ジョシュアがルイスJr.を再戦で塩漬け。ジョシュアの安全策とルイスの動きの悪さが…。そっくりさん同士の試合か?【結果・感想】

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サウジイメージ
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2019年12月7日(日本時間8日)、サウジアラビアで行われた正解ヘビー級王座統一戦。WBO/IBF/WBAスーパー王者アンディ・ルイスJr.と前王者アンソニー・ジョシュアが対戦し、3-0(118-110、118-110、119-109)の判定でジョシュアが勝利。見事統一王者に返り咲いた一戦である。
 
 
今年6月以来のダイレクトリマッチとなった今回。
約128kgと前戦よりも7kgほど増量して挑んだルイスに対し、ジョシュアは約107kgと若干軽めのウェイトでリングに上がる。
 
試合は序盤からサイズで勝るジョシュアのジャブが冴え渡り、そのつどルイスの前進を止める。何とか懐に入りたいルイスだが、ジョシュアのジャブ、ストレートに対抗できず、突破口を見出すことができない。
 
時おり得意の右のオーバーハンドを放つルイスだが、ジョシュアのフットワーク、距離感を崩すまでには至らず。結局12Rルイスを捌ききったジョシュアが3-0の判定で文句なしの完勝。約半年ぶりの雪辱を果たした。
 
なお、試合後は両者ともに第3戦を望むとコメントしており、2020年にも実現する可能性があるとのこと。
 
「ワイルダーvsフューリー再戦予想。ちっともわからんから両者のスペックを比較してみる。超人同士のスペクタコーな一戦」
 

いや〜、キツい試合だった。ジョシュアは勝たなきゃいけない試合だったのはわかるけど

まず今回の試合、個人的には決定当初からあまりテンションが上がらず。
 
・ジョシュアの作戦
・両者の当日の体重
・アンディ・ルイスのコンディション
・サウジアラビアでのビッグマッチ
・巨額のファイトマネー
 
両者のコンディションや作戦など、1戦目に比べてあまりに不確定要素が多く、なおかつTKOという結果にもかかわらずダイレクトリマッチをやるというのがどうにもピンとこない。
展望を考えようと思ったのだが、結局ちっとも食指が動かなかった次第である。
 
 
そして、実際の試合は観ての通りというか、もっとも可能性が高いと思われた展開そのまま。
 
アンソニー・ジョシュアが体格差、リーチ差をフルに使ってアンディ・ルイスJr.を塩漬けにし、12R走りきって見せた。
何度かヒヤッとするシーンはあったものの、全体を通して何かが起きる気配はほとんどなく。
場内からもブーイングが聞かれるなど、はっきり言って観るのがしんどい試合だった(僕にとっては)。
 
 
いや、わかる。
ジョシュアの選択が間違っていないことは十分理解している。
今回は絶対に負けられない試合だったことも知っている。
倒しに行って返り討ちにあった初戦の結果を受けて、アレがルイス攻略の近道だというのもわかる。
 
ただ、つまらんww
先日のデオンティ・ワイルダーvsルイス・オルティスVol.2の劇的な終わり方に度肝を抜かれた直後だったせいもあるが、とにかくあそこまで起伏のない12Rを観続けるのは拷問に近かった。
 
「世の中には二種類のボクサーがいる。ワイルダーとそれ以外である。天才ワイルダーがオルティスとの再戦を右1発で制する」
 
で、何?
2020年に3戦目だ!?
 
本気で言ってんのかオイw
さすがにもういいでしょ。
 
それよりジョシュアはデオンティ・ワイルダーvsタイソン・フューリー戦の方を向けよ。
 
とは言え、今回の両者のファイトマネーがジョシュア40億、ルイス10億だっけ?
そりゃあ3戦目もやりたいに決まってるか……。
 

両者ともに別人。もしかしてそっくりさんだったんじゃないの? 特にルイスの動きの悪さと言ったら…

具体的な感想としては、両者ともに別人だったなと。
表題の通りなのだが、割とガチでそっくりさん同士が試合をしているんじゃないか? と思うほど。
 
特に別人だったのがアンディ・ルイスJr.の方。
前戦から約7kg増量してリングに上がったとのことだが、その違いは一目瞭然。腰回りのお肉がトランクスからはみ出して垂れ下がる状態。別に太っていることが悪いなどと言うつもりはないが、とにかく今回は動きが悪過ぎた。
 
もともとこの選手は巨大化が進むヘビー級の中では小柄でリーチも短い。特別追い足があるわけでもなく、普通にやっていては2mの筋骨隆々マンであるジョシュアには歯が立たない。
 
そして、前戦でその体格差を補ったのがダッシュ力とハンドスピード。
一瞬で相手の懐に入る踏み込みと懐で躊躇なく腕を振り回す思い切りのよさ。前戦ではこの2つが絶妙なタイミングで機能し、難攻不落と思われたアンソニー・ジョシュアを見事に切って落とした。
 
「ルイスがジョシュアに勝利! 動けるデブが動ける2mに勝利! 19年ぶりの何してくれてんねん案件」
 
だが、今回のルイスにはそれがない。ダッシュ力とハンドスピードという2つの武器のうち、もっとも大事だと思われる脚力がまったく感じられなかった。
 

増量により? 踏み込みの鋭さを失ったルイス。1発目のあとに追撃が出るのがいいところだったのに

前回の試合を観直すとわかるが、アンディ・ルイスのよさは連打が止まらないところ。1発目の左の相打ちによって一瞬動きが止まるのだが、そこから相手よりも先に追撃の右が出る。
 
これまでアンソニー・ジョシュアはウラジミール・クリチコ以外に真正面で打ち負けたことがなく、恐らくルイスが自分の左で止まらないことなど想定していなかったはず。
 
そのため、初弾の左のあとに躊躇なく踏み込み自分よりも先に右を打ち込んでくるルイスに面食らってしまった。
しかも、この選手はもみ合いになると頭を下げて後退する癖があり、頭の位置がちょうどルイスのオーバーハンドの右とバッチリ合ってしまったという。
 
 
ところが今回。
踏み込みの鈍ったルイスは1発目の左のあと、なかなか追撃が出ない。
ジョシュアがまったく正対してくれなかったのもあるが、それ以上に上体の動き、踏み込みの鈍さが大きく影響していた。
 
本当にパーティー三昧の生活を送っていたのかは知らんが、前回と比べて動きが悪かったことは間違いないと思う。
 
「「3か月間のパーティーが…」ジョシュアに屈辱の“大敗”を喫したしたルイス、“ぽっちゃりし過ぎ”を猛省」
 

負けない試合運びを選択したジョシュア。L字も止めてKOも狙わない。競技者としては正解?

対するアンソニー・ジョシュアだが、こちらは申し上げたようにとにかく“負けないこと”を最優先した試合運びだった。
 
ガードを上げて距離を取り、遠い位置からの鋭いジャブ。
常にサイドに動き続け、追い足のないルイスの正面を外しまくる。
そしてルイスが左にダッキングしたタイミングで右ストレートを打ち込み、自分に有利な間合いをキープする。
 
前回見せたL字の構えも同時打ちも極力避け、常にルイスの動き出しを狙ったジャブで動きを止める。
 
KOを狙い過ぎてやらかした初戦での失敗を踏まえた作戦というか、まさに勝利のみを追い求めた塩漬け上等タイム。
個人的には退屈極まりない試合だったが、いわゆる“競技者”としてはこれで正解なのだと思う。
 
まあ、プロの姿勢云々をここで語る気はないのでアレだが。
 
「岩佐亮佑がタパレスにスカ勝ち!! セサール・フアレスとの打ち合いで吹っ切れたっぽいなコイツ。オラ感動したぞw」
 

塩漬けタイムもクリチコほどの盤石さはない。案外、ワイルダーの右が当たる? かも?

ただ、ところどころに危ないシーンが見られたのも確かではある。
 
4、9、10Rあたりだったと思う(違った?)が、ルイスがジョシュアの懐に侵入する局面が何度か訪れている。
その際、ジョシュアは腕を絡めてクリンチにいくのだが、ルイスはそれを振り払うように腕をぶん回す。そして案の定ジョシュアが頭を下げて後退し、ルイスの右オーバーハンドがテンプルをかすめる。
 
安全策に徹することを否定はしないが、流れの中でこういう危うさがちょくちょくのぞくのもまた微妙ではある。
 
たとえばワイルダーとの一騎打ちが実現した場合、もしかするとジョシュアが頭を下げたところにワイルダーの右が突き刺さる展開もあるかもしれない。何とも言えないところだが、あの塩漬けタイムは決して盤石とは言えない気がする。
 
まあ、vsワイルダーを考えること自体がすでに不毛という噂もあるが。
 
「フューリーを苦戦させたワリンがクッソいい選手だった件。ヘビー級3強時代が崩れる日も近い?」
 
てか、かつての“塩漬け王”ウラジミール・クリチコは懐に入られそうになると、上からのしかかって動きを止めてたんだよな。
ジョシュア以上に奥足重心で左を打ち下ろし続け、距離が詰まれば上から覆いかぶさって体力を奪う。
 
この試合を「地獄のような時間」とは言ったが、ウラジミール・クリチコ政権の10年間に比べればよっぽどドラマチック()だった。


前にも言ったけど、ハイレベルなトップクラスが全体のレベルを引き上げる現象ってのは間違いなくあるよね。
 
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