフを盛大にグラつかせるヤード。コバレフもクリンチと左で何とかしのぐが、会場の雰囲気も一気にヤード寄りに。
 
ところが9Rに入ると、コバレフが的確な左のヒットで反撃。ヤードも積極的に前に出るが、地道に左を出すコバレフの攻撃を防ぎきれない。そして、ペースを取り戻したコバレフが10、11Rと攻勢をかけ、最後はカウンター気味の左で仰向けにダウンを奪いカウントアウト。見事な逆転劇で初防衛を飾った。
 
 
なお、勝利したコバレフは次戦以降、ミドル級王者サウル・“カネロ”・アルバレスとのビッグマッチに向けての交渉を進める予定とのこと。
 
セルゲイ・コバレフベストバウト3選。やっぱりコバレフ超カッコいい。圧倒的な“クラッシャー”っぷりと人間味溢れるコバレフが大好きですww
 

コバレフが最高にカッチョいい。劇的な結末に僕はモーレツに感動しているww

すごいものを観てしまった……。
 
 
以前から申し上げているように、僕はセルゲイ・コバレフという選手が大好きである。
 
この選手を最初に観たのは2013年。
WBOタイトルマッチでネイサン・クレバリーを枯れ枝を折るようにKOした一戦だったと思うが、その圧倒的な姿はまさに“クラッシャー”の異名にふさわしい。ジャン・パスカルとの2戦やバーナード・ホプキンスとの統一戦など。全盛期の理不尽なまでの強さは文句なしでカッチョよかった。
 
ただ、2016年7月にアイザック・チレンベに判定勝利ながらも空回りさせられ、次戦ではアンドレ・ウォードに初黒星を喫する。再戦ではインファイトの脆さや後半の失速をウォードに突かれ、キャリア初のKO負け。2013、2014年前後の憎らしいまでの最強ぶりは目減りしつつあった。
 
そして、2018年8月にはエレイデル・アルバレスに3度のダウンを奪われた末の7RKO負けという言い訳しようのない敗戦。さすがにこの試合に関しては、コバレフのファンである僕も「完全に終わったか?」と思わざるを得なかった。
 
ところが、約7か月後の再戦で見事アルバレスに判定勝利。これまでのスタイルを一新したアウトボクシングによる安全運転を披露し、再びトップ戦線に返り咲く。
 
 
こうしてコバレフのキャリアを振り返るだけでもおしっこが漏れそうなのだが、そこからさらに上があるとは……。
 
先週末は田中恒成vsジョナサン・ゴンサレス戦、ファン・フランシスコ・エストラーダvsドウェイン・ビーモン戦と、注目していた試合が早い段階で結果が見えてしまったために若干消化不良気味。
 
「田中恒成がゴンサレスを7RTKO。だから田中は近場の差し合いで勝負する選手だと8億5248万5年3ヶ月前から言ってる」
 
その影響もあってか、コバレフvsヤード戦のインパクトは本当に凄まじいものがあった。
 
 
いや~、さすがやで僕のコバレフ。
やっぱり文句なしにカッチョいいわ。
 

コバレフが左をコツコツ当てる新たなスタイルで前半をリード。右のガードの位置を徹底してたよね

まず、今回のコバレフの作戦は基本的には前回と同じ。
 
スタンスを広めに構えて距離をとり、遠い位置から細かい左を当てていく。
極力相手の危険地帯には立ち入らず、1発の威力というよりヒット数でリードを奪う流れ。
問答無用に相手をなぎ倒してきた“クラッシャー”スタイルではなく、アルバレスとの2戦目で見せたニュー・コバレフである。
 
「俺のコバレフが勝ったどー!! アルバレスの圧力を抑え込んで王座返り咲き。慎重な破壊神ってのもいいじゃないですかw」
 
対するアンソニー・ヤードだが、こちらもこれまでと同様のカウンター狙い。
L字気味の構えで左を鞭のように使い、コバレフのジャブにカウンターを合わせていく。
 
だが、遠い位置からスピーディなジャブを放つコバレフに対し、ヤードはカウンターが間に合わない。しかも、コバレフが顎の位置から右ガードを動かさないため、得意の左フックも打てず。破壊力抜群の右につなぐタイミングが見当たらない状況が続く。
 
再三顔を跳ね上げられ、出足を止められるヤード。はっきりとしたダメージはないものの、序盤4Rまでは完全にコバレフのペースで進む。
 
なるほどねぇ。
両者ともに左腕を下げた構えながら、動きはまったくの逆。コバレフが先に手を出し、そこにヤードがカウンターを合わせる。これはだいたい予想通りの展開と言える。
 
「ホ、ホントにやるんかカネロvsコバレフ。さすがにこれはコバレフが勝たなきゃダメなヤツじゃない?」
 

5Rに案の定コバレフが失速。それに合わせてヤードがペースを上げ、試合の流れが変わる

ところが、5Rに入ると徐々に試合が動き始める。
 
ヤードがこれまでよりも圧力を強め、強引に距離を詰めて腕を振る。
上体の動きでコバレフのジャブの芯を外し、無理やり左ボディをねじ込む。さらに打ち終わりを狙って右フックを合わせていく。
 
一方のコバレフはヤードのペースアップに合わせるように失速。例によって、厳しい時間帯への突入である。
 
そうそう。
コバレフはここからが鬼門なんだよな。
 
背筋が曲がり、足の運びも怪しく表情は虚ろ。
パンチには体重が乗らなくなり、身体が折れ曲がったところにボディを被弾してまっすぐ下がるという悪循環。
 
エレイデル・アルバレスとの初戦では、中盤からボディに苦しみ下を意識させられたところで顔面にフックを被弾。盛大にグロッキーにさせられKO負けを喫している。
 
キレッキレの序盤をしのがれると一気にガクッとくるのがこの選手の特徴である。
 
「サンキューコバレフ、お前はサイコーだった。アルバレスに7RKO負けで王座陥落。クラッシャーの終焉か?」
 
前半はある程度リードされることを覚悟で耐え抜き、中盤以降にペースアップしボディ中心に攻める。
これはもはや、打倒コバレフを果たす上での定石と言ってもいいかもしれない。
 

コバレフが迎えた最大のピンチ。ボディで身体を折られ、顎が上がったところに左右フック。よくここを粘ったよな


8Rに入ると、コバレフがこの試合一番のピンチを迎える。
 
これまで通り左を出し続けるコバレフ。
対するヤードはガードを上げ、身体を振りながら前進。多少の被弾は気にせず間合いを詰めていく。
 
両手でコバレフの頭を抱え込み、離れ際に左ボディを1発。続けて長い右を伸ばし、至近距離でさらに打ち下ろしの右。
 
コバレフも懸命に応戦するが、ヤードの圧力を抑えきれない。
前半徹底していた右ガードも下がり、辛そうな表情でまっすぐ後退させられる。
 
「伝説のロイ・ジョーンズvsバーナード・ホプキンス感想。初めてちゃんと観たけどクソつまんねえなこの試合w」
 
そして、残り約50秒。
リング中央で立て続けにボディ、顔面に被弾したコバレフ。顎が上がった瞬間を狙われ、ヤードの左右フックをモロにもらってしまう。
 
これで深いダメージを負ったコバレフはロープを背にしたまま防戦一方に。何とかパンチを返しつつ、腕を絡めて時間稼ぎに終始する。
上手く身体を入れ替え、打ち終わりに右フックをヒット。フラフラになりながらもこのラウンドを乗り切ってみせる。
 
いや~、すげえわ。
この流れは完全にコバレフがKOされるヤツ。ウォード戦、アルバレス戦に続き、3度目のKO負けを喫するパティーンそのものだった。
 
だが、ここでキレないのが今回のコバレフ。
ヤードの詰めの甘さ、追い足のなさもあると思うが、ピンチの中でも手を出し続けたことは文句なしにすごい。また、前半から左のヒットを重ねてきた分、ヤードのダメージが思った以上に蓄積していたのかもしれない。
 

深いダメージを負ったまま手を出し続けるコバレフ。ヤードの失速に伴い、コバレフがまさかの復活!!

続く9R。
このラウンドも、ダメージを引きずったまま序盤から手を出し続けるコバレフ。
ヤードもこのチャンスを逃すまいと積極的に前に出るが、そのつどコバレフの連打を芯で食う。
 
再三コバレフの左で顔を跳ね上げられ、ガードの外側から右フックをもらうヤード。胸を叩いて気合を入れ直すものの、徐々に顎が上がり前に出る勢いも失われていく。
 
いやまあ……。
いくら流れがきているとはいえ、あれだけ被弾しまくればね。さすがにダメージも溜まるでしょ。
 
「キャンベルがロマチェンコに肉薄。長身サウスポーと多彩な右リードが機能。お互いがリスクを負った好試合に感動」
 
そして、驚いたことにここからコバレフの動きが戻る
しっかりと足場を決め、力感十分のパンチを次々とガードの間から通していく。
ヤードも得意のカウンターを返すが、キレの戻ったコバレフの左に反応が間に合わない。
 
いや、マジかよ。
ここにきてセカンドウインドきたよ。
 
すげえww
ホントにすげえww
語彙力を失うレベルですげえww
 
あれだけボロボロになりながらも手を出し続けて耐え抜いた結果、もう一度流れを引き寄せやがった。
 
あと、ラウンドガールのお姉ちゃんめっちゃ美人!!
 
 
てか、観ました?
10R終了間際のコバレフのラッシュ。
 
相手をロープに詰めて、ダメージを確認しながら左でけん制。
左足でフェイントをかけつつ、右ストレートをダブルで打ち込む。
そのままもう一歩前進し、獰猛なラッシュを浴びせる。
 
あれこそ全盛期の“クラッシャー”の姿そのもの。
 
そりゃあアナタ。
あの局面であんなもんを見せられたらね。
大声が出るって話ですわww
 
完全に僕のコバレフが戻ってきましたわww
 

全盛期の勢いはないが、経験値と粘りをプラスした“クラッシャー”とんでもない。やっぱりコバレフはカッチョいい

繰り返しになるが、今回のコバレフは本当にカッチョよかった。
 
慎重なニュースタイルで確実にポイント奪取を図った前半。
いつも通りの失速を見せた中盤。
そこからら諦めずに手を出し続け、セカンドウインドを引っ張り出した後半。
 
正直、全盛期と比べれば純粋な力は落ちているとは思う。
だが過去2度の苦い経験を活かし、今の自分にできる最高のパフォーマンスを披露した姿は文句なしにカッチョいい。
 
「再戦だろうなパスカルvsブラウン。引退撤回のジャン・パスカルが8年ぶり王座戴冠。前に出る勇気」
 
敗れたアンソニー・ヤードは恐らく自分と同等の相手とぶつかるのは初めてで、チャンスでの詰め方やピンチでの対応力といった部分はやや不足していた気がする。仮に両者が再戦した場合、KO負けという経験を経たヤードにコバレフが勝つのは容易ではない(はず)。
 
ただ、そんなことは関係ない。
次戦がどうなるか? といった話も今は興味がない。
 
2019年8月24日(日本時間25日)現在、36歳のセルゲイ・コバレフが28歳のアンソニー・ヤードをわずかに上回った。
この事実に僕は激しく感動しているのである。
 
 
我ながらキモいんでそろそろ止めときますがww
 
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